2 0 0 0 OA 5.バリズム

著者
加藤 丈夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.89, no.4, pp.650-654, 2000-04-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5

バリズムは,肢の近位筋に強く起こる,急速で激しい,上下肢を投げ出すような粗大な不随意運動である.一側の上下肢に起こることが多く,これをヘミバリズムという.病巣は反対側の視床下核にあり,脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によることが多い.視床下核以外の部位の障害によりバリズムが生じることもある.治療薬としてハロペリドールなどのドーパミン受容体拮抗薬が用いられ,多くの症例で満足のいく結果が得られている.
著者
保田 晋助
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.10, pp.2621-2630, 2013-10-10 (Released:2014-10-10)
参考文献数
23
被引用文献数
1

抗リン脂質抗体症候群は,リン脂質結合蛋白に対する自己抗体を有し,動静脈および微小血管における血栓症や流死産,重症妊娠高血圧症や胎盤機能不全による早産などの妊娠合併症をひきおこす自己免疫疾患である.抗リン脂質抗体は免疫学的手法と凝固学的検査を組み合わせて検出するが,手法が標準化されていないなど問題点が残る.治療の主眼は血栓症の再発予防であり抗血小板療法や抗凝固治療が行われるが再発が依然として高頻度である.習慣流産患者に対してはヘパリン・少量アスピリンの併用が行われる.新たな予後予測や治療の試みがなされつつある.

2 0 0 0 OA J-BAF研究

著者
山下 武志
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.8, pp.2316-2322, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
7
著者
高橋 昭
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.91, no.8, pp.2241-2244, 2002-08-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
12
著者
中島 一郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.8, pp.1470-1476, 2018-08-10 (Released:2019-08-10)
参考文献数
10

多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)の診断においては鑑別疾患の除外が重要であり,自己抗体が関与する脱髄疾患等を注意深く鑑別する必要がある.早期診断にMcDonald基準は有用であり,MRI(magnetic resonance imaging)や髄液所見を参考に早期の診断を心がける必要がある.急性期にはステロイドパルス療法が有用であり,寛解期には長期予後を考慮し,早期から疾患修飾薬を使用する.本邦でも使用可能な疾患修飾薬が年々増えてきており,それぞれの薬剤の特性を理解したうえで選択する.
著者
海老原 覚
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.109, no.10, pp.2142-2148, 2020-10-10 (Released:2021-10-10)
参考文献数
12
被引用文献数
2

咳反射は,これまで延髄の脳幹部反射と捉えられ,上位中枢神経系の関与はあまり考えられてこなかった.しかし,近年,咳が出るときは,咳衝動(urge-to-cough)という感覚が先行して大脳皮質に伝わり,その咳衝動が咳反射を調節していることがわかってきた.加齢によりフレイル状態になると,まず嚥下反射が障害され,さらに,フレイルが進行して咳衝動がなくなり,その後,咳反射が消失して誤嚥性肺炎が発症することがわかってきた.
著者
平野 宏
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.86, no.10, pp.1838-1843, 1997-10-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5

生体へのK負荷, K欠乏に対する調節系として腎が最も大きな役割を果す.皮質集合管主細胞のK分泌と介在細胞のK吸収によるKバランス維持機構が明らかになってきた. Kは主要な細胞内電解質であり,細胞機能の維持には不可欠である. K不足, K過剰は神経および筋肉系に影響を及ぼす.高K血症が疑われる場合には血清K濃度と心電図をチェックし,即時的に処置をする.一方,低K血症は原因の除去・原疾患の治療が第一である.
著者
西川 正憲
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.6, pp.1683-1691, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
5
著者
森下 英理子
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.109, no.7, pp.1340-1346, 2020-07-10 (Released:2021-07-10)
参考文献数
6
著者
米田 政志
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.109, no.1, pp.56-63, 2020-01-10 (Released:2021-01-10)
参考文献数
23

非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis:NASH)の治療は,内臓肥満を是正するための運動及び食事等の習慣の改善が第一であるが,遂行・持続することが困難である.現在,NASHに対する確立された特異的な治療薬はないが,背景にあるメタボリックシンドロームに合わせた治療薬の効果が確認されており,ガイドラインで推奨されている.本稿では,日本における「NAFLD/NASH診療ガイドライン2014」(日本消化器病学会,2014年)を中心にエビデンスがある程度確認されているNASHに対する薬物治療を概説する.
著者
水野 慎大 金井 隆典
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.10, pp.2176-2182, 2018-10-10 (Released:2019-10-10)
参考文献数
10

強毒変異株の出現を契機に,難治性の再発性クロストリジウム・ディフィシル感染症(recurrent Clostridium difficile infection:rCDI)が欧米で猛威をふるっている.2013年にオランダのグループがrCDIを対象とした糞便微生物移植(fecal microbiota transplantation:FMT)の臨床試験で画期的な有効性を証明したことで,FMTに注目が集まることとなった.rCDI以外に,炎症性腸疾患,過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)をはじめとしたさまざまな消化管疾患や肝疾患・精神神経系疾患等も含めた多くの疾患においても,FMTの有用性を探る試みが続けられている.本稿では,rCDIにおけるFMTの成功から5年が経過し,研究の進展に伴って徐々に概念が変化しつつあるFMTの歴史と現状を解説し,将来を見据えたFMTの位置付けについて議論してみたい.
著者
小川 拓
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.11, pp.2297-2303, 2019-11-10 (Released:2020-11-10)
参考文献数
12

免疫不全者のワクチンで共通する問題点は,生ワクチンの接種が難しい点である.免疫抑制薬は,開始してしまえばほぼ生ワクチンは接種できないため,開始前に麻疹・風疹・ムンプス・水痘ワクチンを通算2回ずつになるよう追加接種しておくことが必要である.また,造血細胞移植後には,基礎免疫から獲得させる必要があり,予防接種計画の綿密な立案が必要となる.また,脾臓摘出術後等の脾機能低下患者では,液性免疫不全の状態が遷延するため,肺炎球菌やインフルエンザ菌といった細菌による侵襲性感染症のリスクが高く,予防接種を行うことを忘れてはならない.
著者
外山 圭助
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.890-894, 1994-06-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5

リンパ増殖性疾患の診断には,理学的所見としてリンパ節腫脹.検査所見として末梢血異常,すなわちリンパ球増加などが認められることによって,その存在が予測される.確定診断には,リンパ節生検による組織検査,および免疫組織学的・免疫細胞学的検索が必須である.末梢血異常を認めた場合は,リンパ球の形態学的検索と細胞表面形質の検索が重要である.
著者
舘田 一博
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.3, pp.572-579, 2015-03-10 (Released:2016-03-10)
参考文献数
4
著者
一ノ瀬 正和
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.6, pp.1206-1213, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
9

COPD患者は咳,痰,労作時息切れなどの症状があっても,加齢現象と考えてあまり訴えないので,医師が積極的にスパイロメトリーを行い,早期にCOPDを見出す姿勢が大切である.気管支拡張薬吸入後の一秒率が70%未満で他の閉塞性疾患(喘息,気管支拡張症等)を否定することでCOPDの診断ができる.補助検査として,胸部写真やCTといった画像に加え,肺拡散能検査が有用である.
著者
赤水 尚史
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.4, pp.653-657, 2016-04-10 (Released:2017-04-10)
参考文献数
9

甲状腺クリーゼは甲状腺診療における救急の代表例であり,多臓器における非代償性状態を特徴とする.臨床症状に基づいて診断され,日本における診断基準が作成されている.同診断基準に基づいて,我が国における全国疫学調査が実施され,致死率が10%を超えていた.致死的疾患であるので,疑診の段階でも治療を開始することが肝要である.

2 0 0 0 OA 4)脳卒中

著者
北川 一夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.2, pp.400-405, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
10

脳卒中患者の大半は高血圧を危険因子として有しており,その管理は慢性期再発予防の最も重要な治療の一つである.脳卒中に伴った高血圧の管理は急性期と慢性期で大きく異なっており,急性期では原則として積極的に降圧しない場合が多く,反対に慢性期では厳格な降圧が再発予防目的に必要とされる.使用降圧薬も急性期は静脈投与可能な薬剤が優先的に用いられ,慢性期にはCa拮抗薬,ACE阻害薬,ARB,利尿薬などの使用が推奨される.