著者
棟方 理 飛内 賢正
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.7, pp.1765-1772, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
16

悪性リンパ腫の病因として,ゲノム異常,ウイルス感染,慢性炎症と免疫不全の4つが重要である.近年,全ゲノム解析技術の進歩により新たなゲノム異常が次々と同定され,悪性リンパ腫の病態解明が進められつつある.分子病態の解明に伴い,それらを標的とした新たな分子標的治療薬の開発につながり,更なる治療成績の向上が期待されている.
著者
高橋 和郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.219-221, 1992-02-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
4

ニューロパシー,特にビタミン欠乏性ニューロパシーのビタミン補給療法の問題について述べた.ビタミンA, Dなどの脂溶性ビタミンについては従来より,その副作用が問題となっているが,最近ではビタミンB6過剰でニューロパシーがみられるなど,過剰投与による副作用が問題となっている.従って,補給療法にはむやみに大量,長期に行わないことに注意すべきである.
著者
名越 澄子 持田 智 藤原 研司
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.1, pp.43-49, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
5

B型肝炎ウイルス(HBV)による劇症肝炎および遅発性肝不全には,HBVの急性感染例と無症候性キャリアからの急性増悪例が含まれる.急性感染例では,肝類洞内凝固による微小循環障害が顕著と想定されるため,ATIII濃縮製剤と合成蛋白分解酵素阻害薬を中心とした抗凝固療法を行う.キャリア例では,プロトロンビン時間が40%~60%以上の段階でラミブジンまたはエンテカビルによる抗ウイルス療法を開始する.
著者
山内 美香 杉本 利嗣
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.4, pp.870-877, 2014-04-10 (Released:2015-04-10)
参考文献数
9

Ca代謝異常はよく経験する電解質異常であるが,測定するまで気づかないことが多い.血清Ca値は厳密に調節されているため,軽度の異常でもCa代謝調節機構の異常を考えるべきである.Ca,P,ALB,PTH,1,25 (OH)2D3値などの測定により鑑別診断は比較的容易である.PTH値から原因が副甲状腺か否かを判断し,頻度の多い原因を念頭に鑑別する.高Ca血症は原因疾患の治療,骨吸収抑制薬による治療,低Ca血症は活性型ビタミンD製剤による治療が主となる.
著者
塩澤 全司
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.3, pp.493-504, 2006-03-10 (Released:2009-03-27)
参考文献数
20
著者
孝田 雅彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.1, pp.17-22, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
4
被引用文献数
1

ウイルス性慢性肝疾患における肝線維化評価は治療適応の決定,予後予測において重要である.しかしその評価には従来侵襲的な肝生検が行われてきたが,より安全で繰り返し行うことが可能な非侵襲的方法が求められている.これらには肝における結合織代謝産物としての血清線維化マーカーや,一般臨床検査を組み合わせた肝線維化予測モデル,肝の硬度を測定するエラストグラフィーが開発されており,その有用性を概説する.
著者
高橋 昭
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.34-40, 1993-01-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
10

頭痛患者へのアプローチは,常に全身的な分析が必要である.診断の第一歩は注意深い問診であり,発病様式,発現場所,痛みの性質,強さ,持続,頻度,発現時間,随伴症状,増悪,軽減因子などについての情報を的確に得ることが重要である.社会歴や家族歴も重要な鍵を提供することがある.次いで全身のベッドサイド診療と神経学的検査を行い,この所見を基にCT, MRI,髄液検査など特殊検査の計画を立てる.
著者
高橋 昭
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.350-353, 1990-03-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
4
著者
神田 浩子
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.10, pp.2457-2464, 2014-10-10 (Released:2015-10-10)
参考文献数
7
被引用文献数
1

RS3PE症候群(remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema)は,高齢発症のリウマトイド因子(rheumatoid factor:RF)陰性の関節炎を呈する患者の鑑別疾患の1つとして常に挙げられる疾患である.両手足の対称性圧痕浮腫をはじめとしていくつかの特徴はあるものの,明確な分類基準が存在しないために除外診断が中心となる.近年,関節炎に対しMRIやエコーを積極的に用いることにより,炎症の首座がどこにあるのかを明確にすることができるようになってきた.本稿では,RS3PE症候群について現況での知見を紹介する.
著者
小野寺 克洋 玉田 勉 村松 聡士 村上 康司 奈良 正之 小松 理世 小林 誠 山田 充啓 杉浦 久敏 一ノ瀬 正和
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.3, pp.540-546, 2016-03-10 (Released:2017-03-10)
参考文献数
8

38歳,女性.多関節痛を自覚後,急速にぶどう膜炎,発熱,咳嗽,体重減少,肺門リンパ節腫脹などを認め,気管支鏡検査,ガリウムシンチなどでサルコイドーシスと診断した.急性サルコイドーシスのLöfgren症候群のうち結節性紅斑を伴わないvariant formが考えられた.全身ステロイド治療を開始し症状は速やかに改善した.本症候群は本邦で稀であり,全身症状の強いサルコイドーシスでは鑑別に挙げる必要がある.

1 0 0 0 OA III.RS3PE症候群

著者
藤尾 圭志
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.10, pp.2131-2135, 2017-10-10 (Released:2018-10-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1

RS3PE(remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema)症候群は,両手,両足の圧痕性浮腫を最も特徴的な症状とし,突然発症の多関節炎,高齢者,リウマトイド因子(rheumatoid factor:RF)陰性,骨レントゲン上骨びらんを認めない,といった臨床的特徴を呈する疾患である.高齢発症のRF陰性の関節炎を呈する患者の鑑別疾患の1つとして常に挙げられる疾患であるが,明確な分類基準が存在しないために除外診断が中心となる.また,明確なリウマチ性疾患にRS3PE症状が併存した場合には,リウマチ性疾患にRS3PE症状が合併したとする立場もある.本稿では,RS3PE症候群について現況での知見を紹介する.
著者
小泉 和三郎 西元寺 克禮
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.94, no.1, pp.85-91, 2005-01-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
32

切除不能進行胃癌に対する化学療法はBest Supportive Therapyに比し,予後の改善があることが認められている.しかしながら標準的治療法が確立していない事から多数のレジメンが少数例で検討されているのが現状である.また分子標的薬剤の開発が進み,胃癌の臨床にも登場する日もそう遠いことではないであろう.日本においては現在行われている臨床試験の中でJCOG9912 5FU vs S1 vs CPT+CDDPの比較試験およびSl vs Sl+CDDPの比較試験が今後標準的治療の確立のために最も重要な試験と考えられる.ここでは海外での報告と本邦での報告を中心に今後行われるべき方向性を検討したい.
著者
酒井 謙 長谷川 昭
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.85, no.10, pp.1723-1727, 1996-10-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
6

拒絶反応は早期治療により回復可能な急性拒絶反応と,治療法が確立していない慢性拒絶反応とに大きく分けられるが,近年提唱された移植腎病理診断基準(Banff原案)は従来の病期別分類を超え病理診断を中心に拒絶反応を捉える試みで注目されている.さらに原案では重症度ごとに治療指針が設けられており腎生着率改善に寄与することが期待されている.この新しい病理分類に加え,ステロイドパルス療法を中心に治療の概要を述べる.
著者
福岡 佳宏 門脇 誠三 杉本 利嗣 馬場 久光 深瀬 正晃 藤田 拓男
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.580-585, 1987

遺伝性高チロジン血症・慢性型の38才女性の1症例を報告する.いとこ婚両親の第2子で, 2才頃くる病で発症し全身性色素沈着を伴い,思春期に急性間歇性ポルフィリン症様発作を経て骨痛を主訴とした.著明な骨軟化症,多発性尿細管障害(de-Toni-Debre-Fanconi症候群),肝硬変,高チロジン血症,尿中δ-アミノレヴリン酸高値を呈した.尿有機酸分析ではρ-hydroxyphenyllactic acid, p-hydroxyphenylacetic acid, p-hydroxyphenylpyruvic acid, N-acetyltyrosineが異常高値を示し, succinylacetone, succinylacetoacetic acidが検出されfumarylacetoacetase deficiencyが示唆された.ほぼ無治療のまま38才に至る異例な長期経過を辿った.
著者
大坪 寛子 宇都宮 保典 池田 雅人 海渡 健 川村 哲也 細谷 龍男
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.87, no.8, pp.1560-1562, 1998-08-10
参考文献数
4

症例は高カルシウム血症と腎障害を主訴に入院し, IgD-k型多発性骨髄腫と診断された35歳男性.初回腎生検ではTamm-Horsfall蛋白陽性円柱を含む多数の蛋白円柱と広範かつ高度の尿細管間質障害を認めたが,治療後骨髄形質細胞数が減少し,腎障害が改善した時点で再度行った生検では前記腎病変の改善が認められた.本例では骨髄腫の治療後に腎組織病変の改善が確認され,骨髄腫腎の形成機序を推察する上で興味深い症例と思われた.