著者
吉田 綾乃 浦 光博 黒川 正流
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.144-151, 2004

In this study, the authors have paid attention to people's reactions to others' self-derogative presentation. Study 1 indicated that people have the script that a self-derogative presentation would elicit a denial response, such as "I don't think so," from the receivers. Moreover, it was also suggested that the derogator has the tendency to believe that the receiver's reaction has an effect of either maintaining or enhancing self-evaluation. Study 2 suggested that the Japanese would make self-derogative presentations, not only on the basis of interpersonal motivations, but also on the basis of self-affirmative motivations. The necessity of examining the details of the effects of self-derogation and the receivers' reactions was discussed.
著者
高口 央 坂田 桐子 黒川 正流
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.83-97, 2005 (Released:2006-02-18)
参考文献数
28
被引用文献数
1

本研究では,企業組織において調査を実施し,職場集団内の2名のリーダーによるリーダーシップ機能の分担を吟味するとともに,リーダーが複数存在することと,所属従業員のモラール,帰属意識,およびストレスとの関連を検討した。日常業務に関わる複雑さの認知,集団サイズ,また支社の部署数を状況の複雑性として取り上げた。各集団の2人のリーダーのうち,1人は職制上の管理者(係長,もしくは班長),もう1人は各部署に一名配置されている組合委員とした。有効回答者数8,758名のうち,管理職,組合委員,および出向者を除外した788部署の5,670名(男性4,793名,女性805名,不明72名)を分析対象とした。分担の形態を吟味した結果,管理監督者のみが統合型であるよりも管理監督者と組合委員の2人がともに統合型である部署が多く存在することが確認できた。効果性について,2名がともに統合型である部署が,管理監督者のみが統合型である単独統合型と同等以上の成果を得ていることが示唆された。加えて,状況の複雑性が高い場合に,複数リーダーの有効性が示された。
著者
高口 央 坂田 桐子 黒川 正流
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.40-54, 2002-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
29
被引用文献数
2 1

本研究では, 集団間葛藤・協力の文脈からなる仮想世界ゲームを用いて, 複数のリーダーによるリーダーシップが, 集団にどのような影響を及ぼすのかを検討した。各集団における公的役割を持ったリーダーを公式リーダーとし, 集団内の1/3以上の成員から影響力があると評価された人物を非公式リーダーとした。両リーダーのリーダーシップ発揮形態に基づき, 全集団を次に挙げる2つの基準で5つに分類した。分類の基準は, a非公式リーダーの有無, bリーダーシップ行動 (P機能と集団内M機能, 及び集団間M機能が統合された形 (PMM) で発揮されているか) であった。この分担形態を用いて, 集団へのアイデンティティ, 個人資産について検討を行った。さらに, 本研究では, 集団間文脈において検討を行ったため, 特にリーダーシップの効果性指標として, 他集団からの評価, 集団間関係の認知を採用し, それらについても検討を行った。その結果, 複数のリーダーによってリーダーシップが完全な形で発揮された分担統合型の集団が, もっとも望ましい状態にあることが示された。よって, 集団間状況においては, 複数リーダーによるリーダーシップの発揮がより効果的であることが示唆された。
著者
藤原 武弘 黒川 正流
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.53-62, 1981-08-20 (Released:2010-11-26)
参考文献数
24
被引用文献数
3 4

本研究は, 土居健郎によって精神分析的見地から提唱された甘えの計量化をめざしたものである. 研究Iにおいては, 甘えを測定するための一次元尺度構成に関する基礎的資料を得ること, ならびに日本人の対人関係の基本次元を明らかにすることが目的である. 35名の大学生 (男子16名, 女子19名) は, 97の動詞を類似しているものは同一のグループに分類することが求められた. その類似性行列は林の数量化第IV類によって解析が行われた. そして次の8つの群が見出された. 1. 拒絶・無視, 2, 好意・一体感, 3. 優越感, 4. 保護, 5. 相手の気嫌をとること, 6. 甘えられないことによる被害者意識, 7. 負い目, 8. 甘え.研究IIの目的は, いかなる対象に対して, どのような状況のもとで甘えが最も表出されるのかを明らかにすることにある. 286人の大学生 (男子112人, 女子174人) は, 11の困った状況のもとで, 12の対象人物に対する感情を10の甘え尺度で評定することが求められた.主要な結果は次のとおりである.1. 両親よりもむしろ恋人や親友に対する甘えの方がより強くみられた.2. 男性よりも女性の方により多くの甘えがみられた.3. 家庭問題に関する状況では, 両親や兄弟姉妹に対して甘えを最も示し, 個人生活の問題に関するその他の状況では, 恋人や親友に対して甘えを強く表出した.こうした結果は, 甘えとそれに関連する問題についての理論的含みから議論が行われた.
著者
吉田 綾乃 浦 光博 黒川 正流
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.144-151, 2004-11-22 (Released:2017-01-14)
被引用文献数
3

In this study, the authors have paid attention to people's reactions to others' self-derogative presentation. Study 1 indicated that people have the script that a self-derogative presentation would elicit a denial response, such as "I don't think so," from the receivers. Moreover, it was also suggested that the derogator has the tendency to believe that the receiver's reaction has an effect of either maintaining or enhancing self-evaluation. Study 2 suggested that the Japanese would make self-derogative presentations, not only on the basis of interpersonal motivations, but also on the basis of self-affirmative motivations. The necessity of examining the details of the effects of self-derogation and the receivers' reactions was discussed.
著者
三隅 二不二 黒川 正流
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
教育・社会心理学研究 (ISSN:0387852X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.169-181, 1971

本研究は, 「集団規模の拡大は群集化傾向と軍隊化傾向を生じる」という仮説を, リーダーシップPM論との関連において実証し, あわせて集団規模と帰属意識およびモラールとの関係を分析することを目的とした。<BR>某製鉄所一般工員4, 418名 (698集団) および某化学工場一般従業員1, 369名 (305集団) に対して, 質問紙による面接調査を実施した。<BR>結果を要約すればつぎの通りである。<BR>(1) リーダーシップM機能についていえば, 職場集団規模の拡大につれて, 一般にM機能の強いPM型もしくはM型の第1線監督者が減少し, M機能の弱いP型もしくはpm型の第1線監督者が増加する傾向が認められた。<BR>(2) リーダーシップP機能についていえば, 強いM機能が伴わないならば, 職場集団規模の拡大につれて, 一般にリーダーシップPおよびPが増加し, あるいは少なくとも減少することはないことが実証された。<BR>(3) 以上の結果から, 職場集団規模の拡大につれて, 軍隊化傾向か, あるいは群集化傾向が生じることが考察された。<BR>(4) 会社もしくは組合, およびその両方に対して高い帰属意識得点を示すものの比率は, 上司のリーダーシップ類型をPM型と認知する成員の中で最も高く, 以下M型, P型, pm型と認知する成員の順にその比率が低下し, 会社もしくは組合, およびその両方に対して低い帰属意識得点を示すものの割合は, 上司をpm型と認知する成員の中で最も高く, 以下P型, M型, PM型と認知する成員の順にその比率が低下することが見出された。<BR>(5) 上記 (4) の結果にもかかわらず, 職場集団規模の大いさは, 会社と組合, およびその両方に対する成員の帰属意識の強さに有意な影響を与えるという証拠は見出されなかった。<BR>(6) 上記 (4), (5) の結果から, 職場集団規模の拡大が会社と組合に対する帰属意識を相対的に高める傾向をもつという仮説が暗示された。<BR>(7) 職場集団規模の拡大につれて, 一般にモラール (チームワーク得点を含む) が低下する傾向が認められた。このことは, リーダーシップの変化による軍隊化傾向および群集化傾向のいずれも, いわゆる職場のモラールを犠牲にして成立することを裏付けるものと解釈された。
著者
高口 央 坂田 桐子 黒川 正流
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.40-54, 2002
被引用文献数
1

本研究では, 集団間葛藤・協力の文脈からなる仮想世界ゲームを用いて, 複数のリーダーによるリーダーシップが, 集団にどのような影響を及ぼすのかを検討した。各集団における公的役割を持ったリーダーを公式リーダーとし, 集団内の1/3以上の成員から影響力があると評価された人物を非公式リーダーとした。両リーダーのリーダーシップ発揮形態に基づき, 全集団を次に挙げる2つの基準で5つに分類した。分類の基準は, a非公式リーダーの有無, bリーダーシップ行動 (P機能と集団内M機能, 及び集団間M機能が統合された形 (PMM) で発揮されているか) であった。この分担形態を用いて, 集団へのアイデンティティ, 個人資産について検討を行った。さらに, 本研究では, 集団間文脈において検討を行ったため, 特にリーダーシップの効果性指標として, 他集団からの評価, 集団間関係の認知を採用し, それらについても検討を行った。その結果, 複数のリーダーによってリーダーシップが完全な形で発揮された分担統合型の集団が, もっとも望ましい状態にあることが示された。よって, 集団間状況においては, 複数リーダーによるリーダーシップの発揮がより効果的であることが示唆された。
著者
神薗 紀幸 黒川 正流 坂田 桐子
出版者
広島大学
雑誌
Memoirs of the Faculty of Integrated Arts and Sciences, Hiroshima University. IV, Science reports : studies of fundamental and environmental sciences (ISSN:13408364)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.93-104, 1996-12-28

Through this research, we studied how love affairs affect the self identity and mental health of young people. We classified 109 male and 193 female undergraduate students into people in love and people not in love based on questionnaires completed by the students. As a results of comparing both groups, those who were in love reported high self-esteem, fullness scores and low depression scores in comparison with those who not in love. Those who were in love continuously tended to mark high brightness, friendliness, honesty, sensitivity, and the opposite sex role scores in comparison with those who were not in love. We discussed about the characteristics of young people in progress of personal relationships.