著者
阿部 邦昭 村田 浩
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.281-284, 1989-11-30 (Released:2017-02-10)
被引用文献数
1

空気中の物体の運動は放物線軌道からかなりずれるので,空気抵抗を無視して考えるわけにはいかない。ここではその例として,バトミントンのシャトルコック(羽根,シャトル)の運動をとりあげ,抵抗の大きさと軌跡について調べた。送風器を使った実験から,シャトルの受ける空気抵抗は速さの2乗に比例し,その無次元抗力係数は0.56となることがわかった。次にはね上げたシャトルの軌道をストロボ撮影し,その軌跡が,先に求めた抵抗値を運動方程式に導入して解いたものと一致することを示した。またこの抵抗値は自由落下するシャトルの終端速度から求めたそれとも一致する。
著者
石原 諭 佐藤 光 三宅 明 松川 敦子
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.188-192, 2008
参考文献数
6

密閉したダンボール箱の一つの面に穴をあけ,箱の側面をたたくと,空気のかたまりが打ち出される。箱の中に煙を入れてたたくと,空気のかたまりは渦輪であることがわかる。本研究では穴の形を変えたときの渦輪の運動を観察し,渦輪の変形の周期と並進速度との間に一定の規則性のあることを見出した。科学のイベントなどでよく取り上げられるこの興味深い現象は,物理の探究活動や課題研究のテーマとしての教材化が可能である。
著者
浮田 裕
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.333-338, 2008
参考文献数
2

「数学・理科甲子園」は,兵庫県教育委員会主催で行われ,県内の高校生3人1チーム構成で数学・理科の問題に取り組んで競技する大会である。大会の目的は,数学,理科の問題を科学的に解決する競技を通じて,互いに協力し合いながら,高校生の科学技術等に対する興味・関心及び意欲・能力を高めることである。今回は,特に大会役員として取り組んだ2006年度本選(Bブロック)の物理実験(自作紙製工作による強度の競技)と2007年度の決勝戦(天井の高さの測定)について報告する。
著者
下條 隆嗣 小田切 淳一
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.31-35, 1985-03-30 (Released:2017-02-10)

振動系のパラメーターを,その周期に比較して十分ゆっくり変化させるとき,近似的ではあるが時間的に不変に保たれる量がある.これは断熱不変量と呼ばれ,物理学においては重要な概念である.本論文では振動系として,滑車を支点として振動しながらゆっくり引き上げられる単振子を取り上げ,マイコンによるシミュレーションの結果について報告する.この例では,振子のエネルギーと振動数の比が断熱不変量となるが,シミュレーションによって,断熱不変量の存在や断熱的変化と非断熱的変化の差異などを明瞭に示すことができる.
著者
霜田 光一
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.18-20, 2013
参考文献数
3

導体を流れる高周波電流の表皮効果は通常,マクスウェルの方程式を用いて説明されている。しかし,マクスウェル以前の電磁気学,すなわち直線電流がつくる磁場と電磁誘導の法則から完全に表皮効果を導くことができる。表皮効果は,電磁波や相対論を含まない物理学で論じることができるのである。
著者
高田 誠二
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.137-141, 2003
参考文献数
20

作用量子定数hは1900年末にプランクによって提唱され,有効3桁の数値を与えられたが,この業績にノーベル賞が与えられるまでには18年の歳月が必要であった。この時間差を学術と社会の両面から分析し,供せて,プランクの諸活動が日本の物理教育に及ぼした影響を総括する。
著者
平井 司寸
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.4-6, 1982-02-25 (Released:2017-02-10)

ホログラフィーの実験は装置がかなり高価であり,またホログラムを製作する過程においても,振動の除去,温度変化による影響の除去,空気の流れによる光路差,屈折による影響の除去など面倒な事柄を伴う.従って物理実験として一般的に取り入れられてないのが現状である,本実験ではホログラムを前もって自作しホログラフィーの再生実験を学生実験の一部にとり入れて行なった.実験はレーザーの実験の一部として行なった.比較的費用も安上りでできたホログラムの製作過程を報告する.
著者
宮沢 まゆみ 舛谷 敬一 吉川 晃
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.278-280, 1989-11-30 (Released:2017-02-10)

パーソナルコンピュータのシミュレーションを利用してホログラムを製作し,これを光の干渉,回折の授業に取り入れることを考えた。ゾーンプレートを点光源からの光と平行光線による干渉縞とみなすと,最も簡単なホログラムとして扱える。従って,ゾーンプレートを教材にすれば,ホログラフィの基礎をわかりやすく学ぶことができる。パソコン・シミュレーションではゾーンプレートの製作は容易である。またシミュレーションでは点光源を複数個にすることが簡単にできるので,文字や数字などのホログラムも製作できる。
著者
細谷 裕
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.219-223, 2013

大阪大学では毎年10月中旬から11月にかけて,土曜の午後に6週間,最先端の物理を高校生に体験してもらうプログラムを実施している。自発的な個人参加で,毎回150人以上の高校生が集まる。高校生は科学に興奮する喜びを堪能する。
著者
佐藤 和艮
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.42-46, 1981-02-28 (Released:2017-02-10)

音叉の振動エネルギーの一部分は音のエネルギーとして空気中に放出される.また,音叉に共鳴箱を近づけると大きな共鳴音が聞こえる.この場合には音叉のエネルギー消費は当然大きくなり,振動の減衰も早くなる.音叉の振動エネルギーが消費される行く先として,(1)音叉から直接空気中に放出される音のエネルギー,(2)音叉の内部吸収などによるロスエネルギー,(3)共鳴箱の効果によって放出されるエネルギー,の3種類が考えられる.そこで,音叉が1周期振動する間に消費されるこの3種類のエネルギーの割合を求める実験を行った.そのために,共鳴箱の有無及び空気の有無による音叉の減衰時間のちがいを測定した.その結果の一例として,音叉の消費エネルギーは先の順番でおおよそ1:5:22の割合となった.また,共鳴箱のある場合に音叉の音の可聴時間が共鳴箱のない場合の時間に比べて長く感じることがありうることを実験データを使って解析した.なお,減衰時間の測定は,音叉の振幅が半減する間の振動の回数を自動的に数える装置を考案して行った。
著者
塚本 浩司
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.537-541, 2001
被引用文献数
2

一般に科学研究は,先行研究を調査し,言及することが当然のこととなっているが,こと「実験教材の開発研究」の場合には,現在のところ全く無視されている。そもそも,教材史を研究することがほとんどおこなわれてきていない。本研究では,「すっとびボール」の教材史をたどることによって,先行研究尊重のルールが研究においていかに有効に機能するかということ,および,教材史研究の重要性を明らかにする。
著者
田中 賢二
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.176-179, 1992

東ドイツの西ドイツへの編入,バルト三国の独立,ソ連邦の消滅などによって,社会主義国は大きく変わってきた。いわゆる東欧コメコン7ヶ国のこれまでの物理教育を,東西ドイツの文献を手がかりに,総括した。社会主義の理念が学習目標や方法に出ていること,そしてなによりも,必修科目として開始学年が早く授業時間が多いことに,更に,能力ある者に対して特別の学級や大学附属の学級が設けられていることに,注目できる。
著者
坂田 正司 韓 長明
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.18-20, 1996
被引用文献数
1

透明なシリンダーを用いることにより,2サイクルエンジンの構造とその作動のようすを容易に観察することができると同時に,作動時のp-Vグラフを自動的に描かせることにより,断熱圧縮,等積燃焼,断熱膨張などの行程を容易に理解させることができる。
著者
齋藤 嘉夫 西尾 謙三 吉本 則之 墻内 千尋
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.187-192, 2003
被引用文献数
1

水滴発電器のメカニズムを理論的に明らかにした。水滴発電器を開発し,その理論を実証した。誘導電極の上にノズルがある場合の発電電圧は9kVを越えた。水滴浮遊の原因は誘導電極の電場による引力であることを実証した。それを避けるためにノズルを誘導電極の下に配置し,発電電圧を16kVまで上昇させることができた。水滴発電器の発電開始の原因が空気中のイオンであることが議論された。
著者
田中 敏弘
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.155-158, 2000

TVなどで見るコヒーラスイッチを,生徒実験など持ち運びを考えてパチンコ玉とフィルムケースを用いて試作した。フィルムケースにアルミテープを張り付け,中にパチンコ玉を入れ,これをスイッチとして用い電波の発生を確認する実験を行った。このコヒーラスイッチによる動作距離を長くするため,ヘルツが電磁波の実験でやったように,大面積の受信板にガスレンジ用の熱遮断用アルミ板を2枚取り付けたところ,受信距離を10mと大幅に改良できた。この実験をすることにより,電磁波とアンテナについて簡単に説明することが可能となった。