著者
村石 幸正
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.154-159, 1995
被引用文献数
4

「(原爆被爆者の子孫を含め)放射線被ばくによってヒトに統計的に有意な数の遺伝的影響が誘発されるという証拠は得られていない。」という文章との出会いをきっかけに,もっと放射線に対する正しい認識と知識を持つ必要がある考えるようになった。そこで,放射線の影響なども含めた「放射線を正しく知る」ことを目標とした「放射線の学習」という単元を設定し,実践を行った。
著者
筒井 和幸
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.315-318, 2009
被引用文献数
1

2009年3月9日に高等学校の新しい学習指導要領が公示され,数学と理科は2012年度の入学生から先行実施される。学習指導要領解説も含めて高校の理科教育,物理教育に生じる課題を考察した結果,個々の教員の指導力とともに学校の教育課程経営の在り方が重要性を増すことがわかった。本稿ではこれらの考察の結果を報告するとともに,日本物理教育学会(以下,本学会とする)を中心とした物理教育関係者による組織的な取り組みについて提案を行う。
著者
勝木 渥 石井 廣湖
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.196-204, 1996

平成7年度センター試験「物理」の解答分析の資料に基づいて,個々の設問にわたる解答状況を調べ,受験生の物理に対する理解の傾向と問題点を探る。
著者
萬處 展正
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.141-144, 2000

高校物理の実験で速度測定が容易になれば,生徒実験が増加し,データ分析も取り組みやすくなると期待できる。「ビースピ」は玩具であるものの,速度測定器として力学実験に使いやすく,精度の上でも実用性があるという結論を得た。生徒が楽しみながら物理現象や概念の理解を深める器具であることを,実験の具体例を挙げながら考察する。
著者
萬處 展正
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.156-159, 2002

従来,「糸を伝わる波の速度」の実験では,長いバネを代用してきた。しかし,糸でも十分な長さがあれば実験可能であることが判明した。また公式の検証より公式の導出をねらいとしたスタイルにして取り組ませたところ,納得のいく結果が得られた。導出の過程で両対数グラフを用いるなど,他教科との乗り入れを行い,総合的な学習の時間に取り組むテーマにもなりうる。
著者
佐久間 彬彦 定本 嘉郎
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.12-15, 2010
被引用文献数
2

凸レンズを通る光の道筋の作図について通常の授業を受けた中学生は,その多くが光の道筋の作図をすることができることが分かった。また,光の道筋と共に,凸レンズによってできる像を正確に記入できる生徒は,記入できない生徒より,像の大きさや位置を理解していることが明らかになった。しかし,像を正確に記入できた者のうち,像の大きさや位置の正解者の割合は約50%であり,凸レンズを通る光の道筋とできる像の作図を指導するだけでは,凸レンズによってできる像の理解が進むとは考えにくい。
著者
中畑 雅行
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.365-369, 2002
被引用文献数
1

小柴昌俊先生が2002年ノーベル物理学賞を受賞された。受賞の理由は,「天体物理学とくに宇宙ニュートリノの検出にパイオニア的貢献」であり,アメリカペンシルヴァニア大学のレイモンド・デイヴィス・ジュニア教授との同理由共同受賞であった。また、同賞は「宇宙X線源の発見を導いた天体物理学へのパイオニア貢献」を行ったリカルド・ジャコーニ氏にも与えられた。このように,2002年ノーベル物理学賞は,ニュートリノやX線といった新たな手法での天体 宇宙観測の道を開いたという業績にたいして与えられた。小柴先生のノーベル物理学賞受賞は,実験物理学の分野では,日本で初めてである。小柴先生は,義受験神岡町の神岡鉱山内に「カミオカンデ」という名前の実験装置を建設し,超申請や太陽から飛んでくるニュートリノを捕らえたということが、受賞の直接的な理由となった。本解説では,「ニュートリノとは何か」,「どのような現象を捕らえたのか」,「今後どのように発展していくのか」といったことについて解説する。
著者
大谷 徳樹 富永 昭
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.228-232, 2004

永久ゴマ加速装置の働きを理解するため,デジタルオシロスコープを用いて電圧の時間変化を測定し,解析を行なった。ベース-エミッタ間電圧においてトランジスタの電流増幅作用がOFFとなっている時間帯に-8V程度の定電圧が生じている。この定電圧は,トランジスタのベース-エミッタ間における電子なだれによるツェデー電圧のあらわれである。ベース-エミッタ間はツェナー電圧8Vのツェナーダイオードとして振舞う。
著者
片桐 泉
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.334-337, 1999

従来から知られている虹ビーズを用いた人工虹では,副虻はできない。しかし,虹ビーズを貼り付ける台紙に反射する板を用いると,二重に虹ができることを,科学クラブの生徒が発見した。そしてさらに,四重の人工虹へと発展した。この新しい虹ができる原理を考察し,実験値と比較したところ,妥当性が確かめられた。また,クラブの生徒たちの発見の喜びを,授業で一般の生徒に体験させる試みを行ったところ,非常に活発な授業となった。
著者
林 昌樹 小林 功英
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.413-414, 2001

現代の先進的な科学・技術社会においても非科学,オカルトが生まれる土壌がある。その背景には現代の科学・技術に対する根強い不信感がある。さらに我が国特有の科学(理科)教育が抱える問題がある。また専門の世界では社会性が欠如し視野狭窄に陥っている研究者の世界が抱える問題もある。本稿では我が国において非科学,オカルトが生まれる土壌の原因をつくり出していると思われるこうした問題点について考える。
著者
濱田 栄作 荒谷 美智
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.303-304, 2009
被引用文献数
1
著者
文屋 優
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.351-353, 2002

完全学校5日制度実施により授業日数で16日,授業時数で26時間ほど,3年間の総単位数も6単位減少した。理科総合A,B,理科基礎,I,IIの組み合わせでカリキュラム編成が普通科も,専門学科の編成も難しくなった。一方で本を読まない,読めない生徒が増加している。こんな中での授業の工夫や教材の精選,課題学習,長期休業中の学習習慣の維持,読書のすすめ等を列挙した。最後に土・日曜における余暇のあり方,ボランテア,社会体験等に関して記述した。
著者
山田 功
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.591-592, 2001

物理の学習指導を考える時,つい授業ばかりに目がいってしまう。しかし,実は教室の外での子供の頃のさまざまな体験が大きな意義をもっていることに注目をした。昔は教室の外で体験した,昆虫採集や,物の分解や,遊び道具作りや,読書等が自然科学への興味,関心をもたせた。今はそうした体験が少なくなった。これが授業の理解を困難にしたし,理科離れのひとつの要因になっているのではないだろうか。そんな反省のもと,授業へのささやかな提案をする。