- 著者
-
大石 武士
大塚 章宏
藤田 隆介
黒川 広行
松原 康二
- 出版者
- 近畿大学農学部
- 雑誌
- 近畿大学農学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Agriculture of Kinki University (ISSN:04538889)
- 巻号頁・発行日
- no.33, pp.25-30, 2000-01-01
[Author Abstract]Two experiments were carried out to reexamine the methods for converting coffee residue into poultry feed. In experiment 1, 15% and 30% untreated coffee residue diets were given, and in experiment 2, 15% and 30% boiled and filtered coffee residue diets were given to laying hens. Untreated coffee residue diets decreased the feed intake and egg production. Diarrhea and soft egg shells also resulted from untreated coffee residue diets. The 15% boiled and filtered coffee residue diet significantly improved feed intake and egg production, whereas the 30% boiled and filtered coffee residue diet resulted in low feed intake and egg production compared with the 15% coffee residue diet. Low yolk color and thin eggshells also resulted from the boiled and filtered coffee residue diets.[著者抄録]コーヒーの消費の増大に伴って副産物として多量にコーヒー粕が排出され,その処理にコーヒーメーカーは苦慮している。環境対策や省資源の面から産業廃棄物として処理されているコーヒー粕を有効利用することは意義のあるものと考えられる。コーヒー粕を飼料化するためには,特有の苦みや臭いによる嗜好性の低さを改善する必要がある。手軽で安価に嗜好性を改善するための方法としてコーヒー煮沸・濾過をくり返すことが,鶏のコーヒー粕に対する嗜好性を改善するかどうかを検討するための実験を実施した。市販配合飼料の15%および30%を無処理のコーヒー粕で代替し産卵鶏に給与した実験1では,代替割合に関係なく飼料摂取量は通常の1/2程度まで低下し,産卵率も著しく劣り,軟卵や下痢などの発生が認められた。市販配合飼料の15%および30%を60分間の煮沸・濾過処理を施したコーヒー粕と代替して給与した実験2では,15%の代替では飼料摂取量および産卵率は市販配合飼料を給与した対照区とほとんど差は認められない程度まで改善された。しかし,30%の代替の場合,摂取量,産卵率ともに無処理のコーヒー粕代替飼料に比べれば改善されたが,対照区に比べ有意に劣っていた。従って,コーヒー粕に60分間の煮沸・濾過処理を施せば,15%程度までなら飼料としての利用が可能と思われた。ただし,煮沸・濾過処理コーヒー粕で代替することによって卵殻の厚さや卵黄色調等の卵質の一部に低下傾向が認められるので,これらを防ぐための処方も必要と考えられた。