著者
呉 艶
出版者
同志社大学国文学会
雑誌
同志社国文学 (ISSN:03898717)
巻号頁・発行日
no.75, pp.14-26, 2011-12

異類婚姻譚は古く、どの時代にも、諸民族の間に存在するものであり、日本と中国の同類のものは、時代的にも、距離的にも、互いに遠く隔たっているとは言え、一致するところが多く見られる。本稿は六朝小説などの中国の古典文学における異類婚の事例を取り上げ、日本のそれと比較しながら、その接点をめぐって考察を進め、更に、社会形態と宗教思想からの影響を考えながら、異類婚姻譚に表出する性差意識を検証するものである。
著者
桑原 一歌
出版者
同志社大学
雑誌
同志社国文学 (ISSN:03898717)
巻号頁・発行日
vol.75, pp.1-13, 2011-12

『枕草子』「五月ばかり、月もなういと暗きに」段では、当意即妙の応答に成功したかに見える清少納言が、竹の異名「この君」を知らなかったと言い続ける様が描かれる。「この君」の元となった王徽之による「此君」の故事には、俗物への皮肉が込められていた。知的な応答を試みるあまり故事の世界に肉薄しすぎた清少納言が、貴族の美意識から逸脱することを懸念しつつ描き出したのが当章段であると考え、かなの散文作品による表現方法として位置づけた。
著者
神谷 勝広 カミヤ カツヒロ Kamiya Katuhiro
出版者
同志社大学国文学会
雑誌
同志社国文学 = Doshisha Kokubungaku (ISSN:03898717)
巻号頁・発行日
no.86, pp.40-50, 2017-03-20

江戸時代の代表的な戯作者の一人である山東京伝は、強い〈好古〉趣味を持っていた。その成果が彼の編書『近世奇跡考』等でも大いに発揮されていることは、周知のことである。しかし、具体的に、文人仲間たちとどのようなやり取りをしつつ、〈好古〉を愉しんでいたかは、今ひとつわかっていなかった。今回は、京伝が文人仲間の竹垣柳塘に宛てた書簡を解析することで、生々しくその様相を明らかにする。
著者
趙 智英 Ji young Cho
出版者
同志社大学国文学会
雑誌
同志社国文学 (ISSN:03898717)
巻号頁・発行日
no.85, pp.38-53, 2016-12

本稿では『宇治拾遺物語』において夢がどのように用いられているかという問題を明らかにするための基礎作業として、『宇治拾遺物語』に登場する夢を類型分類し、考察を行った。まず『宇治拾遺物語』における夢に関する研究の現状を概観し、問題点と課題を確認した。次に、『宇治拾遺物語』独自の説話に表れた夢について考察を行った。そして、『宇治拾遺物語』に出てくる夢説話をストーリー展開における夢のあり方を基準に五つの類型に分類した。
著者
植木 朝子
出版者
同志社大学
雑誌
同志社国文学 (ISSN:03898717)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.1-8, 2007-12