著者
三橋 洋子 小林 幸子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.139-149, 2000-03

永平寺の修行僧の食事には曹洞宗の開祖・道元禅師によって書かれた「典座教訓」の精神が根底にある。そこには「僧の役割の一つである炊事,調理を分担する典座は仏に仕える修行の心に通じる」と書かれており,そこに説かれている「赴粥飯法」の精神から現在失われがちな食に対する感謝や自然の恵みに対する謙虚な態度を学ぶことができる。永平寺で実際供されている食事はどのようなものか,またそれらはなぜ食する人々の心を捉えるのであろうか。今回その調査のため永平寺に赴き参籠した。永平寺典座・山脇氏の好意により修行僧に供される食事の献立を入手することができた。それによると,小食(朝食)は粥,胡麻塩,沢庵といった質素なもの,中食(昼食)・薬石(夕食)は主食,汁物,平,小皿で様々な食材,調理法を用いたバラエティーに富んだ内容であった。使用される食材は穀類,野菜類,果実類,豆類,きのこ類,海草類などで,当然のことであるが肉,魚,卵,乳製品は使用されておらず修行僧の一日の摂取熱量は1,000∿1,200kcal程度である。その中で健康を維持し毎日の厳しい修行を持続させることができるのは精神修行によるものが大きい。しかしそれだけでなく若い修行僧にも受け入れられるような食材料,調理法の工夫がなされていることも献立を見て知ることができる。食材に対する愛と感謝の気持ち,食べてもらえる喜びすなわち喜心,老心,大心の「三心」にこそ永平寺の精進料理が尊ばれる理由があることが修行僧の生活の中から伺うことができる。
著者
大野 信子 仁平 佳奈 小平 了二
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
no.35, pp.p11-19, 1995-03
被引用文献数
2

市販のシイタケ,シメジ(ブナシメジ),マイタケ,エノキタケを適当に刻み,これらを材料の一つとして用いて茶わん蒸しを調理した場合,マイタケを用いたものは卵液が凝固することがなかった。マイタケ子実体からは,これを細かく刻み,蒸留水に浸漬するだけで多量のプロテアーゼが溶出してきた。これに対して,浸漬液中のアミラーゼ,キシラナーゼ,セルラーゼの活性はほとんど検出されないか極めて微弱であった。浸漬条件の若干の検討結果等から子実体には,酸性領域で働く酵素と,中性からアルカリ性領域で働くプロテアーゼの存在が示唆された。両酵素とも活性の至適温度は50℃にあったが,70℃においても30℃におけると同程度のかなりの活性を維持した。本研究を遂行するにあたり,実験に協力下さった和洋女子大学根本真里栄さん,吉野真由美さん,実験協力やご助言を頂いた千葉大学藤井貴明教授,篠山浩文助教授,また試料の提供やご助言下さった合同酒精株式会社,小林文男氏に感謝いたします。

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著者
中込 省三
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
no.35, pp.p191-198, 1995-03
著者
嶋根 歌子 長谷川 寛子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.95-108, 1994-03-31

高校の学校指定靴の実態とその問題点を明らかにする為に,女子高校2年生122名を対象として調査を行った。さらにアンケートに協力してもらった高校生の内40名を被検者として,立位時足部測定と足底圧分布の測定を行い,足型と靴型の形態的な適合性を検討した。結果を要約すると次のとうりである。I靴に対する意識と履用実態1.足幅サイズについては高校生122名中108名(87.8%)が「不明」と回答しており長さに対する認識に比べ幅についての認識が非常に低い。2.履用されている学生靴の型は「普通C型」(45.6%)と滑り止め付き底の「デラックスC型」(44.8%)で,「C型」が約90%と大多数を占め,好まれている型と思われる。3.購入時の状況は前の靴が古くなったり壊れた為など,何等かの問題が出た為の買い換えが大半を占めた。購入してからの履用期間は回答があった83名だけで平均を出すと約9.8カ月となった。靴になんらかの修理加工をした18名は全員がC型を履用し,中でも普通C型が12件で多い。4.現在トラブルがある者は,19名。ストッキング着用時期20名60.5件,ソックス着用時期に26名74.5件となる。合計でも全体の45.5%にあたる56名の者が何らかのトラブルを経験し,件数では154件にも上る。トラブルは踵部,足部先端部やアキレス腱部に集中している。5.学生靴への意見・要望では機能性関連の不満を訴える者が最も多く,その中でも耐久性の不足を指摘する意見が19件にも上った。ついで履き心地関連が15件であった。
著者
嶋根 歌子 藤原 和歌子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.217-227, 2000-03
被引用文献数
1

寝室の温湿度条件は寝具をとうして寝床内気候に影響し,睡眠の質的レベルに大きく関わる。特に近年の暑熱環境下では快適な条件は得られず,冷房機による調節でより安眠環境を得る家屋が増えてきている。一方環境問題や省エネルギー志向あるいは冷えによる体調不良が問題となり健康志向が高まるなかで,冷房に頼らない,寝室環境や寝具の工夫及び改善が求められている。本研究は,昔の人の知恵を借り,敷寝具の工夫で暑熱を和らげられるかという観点から,寝床内気候,衣内気候の計測と共に,睡眠中の寝姿勢や体動から睡眠の質を捉えようと試みた。主たる結果は,次ぎの様である。1.目覚め感と体動回数との関係は,"ゴザ"の方が眠れたと回答した被験者の体動回数が,通常使用している"ふとん"に比べ少なかった。一方,"ゴザ"の方が眠れなかったと回答した者は普段柔らかいふとんに寝ており,ゴザの表面が硬いことにより,頻繁な体動を繰り返し,身体が不安定で眠りが阻害されたと考えられる。2."ゴザ"を敷くことにより仰臥姿勢がやや減少する一方,側臥姿勢が増加する傾向にあった。一晩中にとった最も長い保持時間は,"ゴザ"の方が長く,平均54分(標準偏差14.16)であり,ふとんは平均43.8分(標準偏差14.24)であった。3."ゴザ"の衣内温度は,就寝1.3時間後に約36℃の第1のピークを示し,次いで3時間,5時間後にピークを示した。衣内湿度も衣内温度のピークと同時期に高湿となった。寝姿勢はこの直後仰臥位から背を起こしたり,側臥位に変化した。寝床内温度は,34∿35℃にあったが,"ふとん"の方が高値を示し,特に101∿200分後に36℃となった。畳間も,"ふとん"の方がやや高値で推移した。相対湿度も,温度と同様,"ふとん"の方が高くなった。
著者
力丸 テル子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
no.37, pp.255-273, 1997-03

基礎統計分析の結果,調査対象の平均は年齢が18.6歳であり,身長は157.8cmであった。自宅通学が87.1%と4分の3以上を占めている。まず色彩選択の状況からアンケート調査を行った。色彩系統色名を1番∿72番まで提示した。その中より合着(春秋)夏冬で好んで着用する色,嫌いな色を質問したところ,好む色に合着では,薄いピンク,薄い青色,夏では白色,薄い青色,冬は黒色,ベージュ,白色という結果を得た。嫌いな色では,四季をとわず濃い紫色,濃い赤色,さえた赤色があげられている。いずれも薄い色,淡い色,浅い色に嗜好度が高く,嫌いな色は,さえた色,濃い色にあるようだ。スーツ・ブラウス・セーター・ワンピース・スカート・スラックスそれぞれで選ぶ色は何にかの質問では,スーツでは紺色・黒色・灰色であり,ブラウス・セーターのような上衣では,白色,黒色・薄い青色,灰色である。ワンピースでは,黒色,白色,薄い青色,またスカートやスラックスのような下衣でも,黒色・紺色,白色が好まれている。いずれも黒・白・紺・ブルー系が特に上位にあって,好まれている理由には,前で述べたような黒系は明度の高い色や暖色,膨張色とよく合い,面積を考えて用いると良い調和のとれた衣服となる。また白系も他の色と合わせやすいし,ブルー,紺系は落ちついた色で,彩度が高くても派手にならないし知的で引きしまって見える。配色がしやすいという特質をもっている。今回の調査の対象が18歳∿21歳の学生であること。以上の観点から好まれているものと思われる。つぎに柄の選択状況では,無地が全体の69.4%で第一位を占めており,第二位に横じまとチェックであった。反対に好まない柄として,水玉46.8%,横じまが22.6%である。色彩,柄の嗜好は男女によっても,年齢によっても,あるいはその人の性格などによっても個人差が大きい。また時代的,社会的要因によっても影響を受けやすい。色彩・柄は膨張感,温度感,距離感,硬較感等の性質をもっている。この性質をじょうずに衣服に取り入れることは自己の体型をふくよかに見せたり,あるいは,ほっそり見せたりするうえで効果的である。衣服の色彩・柄の選択ついては充分注意して効果的に着用したい。では襟型の選択状況から,夏用ではブラウスはウィング・カラー(Wing Collar) 25.8%ついでノッチド・カラー(Notched Collar)。ワンピースも,ウィング・カラー(Wing Collar)が第一位を占め,スクエヤー・カラー(Square Collar)の順位である。ジャケットではテーラード・カラー(taillored Collar) 30.7%,ピークド・ラペル・カラー(Peaked lapel Collar) 25.8%であった。冬用の襟型の選択では,ブラウスは夏用と同じ第一位にウィング・カラー(Wing Collar) 33.9%,ついでホースシュー・カラー(horseshoe Collar)である。ワンピースは,ノッチド・カラー(Notched Collar)。ジャケットでは夏用の襟型と順位が同じであった。いずれも若向きでスポーティであり,またソフトなタイプの年齢にも関係のない襟型をも選択している。袖型の選択状況はどうか,夏用では,セット・イン・スリーブ(Set-in Sleeve) 33.9%,そしてボックス・スリーブ(Box Sleeve) 32.3%であった。ではワンピースはボックス・スリーブ(Box Sleeve) 45.2%,ついでクォーター・スリーブ(Quarter Sleeve)である。ジャケットはツー・ピース・スリーブ(Two piece Sleeve) 53.2%でありボックス・スリーブ(Box Sleeve) 22.6%の結果を得た。冬用では,ブラウスは,セット・イン・スリーブ(Set-in Sleeve) 75.8%と全体の4分の3以上を占め,ワンピースでは,タイト・スリーブ(Tight Sleeve),そしてセット・イン・スリーブ(Set-in Sleeve)である。ジャケットでは,ツー・ピース・スリーブ(Two piece Sleeve) 75.8%という結果を得た。スカートの選択状況から,日常着はヒップボーン・スカート(Hipbone Skirt),キュロット・スカート(Culotte Skirt),スリム・スカート(Slim Skirt)の順位であり,訪問着にいたっては,スリム・スカート(Slim Skirt)が過半数の62.9%を占め,外出着では,訪問着と同じくスリム・スカート(Slim Skirt)が25.8%とラップ・アラウンド・スカート(Wraparound Skirt) 11.3%であった。以上の結果から日常着ではスポーティーな感覚と機能的で活動的なスカートを,外出着・訪問着では平凡なスタイルではあるが万人向きなスカートを選択している。では色彩・形態・柄などを選択する理由を調べたところ,第一位に「その時の気分」が答えられており全体の32.3%を占めている。第二位は「TPO」の25.8%であった。現在の学生は何んとなく,その時の気分で好きな衣服を選択し,TPOを考えて着装する。また髪型や顔型にはあまり気にしていないようである。
著者
大須賀 彰子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.81-89, 2007-03-31

本研究では、学生とその母親を対象に野菜類と魚介類の食嗜好についてアンケート調査を行った。その結果、1.過去に嫌いな食材があったと回答したものは、母親より学生の方が多かった。2.嫌いとして挙げた食材の出現率は、野菜類では「ピーマン」「セロリ」「にんじん」「トマト」、魚介類では「いくら」「うに」「かき」「うなぎ」が、学生と母親とも高かった。3.野菜類の克服率は、学生と母親ともに高い値を示したのに対し、魚介類の克服率は低かった。4.野菜類の克服状況は、学生では克服理由として「調理法」「食習慣」「食教育」が多くあげられた。5.母親では、野菜類の克服理由は「調理法」「結婚」「妊娠・子育て」があがり、魚介類は「食環境」「妊娠・子育て」があがった。このことより、母親の食に対する意識の向上が、日々の食生活を通じ、子どもの食嗜好に変化を与える可能性が示唆された。6.結論として、子どもだけでなく、母親の食教育の必要性も示唆された。今回は、野菜類と魚介類に限定して調査を行ったので、今後は他の食品の食嗜好も調査をし、さらに検討していきたいと思う。
著者
〓谷 要 小平 志乃 出山 悦代 後藤 政幸
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.111-122, 2003-03-31

キチンやキトサンと同じ2-アミノ糖を基本単位とする食物繊維糖鎖の一つである(1→4)-α-ポリガラクトサミンの化学修飾による新規機能分子化を検討した。(1→4)-α-ポリガラクトサミン2位のアミノ基を、穏和な水系緩衝溶液条件でボラン・ピリジン錯体を還元剤とする還元アミノ化反応により置換させた。置換基としては、マルトースやラクトースをはじめとするオリゴ糖を用い、種々の条件を検討した。還元アミノ化反応では、ポリガラクトサミン中のガラクトサミン残基に対するオリゴ糖のモル比に応じて、置換度が異なる生成物を得た。これらのオリゴ糖鎖導入ポリガラクトサミンを、三酸化イオウ・ピリジン錯体を硫酸化剤として、乾燥ピリジン中で硫酸化した。硫酸化生成物は極めて高い水溶性を示した。さらに、オリゴ糖鎖導入ポリガラクトサミンの分子構造を、コンピュータを用いた分子軌道計算、分子力場計算により推定した。計算結果から、オリゴ糖鎖が導入された場合、主鎖構造は僅かに湾曲した直鎖状となり、側鎖はほぼ完全に交互に位置する構造を取ることが予測された。らせん状の構造を取らなかったのは、主鎖構造の糖鎖間の結合様式によるものと考えられた。
著者
林 喜美子 湊 久美子 北村 裕美
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.167-175, 2006-03-31

中高年女性の運動習慣に影響する要因を検討する目的で、中高年女性183名(運動習慣のある者130名、運動習慣のない者51名、無回答2名)を対象に、職業の有無、運動歴、現在の運動状況などに関するアンケート調査と性格検査(YG性格検査)を実施した。対象者の平均年齢は、56.2±8.7歳であった。対象集団のうち、現在運動習慣のある者は71.0%、11年以上運動を継続している者は、48.2%であった。運動習慣のある者は、学生時代に運動経験のある者が多かった。また、現在、集団種目の運動習慣のある者は、個人種目の運動習慣のある者と比較して、運動継続年数が長かった。学生時代に運動経験のある者は、卒業後の運動経験のある者が多く、運動継続年数が長かった。職業の有無や勤務形態と運動実施との関係は、認められなかった。運動習慣のある者の性格は、運動習慣のない者と比べて、安定積極型と判定された者が多く、不安定積極型や不安定消極型と判定された者が少なかった。以上の結果から、中高年女性における運動習慣の維持には、就学期の運動経験、特に集団種目の経験が影響していることが明らかとなった。また、情緒の安定性も関係している可能性が示唆された。
著者
布施谷 節子 松本 智絵美
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.27-39, 2004-03
被引用文献数
1

The authors investigated the difference and relationship between female students and their mothers on their fashion interest and clothing behavior by questionnaire in 2002. The subjects consisted of 165 female students 108 mothers. Main results were as follows: 1) A few factors which meant the fashion interest and the purchasing behavior were drawn by factor analysis. 2) Many students judged their mothers did not dress smartly and they didn't want to dress like their mothers in future. 3) The students who went shopping with their mothers yearned for their mothers' fashion and were bought own clothes by their mothers. There was a positive relation between the shopping stores and fashion interest. 4) When the students regarded mothers' fashion with yearning, they lent and borrowed each other's clothes or fashion goods.
著者
大野 信子 岡留 美穂 李 晶
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.203-212, 2003-03

リンゴ果実青カビ病菌Penicillium expansumの酵素の生産とペクチン分解酵素を精製し、酵素化学的性質を調べた。供試菌株は、ペクチンー無機塩類培地で、比較的短時間に、培養濾液の中に、ポリガラクツロナーゼを生産した。本菌株を窒素源としてリン酸アンモニウム(0.5%)、ペクチン(2.0%)含む無機塩類培地を用いて30℃において、4日間振とう培養した場合、培養液中の総ポリガラクツロナーゼの活性が最大(1.56U/ml)に達した。培養濾液中からDEAE-セルロースクロマトグラフィーで2つの活性画分(ポリガラクツロナーゼI、II)を精製した。それぞれポリガラクツロナーゼIとIIの活性の最適pHは4.8と5.5、最適温度は同じく40℃であった。両酵素とも0~40℃、pH3~7.5の範囲で安定であった。両酵素の活性は1mM Ca^<2+>、1mM Mg^<2+>によってそれぞれ約50~60%と約70~80%までに阻害された。The productivity of pectin degrading enzyme in an apple fruit blue mold, Penicillium expansion and properties of the partially purified enzymes were examined. In the pectin-inorganic salt medium, the organism produced extracellular polygalacturonases. The activity of total polygalacturonase in the culture solution was achieved largest (1.56 U/ml), when it was incubated in the medium containing pectin (2.0%) and ammonium phosphate (0.5%) at 30℃ for 4 days. Two active fractions (polygalacturonase I and II) were purified from the culture filtrate by DEAE-cellulose chromatography. The optimum pHs for the activities of I and II were 4.8 and 5.5, and the optimum temperatures were about 40℃. Both enzymes were stable within 0~40℃ and pH 3~7.5. Their activities were remarkably inhibited by 1 mM Ca^<2+> and 1 mM Mg^<2+>.
著者
坂田 実花 岡本 秀明 MIKA SAKATA Hideaki OKAMOTO
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.67-79, 2009-03

本研究では、市川市の高齢者が現在の居住している住宅に対してどのような意識を持っているのか、高齢者が感じる住生活上の問題点および住宅改善の希望内容を整理することで、全体的な傾向を明らかにすることを目的とした。分析対象は、市川市で実施したアンケート調査で「現在お住まいの住宅で、年齢を重ねるにつれ、使いづらくなった点や困っている点、改善したい点を、ぜひ教えて下さい」と自由記述により回答を求め、この質問に関係する回答が記入されていた134票とした。 調査の結果、市川市の高齢者は自宅に対して①「住宅、設備による問題点と改修希望」と、②「その他の住環境に関連した問題点と改善希望」を有していることが明らかとなった。「住宅、設備による問題点と改善希望」では、「階段」、「浴室」、「居室・廊下」で問題点と改善希望が多くあげられた。問題点と改善希望の主な内容は、「階段昇降の負担」、「段差解消」、「手すり取付け」であった。「その他の住環境に関連した問題点と改善希望」については、「日照」、「防災・防犯」、「改修困難」、「生活継続不安」の4点があげられた。 以上のことから、市川市の高齢者が住み慣れた自宅で可能な限り安全かつ安心な生活を継続するためには、第1に普遍的な住宅のバリアフリー化を進めるとともに、個々人の身体状況や住宅状況に適した住宅改修の推進を行うこと。第2に介護保険などのバリアフリー化を進める住宅改修制度で対応することが出来ない問題点については、ニーズに合致した制度の充実、情報提供、利用促進が必要とされる。
著者
橘 庸子 大津 由美子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.71-79, 1991-03-31

小麦粉2種類およびでんぷんを主成分とする粉5種類を用いて,シュー形成の状態および食味について検討した。7種の粉の中,最もすぐれたシューを形成した粉は,薄力粉であったが,地下でんぷんのかたくり粉,くず粉の場合も,シューとして遜色のないものが調製出来ることがわかった。地上でんぷんのコンスターチ,上新粉および白玉粉は,形,大きさ,膨化状態が劣っていたが,上新粉の食味は,薄力粉に匹敵するものであった。本稿を終るにあたり,御指導いたゞきました本学調理学研究室の伊東先生初め諸先生方にも深謝致します。
著者
柳沢 幸江
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.193-202, 2003-03-31

ゴールデンキウイはキウイ特有のプロテーゼ活性が極めて低いことから、従来のグリーンキウイと比較してのゼラチンゼリー形成を検討した。ゴールデンキウイの果実の食味特性は、従来のグリーンキウイと比べてpHと糖度には有意差はなかったものの、甘味と酸味のバランスがよくえぐみが少なかった。ゼリー形成では、グリーンキウイを用いた果汁ゼリーでは果汁濃度1.5%までしかゼリー形成しなかったのに対して、ゴールデンキウイでは、果汁濃度が50%でもゼリー形成が充分可能であり、ゼリー形成に対する作用は双方に約40倍の差が認められた。また、果肉ゼリーの場合でもゴールデンキウイを50%添加してもゼリー形成が可能であった。官能評価の結果、果汁・果肉ゼリーとも30%程度の添加が、テクスチャー・味の両面から好まれた。
著者
三善 勝代
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.1-12, 2003-03-31
被引用文献数
1

有職既婚女性が夫の海外派遣に同行する場合、就労ビザ等との関係では職の断念が避けられない。途切れたキャリア(職業経歴)は、どう繋がれるのか。就業面を中心に帰国者のライフコースを辿り直し、併せて、現求職者の今後を展望してみた。2001年10月、帰国子女支援団体等を介して、在外期間1年以上で帰国後1年以上10年未満の配偶者に対し質問票を送付。有効回答票152部を郵送にて個別回収した(回収率50.2%)。回答者の平均年齢は43.5歳で、夫は46歳。夫婦1組あたりの平均子供数は2人である。派遣地域は北米、アジアが共に3割台を占めており、派遣元企業の業種では製造業が最多(35.5%)となっている。得られた知見は、次の通り:(1)結婚前には大多数が職を持っていた。(2)しかし、出国前3か月頃までには、結婚や出産・育児でそれを手放しており、有職者は2割未満に減少する。(3)さらに在外時には9名となり、現在に至って4割近くに回復する。(4)主要な就労形態と職種についても、前者は正規雇用から非正規へ、後者は事務職から専門・技術職へと推移していた。(5)この趨勢に基づけば、現在「適職なし」ゆえに無職となっている、いわば「求職者」(無職者の2割強)の就職はおそらく、就労形態としては非正規で、職種としては専門・技術職で、より容易に叶うと推測される。(6)現有職に至る職の有無歴として大別された3タイプの一つ「有職継続型」の存在からも、高度の専門性を身につけ働き方を工夫すれば継続就業が不可能ではないと示唆された。(6)とはいえ、自由記述欄を通しては、この型においてさえ、夫の後方支援と自身のキャリア形成を両立させるのは容易でないと読み取れた。