著者
真田 治子 Haruko SANADA
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 = Bulletin of Saitama Gakuen University. Faculty of Humanities (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.1-11, 2008-12-01

Language change is represented on a graph as a "slow-quick-quick-slow" S-curve. Fitting an S-curve model, language change data can be expected to summarize and analyse past trends and to predict future trends. This study discusses Piotrowski-Altmann's model and a model using a logistic curve, which are the major ones employed in the limited number of S-curve studies. We also discuss cases - a study of honorifics in Okazaki city, the standardization of modern Japanese in Tsuruoka city, and Chinese character words spreading in 19th and 20th century Japanese - which employ a multiple logistic regression with a multifactor approach. The requirements of an S-curve model for a study of language change are considered.
著者
松村 真木子 Makiko MATSUMURA
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
no.17, pp.281-294, 2017-12

学習指導要領の改定が平成22年(2010年)に公示され、平成25年4月1日の入学生(2013年)から「情報と社会」「情報と科学」が導入された。2011年にLINEが登場すると、爆発的にスマホが浸透し、高校生をめぐるインターネット環境は劇的に変化した。本稿では、高校生が情報を安全に使うために必要となる項目を抽出して「情報と社会」の教科書を検討する。たとえば、自分が使う情報端末の管理、インターネットの仕組みと使い方、個人情報の保護、SNSの使い方、公開された情報は消せない、ネットいじめなどである。個々の項目について各教科書は丁寧に説明しているが、情報端末の仕組みやインターネットにつながる仕組みとインターネットの安全な使い方を関連づけて伝えていない。それぞれを別々に解説しているため、その関連性を読み解くのは難しい。情報機器やインターネットの仕組みと安全な使い方を関連づけて教えることで、高校生は情報を安全に使えるようになる。
著者
川勝 麻里 Mari KAWAKATSU
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
no.14, pp.226-211, 2014-12

キャラクターによるリミテッド・アニメーションから、日常に生きる人間らしい成長アニメーションへ。影響を受け続けた手塚治虫から宮崎駿はどのように卒業していくのか。七〇年代の手塚治虫的な、パターン化されたキャラクターが動くリミテッド・アニメーションの遍歴物語から、八〇年代の、等身大の少女が日常生活の中でリアルに動く成長物語へと、宮崎駿が脱皮していく過程を追いかけた。原作をどのように改変して成長物語が作られたかを分析。『ゲド戦記』の影響や、同時代の魔法少女アニメーションとの違いにも言及しながら、等身大の少女の〈成長〉を描いたところが、『魔女の宅急便』の面白さであると論じた。また、本作は『風の谷のナウシカ』に次ぐ〈魔法もの〉だが、ナウシカと比べて、職業によって生計を立てるという経済的部分がキキには付け加えられており、ナウシカになかった〈一人で生きるための〉手段として仕事する責任感が強められている。そうした「生きる力」は、宮崎がスタジオジブリの監督を通じて描き続けたテーマである。神格化されていない等身大の人間が悩む姿は、当時大流行した『魔法の天使 クリィミーマミ』の悩む姿も参考に作られていると考えられる。
著者
松村 真木子 Makiko MATSUMURA
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
no.14, pp.113-125, 2014-12

ウィンドウズXPが2001年に登場してから12年を経て延長サポートが終了した。その間、一般ユーザーが増加し、高速通信の環境が整い、ブログ、SNSなど多様な方法で一般ユーザーが情報を発信するようになった。一方、一般ユーザーを標的にするウイルス、スパイウェアなど悪意の脅威が活発に活動し巧妙化した。2000年から2014年までの情報セキュリティに関する新聞記事を分析し、ウィンドウズXP時代のインターネット環境の変化を振り返り、一般ユーザーのセキュリティ意識がいかに啓発されてきたかを考察した。新聞は、一般ユーザーがインターネットを安全に利用するための知識を学ぶ重要な手段である。今後セキュリティ情報に、PCの構造やインターネットがつながる仕組みを基本的に伝えることを含めると、よりいっそうユーザーの理解が深まり、積極的にセキュリティ対策をとるようになる。
著者
杉浦 浩美 Hiromi SUGIURA
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 = Bulletin of Saitama Gakuen University. Faculty of Humanities (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.99-106, 2016-12-01

On January 1, 2017, it will be made obligatory for companies to take measures to prevent maternity harassment at workplace. “The guidelines of the measures which employers must take in relation to the problems caused by the behavior toward pregnancy and childbirth at workplace” were publicly announced on August 2, 2016. In this essay, we consider the contents of the guidelines announced by the government and check what kind of acts are prohibited in the guidelines and what are not. This process shows that the guidelines does not cover some aspects and that the aspect not covered is essential.As a consequence of the public announcement of the guidelines, working pregnant women must have less difficulty to assert “the right to work and give birth healthily” and it must lead to the protection of the right. As to the aspect of the protection of the right, however our current society has a long way to go. The guidelines has to necessarily contain the viewpoint to reconsider working environment and way of working itself. We should discuss how to protect the right to work and give birth, rather than emphasize solely the prohibition of harassment.
著者
松村 真木子 Makiko MATSUMURA
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 = Bulletin of Saitama Gakuen University. Faculty of Humanities (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.165-178, 2015-12-01

インターネットが家庭に定着した2007年から2015年の時期における、子どもをめぐるインターネット環境の変化を、朝日、毎日、日経各紙の記事から分析した。通話のPHS時代、メールの携帯時代を経て、2013年から中高生は一気にLINEのスマホ時代に突入した。そして、子どもをトラブルから護るための対策であったフィルタリングが有効性を失った。メール時代から続く「即レス」(すぐに返事をすること)が、LINEのチャットで加速した。仲間はずれにならないために深夜までチャットに参加し、子どもたちは疲弊している。さらに、SNSで誰もが不特定多数に対し情報を発信し交流できる環境は、さまざまなトラブルに出会う危険性をはらんでいる。このような時代の実情をふまえて、まずネットの仕組みを理解させること、そのうえで子どもの心の成長に合わせて、子どもたち自身が、チャットの時間帯を含めてネットの安全な使い方を考えられるようなサポートが必要である。
著者
遠田 諭
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.89-100, 2011-12

本研究では過敏型自己愛と誇大型自己愛のフラストレーション場面における言語的攻撃を中心とした、実際的な対人場面における言語表出の特徴について検討を行なうことを目的とし、大学生165名を対象に調査を行った。自己愛尺度とP-Fスタディの分析の結果、全体的な傾向として誇大性が高いことが他者非難的な言語表出に結びつきやすいことが示された。また、場面状況によって反応傾向に違いが見られ、特に検査提示場面に対して心理的な距離が大きい場合、誇大型が過敏型よりも表面上は攻撃的な言語表出をしないことが示された。
著者
赤津 純子
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.151-161, 2008-12

日本の昔話のうち、「かちかちやま」を取り上げ、その教育的意義について考察する。「かちかちやま」には、タヌキがお婆さんを婆汁にしてお爺さんに食べさせる場面が出てくる。この部分は、多くの昔話絵本では残酷であるとの理由から曖昧に扱われている。本研究では、保育に携わる保育者、保育者志望の学生、様々な年齢経歴の成人女性という3つの集団の構成員がこの部分について、どのように感じ、またどのように扱いたいと考えるかを調査する。そこから現在の子どもたちにとってのこの昔話の存在意義、教育的意義を検討することを目的とする。
著者
小島 弥生 Yayoi KOJIMA
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
no.13, pp.83-96, 2013-12

大学生が学業場面で他者からほめられる際に、ほめ言葉を発する相手やほめ言葉が伝えられる状況が、ほめの受け手の心理的反応(感情・認知)にどのように影響を及ぼすかについて想定場面を用いた質問紙実験で検討した。実験参加者148名は相手(教員・同級生・後輩)と状況(直接・伝聞)を組み合わせた6つの実験条件のいずれか1つに割り当てられ、ほめ言葉の受けとめ方、相手のほめ行動の受けとめ方、場面から感じる感情(肯定的、否定的)を回答した。さらに、心理的反応を調整する個人差変数として、賞賛獲得欲求と拒否回避欲求を測定し、分析に投入した。結果は仮説の一部を支持し、直接ほめ言葉を聞かされる場合よりも第3者から相手のほめ言葉を伝え聞く場合の方が、ほめ言葉やほめ行動を肯定的に認知することが示された。ただし、教師が相手のほめの場合に状況間での認知の違いはみられず、同級生からほめられる場合に状況間での認知の違いが顕著となった。すべての条件において肯定的な感情が高く評定されていたが、賞賛獲得欲求はほめに対する肯定的感情を促進し、拒否回避欲求は肯定的感情を抑制する調整効果があることも示された。