著者
矢野 淳滋
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.61-64, 1976-05-20 (Released:2017-02-10)

羽根車がガラス棒上を転がって動く型の羽根車入りクルックス管の放電中に,それを傾けることにより羽根が回らないように釣り合わせる.このときの管の傾きから羽根が受けている力の大きさを計算したところ,電子の衝撃力として計算した値の40〜300倍も大きいことがわかった.一力で羽根車がうける力は消費電力によってほぼ決まることがわかり,軸が鉛直になったクルックス管を用いて電子線による回転力と電球の光による回転力をつり合わせ,そのときの光の仕事率が電子線の仕事率に近いことを確かめることができた.これは羽根車の回転力の大部分がラジオメーター効果によることを示すが,消費電力と回転力の関係の検討からラジオメター効果の他に静電気力のようなものが働いているかもしれないという結論になった.
著者
那波 信男
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.1-4, 1990-02-20 (Released:2017-02-10)

共通一次試験を引きがねとする大学入試の混乱について分析を試み,問題の難易レベルと出題技術の観点から筆者の所見を述べた。あわせて教科課程の再編について言及した。
著者
安藤 潔
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.209-212, 1997-08-25 (Released:2017-02-10)
参考文献数
6

U字管内の液体の減衰する自由振動の周期の実験値は従来知られている理論値とは一致しない。そこで,流れを層流にするため液柱の長さを大きくして実験するとともに,理論に補正を加えた結果,実験値と理論値はよく一致した。実験結果を示すとともに,補正方法および実験に最適な管径や長さについて述べた。また,実験装置は安価であり,実験は短時間に容易にできるので,流体力学や振動現象の講義の際の演示実験として活用できることを述べた。
著者
飯田 修一
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.87-92, 1981-05-30 (Released:2017-02-10)

現在教育に使用されているMKSA系は,電気工学的には便利であるが,物理学の研究と教育には極めて不便であることから,MKS有理化対称単位系,略してMKSP系(PはPhysical)の併用が提起される,MKSA系とMKSP系の併用による教育を実行に移す場合,どのような手順で,MKSA系とMKSP系の導入を行うかが問題になる.小中学校段階ではMKSA系で記述して宜しいが,高等学校レベルになり,クーロン則の導入が行われる段階になると,MKSP系の記述を主体とし,MKSA系は単に併記する方式に切り換える.教育の体系化はMKSP系で行い,唯実際の数値と合せる際に,換算表によってMKSA系の量とつなぐことにするとよい.両者ともMKS系なので,式の換算も,数値の換算も極めて容易である.MKSP系の単位はMKSA系の単位にスーパーを左肩に附してそのように呼ぶ.たとえばB=H+M,D=E+Pなので,これらはすべて同一の単位・スーパー・テスラ,^sTで統一される.MKSP系,MKSA系,CGSG系の基本物理定数表と,電磁気量の数値換算表が与えられる.
著者
鶴岡 森昭
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.307-312, 2005
参考文献数
3
被引用文献数
1

高校物理教科書に掲載されている物理学者60名について,高校物理の課程修了時における知名度を3段階の尺度で,異なる3校の普通科高校の生徒218名を対象に調査した。知名度の学校差の要因として,中学校理科や高校他科目での既習や,授業の進行における配列位置や,教師の解説が生徒に与える印象などが考えられる。本調査のような生徒の物理学者に対する知名度の知見は,物理に対する生徒の関心度・理解度を測る一手段として重要であり,教科指導改善の焦点を絞る上で有益であると思われる。
著者
福住 靖治
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.353-357, 2001-09-20 (Released:2017-02-10)
参考文献数
12

地球がうける起潮力とそれによる潮汐運動との関係は,多くの教科書において事実と合わない記述がされている。それは静力学的な平衡理論が採用されているからである。この問題は本来動力学的に議論すべきであり,その立場から流体力学を用いた潮汐運河理論がある。ここではこの理論に基づいて,潮汐運動は起潮力によって海水に起こされる強制波であり,それが潮汐に関する事実をよく説明することを示す。
著者
矢島 裕介 岡部 佑機
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.276-281, 2006
参考文献数
2

惑星が太陽の周りで描く軌道の主要な特徴を,作図によって調べる方法を検討した。この方法によれば,面積速度や力学的エネルギーなどの変更に応じて軌道の形状や位置がどのように変わるか,またその軌道上で惑星がどのような速度で運動するかを,簡単な作図で確認できる。
著者
齋藤 孝
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.44-45, 2011
参考文献数
3

科学の祭典の実践の中から,子供たちの興味関心の一つに,野球の変化球やサッカーのループシュートがあることを知った。なぜ曲がるかを,19世紀に砲弾の研究から発見されたというマグナスの効果(H.G.MAGNAS 1852年ドイツ)で説明することにした。そのために従来の実験に加え新しく回転できる風船を作り,その場で曲がることを実演し,子供たちの理解増進を図ろうとするものである。
著者
龍渓 信行
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.247-250, 1991-12-05 (Released:2017-02-10)

線密度の異なる2本の弦を接続し一定の張力を与え,一端を単振動させるとき,この弦に生じる安定な定常波は,結び目が節,または腹となる振動数の場合である。節になる場合の振動数は各弦の基本振動数の整数倍であり,腹になる場合のそれは,基本振動数の半分の奇数倍である。また,各弦の最大振幅の比は,結び目が節の場合には各弦の波長の比に等しく,腹の場合には1である。
著者
八巻 俊憲
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.201-206, 2012-09-03 (Released:2017-02-10)
参考文献数
20

2011年3月に起こった東北地方太平洋沖地震と津波,それに伴う福島第一原発事故とその影響下において,理科教育と自然災害および原子力技術との関連性について考察した。自然災害と理科教育の役割,原子力安全神話の崩壊と社会における科学技術を見る目の重要性,科学的懐疑主義や民主主義によって安全神話や体制科学そして「リスク社会」に対処する視点を提示し,理科教育の社会的機能と理科教師の社会的責任について提言する。