著者
小野 雅史 小池 俊雄 柴崎 亮介
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.514-525, 2016-11-01 (Released:2016-11-01)
参考文献数
14
被引用文献数
1

研究データの共有に向けた研究コミュニティーの合意形成ならびにポリシー設計を,国家の枠組みを超えて包括的に実施しようとする活動が国際的に進行しているが,実際にはオープンデータ先進国の欧米豪においても,立場の違いからさまざまな言説が存在する。特に政策と実践とのギャップについては慎重に議論されており,研究現場の実態を把握するためにさまざまな調査が行われている。国内でも,急速に変化する国際動向に対応すべく,オープンサイエンスに関する議論が始まるようになったが,現在のところ,国内の研究現場の実態調査はまだほとんど行われていない。こうした背景から,本稿では地球環境情報分野の研究者の協力の下,研究データ共有に関する意識調査を実施した。本調査から,自身のデータの提供を前向きに考えている研究者であっても,さまざまな事情から完全な実現には至っていない実情等が明らかとなった。
著者
紀平 宏子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.9, pp.657-665, 2015-12-01 (Released:2015-12-01)
参考文献数
10

国際基督教大学図書館では,提供する資料やサービスの利活用を促進するべく,1970年代から積極的に利用者教育を行ってきた。近年では,ターゲット層ごとに内容と難易度に差をつけた複数のプログラムを用意することで,多角的なサポートを行っている。本稿ではそれらを,レクチャーや講習会など「Face to Faceで行う利用者教育」と,リソースガイドやパスファインダーといった「Webを活用した利用者教育」の2つに大別し,その概要を紹介する。
著者
ウェイジャー エリザベス
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.443-450, 2014-10-01 (Released:2014-10-01)
参考文献数
24
被引用文献数
1

研究や出版分野における不正行為は今に始まったことではないが,情報技術の発達は出版倫理に大きな影響を与えた。コンピューター•ソフトは,不正行為(剽窃や画像処理等)を容易にさせたが,一方でその不正行為を検出するツールとしても役立つ。また,電子出版により,訂正や撤回文を対象論文に直接リンクすることにより,読者へ問題に関する警告を出すことも可能とした。しかし,強力なツールが利用できても,疑いのある不正行為を扱うには,慎重な判断が必要である。したがって,ジャーナルや機関は,さまざまな状況に備え,適切なポリシーと対処手順を策定しておくべきである。The Committee on Publication Ethics(COPE:9,000以上のジャーナルがメンバーとして参加する国際機関)は,不正行為に関する多様な問題について助言する情報源の1つであり,本稿ではその活動について述べる。不正が疑われる,あるいは明らかにされた場合には,ジャーナルと機関が協力して対処することが重要である。最近,日本の機関が協力して効果的な調査が行われた事例を紹介する。
著者
林 賢紀
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.582-591, 2013-12-01 (Released:2013-12-01)
参考文献数
7

農林水産研究情報総合センターでは各種のAPIを活用した図書館サービスを2003年から展開してきた。本稿では,API導入の目的と運用,またその効果について紹介する。API導入後,農林水産関係試験研究機関総合目録の2012年の検索回数を分析したところ,APIを経由した検索回数は通常のOPACでの検索回数と比較して2倍以上であったなど,利用の増加があった。また,2013年3月に行ったシステム更新においては,国立国会図書館ダブリンコアメタデータ記述(DC-NDL)での出力に対応するなど,Linked Open Data(LOD)への対応に向けた改善を図った。
著者
高橋 雄一郎
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.509-517, 2003 (Released:2003-11-01)

半導体集積回路の回路配置に関する法律を解説した。同法の立法経緯と同法の内容を概説したあと,回路配置利用権侵害が成立するための「実質的同一性」および「アクセス」の2つの要件を検討した。続いて,回路配置利用権侵害訴訟を提起する際に生じる問題点として,差止請求訴訟については,設計変更が頻繁に行われる半導体製品の強制執行は事実上不可能であるという理由により実効性が欠如していることを,損害賠償請求訴訟についても,訴状における請求原因の記載が膨大になることから訴え提起が事実上困難であることをそれぞれ指摘した。最後に,システムLSIの設計資産の保護について展望した。
著者
柴田 崇徳
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.217-228, 2017-07-01 (Released:2017-07-01)
参考文献数
24
被引用文献数
2

アニマル・セラピーを参考に開発されたアザラシ型ロボット「パロ」は,米国では「神経学的セラピー用医療機器」の承認を得た初めての医療ロボットで,認知症,発達障害,精神障害,PTSD,脳機能障害,がん患者等を対象として,30か国・地域以上で約5,000体が利用されている。世界各地での治験等により,パロとの触れ合いが,人の気分を向上させ,不安,うつ,痛み,孤独感を改善することが示された。認知症者の場合には,徘徊,暴力・暴言等の問題行動を抑制・緩和する。また昼間に傾眠する人がパロと触れ合うと覚醒し,夜間によく眠れ,昼夜逆転を改善,夜間の起き出しを減らす。これらは介護者の負担を軽減し,転倒等のリスクを低減する。さらに副作用がない「非薬物療法」として,各種抗精神病薬の投薬を低減する,全く新しい医療福祉サービスである。
著者
大谷 卓史
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.420-422, 2014-09-01 (Released:2014-09-01)
参考文献数
14
被引用文献数
1