著者
中村美知子
出版者
山梨医科大学
雑誌
山梨医科大学紀要 = 山梨医科大学紀要 (ISSN:09105069)
巻号頁・発行日
no.15, pp.35-41, 1998
被引用文献数
2

類似エネルギー(約600kcal )でPFC(protein :fat :carbohydrate)比の異なる食物を,異なる日の朝食として健常者(n=7)が摂取し,食後の空腹感と血中脂肪酸・アミノ酸濃度の変化を調べた。その結果,食前は3回とも空腹感が強かったが,食後に満腹感を強く感じたのは蛋白食で,ついで脂質食であり,両食後5時間を過ぎても食前と比較して空腹感が強くはなかった。炭水化物食摂取5時間後は空腹感が強く耐えられない者が多かった。満腹感と有意の正相関を示したのは血清トリグリセリドとインスリン濃度であり,負相関があったのは血清総タンパク濃度だった。血漿アミノ酸は,蛋白食後に必須アミノ酸(EAA)が有意に上昇し,それとともに満腹感が増強する傾向にあり,EAAのすべてと満腹感,特に分枝鎖アミノ酸のLeu,Ile,Val や芳香族アミノ酸のPhe ,Tyr と相関が高い傾向であった。満腹感と血漿脂肪酸濃度との関係は,リノール酸とα-リノレン酸のみが満腹感と有意な正相関を示した。
著者
渡邉 タミ子 鈴木 奈緒 長嶋 純子
出版者
山梨医科大学
雑誌
紀要 (ISSN:09105069)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.47-53, 2001
被引用文献数
3

本研究は,父親の育児認識や協力状況を把握し,さらに父親との意志疎通と母親の育児への満足度との関連性を明らかにすることを目的とした。その研究方法は,自記式質問紙法で保育園に通っている0~4歳児までの両親230組を対象にして実施した。その結果は,有効回収率が230組中140組(60.9%)で,以下のように要約される。1.父親の協力に対する母親の育児満足は,1日の対話時間が長い程,有意に高い傾向にあった。2.父親の育児協力の中で毎日行う行為は,「入浴の世話」40%,「遊び相手」36%,「啼泣時」19%の順で高かった。「時々する」行為の割合は,全項目共60~70%の割合であった。3.父親の育児観は,「夫婦主体」が全体の70%で,「妻が主体,夫は補助」の30%を大きく上回った。また,役割分担では,「自然に決まった」が全体の30%で,「話し合う」が9%とかなり少なかった。
著者
塩澤 全司 高橋 昭
出版者
山梨医科大学
雑誌
山梨医科大学紀要 (ISSN:09105069)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.10-19, 2000

向坂兌(1853年4月~1881年6月)は,明治維新に活躍した日本の法曹界の偉人である。28歳で夭逝したため,現在その名を知る人は少ない。向坂は佐野藩に育ち,明治3年に貢進生となり,大学南校に進み,東京開成学校で学び,学力優秀であった。入江陳重,岡村輝彦らとともに,明治9年に第2回文部留学生として英国に留学し,Middle Templeにて法律を学び,明治12年に英国の法廷弁護士・バリスター(barrister)の資格をとる。その後,ヨーロッパ各国を歴訪し,明治14年5月に帰国したが,肺結核のため,同年6月14日に他界した。夭逝を悼む人が多く,顕彰碑が建てられた。これは戦争で戦火に破損されてはいるが,今も龍巌寺に存在する。向坂兌の姉は「升」といい,名古屋大学第三代学長勝沼精藏の祖母である。升は,夫・精之允が35歳で自害し,息子・五郎が40 歳で遭難死したため,孫の精藏と六郎を養育した。国際的な活躍をし,多くの人々を導いた勝沼精藏は,若くして他界した向坂兌の遺影を大切にしていた。
著者
大矢正算 木戸啓 小松紀
出版者
山梨医科大学
雑誌
山梨医科大学紀要 (ISSN:09105069)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.21-26, 1988

著作者の意向により本文は非公開です。冊子版をご覧ください。 昭和61年2月13日、狩猟会のリーダーである50歳の男が山梨県の南アルプス山中でイノシシ狩中ライフル銃が暴発して死亡したとの届け出が警察になされた。法医解剖により、被害者には背面腰部に遠射による射入銃創が、陰茎根部直上に射出銃創が認められた。めずらしいことに陰茎包皮内に再貫通銃創もみられた。死因は腸および腸間膜破裂ならびに腰仙椎の粉砕骨折による腹腔内出血と考えられた。凶器は口径約8mm前後の小銃であると推定された。警察での取調べの結果、加害者は狩猟会の仲間の1人である43歳の男であることがわかった。彼は被害者をイノシシとまちがえ約70mほどの遠距離から口径7.8mmのライフル銃で射ってしまったと告白した。後の現場の見分によっても、被害者はおそらくしゃがんでいる姿勢で、背面を射たれたことが確かめられた。 On 13 February 1986, there was a report to the police that a 50-year-old man, leader of a hunting party ,accidentally shot himself to death with his rifle while hunting wild boars in the South Alps of Yamanashi Prefeture. Medicolegal examination revealed that the deceased sustained a distance entrance gunshot wound in the lumbar region of the back and an exit wound just above the root of the penis. A remarkable re-penetrating gunshot wound through the prepuce of the penis was seen, too. The cause of death was considered to be an intra-abdominal haemorrhage due to ruptures of bowels and the mesenterium as well as crush fractures of the lumbo-sacral vertebrae. The wearpon was determined to be a firearm of about 8 mm calibre. Crime investigation by the police disclosed that the assailant was a 43-year-old man, a member of the hunting party. He confessed that he misstook the victim for a wild boar and shot the victim with his rifle of 7.8 mm calibre at a range of about 70 m. Subsequent investigation of the scene confirmed that the victim had been shot in the back probably in a squatting posture.
著者
渋谷 昌三
出版者
山梨医科大学
雑誌
山梨医科大学紀要 = 山梨医科大学紀要 (ISSN:09105069)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.87-96, 1998

本論文ではaging に関する展望を試みた。aging についての社会心理学的な問題点を次の観点から考察した。(1) 老人イメージの歴史的な変遷とaging への適応,(2) 高齢者の孤独感と幸福感,(3) 結婚生活の変化の問題,(4) aging と性格特性との関係。本論文でとりあげたaging に関する論文からaging についての問題提起をすることができた。
著者
小玉 正弘
出版者
山梨医科大学
雑誌
山梨医科大学紀要 = 山梨医科大学紀要 (ISSN:09105069)
巻号頁・発行日
no.3, pp.50-56, 1986

宇宙線によって大気中で生成された二次宇宙線中性子つまり大気中性子が土壌中を伝搬するとき、土壌成分だけでなく、土壌中に含まれる水分による散乱と吸収の影響を大きく受けて減衰する。大気中性子と土壌水分量との定量的関係を地表からの深さの関数として実験的に求め、前者が後者のリモートセンシングに利用できる可能性を示す。地表面上下附近での大気中性子の振舞を考察しつつ、宇宙線の土壌科学的応用について述べる。
著者
キャラカー リチャード ラッセル
出版者
山梨医科大学
雑誌
山梨医科大学紀要 = 山梨医科大学紀要 (ISSN:09105069)
巻号頁・発行日
no.14, pp.61-65, 1997

Foreign language teaching in universities, like other disciplines is dependent upon the continuous evaluation of its students. Testing of language skills traditionally utilizes line item multiple choice questions types due to its ease of administering and evaluation. Students often view such examinations with a combination of anxiety and disinterest, rarely retaining any learning benefits. In addition, such test types do not get at all the skills acquired in spoken language classrooms. A different testing method is required which both adequately evaluates students' oral English proficiency, and raises students' interest in learning the language. Tests that are both motivating and serve the administrative interests of the institution and the students should be the goal of all English language classes.
著者
伊勢崎 美和 高野 和美 望月 優子
出版者
山梨医科大学
雑誌
山梨医科大学紀要 = 山梨医科大学紀要 (ISSN:09105069)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.71-75, 1999

高齢患者のQOL(Quality of Life;生活の質)が満たされていることが重要であると言われているが,今回QOLのうち,特に主観的幸福感とADL(Activities of daily living;日常生活動作)との関係を明らかにするために,以下の調査を行った。方法は,本学医学部附属病院に入院あるいは通院中の,60歳以上の男女36 名を対象とし,QOLすなわち主観的幸福感にはPGC-L スケール,LSI-K スケール,ADLの評価には日常生活動作テストの尺度を用いて,面接法で実施した。その結果,主観的幸福感はADL(更衣動作と食事動作)と本人の楽観的な考え方と関係していた。更に,主観的幸福感はADLの更衣動作と負の関係であったことから,医療者の関わりが反映しやすいことが考えられる。
著者
村松 仁 森 千鶴 永澤 悦伸
出版者
山梨医科大学
雑誌
山梨医科大学紀要 (ISSN:09105069)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.42-47, 2000
被引用文献数
5

近年,香りの人体へ及ぼす影響について検討した研究により,様々な効果があることが明らかとなってきている。その中に不安の軽減やストレス軽減などの精神面への効果がある。この精神面に対する効果を精神看護に応用することは,精神看護の幅を広げることにつながり,非常に意義深いことと考える。今回はその基礎的なデータを収集する目的で,精神的ストレスがある状態でグレープフルーツの香りを提示した場合,どのような影響が起こるのかを実験により検証した。その結果,グレープフルーツの香りには,心理指標において状態不安を軽減し,覚醒水準を上昇させる傾向があり,リラクゼーションに応用できる可能性があることが示唆された。
著者
川田 殖
出版者
山梨医科大学
雑誌
山梨医科大学紀要 = 山梨医科大学紀要 (ISSN:09105069)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.43-51, 1987

新約聖書の生命観は旧約のそれを前提し、ある点でそれにとって代っている。本稿は新約聖書記者の関係記事を検討して、そこに見られる生命観の特質を明らかにしようとする試みである。イエスの奇蹟物語と譬話の叙述には、生命の創造者・維持者たる神との正ししい関係に人を生かす「神の国」の現実的到来の事実が示されている。また初めからイエスを霊的存在としてとらえたバウロにとって、イエスは救い主・キリストであるとともに、人間生命のいっそう大きな広がりを啓示する存在であった。福音書記者ヨハネにとってイエスは神の子であり、神に至る道であり、復活であり、生命であり、彼を信ずる者は死を味わうことなき「神の国」で永遠の生命を現に受けている。以下この枠組の中で新約聖書の病気観、死生観、復活観が論じられ、キリスト教の信仰・希望・愛の究極的基礎たる終末論的生命観の検討をもって結ばれる