著者
山本 佐和子 Sawako Yamamoto
出版者
同志社大学国文学会
雑誌
同志社国文学 = Doshisha Kokubungaku (ISSN:03898717)
巻号頁・発行日
no.92, pp.170-185, 2020-03-20

室町期に見られる「ゲナ」(例.「ヤレ杜鵑ハ、吾ガ心中ヲ知テ不如帰トナクゲナヨ」中華若木詩抄)が、モダリティのうち「本体把握」(大鹿薫久1995「本体把握―「らしい」の説―」)を表すことを手がかりに、形容動詞派生接辞「~ゲナリ」がモダリティ形式となる史的変化の過程を検証した。「~ゲナリ」は、中世前期に名詞に付く用法を生じており、活用語連体形を述部とする準体句に後接する過程を経て、モダリティ形式としての用法を獲得したと考えられる。廣田收教授退職記念号
著者
加美 甲多 Kouta Kami
出版者
同志社大学国文学会
雑誌
同志社国文学 = Doshisha Kokubungaku (ISSN:03898717)
巻号頁・発行日
no.92, pp.135-147, 2020-03-20

廣田收教授退職記念号
著者
加藤 直志
出版者
同志社大学
雑誌
同志社国文学 (ISSN:03898717)
巻号頁・発行日
vol.74, pp.163-151, 2011-03

まず、日本の子ども達の学力の傾向を踏まえ、教育心理学者藤村宣之の提唱する「協同的探究学習」による「わかる学力」向上の重要性を確認した。次に、「協同的探究学習」を国語教育で行うに際して、〈テクスト論〉に関連した、日本文学研究者からの提言が参考になると述べた。その後、実際の授業を紹介し、「自己探究」と「集団討議」を組み合わせる(=対話させる)ことが「わかる学力」の向上にも繋がるということを明らかにした。
著者
ケズナジャット グレゴリー
出版者
同志社大学国文学会
雑誌
同志社国文学 (ISSN:03898717)
巻号頁・発行日
no.82, pp.104-116, 2015-03

本稿は一九五五年に発表された『陰翳禮讃』と『蓼喰ふ蟲』の英訳にいたる過程を検討する。二作における日本像は、戦後アメリカで流通した日本像と同様に一九世紀のオリエンタリズムに基づいたものであることを指摘する。また、翻訳者エドワード・サイデンステッカーと編集者ハロルド・ストラウスが定義する「翻訳に値する日本文学」を確認し、その上で当時の英訳はどのように読まれたかについて考察する。
著者
李 春草 リ シュンソウ Ri Syunso
出版者
同志社大学国文学会
雑誌
同志社国文学 (ISSN:03898717)
巻号頁・発行日
no.82, pp.78-88, 2015-03

「人間が猿になつた話」は、谷崎が中国旅行準備中に著した短編小説である。その漢学知識と「支那趣味」からして、その創作と中国旅行との関連性が考えられる。〈美女が猿に見込まれて山奥に連れ去られた〉という内容からみると、中国の古典小説「白猿伝」との類似性が目に浮かび上がる。更に、創作前後、谷崎と芥川龍之介との交流や創作上の類似性からみても、谷崎はある程度芥川を意識して書いた作品ではないかと推測される。
著者
藤原 享和
出版者
同志社大学
雑誌
同志社国文学 (ISSN:03898717)
巻号頁・発行日
vol.73, pp.1-14, 2010-12

『万葉集』巻一五・三六八八番歌は、新羅への往路壱岐島で病死した遣新羅使(736年発遣)の一人雪連宅満を、「天皇の 遠の朝廷と 韓国に 渡る我が背」と詠う。白村江敗戦から70年以上を経、新羅が日本への朝貢外交を忌避しつつあった局面で、遣新羅使が敢えて「遠の朝廷」を使用した意識を考察。対新羅劣勢の中で逆に高まった新羅に対する強烈な支配意識の下に「都から遠方の天皇の支配地」の意で使用したと結論づけた。
著者
篠原 武志
出版者
同志社大学
雑誌
同志社国文学 (ISSN:03898717)
巻号頁・発行日
vol.75, pp.86-100, 2011-12

「高瀬舟」という小説は、中学校でも「読書」教材として採用され、そこでは、自分の意見を持つことが重要課題とされている。「高瀬舟」は一見多義的に見える可能性を含むような教材であるとも言える。中学生だからこそ、遠慮無くものがいえる空気の中で、やりとりを進めていくことが出来る場合がある。ここでは、生徒に書かせた論を中心にやりとりを進める形で生徒たちが到達していった過程を振り返り、また、「高瀬舟」の教材価値を考えてみる。
著者
植木 朝子
出版者
同志社大学
雑誌
同志社国文学 (ISSN:03898717)
巻号頁・発行日
vol.78, pp.53-66, 2013-03