著者
佐藤 未央子 Mioko Satoh
出版者
同志社大学国文学会
雑誌
同志社国文学 (ISSN:03898717)
巻号頁・発行日
no.90, pp.71-84, 2019-03

1920年代後半における谷崎潤一郎の小説や映画批評では、ドイツの俳優エミール・ヤニングス主演映画やアメリカの児童向け映画、ミス・アメリカを題材にした娯楽映画、ドキュメンタリー映画など、言及されるジャンルが多岐にわたっていた。また小説内には、映画館やテクニカラー(フィルムの部分彩色)といった、当時の映画文化が鏤められていることを確認した。
著者
趙 智英 Ji young Cho
出版者
同志社大学国文学会
雑誌
同志社国文学 = Doshisha Kokubungaku (ISSN:03898717)
巻号頁・発行日
no.92, pp.91-104, 2020-03-20

本稿では『宇治拾遺物語』の中に描かれた女性を巡って考察を行った。まず、本説話集における女性を意味する用例調査を行い、様々な女性の描かれ方を検討した。その結果、第4話の「よしなき人」である妻や、第76話のなま女房、第30話、第48話の老女などに対し、『宇治拾遺物語』の編著者は責めたり、冷笑したり、蔑んだりせず、宗教的な信仰とは異なる、登場人物の純粋さを理解した描き方をしているという傾向を明らかにした。본 논문은 『우지슈이모노가타리』속에 그려진 여성에 대해 고찰하였다.먼저,본 설화집에 나타난 여성을 의미하는 용례 조사를 통해, 다양한 여성이 그려진 설화에 대해서 분석했다. 그 결과, 제4화의 'よしなき' 아내, 제76화의 なま女房, 제30화, 제48화의 늙은 여인에 대해, 『우지슈이모노가타리』의 편저자가 비난을 하거나 냉소적인 태도는 볼 수 없으며, 종교적 신앙과는 다른 등장 인물의 순수한 믿음을 이해하는 태도로 여성을 그려낸 것임을 알 수 있었다.廣田收教授退職記念号
著者
木谷 真紀子 Makiko Kitani
出版者
同志社大学国文学会
雑誌
同志社国文学 = Doshisha Kokubungaku (ISSN:03898717)
巻号頁・発行日
no.81, pp.327-339, 2014-11-20

三島由紀夫「弱法師」(「声」昭35・7)は、その題の示すとおり、謡曲「弱法師」を題材にとり、『近代能楽集』の八作目として発表された。本稿では、主人公が上野で物乞いをしていたこと、また、養親と実親が家庭裁判所における調停で俊徳をめぐり争っている点に着目。発表された昭和三十五年当時、〈上野の子〉のその後が注目されるような社会活動や、国際問題にまで発展した子どもの引渡請求の裁判があったことが、三島に着想を与えたことを指摘した。さらに、俊徳の終末観が否定されることが持つ意味を考察している。
著者
李 春草 Syunsou Ri
出版者
同志社大学国文学会
雑誌
同志社国文学 (ISSN:03898717)
巻号頁・発行日
no.87, pp.41-53, 2017-12

本論は南京の都市イメージを分析しつつ、それが物語の舞台とされた理由を明らかにした。また登場人物と『板橋雑記』(清・余懐)のそれとの類似性などから、『板橋雑記』が「人魚の嘆き」の新たな典拠であることを指摘した。さらにヒロイン‐‐人魚の実像を解明する上、彼女が純粋な西洋美の象徴であることを論述した。最後に東洋的要素の役割や物語の結末を検討し、作家の意図や小説のモチーフを探ってみた。