著者
斉藤 公明 玉田 和彦 西村 芳高 山辺 裕 郡 義隆 稲留 哲也 藤原 卓夫 片山 和明 森川 肇
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.331-339, 1982

12才で初潮があつたが,以後無月経となり,多毛,低声,筋骨のたくましさ,陰核肥大などの男性化徴候が進行した16才の女子についてテストステロン産生腫瘍を疑い,これが卵巣の男化腫瘍の1例であつたので報告する.本症の報告は本邦ではこれまでに20例に満たず,その内分泌学的病像については不明な点が多いが,本例では術前に各種負荷試験を行ない.テストステロン生合成系,副腎皮質ホルモン分泌,下垂体ホルモン分泌予備能について検討し若干の知見をえた.術前の基礎値では,血中テストステロンの異常高値(7.00ng/ml)と日内リズムの消失, 17-KSの軽度上昇と分画中のアンドロステロン,エチオコラノロン, DHEAの高値,およびプレグナントリオールの高値などテストステロン生合成系の亢進を認めた.デキサメサゾン, HMG負荷ではテストステロン上昇に自律性がみられたが,その生合成系亢進はデキサメサゾンによる抑制がみられ完全な自律性を欠くことが示唆された. ACTH,メトピロン負荷では副腎皮質ホルモン分泌は良好で,テストステロン上昇による影響はみられなかつた.下垂体ホルモン分泌予備能はほぼ正常に保たれていたが, LH, FSHはStein-Leventhal症候群に特徴的な反応を示し注目された.術後,ホルモン基礎値は急速に正常化し, retrospectiveにも本腫瘍がテストステロンを産生していたことが臨床的に証明された.
著者
吉良 潤一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.7, pp.1255-1259, 2006-07-10 (Released:2009-03-27)
参考文献数
7

寄生虫感染症はわが国では著明に減少したため, 過去のものとみられがちである. しかし, 現在でも寄生虫感染症は散発しており, 近年では一部の食品媒介性寄生虫感染症はむしろ増加傾向を示している. 中枢神経系を侵す寄生虫性疾患のうち, 本稿では, そのトピックスとして, ブタ回虫性脊髄炎, イヌ回虫性脊髄炎について自験例を中心に紹介した. これらは, ブタ回虫, イヌ回虫の幼虫が諸臓器に迷入して障害を起こす (visceral larva migrans). 寄生虫性脊髄炎では, 全身症状を欠く場合や末梢血で好酸球増多を欠く場合があり, 非圧迫性ミエロパチーの鑑別診断上重要である. 血清, 髄液の抗寄生虫抗体の測定により容易に診断でき, Albendazoleなどの抗寄生虫薬投与により治癒することから, 現代日本でも忘れてはならない寄生虫性神経感染症といえる.
著者
藤島 清太郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.1, pp.192-196, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
5
著者
小谷 透
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.6, pp.1568-1574, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
10

ALI/ARDSに対する人工呼吸では,低酸素血症への対応と同時に,人工呼吸器関連肺傷害(VALI)を発症させないよう留意する.VALIは過剰な換気設定により生じ,その防止においては,1回換気量,プラトー圧,PEEP管理が重要ではあるが,不均一性の高いARDS肺では,実際に肺内ガス分布を確認しなければ安全は保証されない.陽圧換気の基本と欠点を十分理解し,一元的管理のもとに施行すべきである.
著者
北村 和雄
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.36-40, 1995-01-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
6

ヒト褐色細胞腫より新しい降圧ペプチド“アドレノメデュリン”を発見した.さらに,アドレノメデュリンのcDNAクローニングを行い,前駆体の構造を明らかにした.アドレノメデュリンは副腎髄質以外に,肺,腎,心,血管などで生合成されている.アドレノメデュリンは強力な血管拡張性の新しい降圧ペプチドであり,高血圧症などで血中アドレノメデュリンが増加していた.これらの特徴を考慮すると,アドレノメデュリンは新しい循環調節因子だと考えられる.
著者
井形 昭弘
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.91, no.1, pp.154-158, 2002-01-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
4
著者
橋本 浩三
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.86, no.12, pp.2320-2325, 1997-12-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
18

自己免疫性視床下部・下垂体疾患としては,現状ではリンパ球性下垂体(前葉)炎やリンパ球性漏斗神経葉炎があげられる.リンパ球性下垂体炎は女性に多く,約6割が妊娠中や分娩後に発症する.橋本病,自己免疫性副腎炎, IDDMなどの他の自己免疫姓疾患を合併することが多く,抗甲状線抗体,抗下垂体抗体陽性例も多い.組織学的には下垂体前葉にCD4陽性のTリンパ球や形質細胞の浸潤,線維化,下垂体の破壊像が見られる.リンパ球性漏斗神経葉炎では,自己免疫性炎症が漏斗後葉系に生じ,尿崩症の原因になっている. ACTH単独欠損症の原因は単一ではないが,自己免疫疾患の合併が多く,抗下垂体抗体の陽性例も多いことより,自己免疫性の下垂体炎がかなりの例で原因になっていると推定されている.抗下垂体抗体の測定は,これらの疾患の診断の参考になるが,現状ではその方法や意義にまだ問題が残されている.
著者
森田 公一
出版者
日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.93, no.11, pp.2328-2333, 2004-11-10
参考文献数
5

熱帯性の蚊媒介性ウイルスであるウエストナイルウイルス(西ナイルウイルス)が1999年,米国に侵入し現在,北米・中米へと拡大を続けて多くの患者が発生している.本年度はカリフォルニア州でもすでに多くの患者発生が見られ,日本へ侵入する可能性があり警戒が必要である.わが国へ侵入した場合には日本脳炎との鑑別が重要である.
著者
村松 博士 住吉 葉子 栗林 景晶 沼田 隆明 山内 尚文 井原 康二 西里 卓次 高柳 典弘 長岡 康弘 佐藤 勉 松永 卓也
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.90, no.12, pp.2470-2472, 2001-12-10
参考文献数
3
被引用文献数
1

症例は, 52歳,女性.主訴は意識障害,発熱.入院時,著明な高血糖あり,腎盂腎炎を疑い感染症治療を開始したが, DICを併発し重症化した.感染源の検索を行ったところ,腹部CTで左腎臓が腫大し腎実質内に低吸収域を認め,気腫性腎盂腎炎と診断した.第2, 3病日の血液培養でE. coliが検出され,敗血症を合併していた.糖尿病を基礎にきわめて重篤化したが,保存的治療にて治癒した気腫性腎盂腎炎の1症例を報告した.

1 0 0 0 OA 3)A,E型肝炎

著者
岡本 宏明
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.3, pp.433-438, 2017-03-10 (Released:2018-03-10)
参考文献数
10
著者
堀尾 勝
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.5, pp.1259-1265, 2012 (Released:2013-05-10)
参考文献数
5
被引用文献数
1 2

腎機能は糸球体濾過量(GFR)で評価され,最も正確な評価法はイヌリンクリアランスである.クレアチニンクリアランスはGFRより30%程度高い.一般臨床では血清Crが用いられるが,年齢,性別の情報を含んだGFR推算式の使用が有用である.GFRの単位は症例個人の値(ml/min)と,体表面積補正値(ml/min/1.73m2)の2種類がある.前者は薬剤の投与量設定に用い,後者は慢性腎臓病の腎機能評価に用いる.
著者
森田 公一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.93, no.11, pp.2328-2333, 2004-11-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5

熱帯性の蚊媒介性ウイルスであるウエストナイルウイルス(西ナイルウイルス)が1999年,米国に侵入し現在,北米・中米へと拡大を続けて多くの患者が発生している.本年度はカリフォルニア州でもすでに多くの患者発生が見られ,日本へ侵入する可能性があり警戒が必要である.わが国へ侵入した場合には日本脳炎との鑑別が重要である.