- 著者
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炭山 宜也
- 出版者
- 一般社団法人 情報科学技術協会
- 雑誌
- 情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
- 巻号頁・発行日
- vol.69, no.10, pp.445, 2019-10-01 (Released:2019-10-01)
2019年10月号の特集は「世界の産業財産権のいま」です。産業財産権には特許権,実用新案権,意匠権及び商標権があります。以前は「工業所有権」とも呼ばれていましたが,2002年に策定された知的財産戦略大綱にて「産業財産権」に用語が統一されました。似たような言葉で「知的財産権」というものがありますが,産業財産権に馴染みのない方にとって,これらの言葉の関係は結構あいまいなものではないでしょうか。またサーチャーにとっては,調査対象として馴染みはあるものの,その歴史や制度に関してはそれほど詳しくないという方もいるのではないでしょうか。本特集では産業財産権の概要を理解する入門編的位置づけとして,その歴史や制度,最近のトピックスについて5人の方々から解説をいただきました。総論では株式会社ワイゼルの青山高美氏に特許の事例や知的財産権と産業財産権の関係を含め,広く知的財産制度について概説していただきました。山口和弘氏には,産業財産権と関わりの深い国際条約について,知的財産に関する条約の多くを管理する世界知的所有権機関(WIPO)を中心に解説をいただきました。特許庁の野仲松男氏には,世界の特許制度の動き,主要特許庁や国際出願による出願動向を中心に解説をいただきました。オンダ国際特許事務所の山崎理恵氏,森有希氏には,日中欧米の意匠制度の比較を中心に,日本の意匠法改正のポイントも含めて解説をいただきました。ユアサハラ法律特許事務所の青木博通氏には,世界の商標制度の基本構造や欧中米の比較,国際登録制度,及び各国の制度の特異性について解説をいただきました。いずれの方々からも分かりやすく解説をいただき,本特集記事を通読することで,産業財産権制度に馴染みのない方々にとって,広く知識を得ることができるものと考えています。また本特集が,産業財産権制度により深く興味を持つためのきっかけとなれば幸いです。(会誌編集担当委員:炭山宜也(主査),渋谷亮介,寺島久美子,南山泰之,野村紀匡)