著者
大野 誠
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.56-59, 2015-02-20 (Released:2017-06-16)

重力の法則,ニュートン・リングなどの光学,微分積分学で有名なニュートンは,学者として最も脂がのっていたケンブリッジ大学教授時代に,実験を含めてかなりの時間を化学・錬金術に費やしていた。本稿では最新の研究成果を基礎として「ニュートン錬金術」の土台をなすニュートンの手稿に焦点をあわせ,まず,このテーマがどのようにして発見されたかを明らかにする。次に,ニュートンの錬金術手稿の来歴や概要について述べ,この研究分野の第一人者ですら犯した誤りを取り上げて,手稿を扱うことの難しさについても論じる。
著者
大河原 信
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.131-135, 1989

まさに日本人には物あまりの時代のようである。身の周りには, これでもかこれでもかと, あらゆるぜいたく品が満ちあふれでいる。お金が豊かな人たちは気楽にそれらを買いあさる。それはそれなりに, まあ, よしとしよう。ささやかなぜいたくが欲望を満たしてくれるのなら。しかし, ろくに使いもせずにぽいと捨ててしまうのはよくない。特に筆者のように戦争を体験した人間には, 捨てるために造られた一枚のポリ袋でも, これを手にすると万感の思いがつのるのである。いまここで, 資源, 物を大切にしようと教訓をたれようというのではない。なにげない一本の糸, 一枚の布に秘められた科学, 技術の奥深さに接するならば, 少なくとも化学を学ぼうとする若い人たちには, 百言をつらねる教訓よりも, "物"の持つ素晴しさ, 貴重さに感動し, さらに将来に向っで無限の楽しみと夢が生まれてくるはずである。
著者
佐々木 伸大
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.4-7, 2021-01-20 (Released:2022-01-01)
参考文献数
6

食や生活様式が多様化している現代において,加工食品に用いられる食品添加物は必要不可欠なものとなっている。本稿では,食品添加物が,どのような目的で用いられているか,それらの使用についてどのように制御されているか,また,その安全性がどのように担保されているかに焦点を絞って概説する。
著者
高橋 幸奈
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.444-445, 2016-09-20 (Released:2017-03-01)
参考文献数
2
著者
中嶋 省志
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.202-203, 2017

<p>歯磨剤は,様々な成分(研磨剤,湿潤剤,発泡剤,粘結剤,抗菌剤など)を配合して,使いやすく,安全でかつ長期間安定な物理的・化学的特性が発揮できるようにつくられている。一方,フッ化物や殺菌剤などの薬用成分を配合して,虫歯や歯周病の予防・改善あるいはステインや口臭の防止にも有用なものである<sup>1)</sup>。日常,何気なく使っている歯磨剤の中身とフッ化物による虫歯予防のメカニズムを化学の目で見てみる。</p>
著者
柳川 弘志
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.35-40, 1994-01-20 (Released:2017-07-11)

これまで生命の始まりを考えるとき, ニワトリ(=機能)が先か, タマゴ(=情報)が先かのパラドックスに悩まされてきた。言い換えれば, RNAが先か, タンパク質が先かという問題である。最近の分子生物学の進展により, RNAは多彩な機能をもっていることがわかってきた。RNAの触媒作用もその一つである。RNAがDNAの助けを必要とせず, タンパク質の助けも借りずに生命現象を営めることがわかってきて, 最初の生命はRNAから始まった可能性が高くなってきた。
著者
藤井 郁雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.406-410, 2001-07-20 (Released:2017-07-11)

免疫学は歴史的にみて, 免疫応答の調節機構や抗原抗体反応の分子認識をその研究対象としてきた。ところが, この15年の間に免疫学は, 有機化学との学際領域に新しい研究分野を展開し始めている。天然酵素が化学反応の遷移状態と結合し安定化することによって触媒機能を発揮しているように, 化学的に安定な遷移状態アナログを抗原として得られる抗体タンパク質は, 遷移状態と結合して触媒機能を獲得するようになる。ヒトやマウスの体内には多種多様な抗体のレパートリーが備わっているので, この方法を使えばテーラーメイドの生体触媒の設計が可能になる。
著者
廣瀬 里佳
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.436-437, 2018-09-20 (Released:2019-09-01)
参考文献数
6

ストームグラスは別名「天気管」とも呼ばれ,18世紀にはすでに使用されていた。ビーグル号艦長のロバート・フィッツロイが天気予測のため,詳細にグラスの観察を行っていたのは有名である。ストームグラスは毎日変化し,なぜそのようになるのか現在でも解明には至っていない。1つには物質の溶解度が複雑に絡み合っていると推察される。そこで今回,多様な表情をみせるストームグラスの作製を紹介したいと思う。
著者
田沼 靖一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.348-353, 1994-05-20 (Released:2017-07-11)

多細胞生物の細胞は自ら死ぬことができる。いわば自殺ともいえる細胞死はアポトーシスとよばれ, 遺伝子にプログラムされた能動的な細胞死である。アポトーシスは多細胞生物の発生過程での体の形づくりや, 成熟個体においては正常な細胞交替, 恒常性の維持に重要な役割を果たしている。また, 最近では, がんや自己免疫疾患, アルツハイマー病などの病態にも深くかかわっていることから, アポトーシスの研究は医学の分野においても注目を集めている。生命はアポトーシスという細胞の消去機構により支えられ, 守られている, といっても過言ではないだろう。
著者
大川 忠
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.269-270, 1995-04-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
9
著者
山口 晃弘
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.66, no.11, pp.540-541, 2018-11-20 (Released:2019-11-01)
参考文献数
6
著者
稲田 幹
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.20-23, 2021-01-20 (Released:2022-01-01)
参考文献数
4

プラスチック(有機材料),金属,セラミックスは三大材料である。プラスチックや金属は高温で溶かして成型加工できるが,セラミックスは基本的に粉を固めて焼く『焼結』という方法で製造される。そのため,セラミックスの製造には,原子・分子レベルからの原料粒子調製技術,粒子集合体への成形技術,焼結の制御が高度に要求される。一方で,高温耐熱性,高強度,半導性,誘電性,磁性などのセラミックスの多様な特長は,構成原子の化学的な結合や構造と密接に関連している。
著者
久保田 港
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.260-261, 2019-06-20 (Released:2020-06-01)
参考文献数
4