著者
山本 圭一郎 伊吹 友秀
出版者
医学書院
雑誌
臨床婦人科産科 (ISSN:03869865)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.471-475, 2017-05-10

●ヒト受精胚を対象とするゲノム編集技術利用には,基礎研究,治療を目的とする臨床応用,エンハンスメント的な臨床応用の各段階で倫理的な課題がありうる. ●基礎研究の段階では,ゲノム編集研究に用いるヒト受精胚の入手のあり方,余剰胚利用の是非,ヒト受精胚への人為的操作などが倫理的課題となる. ●治療およびエンハンスメントの段階においては,安全性や有効性,責任の所在,優生思想ないし優生学,諸々の格差や差別の助長,世代や地域を越えた不可逆的な影響などに関する倫理的課題がありうると予想される.

2 0 0 0 代償月経

著者
玉田 太朗
出版者
医学書院
雑誌
臨床婦人科産科 (ISSN:03869865)
巻号頁・発行日
vol.27, no.11, pp.892-893, 1973-11-10

I.症状 思春期あるいは性成熟期の女性にみられる,子宮以外の場所からの周期的な出血と定義できるが,これは月経出血とほぼ同時におこるもののほかに,月経出血をともなわないが周期的に1ヵ月に1回くらいの割合でおこる性器外出血の意味に用いられていることもある。 しかし診断上のまぎらわしさをさけるためには前者のみを代償月経とよぶべきであろう。
著者
井田 守 森本 義晴
出版者
医学書院
雑誌
臨床婦人科産科 (ISSN:03869865)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.119-124, 2016-01
著者
小林 陽一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1135-1139, 2020-11-10

●査読してくれたことに対して敬意を示しましょう. ●修正論文を再投稿する前に,投稿規定をもう一度確認し,上級医のチェックを受けてから再投稿しましょう. ●質問・指摘に対して1つずつ丁寧に回答し,本文中にもマーカーや赤字などで示して修正部分が一目でわかるようにしましょう.
著者
木村 弘 御園生 義良
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.855-859, 1974-12-10

開腹手術後の患者の健康管理は医師として常に気を配つているところである。特に体力回復については補助的に注射して栄養補給を行なつているとはいえ,その主力は食物の経口摂取に頼つているのが現状である。1959〜1962年にLavenstein1,2)らが枯草熱の治療にペリアクチンを投与していたところ,偶然に食欲が増進し,体重が増加することに気づき,さらに喘息患者にこれを用いてその両効果を確認して発表以来Bergen3)など多くの人たちがペリアクチンの食欲増進,体重増加の効果を認めている。 わが国においてはペリアクチンは昭和36年3月より抗アレルギー剤として市販され,広く一般に使用されてきたが,昭和44年頃より小児科や結核科領域において抗アレルギー剤としてのみでなくさらに食欲増進,体重増加効果をも認める発表がなされはじめ,昭和46年1月からは食欲増進剤としても市販されるようになり今日におよんでいる。
著者
脇本 博 青野 敏博 松本 圭史 高安 進
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.421-424, 1983-06-10

睾丸性女性化症は性染色体がXYで,腹腔内に睾丸を有し,外性器は女性型を呈する。思春期には正常女性と同様に乳房の発育がみられ,男性化徴候は出現しない。腋毛,陰毛はほとんど認められない。このような睾丸性女性化症の症状は,胎生期または思春期に男性ホルモン作用が発現されていないことを示唆する。本症の病因として,1)睾丸における男性ホルモン分泌能の低下,2)男性ホルモンに対する標的器官の感受性の低下の2つが考えられるが,本症の患者睾丸のテストステロン合成能は正常男子と同様良好であることが明らかにされた1)。そこで標的器官のホルモン感受性の低下が本症の病因として重要視されるようになった。近年,Bullock2),Griffin3)らの研究により,本症の男性ホルモン不応は男性ホルモンレセプターの欠損に起因するものであることが証明された。したがって,睾丸性女性化症の確定診断には,アンドロゲンレセプターの検索が不可欠と考えられる。しかし,実地臨床の場でアンドロゲンレセプターの測定が,本症の鑑別診断に利用されたという報告は未だ見られない。我々は正常のヒト皮膚由来培養線維芽細胞中における5α-dihydrotcstosterone(DHT)に対するレセプターをデキストランーチャーコール法によって検索し,その最大結合部位数(B max)ならびに解離恒数(Kd)をScatchard分析によって求め,その正常値を決定した4)。同様に睾丸性女性化症および外性器異常を伴う内分泌異常疾患,染色体異常疾患を有する患者の皮膚由来培養線維芽細胞中のDHTレセプターを検索し,正常値と比較対照することにより睾丸性女性化症の診断に本検査法を応用した。本稿では,睾丸性女性化症の病像を解説した後,本検査法の実際的な使用例について報告したい。
著者
後山 尚久
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1029-1032, 2000-08-10

はじめに 経腟分娩において,麻酔を行って陣痛の痛みを和らげるものをわが国では無痛分娩あるいは和痛分娩と呼んでいる.この目的は,元来分娩時の強い陣痛による母体の苦痛(精神的,肉体的)を取り除くことにあるが,同時に母児双方に悪影響がなく,順調に起こっている陣痛を損なわないことが要求される.したがって,全身への作用の強い薬剤による全身麻酔や神経ブロックなどの局所麻酔剤の使用は,常に母児の状態を慎重に観察しながら行わなければならない. ハリ(鍼)麻酔が中国で普及しはじめて現在で40年ほど経過したが,産婦人科領域でも分娩,帝王切開,人工妊娠中絶術における麻酔や鎮痛の手段として試みられてきた.西洋でもTENS(trans—cutaneous electrical nerve stimulation:経皮電流刺激)による鎮痛が試みられており,鍼や灸と同様の理論基盤を持つ.本稿では,これらの麻酔薬を用いない減痛手段の分娩への応用について概説する.
著者
本 仙一郎
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.388, 1964-05-10

われわれ臨床医は日常浣腸を患者に施しているが浣腸剤やその使用法については案外無関心であるし,医者自身が不潔なものとしてプレまかせであるのが現状ではあるまいか。浣腸は排便を促すものであるが,これが診断の助けともなり,治療に役立つものであればこれほどありがたいものはない。浣腸剤としてグリセリン,薬用石ケン,オレーフ油,重曹,食塩などが用いられている。私は主として食塩を用い,他にはグリセリンを使用するのみである。500cc入りのイルリガートルに2mのゴム管と先にエボナイト製肛門挿入管(約5〜6cm)を連結する。42℃,2%食塩水500ccをこのガートルに充たす。患者を側臥位にして下肢を軽く屈曲せしめ肛門にワセリンを塗布,ガートルを1.5m高さに保持して肛門挿入管を静かに肛門内に3〜4cm挿入,食塩水を注入する。温度が下らないように速やかに注入する。急激に行なうと失禁することもあるので注入時ゴム管を片手でおさえて速度を加減する。患者は300cc入るとだれもが軽い排便感が起こるが,そのまま注入をつづけ便意促追がつよく患者が我慢しえないというまで注入する。その後,ただちに排便させる。成人であればこの食塩水の直腸許容注入量(私は仮に直腸収容量と名づく)は男女ともに平均420ccである。
著者
馬淵 誠士 志村 宏太郎 松本 有里 梅本 雅彦 北田 文則 木村 正 藤江 建朗 中村 英夫
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.281-288, 2021-03-10

▶要約 目的 : 子宮頸癌に対する広汎子宮全摘術が術者に与えるストレス・疲労を,術式別(ロボット支援下・腹腔鏡・開腹)に比較した. 方法 : 広汎子宮全摘出術の術中に,執刀医の心電図・筋電図を無線測定機器で持続モニタリングした. 結果 : ロボット支援下手術では,開腹手術や腹腔鏡手術に比して,脊柱起立筋の筋活動量が有意に軽微であった.ロボット支援下手術では心拍数が終始一定であったのに対し,開腹手術と腹腔鏡手術では心拍数は手術の進行とともに漸増し,ロボット支援下手術と比較して有意に高値となった.Tone-Entropy法による評価でも,ロボット支援下手術ではEntropyが終始一定であったのに対し,開腹手術と腹腔鏡手術では手術の進行とともにEntropyが低下し,ロボット支援下手術のストレスが少ないことを示す結果であった. 結論 : ロボット支援下広汎子宮全摘術は,開腹手術や腹腔鏡手術に比して執刀医へのストレス・疲労が少ない術式である可能性が示された.
著者
後藤 美希 鈴木 蓉子 竹入 洋太郎 大村 美穂 神野 雄一 竹内 真 永井 美和子 江口 聡子 中林 稔 東梅 久子 横尾 郁子 有本 貴英
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.289-294, 2021-03-10

▶概要 常勤内視鏡技術認定医不在下で子宮体癌に対する腹腔鏡手術を導入し,治療成績について以前の開腹手術症例と後方視的に比較検討した.腹腔鏡手術では開腹手術に比べて出血量の減少,術後在院日数の短縮を認めた.合併症に関しては重篤なものは認めず安全に腹腔鏡手術の導入ができたと思われるが,腹腔鏡手術で有意に多いという結果になり,そのうちの50%は下肢の神経障害であった.いずれもBMI30以上の肥満症例であり,術者が手術操作に熟練するまでは手術適応のBMI基準を低く設定することも必要と考えられた.また,内視鏡技術認定医と婦人科悪性腫瘍専門医が密に連携して手術操作を行うことが重要と思われた.
著者
澤田 祐季 齋藤 知恵子 松川 泰 佐藤 剛 杉浦 真弓
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.807-811, 2018-08-10

●精液アレルギーは,精漿中の蛋白を抗原とし,局所の瘙痒から致命的なアナフィラキシーショックまで幅広い臨床所見を示す即時型アレルギー反応である. ●症状が重篤な場合は通常の性交では自然妊娠は困難であるため,挙児希望があれば脱感作療法,人工授精,体外受精が考慮される. ●それぞれの治療法にはメリット,デメリットがあるため,治療の選択肢を提示し,十分な説明をしたうえでの治療方針の決定が重要である.
著者
篠塚 達三
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.869-872, 1953-12-10

緒言 妊娠5ケ月以後の人工妊娠中絶には種々の方法が發表されているが,未だ滿足出來る方法は發見されていない。メトロイリーゼ,ブジールングは娩出迄に比較的長時間を要し感染の危險があり,アブレル氏方法は比較的確實であるが時に不慮の危險を招く。最近種々の溶液を卵膜子宮壁間に注入する方法が發表されている。私は以下述べるような種々の方法を行つて見たので比較發表する,尚全實驗例共施術直後鹽酸キニーネ1gを2時間毎に3回に分服させた。
著者
大島 清
出版者
医学書院
雑誌
臨床婦人科産科 (ISSN:03869865)
巻号頁・発行日
vol.31, no.8, pp.p721-732, 1977-08
著者
大島 清
出版者
医学書院
雑誌
臨床婦人科産科 (ISSN:03869865)
巻号頁・発行日
vol.31, no.7, pp.p615-623, 1977-07

1 0 0 0 39.過期妊娠

著者
雨森 良彦
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.574-577, 1993-05-10

妊娠42週を超過するものを過期妊娠(posttermPostdate, prolonged pregnancy)と呼称する。ふつうは妊娠38〜42週で分娩が発来するが,4〜10%はこの過期産となる。機序の詳細は不明である。過期産の25%は胎児の発育栄養はよく維持され,出生時児体重も3,500gを超える。しかし一方,25%は胎児の栄養は亜急性に障害されpost maturitysyndromeと呼ばれるごとくいろいろな徴候を示す:皮下脂肪欠如,頭髪は多い,うぶ毛と胎脂は欠除,指先を超える爪,皮膚の剥離,羊水混濁である。新生児室ではよく低血糖が発見される。栄養不良でglycogenの貯蓄が少なくなりがちである。この過熟症候群は予定日超過によくみられる胎盤機能低下が増悪したためで往々にして羊水過少症をともない子宮胎盤呼吸系機能が悪化して,胎内死亡,分娩中の胎児仮死を起こしやすくする。羊水吸引症候群(meeonium aspiration syn—drome)は新生児に致命的になりうるが分娩時の適切な処置で予防可能。
著者
大野原 良昌 佐藤 慎也 伊藤 雅之 皆川 幸久
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.235-238, 2005-02-10

はじめに 処女膜閉鎖症は比較的稀な疾患で,その発生頻度は0.03~0.1%とされている1).本症には完全に処女膜が閉鎖したいわゆる処女膜閉鎖(imperforate hymen)と処女膜に小孔を伴った小孔処女膜(microperforate hymen)2~7)が存在する.今回われわれは,小孔処女膜であったために初経から4年間周期的な月経が発来し,急性腹症発症を契機に診断された処女膜閉鎖症の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.