著者
筑後 幸惠 松村 ちづか 星野 純子
出版者
埼玉県立大学
雑誌
埼玉県立大学紀要 (ISSN:13458582)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.35-39, 2009
被引用文献数
1

埼玉県立大学では、平成17年度から看護職の生涯学習の一環として、また本学の公開講座の専門職講座として8ヶ月間の認定看護師教育課程を開講している。受講生は、臨床5年以上、専門分野3年以上のキャリアをもつ看護師であるが、経験や基礎教育課程などはさまざまである。そこで、各自が主体的に自己の課題に向かって学びを深められるように、開講時よりポートフォリオを活用している。今回は、緩和ケアコースの研修期間を修了した受講生を対象に、研修修了時に実施したインタビューをもとにポートフォリオの活用についてその効果を分析した。その結果、ポートフォリオの活用は、学習意欲の他、緩和ケア認定看護師の実践能力に不可欠な対人関係能力や対象者の心情にかかわるケアに必要な能力の向上が期待できると考えられた。
著者
高畑 隆
出版者
埼玉県立大学
雑誌
埼玉県立大学紀要 (ISSN:13458582)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.79-84, 2009

患者には体験者でないと分からないことがある。そして、患者の体験は仲間の患者に役立てられている。患者・家族会では、相互支援のピアサポート機能がある。そこで、患者の体験を重視した活動について整理した。患者の体験重視の視点には、上田敏の体験的知識、IL運動の視点、セルフヘルプグループの視点、人間性心理学、クライエントセンターがある。即ち、患者にも力がある。そして、患者の体験は、仲間への相互支援で重要な役割、ピアサポート機能がある。このピアサポートは、5つの機能に整理することが出来た。
著者
平田 美和 大塚 眞理子 新井 利民 大嶋 伸雄 井口 佳晴 高田 玲子 大熊 明 加藤 巳佐子 藤井 博之 小川 恵子
出版者
埼玉県立大学
雑誌
埼玉県立大学紀要 (ISSN:13458582)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.47-52, 2004

本研究の目的は、インタープロフェッショナルワークとして有効的な援助活動であり、在宅要介護高齢者の自己決定促進による生活の維持向上につながった事例について、ケアマネジャー、訪問看護師、ヘルパー、医師のやり取りを分析し、多職種の役割とその特徴について検討することである。ケアマネジャーは他機関との調整と関連情報の共有、家族支援、ケアプランの遂行、相互支援の強化を担っていた。訪問看護師はチームの対象理解の深化、ヘルパーは日常の身近な援助者としての情報提供、医師は治療的な情報提供を担っていた。
著者
坂本 めぐみ 兼宗 美幸 工藤 里香 那須野 順子 鈴木 幸子 萱場 一則
出版者
埼玉県立大学
雑誌
埼玉県立大学紀要 (ISSN:13458582)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.73-77, 2010

【目的】県民の健康づくりの施策として大型ショッピングセンターで展開している埼玉県民の健康支援施設「埼玉県まちなか保健室」の認知度と活用方法と、大型ショッピングセンターを活用した女性の健康支援の方法を明らかにする。【方法】ショッピングセンターを利用する、成人女性および子育て世代の女性233名に対して、自記式質問紙調査を実施した。【結果】まちなか保健室は全体の7.6%が知っていたが今後の利用希望者は55.6%であった。女性の健康事業の希望内容は、マンモグラフィー、骨密度、婦人科疾患相談が多かった。また育児支援希望では、簡単な子ども向け朝食作り、子どもの病気の応急手当、母親のリラックスサービスへの希望が多かった。更年期以降の成人女性と子育て期の女性では希望に差がみられた。【結論】大型ショッピングセンターにおける女性の健康の支援サービスと子育て支援の可能性が示唆された。
著者
徳田 哲男 前川 佳史 新田 収 入内島 一崇
出版者
埼玉県立大学
雑誌
埼玉県立大学紀要 (ISSN:13458582)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.91-98, 2001

中規模特別養護老人ホームの寮母全員を対象に、介護空間別による介護のしにくさに関するアンケート調査と、介護動作に支障を感じさせない寸法の計測を実施した。本調査対象施設の主要な介護空間寸法は、おおむね施設整備基準を越えていたが、介護空間評価においてはさまざまな介護のしにくさが指摘された。主要な介護空間について現存寸法と寮母申告にもとづく推奨寸法を比較すると,出入口の幅員は一般浴室の現存寸法が112cmに対して推奨寸法が140cm,便所がそれぞれ99〜117cm、150cmであった。また居室内のベッドと車いす間の現存移乗寸法は97〜160cmと広範囲に及んだが、推奨寸法として200cmを必要とした。今後の施設居住者の身体機能水準を考慮すると,車いすによる移動はいっそうの増加が予想されることから,福祉機器による移動寸法を前提とした施設空間の設計が不可欠とされる。
著者
國澤 尚子 徳田 哲男 新田 収 前川 佳史 植竹 篤志 桑原 邦寿
出版者
埼玉県立大学
雑誌
埼玉県立大学紀要 (ISSN:13458582)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.13-21, 2003
被引用文献数
1

本研究は、車いすを必要とする要介護者およびその介護者が行動しやすい居住空間の広さや備品の配置などについて提案することを目的とする。本稿では、車いすの回旋動作およびベッド・車いす間の移乗動作から、最適な居室のスペースとベッドの高さについて検討した。要介護者、介護者の内観報告をもとに分析した結果、X軸方向、Y軸方向の推奨幅から算出された床面積は9.40m^2であった。これは従来の特別養護老人ホームでの1人あたりの居室面積に近い値であるが、私物が配置された居室の中で車いすを使用しながら生活するためには、さらに広いスペースが必要であろう。また、移乗介助に適したベッド高の推奨値は47.9cmであり、この値は要介護者がベッドの高さに対して「不安を感じない」高さにほぼ一致した。さらに、筋電図を用いて介護者の身体負担を評価した結果、ベッドに臥床している要介護者を抱き起こして座位にするときと、車いすから立位にさせるときに筋負担が大きいことが示唆された。
著者
大塚 眞理子 大嶋 伸雄 平田 美和 新井 利民 大熊 明 高田 玲子 井口 佳晴 小川 恵子 加藤 巳佐子 藤井 博之
出版者
埼玉県立大学
雑誌
埼玉県立大学紀要 (ISSN:13458582)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.131-137, 2002
被引用文献数
2

本研究の目的は、ケアマネジャーとサービス提供者による質の高い介護サービスを利用者に提供するためにITを活用したWEBケアフォーラムを開発・試行し、その効果を明らかにしてWEBケアフォーラム活用の可能性を検討することである。3事例に試行し利用者から好評をえた。3名のケアマネジャーからは【孤立性や不安の軽減】と【ケアマネジメント技術への支援を得る】が得られた。参加したチームメンバーが得た成果は、【援助感の変化】【他職種のイメージの転換と理解の促進】【利用者に対する理解の変化と援助の自信】であった。フォーラムの利点は【情報共通化の促進】【利用者の状態把握の促進】【サービス提供時の安心感の増進】【擬似カンファレンス機能によるチーム意識の向上】などであった。WEBケアフォーラムは在宅ケアにおけるチームの連携・協働を促進する効果があり、活用の可能性と課題が示唆された。
著者
鈴木 孝子
出版者
埼玉県立大学
雑誌
埼玉県立大学紀要 (ISSN:13458582)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.103-109, 2002

本報告は、現代の家族にとって支援となるものを二一ズの側面からグループインタビュー法を適用し、調査した結果である。虐待を受けて苦しむ子がその典型例であるが、困難な問題をもつ児童の背後には、必ず、子どもを十分に育てられない親や家族の存在がある。子どもの発達・成長には親や家族の生活が健康で安定して営まれていることが欠かせない。家族と家庭は、子どもの成長を育む第一の支援環境である。そこで、児童の家族自体がリスクを抱えているとき、子どもに対する援助と併行して家族を援助、支援する働きかけも重要になる。現代の家族は、大きな社会の変化の波に余儀なく曝されている。夫婦、親子、男女の役割、家族関係のありかたが変化している。子どもたちの育つ環境、困難を乗り越える環境づくりを支援するためにも、家族の内と外から専門職が支援するシステムやプログラムづくりが、一つの課題となる。
著者
高畑 隆
出版者
埼玉県立大学
雑誌
埼玉県立大学紀要 (ISSN:13458582)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.151-159, 2006

1999年当時、全国規模の精神障害者スポーツ競技大会は実施されていなかった。そこで、日本精神保健福祉連盟は1999年全国規模の調査を行い、2000年には啓発セミナーを実施した。翌、2001年第一回全国障害者スポーツと同時に第一回精神障害者全国バレーボール大会を開催することができた。その後、第二回全国障害者スポーツ大会ではオープン競技として精神障害者スポーツを開催できた。連盟は、全国大会開催予定都道府県で精神障害者スポーツセミナーを開催し、精神障害者のスポーツ振興と啓発活動を行ってきた。その後、全国大会予選会として8ブロック大会の開催を推進した。また、全国障害者スポーツ大会開催県等では、精神障害者スポーツを推進する県組織づくりの支援を行った。全国障害者スポーツ大会第三回静岡県、第四回埼玉県、第五回岡山県の大会ではオープン競技として開催されている。第六回の兵庫大会では、開会式に精神障害者が行進を行い、皇太子の前を笑顔で行進した。そして、2008年第八回大分大会では、団体種目バレーボールとして精神障害者が正式競技として行われることが決定した。
著者
天谷 真奈美 宮地 文子 高橋 万紀子 瀬戸岡 祐子
出版者
埼玉県立大学
雑誌
埼玉県立大学紀要 (ISSN:13458582)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.23-32, 2003

本研究は社会的ひきこもり青年を抱える家族18名を対象とし、その家族が子どものひきこもりを発端として認識している課題を明らかにすることを目的とした。家族の認識する課題は【ひきこもる子供への理解に関する課題】【子供への接し方に関する課題】【子育てを見つめなおす課題】【家族関係でさまざまな葛藤やコミュニケーション障害が存在する課題】【自分にも援助を必要とする課題】【子供の社会参加への支援に関する課題】【世間・近隣付き合いで縛りを感じる課題】【将来への不安に関する課題】の8カテゴリーに統合された。支援として、1)「ひきこもり」への理解を助け、交流の拡大に向けた支援、2)家族自身の老年期の発達課題の克服に向けての支援、3)問題解決にむけた社会的資源や支援環境の整備が必要なことがあきらかになった。