著者
服部 誠 高岸 亘
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.160-165, 2019-04-01 (Released:2019-04-01)

近年急速展開を遂げる第4次産業革命の動きの中でIoT,ビッグデータ,人工知能(AI)等のイノベーションを活用したサービスが登場した。その中で生じる新たな多種多様の著作物等の知的財産を適法かつ柔軟に利用するための法的インフラ整備の要請の高まりを受け,平成30年5月18日に著作権法が改正され,柔軟な権利制限規定等が整備された。また,第4次産業革命においては,ビッグデータ等の情報(データ)の利活用の促進が重要であるところ,不正競争防止法が改正(平成30年5月30日公布)された。本稿は,データを扱ううえで特に重要となる上記著作権法と不競法の改正を中心に説明し,昨今の知的財産法の動向の理解を深めることを目的とする。
著者
青柳 英治
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.144-149, 2019-04-01 (Released:2019-04-01)

本稿の目的は,中堅のインフォプロが資料情報を提供・管理するために必要となる知識・技術を確認することである。まず,INFOSTAの「検索技術者検定」とJPCOARの教材「研究データ管理トレーニングツール」を検討し,求められる知識・技術を確認した。次に,関係団体の提示したインフォプロに必要とされる知識・技術を整理し,前段で確認できた知識・技術がどのように位置づけられるのかを検討した。その結果,今回,検討した検定試験の問題と教材は,インフォプロに求められる知識・技術に即したものであり,資料情報の提供・管理に求められる知識・技術であると見なし得ることがわかった。
著者
井上 理穂子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.458-463, 2010-11-01

映像アーカイブを実施するにあたっては,アーカイブをしたい映像,そしてそれに含まれる著作物が何なのかについてまず明らかにし,それらに対して「誰の」「どのような」権利が関係しており,どのような許諾が必要となるのか検討し,さらに権利者に許諾を取る必要がある。本稿では,「誰の」「どのような」権利に対して,どのように許諾を取ったらいいのかについて,具体例をあげながら検討をし,明確にした。また,映像アーカイブに関わる権利制限規定について,現在(2010年8月)議論となっている日本版フェアユースの可能性とそれが映像アーカイブに及ぼす影響について明らかにした。
著者
林 隆之
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.158-163, 2017

<p>研究評価は,過去には研究者個人の研究業績や研究プロジェクトをピア(同分野の専門家)が科学的知識の妥当性から評価することが中心であった。しかし,研究活動自体が多様化するとともに,機関や組織による研究マネジメントの重要性が増し,研究成果による社会・経済的効果も期待されるようになる中で,研究評価の対象は拡大し,評価指標は多様化している。本稿では,研究評価の現状を概観することを目的に,研究評価の種類,大学等の機関の研究評価が導入された政策的背景,研究評価の方法の考え方,指標の多様性の必要性,インパクト評価の導入と課題,研究マネジメントへの活用について説明する。</p>
著者
調 麻佐志
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.317-323, 2004-06-01 (Released:2017-05-25)
参考文献数
18

近年. bibliometrics指標を用いた研究評価に関心が集まっている。しかし,専門家の間ではbibliometrics指標を安易に利用した研究評価,特に個人の研究業績評価が問題視されている。本稿は,引用データの活用を中心にこれを論じるものの,論文数を利用しても同様の問題は生じる。とはいえ,手法の限界を踏まえた上でbibliornetrics指標を利用するのであれば,それは研究評価に様々なメリットをもたらすことが期待できる。重要なのは,指標を使う際にデータの性質や手法の意味を理解して,適切な文脈で結果を解釈することである。
著者
菊池 隆
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.169-171, 2018

<p>鎌倉市図書館ツイッターでは,図書館の行事ばかりでなく,近隣の情報などもツイートするなどの工夫をしている。そのような中,平成27年8月,メッセージ性の高いツイートで全国的に認識されるようになった。それ自体は喜ばしいことではあるが,公的機関における情報発信には多方面への配慮が必要で,認知度の高いメッセージ性がある内容を発信することには限界がある。また,利用者の属性によってはSNS以外での情報発信が効果のある場合もある。制約のある中,いかに多くの市民,利用者に情報を見てもらうかが重要である。</p>
著者
杉浦 徳利
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.11, pp.559-565, 2018

<p>インターネット書店の隆盛で,従来型の書店は淘汰の波にさらされている。一方で実空間の店舗ならではの"ぶらぶら歩き"による「思いがけない図書との出合い」を期待する声も根強い。図書との思わぬ出合いを促すような書店の設計を目標に据えつつ,書架のブラウジング実験を行った。見る,触れる,手に取る,読むのような図書への関与の行動の発生頻度と書架配置および図書の配架方法との関係について論じる。さらに機械学習の枠組みの一つである帰納論理プログラミングを用いて,特定の書架配置と配架方法に固有な,被験者の潜在的行動パターンを発見する試みについて紹介する。</p>
著者
森 大二郎
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.9-14, 2013-01-01 (Released:2017-04-18)
参考文献数
17

検索エンジンが次の数十年で社会にもたらす変革について予想する。情報端末とヒューマンインタフェースの進歩は,検索エンジンの利便性を飛躍的に高め,人間の記憶と意志決定を強力に支援するようになる。検索サービスを利用する契機が拡大することにより,より多くのユーザデータのフィードバックが得られるようになり,検索精度の大幅な向上も期待できる。一方で,情報取得に対する能動的な態度が損なわれ,類型的で偏向した情報にユーザが満足する危険性についても指摘する。