著者
高尾 芳樹
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.8, pp.1839-1846, 2014-08-10 (Released:2015-08-10)
参考文献数
11
被引用文献数
1

認知症の治療において,薬物療法は主役の一つであり,その選択肢を増しているが,根治治療薬を持たない現状では,認知症リハビリテーション等の非薬物療法への期待も大きい.しかし,既存の認知症リハビリテーションの介入技法に対してのエビデンスは低く評価されている.そのような背景の中,新たな介入技法が開発され有効性が示されてきており,また,介入技法に因らない新たな視点による有効性の評価も試みられている.
著者
中島 聡志 青島 朋裕 倉信 達臣 本橋 伊織 片山 順平 上田 剛士 神谷 亨
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.5, pp.887-893, 2016-05-10 (Released:2017-05-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1

25年来の統合失調症の既往があり,入退院を繰り返している54歳男性が,常用薬の自己中断により異常行動を引き起こし,その後に昏迷・発熱を来たした.悪性症候群と悪性カタトニアの鑑別に苦慮したが,悪性カタトニアの治療的診断として少量ベンゾジアゼピンの投与を行い,症状の改善を認め,悪性カタトニアと診断した.
著者
横川 直人
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.10, pp.2960-2965, 2011-10-10
参考文献数
31
被引用文献数
2

ヒドロキシクロロキンは,半世紀以上前に初めて承認されて以降,日本を除く全世界70カ国以上で皮膚エリテマトーデス,全身性エリテマトーデス,関節リウマチの治療薬として承認され,世界的な標準的治療薬として,教科書や欧米のガイドラインには必ず記載されている.日本では過去に抗マラリア薬は存在したが,適切な使用方法が周知されなかったことによるクロロキン網膜症の懸念より昭和49年より一剤もなくなり,ヒドロキシクロロキンは開発されることはなかった.日本にSLEの標準的治療薬がないことに危惧した著者らは,2009年に日本ヒドロキシクロロキン研究会を結成し,未承認薬の開発要望書を提出した.その結果,2010年11月の未承認薬・適応外薬検討会議において,本剤の医療上の必要性が正式に認められ,製薬企業に対して開発要請が出された.2012年より,産官学の協力により全身性エリテマトーデスおよび皮膚エリテマトーデスの患者を対象に製薬企業による本薬の開発治験が行われる.稀だが重篤な副作用である網膜症を生じさせないためにも,本治験後の国内承認を待ち,本剤の個人輸入は控えることが肝要である.<br>

1 0 0 0 OA 1.特発性浮腫

著者
山内 淳
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.85, no.10, pp.1699-1704, 1996-10-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
4

特発性浮腫は若年~中年女性に好発する原因不明の浮腫である.浮腫は下肢に強く,間欠性に出現するが月経周期とは無関係である.立位により増悪し,朝夕の体重差が著明である.従来この範疇に含まれていた患者の多くは,食事量の大幅な変動,利尿薬の長期服用,下剤の濫用,習慣性嘔吐に起因する,二次的な水・ナトリウムの体内蓄積による浮腫であった可能性が指摘されている.食生活の改善,利尿薬の漸減,低塩食により浮腫の改善が期待される.
著者
清野 弘明 平泉美 希子
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.93, no.8, pp.1519-1524, 2004-08-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
6
被引用文献数
1

糖尿病に伴う意識障害の鑑別の1つとして,乳酸アシドーシスも念頭に置く必要がある.意識障害を来たした糖尿病患者で乳酸アシドーシスを疑う所見としては,血液ガス分析にてpH7.35以下のアシドーシスを認めること,尿ケトン体が陰性, Anion gap=(Na-CL-HCO3)が25mEq/1以上ある場合,乳酸値,ピルビン酸値を測定する必要がある.特に,メトホルミン使用患者での全身倦怠感や意識障害では,乳酸アシド-シスも考慮することが大切である.
著者
宮地 勇人
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.12, pp.2966-2973, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
8
被引用文献数
1

末梢血検査は,各血球の定量,大きさや細胞形態に関連したパラメータ測定および評価を行う.自動血球分析装置では,血球数に加え,白血球分類,網赤血球数が自動化され,高い測定精度と信頼性がもたらされた.一部の機種は,新規項目として,網血小板,網赤血球ヘモグロビン量,破砕赤血球定量,末梢血幹細胞などが測定できる.また,免疫学的測定が導入され,免疫学的血小板数測定やリンパ球サブセットなどに利用されている.
著者
林 清二
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.163-168, 1998-01-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
22
被引用文献数
1

間質性肺炎は間質の炎症とそれに続く修復過程としての線維化によって正常肺構築の破壊にいたる.このいずれの過程も複数のサイトカインに支配されている.肺細胞や気管支肺胞洗浄液の生化学的,分子生物学的解析が行なわれ,サイトカインと病態の関連が明かにされてきた.しかし,ガス交換という肺の特異的機能は正常肺構築の維持に依存しており,間質性肺炎の病態の理解にはin vivoの解析は欠くことができない.このような問題の解決にはトランスジュニック動物や生体内遺伝子導入法が有用であり,肺間質の炎症や線維化とサイトカインとの生体内での関係が明かにされつつある.このような知見をもとに有効な治療法がない肺線維化に対する新しい治療法の開発の試みが行なわれている.
著者
松尾 収二
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.11, pp.3175-3181, 2011 (Released:2013-04-11)
参考文献数
7

POCT(point of care testing)は,被検者の傍らで検査し,その結果を速やかに診療に活かす検査の仕組みであり,病院,診療所,在宅等いろんな場所で行われている.POCTをより有益なものとするには,測定の担い手である医師,看護師の理解,機器・試薬のメインテナンスやデータ管理のための検査室との連携,そしてPOCTに適した機器,試薬の製造に向けた企業の努力が必要であり,POCコーディネータを中心とした管理運営体制の構築が今後の課題である.

1 0 0 0 OA 1. 概念

著者
高瀬 修二郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.1, pp.15-21, 2006-01-10 (Released:2008-12-12)
参考文献数
5

アルコール性肝障害は長期にわたる過剰の飲酒によって惹起される肝障害で, その発現はアルコールないしその代謝産物の直接的障害作用によっており, 性差や遺伝的素因, 栄養因子などが副次的な役割を果たすと考えられている. 日本におけるアルコール消費量はすでにプラトーに達していると推定されるが, 1日平均エタノール120gを摂取する大酒家は240万人にものぼると試算されており, 種々の臓器障害に加えてアルコール依存症対策も求められている.
著者
砂金 信義 桑原 聖
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.6, pp.1163-1167, 2007 (Released:2012-08-02)
参考文献数
5

医薬品の副作用に関する情報源には医薬品添付文書があり,当該医薬品にとって特に注意を要する「重大な副作用」と「その他の副作用」に区分されて記載されている.薬剤性肺疾患を誘発する医薬品は多岐にわたるが,誘発疾患としては肺炎,間質性肺炎が多い.間質性肺炎誘発の恐れがある薬物には,抗悪性腫瘍薬,βラクタム系抗生物質,ニューキノロン系抗菌薬,抗リウマチ薬,抗てんかん薬,抗結核薬などがある.また,OTC薬あるいは健康食品でも発症が報告されており,医薬品,健康食品を用いるにあたっては間質性肺炎発症に留意する必要がある.
著者
渡辺 雅人 中田 光
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.6, pp.1042-1047, 2006-06-10 (Released:2009-03-27)
参考文献数
4
被引用文献数
2

特発性肺胞蛋白症 (I-PAP) は, 抗GM-CSF自己抗体による自己免疫疾患である. 自己抗体が肺胞内のGM-CSF活性をブロックし, 最終的に肺胞内のサーファクタントが蓄積する. 最近, 自己抗体の解析がすすみ, より詳細な機能が明らかになった. 治療ではGM-CSF吸入療法の有効性が示された. 自己抗体の解析とGM-CSF療法前後の評価は, I-PAPの病態を理解する上できわめて重要である.

1 0 0 0 OA 3.緑膿菌

著者
藤田 次郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.11, pp.2678-2686, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
10

緑膿菌は環境に存在する菌であるため,緑膿菌による院内感染は避けることのできないものである.事実,緑膿菌による院内感染の事例も多数,報告されている.一方,近年,多剤耐性緑膿菌による院内感染に関するマスコミ報道,および裁判事例が多発している.緑膿菌による院内感染対策は,その感染源を特定することに尽きるといっても過言ではない.このため本論文では,過去の緑膿菌院内感染事例の感染源に関して可能な限り詳細に記載した.
著者
露口 泉夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.89, no.5, pp.848-854, 2000-05-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
3

結核は慢性感染症である.しかしその病態は,マクロファージとヘルパーT細胞1 (TH1)が主体の遅延型アレルギーである.すなわち,結核菌体の刺激によりTH1指向性のサイトカインが感染局所に過剰産生され,菌体蛋白抗原特異的なTH1細胞が誘導される.その結果,マクロファージが活性化されて類上皮細胞, Langhans巨細胞を経て,結核結節や結核性空洞形成へと進む.
著者
金井 隆典
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.3, pp.401-407, 2019-03-10 (Released:2020-03-10)
参考文献数
24
著者
河野 茂
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.9, pp.2182-2194, 2013-09-10 (Released:2014-09-10)
参考文献数
17