著者
井上 尚之
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 = The bulletin of Kansai University of International Studies (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
no.23, pp.23-36, 2022-03-10

The Suga cabinet prime minister at the time of October 26th, 2020 remarked that Japan makes the emission of the greenhouse gas 0 as a whole (Carbon Neutral) by 2050 in the belief manifestationMoreover, in climate change Summit on April 22nd, 2021, Japanese Government expressed reducing CO2 reduction target in 2030 by 46 % at the ratio in 2013.By this, in the 6th energy basic plan, the rate of the wind power generation to occupy to all power generation was about 3.5 times raised from 1.7 % to 6 %.It is the floating-body type on the ocean wind power generation that, in Japan, is watched specifically in the wind power generation.In this paper, this floating-body type on the ocean wind power generation is considered.Then, the possibility of the popularization of the floating-body type on the ocean wind power generation is investigated.
著者
板山 昂
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
no.21, pp.1-10, 2020-03

本研究では,社会的逸脱行為者に対する罰(損害賠償額)の判断に無関係な他者による社会的制裁と感情,ミクロ不公正感(自分の日常に対する不公正感)が及ぼす影響を検討した。分析の結果,社会的制裁と罰の判断には相補性がみられた。また,社会的制裁はシャーデンフロイデ高め,シャーデンフロイデを強く喚起した場合には罰が軽く判断された。さらに,ミクロ不公正感が強い者は,社会的逸脱行為者に対して重い罰を判断する傾向にあった。その一方で,ミクロ不公正感が高い者は,社会的制裁が与えられたこと(罰を受ける者に訪れた不幸)を知った場合にはシャーデンフロイデを喚起しやすいことから,その喜びの感情によって罰を軽く判断しやすい傾向があることも明らかになった。以上のことから,社会的逸脱行為者に起こった不幸(社会的制裁)による減刑(社会的制裁と罰の重さの相補性)の背景については,与えられるべき罰が一部与えられたという観点に加え,社会的制裁が実行されることによって罰の判断者の感情が影響を受けることが要因であることが示唆された。
著者
前田 恵利 河野 美穂 小川 千尋 大場 亜紀 高林 康江 藤井 美香 原本 久美子 日野 徳子 今野 理恵 堀尾 強
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
no.19, pp.101-110, 2018-03-10

In this study, assistance for improving urinary incontinence based on bladder function evaluation was practically applied to four patients with voiding dysfunction. Analysis was then performed on actual verbal communication incorporating prompted voiding (PV) that was found to effectively motivate patients during assistance.Effective verbal communication fell into three categories: verbal communication of joy in expressing a desire to void and appreciation; verbal confirmation of recovery in urinary function and verbal praise; and verbal communication that respects behavior and pace during voiding. Voiding assistance based on bladder function evaluation and communication incorporating PV led to patients voluntarily asserting their desire to void and thereby to improvements in urinary incontinence. The findings suggest that in the course of improving voiding function, emphasizing respect for patients’ self-esteem in verbal communication is as important as adopting an individualized approach to voiding assistance during bladder training.
著者
和田 正美
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
no.15, pp.149-162, 2014-03

本稿は、大学での講義「西洋教育史」に使用する教科書を作ることを想定して作成したものである。教育思想を正しく深く理解するには、歴史、文化を十分理解していなければならない。大学は学問の場であるかぎり、幅広い領域の知識を統合化する教育が必要であることは言うまでもない。しかし現在、大学の講義時に使用される講義内容に相応しい教科書は皆無といってよい。専門書は豊富にあるが、大学の講義を想定しては書かれてないのである。ソクラテスの時代の倫理・教育思想は、決して突然に生まれ出たものではない。その背景となり、推進力となったものとして、ギリシア神話、自然哲学者たちの思想、ギリシア悲劇、自然中心主義から人間中心主義への転換をはかったソフィストたちの思想,ギリシアの民主政などを挙げることができる。本稿では、ソクラテスの伝記、歴史、そして、プラトンなどの作品を通じて、ソクラテスの人となり、人間像を概観する。それによって、ソクラテスの倫理・教育思想の一層の理解を深めることができると考える。
著者
清水 美知子
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
no.5, pp.91-110, 2004-03

本稿は,1950~60年代の日本における<女中>イメージの変容を,「家事サービス職業補導」「ホームヘルパー養成講習」という二つの事業に焦点をあてて考察するものである。第二次世界大戦後の混迷が落ち着きを見せるようになると,都市部では再び女中の供給が需要に追いつかない状況に陥った。そんな女中払底の対応策として労働省が打ち出したのが,家事技術者を養成して手不足の家庭に派遣するという事業である。1956年,東京・新宿に「家事サービス公共職業補導所」が開設された。同所は,未亡人等の女性を対象に短期間で家政婦や女中など家事サービス職業に必要な知識と技術を習得させる機関。いっぽう,1960年に始まった「ホームヘルパー養成講習」は,従業員家庭の主婦が出産・病気等の場合に,事業所から派遣される家事援助者を養成するプログラムである。いずれも,女中不足の緩和のみならず,就職が難しい中年女性の雇用を創出するねらいもあったらしい。これらの事業は,女中の職業的な地位を高めるとともに,"家事サービスは中年女性の仕事"というイメージを生み出した。かつて農村の娘たちの主要な働き口のひとつであった住み込み女中は,高度成長期に,家政婦やホームヘルパーといった中年女性の通勤職業にとって代わられたのである。
著者
松井 幸太
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
no.20, pp.109-126, 2019-03-10

This exploratory study examines an implementation of encounter-groups based on undergraduate and graduate students’ nature experience activities with regards to their respective self-reflections, self-efficacy, and self-growth. The questionnaire survey, unveiled the natural experience that positively influenced the participants’ self-efficacy (proactivity, fear of failure and self-assessment of one’s abilities in comparison to others) and self-growth (achievement motive, attitude towards putting in effort). The interview survey helped reveal the factors that were influential. In the unusual yet natural environment, the participants experienced successes (achievements and overcoming failures) and misses in the various activities. Additionally, the nonstructured encounter-group was provided an opportunity in which the participants could selfreflect while receiving feedback from others. This contributed to the participants’ self-efficacy and self-growth.
著者
宮地弘太郎
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.211-220, 2011-03-31

テニスプレーヤーが世界で活躍する目安は,世界ランキングで100 位に入ることである。ここ数年,このランキングに到達する日本人選手は数少ない。これまでの世界ランキングに関する研究や,現場指導において,このランキングに到達する年齢は10 代後半から,20 代前半であると言われている。 2005 年より日本テニス協会によって,新たにアフタージュニアの強化が,強化目標の1 つとして掲げられた。アフタージュニアとは,18 歳から22 歳頃の世代を意味しており,いわゆる大学生テニスプレーヤーである。 そこで,本研究において日本男子大学生テニス選手の現状と課題を4 点の柱から探り,今後大学生テニス選手の世界に挑戦する目安を明確にし,今後の強化活動に少しでも生かしていただけたらと考える。結果以下の2 点の課題を提言してゆきたい。 1.休学あるいは,卒業後にスムーズにツアーに順応できるよう,国内の学生大会の見直し。 2.技能的な目安として国内で行われる全日本選手権で優勝争いに絡む,ユニバーシアードのシングルスで金メダルを獲得の2 つをクリアする。 以上の2 点をユニバーシアードチーム及び各大学教育機関の指導者,選手に徹底することで今後可能性が広がると考えられる。
著者
広沢 俊宗
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.85-96, 2001-03-31

Peplau, & Perlman (1982)は、孤独感を研究する際に、孤独感の先行条件、孤独感経験の諸特性、および孤独感に対処する方法の三者を区別することが有益であることを見出した。本研究では、この考え方に準拠し、(a)孤独に対する原因帰属、感情反応、対処行動、および孤独感との相互関係、ならびに(b)対処行動の因子構造について吟味された。調査は、大学生を対象に3種類の質問紙と2種類の尺度を用いて実施された。それらの質問紙および尺度は、孤独の原因、感情反応、および対処行動に関する質問紙と、改訂版UCLA孤独感尺度、ならびに異なった関係における孤独感尺度であった。結果は、以下の通りである。1)孤独に対する原因帰属と感情反応は高度に構造化され、Weiss (1973)の提案する情緒的孤立と社会的孤立の区別に充分適合することが示された。2)対処行動の主成分分析により、男子では6因子、女子では7因子が抽出された。そして、男女間の因子の重要性の順位、およびその内容に差異のあることが示された。
著者
坂上 雅翁
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.25-33, 2008-03

光明山寺を中心とした南都浄土教についてみるとき,覚樹,実範,永観をはじめ,光明山寺から高野山に移り,のちに法然に帰依した明遍や,高野山往生院に移りのちに京都禅林寺の十二世となった静遍の存在はよく知られている。本論では,まず東大寺東南院三論系の念仏別所としての光明山寺の性格を,最近の研究成果を元に再検証する。さらに,高野山を始め,醍醐寺,禅林寺との関係,および大阪一心寺蔵「一行一筆阿弥陀経」や『高野山往生伝』をとおして,中世の南都仏教界における光明山寺を中心とした南都浄土教の展開をみていく。
著者
広沢俊宗
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.145-152, 2011-03-31

本研究は,孤独感に関する心理学的研究の現状を分析し,今後に向けての方向性を模索するものである。孤独感研究の歴史は比較的新しく,特に孤独感尺度の開発により,実証的研究が盛んになったといえる。本研究では,孤独感の定義,孤独感研究の3 つのアプローチ,孤独感尺度の特徴について概観した上で,今後の方向性にについて考察された。
著者
久保田 真美 高山 成子
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
no.18, pp.23-35, 2017-03

This study sought to better understand the daily lives of elderly with dementia living alone by illuminating their daily life experiences and thoughts through interviews with the elderly and, furthermore, by illuminating the dangers and issues ssociated with living alone through interviews with care support specialists. Qualitative and inductive analyses were conducted of semi-structured interviews with 6 elderly persons and six of their respective care support specialists. Results showed that elderly with dementia had "a strong desire to continue living alone as themselves" and that those feelings were buoyed by "pride on past self-sufficiency" and "appreciation of the people supporting me." In their daily lives, they "were aware of their memory loss, but have a positive outlook" and "despite bitter experiences, devise ways to work around them". Nevertheless, though rarely admitted by the elderly themselves, daily-life dangers such as "seen as a fire hazard by those around them" and "responsive, rather than preventative medication management due to low awareness of danger (by both elderly people and their caregivers)," were observed.本研究の目的は、独居生活をしている認知症高齢者への面接によって、彼らの日々の体験と思いを明らかにし、さらに彼らを支援する介護支援専門員の面接によって独居生活における危険の問題を明らかにすることである。6人の認知症高齢者と彼らの担当介護支援専門員6名に半構成的面接を行い、質的帰納的に分析をした。その結果、認知症高齢者は【自分らしくありたいという独居継続への強い意志】を持っており、それは、【過去の人生の誇りに支えられた自律意識】と【自分を支えてくれている人達への感謝の思い】で支えられていた。彼らは日々の生活の中で【もの忘れを自覚しながら、前向きな姿勢】を保ち、【苦い体験をしながら生活の工夫を取り入れ】ていた。その一方で、本人はあまり言わないが、【周囲が危機感を感じている火の不始末】や【(両方の)危険意識が少なく、問題発覚後に対応している内服管理】という、危機をはらむ生活上の問題がみられた。
著者
尊鉢隆史
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.149-160, 2012-03-31

前回の研究「小学校体育指導におけるリレー競技の指導」『関西国際大学研究紀要』第12号(平成23年3月31日)1)では,セパレートコースを利用し,理想的なバトンパスを行なうことが,どの程度記録の伸びをもたらすかを明らかにした。 しかし小学校におけるリレー競技の指導では,トラックを周回することで行なわれる。従って,今回は小学校高学年の児童を対象に,実際に授業で行われる曲走路を含んだオープンコースを使用し,リレー競技における理想的なバトンパスの指導法について研究を行った。その結果,曲走路を含むリレー競技の指導では,トラックの曲走路部分にリレーゾーンを設定することにより,ダッシュマークが固定され理想的なバトンパスを行うことができると考えられる。また,上記の方法を用い,短距離走の記録から二人でバトンパスを行ったときの記録(期待値)を設定し目標を定めたところ,記録の伸びをもたらすことができた。
著者
布袋 正樹
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
no.16, pp.85-95, 2015-03

Previous researches indicate that foreign direct investment (FDI) by Japanese manufacturing industries promotes domestic investment because it induces import of intermediate goods from domestic parent to their foreign affiliated firms. However, after the early 2000s, foreign affiliated firms of Japanese manufacturing industries have decreased import from domestic parent firms by having increased local procurement. In other words, they have changed vertical FDI into horizontal one. We empirically investigate how the relationship between FDI and domestic investment has changed from fiscal year 2001 to 2012 using semi-macro data aggregated by manufacturing industries. Our results are summarized as follows. In the case of whole manufacturing industry, the positive effect of FDI on domestic investment in the latest period is significantly smaller than in the former periods. On the other hand, in the cases of the transportation equipment industry and the electrical machinery industry, the effect of FDI on domestic investment has become smaller during our analysis period, but a decline in the effect is not statistically significant.
著者
王 利彰・劉 暁穎 劉 暁穎
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.207-220, 2012-03-31

日本には米国外食産業史の研究は1953年以降のマクドナルドなどの研究しかない。そこで,筆者たちは米国で最初にレストランをチェーン化した企業の研究を行うことにした。その結果,1876年にレストランをチェーン展開していたフレッド・ハーベー社と言う企業が存在し,最盛期には100店舗以上をチェーン展開していたことがわかった。フレッド・ハーベー社は品質,サービス,クレンリネスと言う技術革新をすでに確立していたことも明らかとなった。
著者
中西一彦
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.161-173, 2012-03-31

新学習指導要領には「新聞」という言葉が多く盛り込まれている。新聞活用には「新聞に親しむ」「新聞を読む」「新聞で考える」という三段階がある。新しく教科書教材として取り上げられた新聞活用のための教材に照らし合わせて,この三段階の整合性を考える。今回は1社の4年生,5年生,6年生の教科書新聞教材を対象に,実践をより効果的に行うための必要事項を挙げることとした。事前の準備を周到に行っておくこと,特に子どもたちの実態,現状をしっかり把握し用意することをもとに考察を行った。
著者
堀尾 強
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
no.15, pp.95-101, 2014-03

大学生122名を対象に,やみつきになった食品の有無と,その具体的食品およびやみつきになった理由について調べた。その結果,やみつきになった食品があると答えた人は58%,男女間で差はなかった。やみつきとなった具体的な食品については,「チョコレート」や「マヨネーズ」「わさび」の回答数が多かった。食品群別に分類すると,「菓子類」や「調味料および香辛料」が多かった。やみつきになった理由については,「味」という回答が半数を占め,甘味や塩味,辛味があり,油脂やにおいに特徴のあるようなものがやみつきになりやすいことが示唆された。This research examined the addictive food and the reason which became addictive for 122 university students using a questionnaire. As a result, the ratio of persons who answered that there was food which became addictive was 58%. There was no difference between men and women. About the addictive food, there are many replies of "chocolate", "mayonnaise" and "Japanese horseradish". Classified the food according to the food group, most food was "confectionery" and "a seasoning and spices". Regarding the reason which became addictive, a half of the reply was "taste"; sweet, salty, pungent taste, fat and characteristic smell. These results suggest that those characteristic food become addictive.
著者
清水 美知子
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.135-154, 2003-03-30

本稿は,両大戦間期の日本における<女中>イメージの変容を,第一次世界大戦後に登場した「派出婦」(=家庭などに出向いて家事手伝いに従事する臨時雇いの女性)に焦点をあてて考察するものである。第一次世界大戦後,都市部では女中不足が深刻な社会問題となりつつあった。女中が見つからない,居着かない。そんな女中払底への対応策のひとつとして打ち出されたのが「派出婦」という臨時雇いの女中のシステムである。1918年,東京・四谷に「婦人共同派出会」が設立された。派出婦は,申込者の依頼内容に応じて適任者が派遣されるしくみ。賃金は従来の女中にくらべると割高だが,必要なとき必要なだけ雇えるという利点もある。「派出婦」はその後,家庭の手不足を補う労働力として,都市部を中心に急速に広まっていった。女中になることを"奉公に上がる"といったように,日本の女中は行儀見習や家事習得という修業的な性格を有していた。これに対して派出婦は,雇用期間や勤務時間,仕事内容が前もって決められるという点で,従来の女中とは大きく異なった。そこには"修業"という側面はない。主従関係から契約関係へ。「派出婦」の登場により女中は,"職業人"としての第一歩を踏み出すことになったのである。
著者
桐生 正幸 古河 逞箭
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.77-87, 2008-03

本研究は,日本の大学教育における「犯罪心理学」について,犯罪情報分析を行う「犯罪者プロファイリング」を題材とした講義の内容及び手法について検討を行った。まず,実際の犯罪捜査場面における分析手順をふまえながら,学生が講義にて行える「犯罪情報分析」のプログラム「大学生版CIA」について提案した。また,この「大学生版CIA」を実施するうえで基礎的な資料となると思われる,大学生の犯人像などに関する推論過程の調査を行った。その結果,「大学生版CIA」を用いた演習の効果が,犯人像の推定に影響を及ぼしたことが示唆された。このことは,「犯罪者プロファイリング」の講義が,捜査経験を持たない大学生に対しても,良い教育効果をもたらすことを十分予測させるものと思われた。
著者
百瀬和夫
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.175-185, 2012-03-31

小学校や中学校における『学級崩壊』や『校内暴力』『いじめ』などの問題は,長年にわたり教育現場の課題となっている。 こうした子どもたちの『荒れ』を整え,より安定した心の状況を図るために,特別支援教育の知見をいかした実践を学校での教育活動に取り入れていくことは,学校運営の安定化を図るツールとして,非常に大きな力になる。即ち,特別支援教育の知見を通して,認知レベルまで『子ども理解』を深めることは,子どもたちの『困っているところ』をとらえるだけではなく,教師自身の『指導理解』を深め,より適切な指導や支援につながるからである。しかしながら,特別支援教育の知見を活用し,教師が長年続けてきた指導法を改善・改良していくことは決して容易ではない。なぜなら学校組織の問題教師の仕事上の特性に伴う心理上の問題など,『大人(教師)の側の問題』を克服していく必要があるからである。私自身が校長として赴任したM小学校での取り組みをもとに,まずは特別支援教育の知見の活用を阻む諸原因について明らかにした。
著者
渡邉直樹・安部幸志・竹田茂生 安部 幸志 竹田 茂生
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.139-148, 2012-03-31

筆者ら3名は平成23年9月5日-8日に,アシスタントとしての大学院生3名および大学院修了生(臨床心理士)1名と共に1-4回生の本学学生27名を引率して兵庫県新温泉町居組地域を訪問し,その後学外講師4名と共に3-4回生の本学学生8名を引率して青森県弘前市を訪問した。 いずれの地域でも学生たちは地域の家庭訪問を行い,高齢者へのインタビュー調査を行った。狙いは自殺の多い両地域で,まずは高齢者の生活のありようを調査し,高齢者が「安心して暮らせる地域づくり」の要因を把握し,その要因を踏まえた生活を多くの住民が実践することが,この地域の自殺者を減らしていくのではないかと考えた。このインタビューのデータは質的研究として解析中であるが,今回はこの事業を行うにあたって説明会に参加した住民から得た調査表の量的解析を行った。その結果地域のいわゆるソーシャルキャピタルと抑うつ得点が負の相関を示すことが明らかとなった。