著者
黒島 義克 大竹 賢太郎 楾 清美 松崎 晶子 齊尾 征直 吉見 直己
出版者
特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.55-59, 2014 (Released:2014-03-13)
参考文献数
13
被引用文献数
2

目的 : ラオス国は開発途上国で, いまだ女性の死亡原因の一位は子宮頸がんである. しかし, その予防のための検診のみならず, 細胞診に関しても十分に実施されていない. 今回, 健常女性における子宮頸部細胞診スクリーニングを実施・検討した.方法 : ラオス国首都ビエンチャン市内の 3 つの地区に居住する 22~65 歳の健常人ボランティア女性の総数 1000 名に対して自己採取型の加藤式自己搾過法器具を使用して子宮頸がん細胞診検査を実施した.成績 : 細胞診判定はベセスダシステム 2001 に準拠した. NILM ; 893 例 (89.3%), ASC-US ; 33 例 (3.3%), LSIL ; 19 例 (1.9%), ASC-H ; 3 例 (0.3%), HSIL ; 1 例 (0.1%), SCC ; 1 例 (0.1%), 不適正標本に関しては 50 例 (0.5%) であった. また, HPV 感染を示唆する koilocytosis を呈する症例は 24 例 (2.4%) であった.結論 : LSIL 以上の要精検率に関しては, 日本と比較すると 2 倍を示し明らかに高い印象であった. koilocytosis を呈する症例数も本邦と比べて多い傾向であった.
著者
大竹 賢太郎 齊尾 征直 黒島 義克 安里 良子 吉見 直己
出版者
特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.271-272, 2013 (Released:2013-08-29)
参考文献数
5

We examined how to improve the cell recovery for cell block preparations using cervical liquid-based cytology (LBC) samples. Forty cases of both NILM and LSIL, respectively, were split into three groups and three different cell block preparation methods were applied such as nylon mesh, OCT compound and cotton. The total cell number (isolated cells and cells in cell clusters) and the incidence of cases with large clusters (≥50 cells) in specimens were counted. We found that the cotton method, by which clusters were significantly recovered, was better than the others. The cotton method is a useful tool for cell recovery in block preparations from LBC samples.
著者
花見 恭太 大澤 久美子 扇田 智彦 森 茂久 得平 道英 黒田 一 田丸 淳一 糸山 進次
出版者
公益社団法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.111-115, 2008 (Released:2010-10-08)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

背景 : RA 治療に MTX を使用した症例に悪性リンパ腫の発生することが知られている. 今回われわれは, MTX を用いた RA の治療中に発生した CHL 2 例を経験したので報告する.症例 : 症例 1 は 50 代女性, 6 年間の MTX 治療後, 右腋窩リンパ節の腫脹がみられ, 生検が行われた. 症例 2 は 60 代男性, 1 年間の MTX 治療後カリニ肺炎を発症, その後右鼡径部および左頸部リンパ節の腫脹がみられ, 左頸部リンパ節生検が行われた. 2 例ともに捺印細胞診では, 小型のリンパ球, 組織球などを背景に著明な核小体を有する大型の HRS 細胞を散在性に認めた. 組織学的にも HRS 細胞が散見されたが, それらは免疫組織学的に, 症例 1 では CD30 と CD15 が陽性, CD20 陰性, 症例 2 では CD30, CD79a が陽性, CD20 が一部の細胞に弱陽性, CD15 が陰性を示していた.結論 : 細胞学的には典型的な CHL の像であったが, 本 2 例は臨床経過を踏まえると, WHO 分類で免疫不全関連リンパ増殖症の亜型として分類される MTX 関連リンパ増殖症に相当するものと考えられた. また, 免疫組織学的に症例 1 は通常の CHL のパターンであったが, 症例 2 は Hodgkin-like LPD と診断すべきだったと考えられた. このような症例は複雑な臨床経過をたどることが多く, 診断には疾患背景をよく理解したうえでの総合的な判断が必要と考えられた.
著者
広川 満良
出版者
特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.431-436, 1997-07-22 (Released:2011-11-08)
参考文献数
23
被引用文献数
1

甲状腺乳頭癌には診断的価値のある多くの細胞学的特徴があるが, それらの判定基準や診断的価値に対する評価は個人によりさまざまで必ずしも一致していない. 本稿では甲状腺乳頭癌の診断に役立つ細胞所見の判定基準や診断的価値がまとめられており, 診断の際にはそれらを十分に理解しておくことが大切である.