著者
長嶋 一昭 稲垣 暢也
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.4, pp.737-741, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

経口インスリン分泌促進薬には,SU薬,グリニド薬に加え,DPP-IV阻害薬がある.SU薬およびグリニド薬は,膵β細胞KATPチャネルのSUR1サブユニットに結合しインスリン分泌を惹起するという点では共通であるが,半減期やKATPチャネルへの親和性などの特性は異なり,糖尿病の病態に応じて使い分ける必要がある.また,これまでインスリン療法が常識とされてきた新生児糖尿病の発症原因として,KATPチャネル遺伝子異常による症例が多く存在し,多くの場合SU薬による治療が有効であることが示された.
著者
日野原 重明
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.61, no.7, pp.745-749, 1972-07-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
6
被引用文献数
8 1
著者
古市 賢吾 和田 隆志
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.5, pp.841-847, 2018-05-10 (Released:2019-05-10)
参考文献数
15

糖尿病性腎症は,腎不全の主要な原疾患であり,腎臓への保護作用が期待できる薬剤の開発が求められる.これまでレニン・アンジオテンシン系阻害薬やスタチン系薬剤が腎保護作用を有することが示されてきた.近年,DPP-4(dipeptidyl peptidase-4)阻害薬,インクレチン作動薬あるいはSGLT2(sodium glucose cotransporter 2)阻害薬が腎障害進展を軽減するうえでも有用であることが注目されてきている.
著者
増田 大作
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.4, pp.702-710, 2017-04-10 (Released:2018-04-10)
参考文献数
10

トリグリセライドの空腹時高値のみならず,食後高値も心血管イベントとよい相関を有する.食後高脂血症の病態では小腸由来カイロミクロンの代謝異常により,食後にカイロミクロンレムナントが増加し,動脈硬化惹起性が上昇する.その定量的評価系であるアポリポ蛋白B-48濃度は頸動脈中膜肥厚や冠動脈狭窄罹患率と相関する.食後高脂血症の治療としては,食事療法,スタチン,フィブラート,エゼチミブ,インクレチン関連薬が有効である.
著者
山田 英雄
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.581-587, 1990-05-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
7

鉄欠乏性貧血は貧血の臨床においてもつとも頻度が高く,その正しい認識と対処のしかたがきわめて重要な疾患である.最近トランスフェリンやフェリチンに関する研究の進展によって鉄代謝の生化学的解明が進み,鉄欠乏性貧血や鉄欠乏症の病態生理も一段の進展を見た.本稿ではこれらの進展を踏まえ明らかとなってきた鉄欠乏性貧血および鉄欠乏症の実態ならびにその治療法の実際について解説を加えた.
著者
井関 邦敏
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.5, pp.1253-1258, 2012 (Released:2013-05-10)
参考文献数
9

慢性腎臓病(CKD)は腎機能(糸球体濾過量:GFR)を中心とした分類であったが,アルブミン尿(albuminuria:A)が追加され腎臓病の原因(cause:C)と併せてCGA分類(仮称)に変更された.3カ月以上持続する慢性の病態であり,予後(死亡,心血管障害,末期腎不全など)と密接な関連がメタ解析で証明され,ヒートマップとして示された.高齢者に多いステージ3が3a,3bに細分化された.
著者
三浦 聖史 下堂薗 恵
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.2, pp.283-288, 2019

<p>脳やシナプスは可塑性を有することが明らかになり,そのメカニズムの解明を背景として,脳卒中リハビリテーションには,訓練の量,頻度ならびに課題特異性という3つの要素が重要であるとの知見が蓄積され,推奨されるようになった.脳卒中急性期では,早期離床により廃用症候群を予防するとともに,早期にADL(activities of daily living)を向上させることが重要である.さらに,回復期ではCI療法(constraint-induced movement therapy)や促通反復療法といった療法士の指導や徒手による運動療法を軸として,電気刺激や振動刺激等のさまざまな物理療法や非侵襲的脳刺激法(non-invasive brain stimulation:NIBS),リハビリテーションロボットを併用し,患者の運動意図を正しく実現し,反復することが,患者アウトカムを向上させると考えられる.超高齢社会の我が国における回復期リハビリテーションでは,アウトカム実績とその効率性が求められており,さらに,近い将来における再生医療の実用化に向け,効果的かつ効率的なリハビリテーション治療の発展がますます必要とされるであろう.</p>
著者
山田 健太郎 成冨 博章
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.90, no.4, pp.607-612, 2001-04-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
6

コハク酸スマトリプタンはセロトニン受容体の選択的なアゴニストで, 1990年代から海外で広く使用されるようになった片頭痛治療薬である.我が国では2000年1月から皮下注用製剤の使用が認可されている.本剤は,前駆症状期,前兆期に投与して頭痛発現を阻止しようとする従来の治療薬とは大きく異なり,頭痛増強期に投与して強力な頭痛抑制効果が得られる.作用機序に関する研究は片頭痛の病態解明に大きく貢献している.
著者
岩本 愛吉
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.9, pp.2425-2436, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
3
著者
浅野 浩一郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.6, pp.1149-1155, 2019-06-10 (Released:2020-06-10)
参考文献数
8

標準的治療でコントロールできない喘息を重症(難治性)と判定する前に,本当に喘息か,正しい薬物療法を行っているか,併存症は適切に管理されているか,増悪因子は同定され排除されているかを確認する必要がある.一方,末梢血好酸球数や呼気NO(nitric oxide)濃度等の2型炎症バイオマーカーが上昇している場合には,アスピリン喘息(aspirin-exacerbated respiratory disease:AERD)や好酸球性副鼻腔炎(eosinophilic chronic rhinosinusitis:ECRS),アレルギー性気管支肺真菌症(allergic bronchopulmonary mycosis:ABPM),好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EGPA)等の鑑別が重要である.
著者
黒川 清
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.89, no.12, pp.2407-2409, 2000-12-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
14
著者
松枝 啓
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.85, no.7, pp.1085-1097, 1996-07-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
7

吸収不良症候群と蛋白漏出性胃腸症を来す疾患において経腸栄養療法を合理的に施行し治療効果をあげるためには, 1)吸収不良症候群と蛋白漏出性胃腸症の病態に適合する経腸栄養剤を選択し, 2)経腸栄養療法の合併症を予防し,そして3)患者の苦痛を軽減するための器具の選択に留意することなどが必要となる.とくに,病態に適合する経腸栄養剤の選択では,各種栄養剤の組成の相違を把握するのみならず3大栄養素の消化吸収の病態生理を考慮して栄養剤の選択を行うことが重要である.このような観点を考慮して,吸収不良症候群と蛋白漏出症候群における経腸栄養療法を解説した.
著者
柳瀬 敏彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.8, pp.1557-1563, 2006-08-10 (Released:2009-03-27)
参考文献数
12

副腎皮質クローン化細胞からの副腎組織の再生の報告やES細胞でのSF-1の恒常的発現によるprogesterone産生の報告を認める. 骨髄細胞のステロイド産生細胞への分化能については未知数であったが, 我々は長期培養骨髄細胞へのアデノウイルスによるSF-1の強制発現により, 副腎皮質刺激ホルモン (ACTH) に反応しde novo に多様なステロイドホルモンを分泌するステロイド産生細胞の創出に成功した. この発見は, ステロイドホルモン欠損症に対する自家細胞移植療法の第一歩となる可能性がある
著者
布施 一郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.88, no.6, pp.1040-1047, 1999-06-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5
被引用文献数
1

薬剤性造血障害のうち,薬剤起因性の貧血は赤血球のみが減少するものと,汎血球減少を呈するものの二つに分けられる.前者の代表は免疫性溶血性貧血と赤芽球癆であり,後者の代表は二次性再生不良性貧血,治療関連骨髓異形成症候群,白血病である.血液疾患のほとんどが薬剤によって惹起されうるので,これらの病因及び主な起因薬物を把握することが臨床上重要である.
著者
綿田 裕孝
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.9, pp.2110-2115, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
8
著者
上村 直実
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.3, pp.464-467, 2006-03-10 (Released:2009-03-27)
参考文献数
10
著者
一ノ瀬 正和
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.93, no.4, pp.794-799, 2004-04-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
20

気道過敏性の亢進とは,わずかな刺激物質の吸入で,気道狭窄をきたすことで,気管支喘息の重要な病態の一つである.この亢進には気道平滑筋,自律神経系,気道上皮,微小血管,炎症細胞等多彩な細胞群が関与しており,それぞれの制御が喘息治療に繁がる.慢性閉塞性肺疾患(COPD)でも気道過敏性亢進が認められるが,これは予め気道が狭窄しているという物理学的因子によるもので喘息とは機序が異なる.