著者
田中 美帆 齊藤 誠一
出版者
日本カウンセリング学会
雑誌
カウンセリング研究 (ISSN:09148337)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.160-169, 2016

本研究では,成人期における生と死に対する態度尺度を作成し,成人期の生と死に対する態度に影響を与える要因について探索的に検討した。研究1においては,成人期の261名のデータに基づく因子分析の結果,死への不安・恐怖,人生の目標,死後の世界への信念,生と死のつながり,生への執着の5因子が抽出された。各因子に対応する下位尺度を構成し,クロンバックのα係数を算出したところ,十分な内的整合性が得られた。次に,構成概念妥当性の検討の結果,人生の目標と信頼・時間的展望―不信・時間的展望の拡散との間,死後の世界への信念と霊魂観念との間などに相関関係が認められ,尺度の妥当性が支持された。研究2では,研究1において作成された尺度を用いて成人期および中年期の465名を対象に質問紙調査を実施し,死別経験が生と死に対する態度に与える影響を検討した。その結果,死別経験のある人においては中年期より成人期のほうが,女性においては死別経験のない人よりある人のほうが,より死に対する不安や恐怖を抱いていることが示された。
著者
齊藤 誠 大西 雅彦
出版者
日本ファイナンス学会 MPTフォーラム
雑誌
現代ファイナンス (ISSN:24334464)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.67-82, 2001-03-31 (Released:2018-12-07)
参考文献数
6

本研究は,2000年4月24日に実施された大幅な日経平均株価構成銘柄の入力れ替え(225の構成銘柄のうち30銘柄採用,30銘柄除外)が,個別銘柄の市場流動性や株価形成に与えた影響を分析している.本研究の分析から得られた主要な結果は以下のとおりである.①銘柄入れ替え発表時点をはさんだ東証株価指数の変化率に比して採用銘柄の株価変化率が高く,除外銘柄の株価変化率が低くなっている.ただし,除外銘柄全体としては,発表後半年の間に相対的な下落を相殺するように株価が回復している.②銘柄入れ替え発表前に比した発表後の出来高の変化は,市場の平均的な出来高の変化に比較して,採用銘柄,除外銘柄ともに増加しているが,発表後4カ月以降は採用銘柄の流動性が高まり,除外銘柄の流動性が低くなる傾向を示している.③銘柄入れ替え実施直前に日経平均株価指数先物価格がその理論値から大きく乖離したのは,銘柄入れ替え発表直後のポジション調整を反映して,継続採用銘柄においても株価が一時的に割安状態になったことを示唆している.以上の実証結果に基づいて,銘柄入れ替えの望ましい実施方法に関して議論している.
著者
谷 芳恵 齊藤 誠一
出版者
日本青年心理学会
雑誌
青年心理学研究 (ISSN:09153349)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.78-82, 2015-07-31 (Released:2017-05-25)
参考文献数
6
著者
齊藤 誠一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.641-650, 2017-12-01 (Released:2017-12-01)
参考文献数
25

持続可能な海洋の保全や水産資源の利用・開発には,衛星リモートセンシングや海洋GISを利用した海洋空間の利用・管理が不可欠である。本稿では,これまで開発した衛星リモートセンシングやデータ同化モデルを利用した水産海洋情報システムを概観した。アカイカやスルメイカの短期のピンポイント漁場予測システム,ホタテガイ最適育成海域モデルを紹介した。さらに,気候変動モデルによる中長期のアカイカ漁場予測を紹介した。これらの一連のシステムが持続可能な水産資源管理に貢献し,スマート水産業へ発展し,今後の方向性として,AIやIoTの利用についても言及した。漁具に設置されたIoTセンサーにより蓄積される水産ビッグデータの解析から,漁業者の勘と経験の暗黙知から形式知へとすることができ,後継者問題も解決につながることを期待したい。
著者
齊藤 誠
巻号頁・発行日
2012

Thesis (Ph. D. in Medical Sciences)--University of Tsukuba, (A), no. 6226, 2012.3.23
著者
尾田 十八 / 齊藤 誠 Makoto SAITO
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.67, no.653, pp.121-126, 2001-01-25 (Released:2008-02-21)
参考文献数
8
被引用文献数
4 3

Lsystem (LS) is a technique expressing a formation algorithm creating the various shape patterns by the simple rules. Using LS, the complex branch phenomena of plants could be described by simple rules. This paper has tried the methodology to apply LS to the structural design. This methodology grows up the structure as if plants grow up, and produces the optimum structure that is appropiate for the design purpose. It is difficult to acquire LS rules for the optimum structure because the rules have many degrees of freedom. Therefore, this paper proposes an idea that evolves LS rules using Genetic Algorithms (GA) . The methodology is called as an evolutionary LS (ELS) . Using the methodology, the design problems to decide optimum distribution of material and plate thickness are solved.
著者
石本 雄真 久川 真帆 齊藤 誠一 上長 然 則定 百合子 日潟 淳子 森口 竜平
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.125-133, 2009-06-10

本研究は,青年期女子の友人関係のあり方と心理的適応や学校適応の関連を検討することを目的とした。友人関係のあり方を心理的距離と同調性といった2側面から捉え,学校段階ごとに心理的適応,学校適応との関連を検討した。女子中学生96名,女子高校生122名を対象に友人との心理的距離,同調性,心理的適応,学校適応について測定した。その結果,表面的な友人関係をとる者は,心理的適応,学校適応ともに不適応的であることが示された。心理的距離は近く,同調性の低い友人関係をとる者は,心理的適応,学校適応ともに良好であることが示された。心理的距離は近く,同調性の高い密着した友人関係をとる者は,中学生では概して適応的であった。一方,高校生で密着した友人関係をとる者は,学校適応においては適応的であるものの,心理的適応に関しては不適応的な結果も示した。これらの結果から,同じ青年期であっても学校段階ごとに友人関係のあり方が持つ意味が異なるということが明らかになった。高校生においては,心理的距離は近くとも同調的ではない友人関係を持つことが心理的適応にとって重要であることが示唆された。
著者
桜井 泰憲 齊藤 誠一 BOWER John R. 山本 潤
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究は,スルメイカを対象として,気象の寒冷・温暖レジームシフト,アリューシャン低気圧の発達に影響される冬季季節風の強さ,海面気温などによって変化する本種の再生産・加入海域の表層暖水と季節混合層深度の季節・経年的変化が,再生産-加入過程を通して,どのように資源変動へと影響しているのかを明らかにすることを目的としている.申請年度3年間の成果は以下の通りである.人工授精により得たふ化幼生を用いて,各発育段階の幼生の鉛直方向への遊泳行動を精査した.その結果,発育ステージ31以降の幼生だけが,水温18-23℃の条件下で垂直上昇遊泳し,特に19.5-23℃の狭い水温範囲で最も活発に遊泳することを確認した.そこで,スルメイカの新しい再生産仮説として,「スルメイカの再生産可能海域は,水深が100m〜500mの陸棚から斜面上の表層暖水内であり,その水温が18〜23℃,特に19.5-23℃で,中層に水温躍層が発達する海域」を提案できた.この新再生産仮説に基づいて,2000-2005年の冬生まれ群の再生産海域である東シナ海の冬季の再生産可能海域を抽出した.その結果,黒潮流軸より大陸側の東シナ海に南西に伸びた細長くて狭い陸棚斜面域と薩南海域が,スルメイカの産卵からふ化幼生の生残に最も適した海域であることが明らかにできた.さらに,ネット採集したふ化直後の1mm未満の幼生は,九州南東の黒潮内側の複雑な渦流域の表層に集積することが判明した.特に,薩南海域では黒潮の前線波動による集積と本州沿岸への受動的輸送の可能性を見出した.また,新再生産仮説に基づいて,1970-80年代の寒冷レジーム期における冬の再生産海域は著しく縮小もしくは消滅し,1980年代後半からは陸棚斜面に沿って形成されることが明らかにできた.これにより,より精度の高い気候変化に応答する再生産機構の成否の解明に,新たな研究展開の道ができた.