著者
山田 満 山本 真弓
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.35-42, 2001-03-31

近年アレルギー疾患が増加する傾向にあり,アレルギー患者は国民の3分の1という高率になるという。そこで食物アレルゲンの一つである牛乳を対象として,牛乳の殺菌温度別アレルゲン性を測定し,アレルギー発症との関係について動物実験により比較検討を行った。抗原として低温殺菌牛乳(63℃30分),超高温殺菌牛乳(130℃2秒)および煮沸乳(100℃20分)を用い,マウス,ラットの腹腔内に注射し感作させた。アレルギー反応の確認はマウス血清IgE抗体値の測定と,ラット平滑筋のSchultz-Dale反応による抗原体反応によって確認した。その結果,低温殺菌乳に比べ超高温殺菌乳のマウス血清IgE抗体含有率の方が有意に高いことが分かった(P<0.05)。超高温殺菌乳と煮沸乳のIgE平均含有率の間には有意差は認められなかったが,高温で加熱時間の長いほどIgE値の高くなる傾向がみられた。一方,ラットによるSchultz-Dale反応でも低温殺菌乳では平滑筋の収縮は見られなかったが,超高温殺菌乳と煮沸乳では1分以内に著しい筋肉の収縮が認められた。これらのことより低温殺菌乳は,超高温殺菌乳に比較してアレルゲン性が弱く,加熱温度の高くなるほどアレルゲン量が増加し,アレルギー発症の原因になりやすいのではないかと考えられる。
著者
増田 安政 小川 勇 山田 満 西村 仁三 高橋 宏
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.526-530, 1969 (Released:2011-10-19)
参考文献数
14

We investigated the effect of sulphur spring in bathing and its oral use on fasting blood sugar and alimentary hyperglycemia of 24 healthy adults. Mood sugar were measured by Somogy-Nelson's method and following results were obtained.When the temperature of hot spring water was maintained at 40°C, very few cases revealed the increase of blood sugar immediately after bathing, but on the other hand when it was maintained at 43-44°C, more than half of the cases increased, as the time passes by, however, the blood sugar values in the both groups showed the trend toward decrease and no remarkable differences between were noted.While apparent decrease of blood sugar by drinking tap water was not observed after one hour, by drinking of sulphur spring water 6 cases revealed the decrease, and further after 2 hours in the former no influence was found except only one case, but in the latter 8 cases showed apparently the decrease of blood sugar.No significant differences of blood sugar levels were observed between both groups, one administered glucose dissolved in tap water and the other supplied that dissolved in hot spring water orally.When took a bath after drinking of glucose solution, after 2 hours blood sugar showed same level or decreased, but after 3 hours almost all cases decreased as compared with the value before bathing.Those blood sugar lowering effect was supposed to be due to the action of gas such as sulphureted hydrogen through skin and further in its inhalation and further more due tö the thermal stimulus in bathing.
著者
山本 真弓 山田 満
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.33-43, 1997-03-31

1)人工胃液のpH1ではすべての乳酸菌の失活が認められた。2)ビフィズス菌は製剤においてpH1&acd;4のどのpHでも60分後にはビフィズス菌が死滅しており,製品についてもpH2で失活することからビフィズス菌の腸への到達は難しい。3)ビフィズス菌以外の乳酸菌はpH1ではすべて失活するが,pH2では120分後まで生存する確率が高く,pH3&acd;4では120分後で全て生存がみられた。4)菌別にみると,L. acidophilus,L. bulgaricus,St. thermophilusはpH2に耐えられ,比較的耐酸性があった。
著者
山本 真弓 山田 満
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.27-34, 1999-03

生食用野菜の洗浄について強酸性水と水道水による比較検討したところ,明らかに差がみられ,強酸性水の除菌効果の方が高かった。初発菌数に対する除菌率においてもほとんどが90%以上であり,一般細菌については特に顕著な差が認められた。野菜の種類別では強酸性水はカイワレ大根の洗浄に特に有効であり,一般細菌,大腸菌群とも除菌効果が認められた。本研究の要旨は第57回日本公衆衛生学会(1998・岐阜)において発表した。
著者
山田 満
出版者
JAPAN ASSOCIATION OF INTERNATIONAL RELATIONS
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.116, pp.46-63,L8, 1997-10-18 (Released:2010-09-01)
参考文献数
50

ASEAN will be composed of ten countries in the near future. The forms of government in the ASEAN countries is conceptualized as authoritarian regime for development. Authoritarian regimes in ASEAN take many forms such as military regime, single-party dictatorships, the ruling coalition, personalist autocracies, and absolute monarchies. They refuse the concept of Western democracy claiming that it does not bring stability and development for developing countries. The authoritarian characteristics of the Indonesian government and the Malaysian goverment are analyzed in this paper.The Suharto government is called the “New Order”. Suharto controlled the army, the bureaucracy, and the business community. He is supported by Golkar, which is a corporatist group that includes the entire bureaucracy, the armed forces, and the business sector. Golkar has won six elections overwhelmingly since the advent of the New Order. He promotes the economy for development in Indonesia based on the authoritarian system which is supported by the army, technocrats, and Golkar.The Mahathir government is supported by an UMNO-led coalition of parties representing the three ethic groups. The Malaysian government has promoted the New Economic Policy which eradicates poverty and channels more of the nation's wealth to the Malays during 1971-1990. Mahathir attempts to complete his developmental policies through some visions such as “Look East policy, ” “Malaysia Incorporated, ” and “Vision 2020.” The purpose of his authoritarian regime for development regime is to realize the ethic balance after the disturbance of 1969. His popularity becomes higher and higher because of his leaderships. This was seen in the overwhelming victory of the 1995 election.Finally, the middle class is growing in ASEAN. Do they contribute to democratization in their own countries? In the case of both countries, they are conservative generally because their consumptive lives depend on the developmental government. However, I conclude that the degree of democratization between the two becomes greater and greater because of the size of population, the characteristics of leaderships, the rise of the middle class, and the distribution of economic development.
著者
梅森 直之 坪井 善明 田中 ひかる 土屋 礼子 小林 聡明 鈴木 恵美 鶴見 太郎 加藤 哲郎 李 成市 野口 真広 毛里 和子 山田 満 若林 正丈 篠田 徹 齋藤 純一 浅野 豊美 安井 清峰 最上 敏樹 土佐 弘之 山崎 眞次 八尾 祥平
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

東アジア諸国間の対話と交流は、歴史に由来する論争により妨げられており、そのため東アジアの歴史和解の試みは「失敗」であると総括されることが多い。しかしながら、東アジアにおける歴史認識には、単に戦争責任だけでなく植民地責任をめぐる問題が主題化されており、世界的に重要な先駆的実践として評価されるべきものがある。東アジアの各地域は、民主化と経済発展を、異なる時期に異なるプロセスとして経験し、そのため現在の歴史に関する国民感情にも、大きなズレが生じている。東アジア諸国がこのズレを認識し、既存の国際法体系の批判的に検討しつつ歴史共同研究を推進することで、東アジアの歴史和解を推進することが可能となる。
著者
宮戸 健二 河野 菜摘子 山田 満稔 浜谷 敏生 中村 浩幸
出版者
国立研究開発法人国立成育医療研究センター
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

からだの内側は、粘膜上皮に覆われ、ウイルスや細菌、微小粒子状物質(PM2.5)の侵入から守られている。我々が発見したマイクロエクソソームは、卵や、生殖器と泌尿器を含む管腔構造の粘膜上皮から分泌される。マイクロエクソソームは、エクソソームと共通の成分を含むものの、構造が全く異なる逆ミセル状の構造体である。我々の研究から、マイクロエクソソームは、2つの役割(細胞膜の修復とウイルスの捕捉)を担っていることが推測される。本研究ではマイクロエクソソームを手がかりに、一見別々に見え、我々にとって身近な『子供の産まれやすさ』と『感染症への罹りにくさ』をつなぐ分子メカニズムの解明をめざす。
著者
山田満編
出版者
明石書店
巻号頁・発行日
2018
著者
山田 満
出版者
和歌山大学
雑誌
和歌山大学教育学部教育実践研究指導センター紀要 (ISSN:09182683)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.113-120, 1998

子どもたちがマスメディアを通して垣間見る国際社会は,サミットの議題となる先進諸国間の経済摩擦やそれをめぐる政治交渉であったりする。そして,発展途上国の貧困や飢餓の問題であったり,あるいは民族紛争や地域紛争を起因とする大量の難民流失や彼らの悲惨な光景であったり,さらには経済的目的のために移民する外国人労働者であったりする。そこで,錯綜化する現代国際社会の諸問題を本質的に理解する能力と解決への糸口を考察する能力を培う揚が求められている。現在の教育現場で推進されている国際理解教育はその意味で重要な役割を負っていると言えよう。しかしながら,日本の「国際理解教育」が予期する理念・目的だけでは現代的諸問題を理解するには不十分であると言わざるを得ない。本稿では国際関係論的視野から「国際理解」や「国際協力」を含めたグローバル教育の必要性を提起してみたい。
著者
金子 芳樹 浅野 亮 井上 浩子 工藤 年博 稲田 十一 小笠原 高雪 山田 満 平川 幸子 吉野 文雄 福田 保
出版者
獨協大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究のASEANを①拡大と深化の過程、②地域横断的イシューの展開 、③域内各国の政治社会変動分析という観点から「国際・地域・国内」の3次元で捉え直すという目的に沿って、第1年目の平成29年度においては、各担当者が現地調査や文献調査を中心に国別、イシュー別の調査を進めた。また、本研究のもう一つの特徴である「ASEANとEUとの比較」という観点については、その第1歩としてEU研究者を報告者に招聘して研究会を複数回開催し、EUの組織や地域統合のあり方などについて研究分担者・協力者の理解を深める活動を行った。その際、ASEANとEUの両研究分野の相互交流や共同研究を今後進めていくことについても、その体制造りなどを含めて意見交換を行い、具体的な段階へと歩を進める準備を行った。さらに、本研究の研究成果を逐次社会に公表していくという目的と、研究の新たな展開と蓄積のために他国や他分野の研究者との情報・意見交換を進めるという目的に沿って、国内の公開シンポジウムや学会ならびに他国開催の国際研究集会に研究分担者・協力者を派遣もしくは参加支援を行った。また、各研究分担者・協力者は、本研究のテーマもしくは関連テーマに関する論文および書籍の発表・刊行を積極的に行った。これらを通して、研究成果の公表とフィードバック、新たな研究知見の獲得、国内外での研究人脈の形成といった面でそれぞれに成果を得ることができた。上記のような諸活動を通して、1年目の目標であった本研究の基盤作りを着実に進めることができ、2年目以降のステップアップに向けた準備を整えることができた。
著者
山本 真弓 山田 満 ヤマモト マユミ ヤマダ ミツル Mayumi Yamamoto Mitsuru Yamada
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編
巻号頁・発行日
vol.37, pp.33-43, 1997-03-31

1)人工胃液のpH1ではすべての乳酸菌の失活が認められた。2)ビフィズス菌は製剤においてpH1&acd;4のどのpHでも60分後にはビフィズス菌が死滅しており,製品についてもpH2で失活することからビフィズス菌の腸への到達は難しい。3)ビフィズス菌以外の乳酸菌はpH1ではすべて失活するが,pH2では120分後まで生存する確率が高く,pH3&acd;4では120分後で全て生存がみられた。4)菌別にみると,L. acidophilus,L. bulgaricus,St. thermophilusはpH2に耐えられ,比較的耐酸性があった。
著者
山田 満 山本 真弓 ヤマダ ミツル ヤマモト マユミ Mitsuru Yamada Mayumi Yamamoto
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編
巻号頁・発行日
vol.41, pp.35-42, 2001-03-31

近年アレルギー疾患が増加する傾向にあり,アレルギー患者は国民の3分の1という高率になるという。そこで食物アレルゲンの一つである牛乳を対象として,牛乳の殺菌温度別アレルゲン性を測定し,アレルギー発症との関係について動物実験により比較検討を行った。抗原として低温殺菌牛乳(63℃30分),超高温殺菌牛乳(130℃2秒)および煮沸乳(100℃20分)を用い,マウス,ラットの腹腔内に注射し感作させた。アレルギー反応の確認はマウス血清IgE抗体値の測定と,ラット平滑筋のSchultz-Dale反応による抗原体反応によって確認した。その結果,低温殺菌乳に比べ超高温殺菌乳のマウス血清IgE抗体含有率の方が有意に高いことが分かった(P<0.05)。超高温殺菌乳と煮沸乳のIgE平均含有率の間には有意差は認められなかったが,高温で加熱時間の長いほどIgE値の高くなる傾向がみられた。一方,ラットによるSchultz-Dale反応でも低温殺菌乳では平滑筋の収縮は見られなかったが,超高温殺菌乳と煮沸乳では1分以内に著しい筋肉の収縮が認められた。これらのことより低温殺菌乳は,超高温殺菌乳に比較してアレルゲン性が弱く,加熱温度の高くなるほどアレルゲン量が増加し,アレルギー発症の原因になりやすいのではないかと考えられる。
著者
山田 満 吉川 健治
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

広義の平和構築を考えると、長期的視野を持った社会経済的開発が求められ、特に社会開発・人間開発の視角から平和構築に必要な適正規模の「開発」とは何かが問われている。本研究では、紛争経験国のラオスと新生国家で開発段階に至った東ティモールとの比較研究を行った。その結果、政治体制及び独立に至る歴史的背景、つまりラオスはインドシナ旧仏領諸国との連携、また東ティモールは国連やドナー諸国の援助という外部アクターとの関係性が開発方法の基本的な相違点として浮き彫りになった。
著者
後藤 乾一 塩崎 弘明 山田 満 吉野 文雄 玉木 一徳 山崎 功
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

平成18年5月、本研究グループは、平成15-16年度の基盤研究B(課題番号 15330034)の研究成果を『東ティモール『国民国家』を巡るエスニシティと国際・地域環境』として上梓し、その成果をさらに深めることを本年度の課題とした。その概要は以下のとおりである。(1)独立後最初の深刻な内部対立(地域差が主因)が発生したが、その直後に現地調査を行い、権力構造、経済事情に関する基礎的資料を収集した。(2)混迷する経済の活性化には、一定の外国援助・投資が必要であり、特に日本の関与が『期待』されている。その観点から日本政府、企業。NGOの体東ティモール政策・関与の実態を聞き取り調査を含め実施した。(3)日本との関係においては、今なお戦時期の軍事占領に起因する微妙な対日感情が見られるが、この点につき前年度に現地で行った聞き取り調査のテープ記録を起こし分析した。(4)東・東南アジアでは経済分野における域内関係が密接化しているが、東ティモールも経済規模はきわめて弱体ではあるものの、こうした潮流に加わることを課題としている。そのような観点から、アセアンさらにはAPECなどの地域協力機構、その加盟国はどのような東ティモール政策を準備しているかについて実態調査を行った。(5)2002年5月の独立に際しては最大の宗教勢力であるカトリック教会が重要な役割を演じたが、今回の政治的・社会的・文化的な亀裂の修復にはどのような役割を果たしたのか(あるいは果たせなかったのか)につき、教会側の動きについて、主に現地で活動する日本のカトリック系NGOからの聞き取り調査を行った。以上の諸活動およびそこから得られた情報・資料・データについては、現在のきわめて流動的な状況が一段落をした時点で分析を行い、平成20年3月をめどに最終報告書を取りまとめる予定である。
著者
黒柳 米司 浅野 亮 稲田 十一 小笠原 高雪 金子 芳樹 菊池 努 佐藤 考一 玉木 一徳 吉野 文雄 山田 満
出版者
大東文化大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

(1)米国の対ASEAN政策の積極化、(2)中国の存在感の顕著な増幅、(3)日本の存在感の長期的凋落、および(4)「地域としての東アジア」の顕在化などという方向で変容する地域国際環境の下でASEANは、(1)「ASEAN憲章」の採択・発効、(2)インドネシア民主主義の確立などの成熟を示したものの、(3)タイの軍事クーデター、(4)タイ=カンボジア武力衝突、(5)ミャンマー軍政の民主化停滞など、後退局面がこれを上回りつつある。