著者
樋口 知志 HIGUCHI Tomoji
出版者
岩手大学人文社会科学部
雑誌
アルテスリベラレス (ISSN:03854183)
巻号頁・発行日
no.83, pp.91-115, 2008-12

1 はじめに2 生い立ち3 前九年合戦4 後三年合戦(以上前号)5 あやうい政治的立場(以下本号)6 三人の陸奥守-源有宗・藤原実宗・藤原基頼-7 平泉開府8 仏教文化9 晩年期10 おわりに

2 0 0 0 OA 商事判例研究

著者
深澤 泰弘
出版者
岩手大学人文社会科学部
雑誌
アルテス リベラレス (ISSN:03854183)
巻号頁・発行日
vol.96, pp.81-97, 2015-06-19

アムスク株主総会決議取消請求事件の検討
著者
北村 一親
出版者
岩手大学
雑誌
Artes liberales (ISSN:03854183)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.1-16, 1999-12
著者
盛田 紗緒莉 小島 聡子 MORITA Saori KOJIMA Satoko
出版者
岩手大学人文社会科学部
雑誌
Artes liberales : Bulletin of the Faculty of Humanities and Social Sciences, Iwate University = アルテスリベラレス : 岩手大学人文社会科学部紀要 (ISSN:03854183)
巻号頁・発行日
no.97, pp.29-42, 2016-01

一般に,大学は高校よりは広い地域から学生が集まっている。そのため,大学入学後異なる言語圏の出身者と話す機会が増え,言葉の地域差のヴァリエーションに興味を持つ学生は少なくない。岩手大学の学生は,東北地方出身者が8割以上を占め,中でも半数近くは岩手県の出身1)なので,首都圏の大学に比べれば,言語のヴァリエーションは少ないかもしれない。しかし,東北地方の面積は広大で内部の言葉の地域差は小さくなく,岩手大学の学生たちも,大学進学後に言葉の違いに気がつくことがあるのは他の大学の学生と同じである。 とはいえ,岩手大学の学生たちが大学で必ずしも「地元の言葉」で話しているというわけではない。近年は「方言ブーム」などもあって,方言に対する劣等感は減っているという指摘もあるが,東北地方では未だに方言に対するコンプレックスは根強く,学生たちも例外ではない。そのため,「地元の言葉」は出さないようにしている学生も少なくない。また,特に盛岡市など都市部出身の学生たちは,自身の言葉を「標準語である」と意識しているか,あるいは少なくとも「あまりなまっていない」と思っていることが多い。つまり,お互いに「標準語」で話していると思っている学生が多いのである。それにもかかわらず,通じない言葉があり,それが地域差によるものであると発見すると,一段と興味をそそられることも多いようである。 本研究では,そのような「標準語」的な表現の中で一部の学生たちが用いている「あるくない?」「するくない?」などと使う「クナイ」という形に注目し,東北地方における地域的な広がりと使用状況を明らかにしようとするものである。 「あるくない?」は動詞「ある」に「クナイ」という形式が付いた形で,「あるよね?」あるいは「あるんじゃない?」と同じような意味を持つ表現として用いられる。岩手大学では,主として秋田出身の学生が多く発話していることが観察される。しかし,岩手大学でも使用しない学生の方が多く,初めて聞いて驚く人も少なくない。一方,「あるクナイ」を使用する人は,相手に驚かれて初めて通じない場合があると気が付くようである。この形は,秋田県のいわゆる伝統的な方言の範疇に入るような表現ではなく,使っている人にも方言であるという意識はない。 そこで,本稿では,「あるくない」のような〈動詞+クナイ〉という形式が,どのような地域的な広がりを持ち,また,どのように用いられているのかについて,岩手大学の学生を対象に東北地方における実態を調査した。 その結果,秋田県では地域的にも広く用いられ,また,待遇的にも敬体で用いられることもあるなど,用法も広いことが明らかになった。さらに,周辺への広がりという点では,秋田県の南側に接する山形県では同様に用いられている可能性があるが,岩手県・青森県・宮城県・福島県ではほぼ用いられることがないことがわかった。
著者
佐藤 芳彦
出版者
岩手大学
雑誌
Artes liberales (ISSN:03854183)
巻号頁・発行日
vol.80, pp.1-19, 2007-06

I はじめにII 近代イギリス予算制度の成立:会計年度と議会の財政統制「循環」の成立 [A] 予算制度の完成形態(III)からみて成立過程(II-[B])での必要な諸要件 [I] 予算審議面で完成形態に必要な諸要件 [II] 国庫制度面で完成形態に必要な諸要件(以上,本号) [B] 近代イギリス予算制度の成立過程(以下,次号) [序] 技術的事項 [I] 「名誉革命」前後期: 1640年代から1714年アン女王の死まで [II] 重商主義期: 1714年ハノーヴァ朝成立から1815年ナポレオン戦争終結まで [III] 古典的自由主義期: ナポレオン戦争終結から1873年「大不況」開始までIII 1871-72年度予算の審議過程: 議会の財政統制の「循環」過程 [A] 予算の審議対象と編成 [B] 1871-72年度予算の審議過程IV おわりに
著者
宮本 ともみ MIYAMOTO TOMOMI
出版者
岩手大学人文社会科学部
雑誌
アルテス リベラレス (ISSN:03854183)
巻号頁・発行日
no.92, pp.67-86, 2013-06

2011年3月11日,巨大津波をともなう東日本大震災が発生した。そして,東日本大震災は福島第一原発事故をも引き起こした。警察庁の発表によると,死者は15,883人,行方不明者は2,676人である(2013年5月10日現在)。また,復興庁の発表によると,避難者は309,057人で,その所在は全国47都道府県1,200の市区町村に及ぶ(2013年4月4日現在)。避難者のうち,いまだ避難所生活をしているのが125人,親族・知人宅等で生活しているのが15,205人である。残る293,727人は住宅等に入居済みとされているが,公営住宅や民間住宅のほかに仮設住宅および病院への入居も含まれている。震災から2年以上経過した現在でも,被災者の生活再建には様々な困難が立ちはだかっている。日本は,もともと災害王国といわれている。今後も起こりうる災害に対処するために,今回の大災害がもたらした問題の一つ一つについて検証が求められる。本稿では,今回の大震災がもたらした問題の一つとして「災害関連死」を取り上げる。東日本大震災の発生以降,災害関連死については,新聞等のマスメディアでも度々取り上げられて注目を浴びてきた。また,2012年4月11日,岩手弁護士会が岩手県および市町村に対して「災害関連死に関する声明」と題する要望を提出している。同年5月11日には,日本弁護士連合会も「災害関連死に関する意見書」を取りまとめて,復興大臣,内閣府特命担当大臣(防災)および厚生労働大臣等に提出している。一体,災害関連死をめぐる問題点はどこにあるのだろうか。筆者は,複数の被災自治体の委託を受けて災害関連死に関する審査をするために岩手県が設置した災害弔慰金等支給審査会の一委員を務めている。災害関連死をめぐっても,災害から引き起こされる問題の一つとして,今回の経験から今後の教訓として生かせることは何であるのかについて考えることは有益であろう。そこで本稿は,災害関連死がいかなる問題であるのかを把握したうえで,東日本大震災において現実に直面した経験をもとに,今後の課題を探ることを目的とする。さて,災害関連死問題を把握するために,次の2点を認識しておかなければならない。第1点は,災害弔慰金および災害障害見舞金の支給について定める「災害弔慰金の支給等に関する法律」(昭和48年9月18日法律第82号)の存在である。第2点は,同法にもとづく弔慰金および障害見舞金の受給対象者には,災害の直接的な被害による死亡者や障害者だけでなく,災害にともなう過労や環境悪化等が引き起こした内科的原因にもとづく死亡者や障害者も含まれることである。本稿では,次の2で,災害弔慰金の支給等に関する法律を紹介する。続く3で,各方面において用いられる「災害関連死」を取り上げる。そして4で,岩手県災害弔慰金等支給審査会の取組について述べる。最後の5では,今後の課題について触れる。
著者
塚本 善弘 TSUKAMOTO Yoshihiro
出版者
岩手大学人文社会科学部
雑誌
Artes liberales : Bulletin of the Faculty of Humanities and Social Sciences, Iwate University = アルテスリベラレス : 岩手大学人文社会科学部紀要 (ISSN:03854183)
巻号頁・発行日
no.97, pp.95-119, 2016-01

日本政府は2015年7月,懸案となっていた30年度・温室効果ガス排出量を13年度比26%減とする目標を決定したが,二酸化炭素(CO2)排出量でオフィスや家庭で4割近い削減を見込んでいること(家庭部門39.3%減)が柱の一つとなっている(外務省,2015)。CO2排出量は近年,産業・運輸部門では減少に転じた一方,オフィス・商業施設等の業務その他部門と家庭部門は増加傾向が続いており──冷暖房を始めとする家庭部門エネルギー消費量(全国的には3割が冷暖房)も,13年度時点で1990年比20.0%増──(環境省編,2015:104),新築住宅の省エネ基準適合化や住宅ストック(既存住宅)の断熱改修,高効率給湯器・照明の導入促進,スマートメーター利用による家庭エネルギー管理徹底など,政府が掲げる対策・施策(外務省,2015など)で家庭部門CO2排出量を4割減らすことは容易ではないように見える。 確かに,家庭部門CO2排出量等増加の背景には,核家族化に伴う世帯数増や家電製品の多様化・大型化,同一世帯内での複数台利用一般化などがあるとされる1)。しかし,「次世代省エネルギー基準」(国の1999年基準)適合の高断熱・高気密エコ(省エネ)戸建住宅居住の場合,年間冷暖房エネルギー消費量が無断熱住宅より54%削減されるとのデータ(環境省編,2015:104),また住宅の断熱化・省エネ改修(エコリフォーム)やLED照明,省エネ家電への買い替え等が進めば,エネルギー消費量が1/4になるとの科学技術振興機構・低炭素社会戦略センター試算(朝日新聞,2015aなど)にも示されているように,エネルギー消費・CO2排出を大幅に減らす技術自体は既に存在している。それら技術の普及,住まいのエコ・省エネ化促進のための社会的仕組み・制度の整備・構築が不十分だったのであり,2011年3月に起きた東日本大震災後に高まった省エネ・節電意識や家庭用エコ(再生可能エネルギー利用・省エネルギー)設備・機器の設置・購入への関心が,あまり(震災発災から5年近く経過した現在以上に)薄れないうちに──省エネ・節電意識低下が懸念され始めている反面,13年度の家庭部門CO2排出量は,節電や省エネ機器普及等の効果で12年度比1%程の減少と,増加傾向に歯止めがかかっており(環境省編,2014:154,同,2015:120など),未だ市民の省エネ・節電行動は継続されている段階と言い得る2)──仕組みを整え,普及への軌道に乗せることが,温室効果ガス削減目標の達成や将来の家庭部門での更なるエネルギー消費低減への鍵を握っていよう。 そのため国レベルでも,とりわけ躯体(外皮;外壁・窓など)の断熱性能に優れエネルギー消費削減効果が大きい高断熱・高気密エコ住宅の新築・改修やエコ設備・機器導入を促すべく,新築住宅に関する「改正省エネルギー基準」(2013年基準)の2020年義務化(実質的に99年基準の新築住宅適合義務付け)や,15年のエコ住宅新築・リフォームを対象とした「省エネ住宅ポイント」制度復活(09・11年に続き実質3度目),省エネ性能や耐震性等の基準を満たす高性能住宅取得の場合の住宅ローン「フラット35S」金利優遇を始め,法制度面の拡充・基準強化や財政支援策を講じてきた。もっとも,前稿(塚本,2015)で指摘したように,新築住宅省エネ基準適合率は上昇してきたものの(11年度で5〜6割程),適合住宅普及が遅れている地域が存在していたり,既存住宅のエコ化は総じて芳しくなく,依然,①住まい手の一般市民・消費者への普及啓発(情報提供・意識啓発),②地場・中小建築業者・設計者(地域事業者)育成,技術力(施工・設計能力)向上,③割高な建築・導入(初期)費用(イニシャル・コスト)負担軽減の3点が,「エコ住宅」3)普及への大きな課題・障害となったまま,残されている。 また,高性能エコ住宅はこれまで,北海道など寒冷地中心に普及してきたが,他地域では夏が高温多湿で冬は低温少湿の場所が少なくない等,気候風土・自然条件や住宅建築様式・技術の伝統の相違,さらにエコ住宅普及状況,地場住宅事業者のエコ住宅設計・施工の平均的技術レベルも異なり,こうした地域特性の差に応じた普及施策・取り組みが不可欠となる。実際,エコ住宅地域普及への推進組織体制を中心に検討した前稿でも簡単に紹介したように,各地の自治体や環境NPO,住宅関連事業者・団体等では00年代半ば・後半頃以降,単独ないし関係主体間連携の下,課題解決に向けた先進的取り組み・施策を精力的に実施し,一定の成果も上がり始めている。そこで本稿では,主に08〜10年度にかけての本州・寒冷地(県)──東北ならびに北信越地方──での調査に基づき分析した拙稿(塚本,2010,2011)の続編も兼ね,それ以降の時期を中心に,広く寒冷地以外も含め国内各地(高性能エコ住宅が既に普及している北海道を除く)で展開されてきたエコ住宅普及への具体的施策・取り組み内容の特徴と問題点等について,あらためて整理,考察することとしたい4)。以下,各県単位での普及活動の中心を担い,前稿で類型化した「(環境)NPO系団体」と「(住宅)事業者系団体」(塚本,2015:117),ならびに行政機関(県及び市等)による取り組みを,3つの課題別に順に見ていこう。
著者
宮本 ともみ
出版者
岩手大学人文社会科学部
雑誌
アルテス リベラレス (ISSN:03854183)
巻号頁・発行日
vol.92, pp.67-86, 2013-06-28

2011年3月11日,巨大津波をともなう東日本大震災が発生した。そして,東日本大震災は福島第一原発事故をも引き起こした。警察庁の発表によると,死者は15,883人,行方不明者は2,676人である(2013年5月10日現在)。また,復興庁の発表によると,避難者は309,057人で,その所在は全国47都道府県1,200の市区町村に及ぶ(2013年4月4日現在)。避難者のうち,いまだ避難所生活をしているのが125人,親族・知人宅等で生活しているのが15,205人である。残る293,727人は住宅等に入居済みとされているが,公営住宅や民間住宅のほかに仮設住宅および病院への入居も含まれている。震災から2年以上経過した現在でも,被災者の生活再建には様々な困難が立ちはだかっている。日本は,もともと災害王国といわれている。今後も起こりうる災害に対処するために,今回の大災害がもたらした問題の一つ一つについて検証が求められる。本稿では,今回の大震災がもたらした問題の一つとして「災害関連死」を取り上げる。東日本大震災の発生以降,災害関連死については,新聞等のマスメディアでも度々取り上げられて注目を浴びてきた。また,2012年4月11日,岩手弁護士会が岩手県および市町村に対して「災害関連死に関する声明」と題する要望を提出している。同年5月11日には,日本弁護士連合会も「災害関連死に関する意見書」を取りまとめて,復興大臣,内閣府特命担当大臣(防災)および厚生労働大臣等に提出している。一体,災害関連死をめぐる問題点はどこにあるのだろうか。筆者は,複数の被災自治体の委託を受けて災害関連死に関する審査をするために岩手県が設置した災害弔慰金等支給審査会の一委員を務めている。災害関連死をめぐっても,災害から引き起こされる問題の一つとして,今回の経験から今後の教訓として生かせることは何であるのかについて考えることは有益であろう。そこで本稿は,災害関連死がいかなる問題であるのかを把握したうえで,東日本大震災において現実に直面した経験をもとに,今後の課題を探ることを目的とする。さて,災害関連死問題を把握するために,次の2点を認識しておかなければならない。第1点は,災害弔慰金および災害障害見舞金の支給について定める「災害弔慰金の支給等に関する法律」(昭和48年9月18日法律第82号)の存在である。第2点は,同法にもとづく弔慰金および障害見舞金の受給対象者には,災害の直接的な被害による死亡者や障害者だけでなく,災害にともなう過労や環境悪化等が引き起こした内科的原因にもとづく死亡者や障害者も含まれることである。本稿では,次の2で,災害弔慰金の支給等に関する法律を紹介する。続く3で,各方面において用いられる「災害関連死」を取り上げる。そして4で,岩手県災害弔慰金等支給審査会の取組について述べる。最後の5では,今後の課題について触れる。