著者
金丸 裕志 Yuji KANAMARU
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.29-40, 2023-03-01

民主政治における「大統領制化」の議論は、ポグントケらの研究を中心にこれまで数多く議論されてきた。本稿ではこの「大統領制化論」を検討し、その内容を「政策決定過程」と「選挙過程」とに分けて考えることでよりよく理解が進むことを示す。そして彼らの大統領制化論に対する批判のなかで、それを政治の「個人化(personalization)」とする議論を紹介し、とくに「選挙過程」に着目することで、今日、先進民主主義諸国だけでなく新興民主主義国や途上国でもみられるポピュリズムや新興政党といった政治の現象は、むしろ政治の「個人化」として理解する方が妥当であると結論付ける。
著者
島田 由紀子 Yukiko SHIMADA
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.97-108, 2014-03

幼児に18個の図形(三角・丸・四角、青とピンクの線画)を提示し、何かに見立てた描画の初発反応について取り上げた。初発反応に焦点をあてることで、幼児が見立てやイメージがしやすい図形の形と色について把握することができ、描画のモチーフからは、図形からイメージして描く内容を知ることができる。形や色を提示するという条件のもと、年齢差や性差にどのような差や共通性がみられるのか明らかにすることで、幼児の造形活動や指導への手がかりにすることが期待できる。 調査対象者は4歳児クラス(男児14名、女児14名)、5歳児クラス(男児14名、女児10名)の52名で、調査員との個別調査で行った。その結果、取組み数は年齢や性別を問わず約80%以上であったことから、幼児は「見立てよう、描こう」という意欲が高いことがわかった。初発反応の図形は、図形丸と図形三角が多く、幼児にとって図形三角や丸は親しみやすい形だと考えられる。線画の色はピンクよりも青の方が多く、性別による嗜好色の影響はなかった。4歳児クラスでは見立ての描画として成立するには、見立ての理解とイメージしたものを描くことの難しさがうかがえた。しかし、女児は4歳児クラスでは低い成立数が5歳児クラスでは90%と高いことから、この時期の女児の見立てや描画への興味関心の高さやイメージする力、描写力の伸びがうかがえた。色からの見立ての描画の成立数は形に比べて低く、見立ては色よりも形が優先されることが明らかになった。モチーフに着目すると、見立ての不成立の描画には年齢性別問わず、提示された図形への2重描きや塗りつぶし、図形の中や外への自由な描画などがみられた。見立てが成立した描画は、4歳児クラスの男児では「車」「メロンパン」、女児では「星」「ドア」、5歳児クラスの男児では、「家」「ドラゴンボールの玉」「おにぎり」、女児では「雪だるま」「ロールケーキ」などであった。男児の「車」や女児の擬人化された「雪だるま」などには自由画にみられる性差との共通性が、食べ物を見立てて描画することは図形からの連想語調査との共通性がみられた。 幼児が図形から何かをイメージして描画表現するには描写力が必要となるため、5歳児クラス以前では難しいことが推測された。しかし、5歳児クラスの見立ての描画では形からの成立数をみると、それまでの間にいろいろな経験をしてイメージを広げることや造形活動や生活経験を重ねることで、見立てるイメージ力も描写力も備わることがわかった。この時期の幼児が考えたり思い浮かべたりすることや、形や色やさまざまな素材を使った造形活動を重ねることが、その後の創造的な造形表現につながることが考えられた。
著者
佐藤 千恵 後藤 政幸 Chie SATO Masayuki GOTO
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.149-155, 2015-03

内分泌かく乱作用が懸念されるピレスロイド系農薬の環境生態系への影響を把握することを目的に、貝類中微量ピレスロイド系農薬の分析方法の開発を試みた。ホンビノス貝(Mercenaria mercenaria)を対象に5種ピレスロイド系農薬(ビフェントリン、ペルメトリン、シペルメトリン、フェンバレレート、デルタメトリン)を添加して、微量濃度における回収率(ホンビノス貝中各農薬濃度0.1ppm)および分析の迅速性、クリーンアップ処理の妥当性について検討した。農薬分析の前処理には高速溶媒抽出およびゲル浸透クロマトグラフクリーンアップを採用した。結果、ビフェントリン、ペルメトリン、シペルメトリン、フェンバレレートおよびデルタメトリンの回収率はそれぞれ67、86、76、82および79%であり、「食品中に残留する農薬等に関する試験法の妥当性評価ライン」(平成22年12月厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)に定められた回収率の目標値(70〜120%)のほぼ範囲内であった。また、高速溶媒抽出により分析時間の短縮等有効な抽出ができ、ゲル浸透クロマトグラフクリーンアップ法を取り入れたことでガスクロマトグラフ/質量分析時の夾雑物質による検出器等の汚染や定量感度の低下が解消された。
著者
佐藤 勝明
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
no.61, pp.243-254, 2020-03-31

元禄期の俳諧の内実を探るために、蕉風以外の未注釈文献から興味深い連句作品を選び、〔見込〕〔趣向〕〔句作〕の三段階分析の手法を用いて、各付合のありようを分析する。本稿はその第一弾であり、無倫編『俳諧 紙文夾』(元禄十年秋序)に収められる、不角・無倫・里風・我笑・和英による五吟歌仙を対象とする。そして、その分析により、当歌仙でも心付(句意付)が主流となっていることは確実ながら、前句にふさわしい場面を想像し、位を重視して付けるという芭蕉流の意識を見て取ることはできず、詞の連想に頼った側面も少なからずあることを明らかにする。
著者
小沢 哲史 TETSUSHI OZAWA
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.155-166, 2013-03

近年、日本では少年犯罪に対する関心が高まり、実態以上に過大視する傾向が強まっているとされる。これを「少年犯罪に対する過大視現象」とする。この現象については実態の把握が十分ではなく、この現象をどのように説明すべきか、その影響は何かなど不明な点も多い。本論文は第一に、この現象の実態をより明確に把握するため、高校生、大学生、幼稚園児の母親、50 〜70歳代の計4グループ、合計183名を対象に、平成17年度内閣府調査の質問文を精緻化した調査を実施した。第二に、少年犯罪の過大視現象をどのように捉えるのかについて学際的議論を行った。最後に、過大視現象が青少年の発達に与える影響について論じた。
著者
杉浦 功一
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.13-24, 2018-03-31

デモクラシーの概念及び民主化の動向を概観したうえで、これまで西側先進国主導であった開発援助及び民主化支援におけるデモクラシーや民主化の位置づけの変化を、ガバナンスなど関連する概念との関係を含めて検証する。そして実際の民主化支援活動の全体的な傾向とエジプト及びフィリピンへの支援を検証し、それらで現れているデモクラシーの概念の変容を捉えることを試みる。結果、「規範的なデモクラシー」としては、国家の政治体制としての自由民主主義体制が国際的な規範であり続けている。他方で、実際の開発援助や民主化支援の検証を通じてわかる「運用されるデモクラシー」をみる限り、より「非政治的」で政府の能力に重点を置いたデモクラシー像が現れつつある。
著者
藤丸 麻紀
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.41-54, 2016-03

民間活力導入の流れの中で指定管理者制度が2003年に導入されて10年以上が経過し、指定管理者制度導入施設は増加した。指定管理者制度を経済学的に考えると、不完備契約とプリンシパル=エージェント理論を当てはめることができる。とくに児童館・保育園への指定管理者制度導入を考えると、指定期間を長くすることが望ましいが、エージェンシー・スラックを抑えるためにはモニターコストをかける必要があるといえる。実証分析で東京23区の指定管理者導入施設について分析を行ったところ、児童館・保育園を含む社会福祉施設については指定期間が長くなっていることが分かった。次に児童館と保育園を分けて分析したところ、保育園については指定期間が長くなっているが、児童館についてはむしろ短くなっていることが分かった。しかし児童館・保育園に指定管理者制度を導入し、その中でもとくに株式会社を指定管理者としている例はまだ数が少なく十分な分析が行えない。そこで東京都中央区の例を参考に事例研究を行った。その結果、児童館に対する指定管理者制度導入によって運営費用を抑えながらサービスの質的向上を図るために、指定期間を10年間と長くしている一方で、公設公営の館を基幹館として指導・監督を行う、運営委員会を開催する、引継ぎ期間を長くするなど、モニターコストや引継ぎコストを十分にかけていると推測できることが分かった。
著者
古屋 耕平 KOHEI FURUYA
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.61-70, 2012-03

西部劇小説『シェーン』は、1949年の出版以来、映画版の人気にも後押しされながらコンスタントに売り上げを伸ばし、今では西部劇小説の古典として一定の地位を確立している。しかしながら、この小説の西部劇伝統におけるユニークな特質については、あまり論じられていない。この小説を論じる上で最も重要なのが、執筆の時期である。『シェーン』の元となった中編小説Rider from Nowhereの執筆が始まったのが1945年であった、という事実は注目に値する。注意深く読めば、『シェーン』のテクストには、第二次世界大戦直後から冷戦期にかけてのアメリカの政治・社会についての様々な言及が隠されていることがわかる。本論では、『シェーン』と冷戦期アメリカ合衆国の政治的及び文化的プロパガンダ戦略との密接な関係を明らかにする。
著者
永澤 貴昭 黒坂 裕香 田中 智美 町田 修一 湊 久美子 Takaaki NAGASAWA Yuka KUROSAKA Tomomi HASEGAWA-TANAKA Shuichi MACHIDA Kumiko MINATO
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.97-105, 2023-03-01

運動部に所属する男子大学生アスリートの食事調査結果を用いて、栄養摂取状況の特徴を評価した。さらに、食品群別摂取頻度による評価点を算出して、エネルギー、栄養素摂取量や各栄養素摂取量による評価点との関連性を検討し、アスリートの食生活バランスの評価に用いることができる簡易な方法について考察することを目的とした。食事調査の結果、対象集団にはエネルギー、栄養素摂取量が身体活動量に見合わないものが複数いた。一方で、サプリメントやプロテインを利用している者が多数おり、食事に関して無関心ではないことが窺われた。食品群別摂取頻度による評価点を用いた簡易な食生活評価法については、たんぱく質、鉄、カルシウム、ビタミンB1など、アスリートにとって重要な栄養素摂取量との有意な関連性を認めた。さらに、食品群別摂取頻度の得点と8項目のエネルギーと栄養素摂取量を、食事摂取基準の推奨量ならびにアスリートの推奨量と比較して得点化した栄養素摂取量評価得点を算出し関連について分析を行ったところ、有意な関連性が認められた。10種の食品群別摂取頻度を把握することは、アスリートの食生活とそれに付随する栄養摂取状況の概要について評価することができると考えられ、栄養アセスメントの一次的なスクリーニング評価に活用できる可能性が示唆された。
著者
高久田 佳津子 Katsuko TAKAKUDA
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.157-161, 2015-03

2011年度から3年間、英語・英文学類で行った「英語ミュージカル」を通じて英語力の向上、英語による発信力の強化に向けた教育を行った。このプロジェクトは、2010年秋に行った英語教育に対してのイベントに関するアンケートで全学の学生が興味を示した(30%)「英語ミュージカル」を、通常の授業カリキュラムと関連づけた英語教育プログラムとして完成させることを目標としている。英語・英文学類所属教員は、文化、文学、言語というそれぞれの専門に合わせてこのプロジェクトに係わり、ミュージカル公演、佐倉基礎演習、通常授業の3つを機能的に連結させる試みを行った。通常授業である「アドヴァンスト・リーディング」、「文学と音楽」などの授業をプログラムに合わせて強化し、さらに「ミュージカル英語」のクラスを増設した。このプロジェクトは、英語の4技能を総合的に獲得する、つまり「人間の言葉」としての英語力を獲得する取り組みである。活動は、①テキスト製作、②佐倉セミナー、③里見祭でのミュージカル上演の3つに大きく分けられ、それぞれ当初の目的が達成された。題材として、『ウェスト・サイド・ストーリー』(2011年)、『マイ・フェア・レディ』(2012年)、『サウンド・オブ・ミュージック』(2013年)を選び、教育効果としては、①共同作業による学習意欲の増進、②自己アピールに必要な知識の獲得、③教養力のアップの3つのレベルで効果が認められた。
著者
坪野 圭介 Keisuke TSUBONO
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
no.62, pp.63-74, 2021-03-31

スコット・フィッツジェラルド(F. Scott Fitzgerald)の長編小説『グレート・ギャツビー』(The Great Gatsby, 1925)には、様々なレベルで遊園地のイメージの利用が見られる。主人公ジェイ・ギャツビーの屋敷をはじめ、建築はしばしば「見世物」の要素をもち、作中で重要な役割を果たす自動車は「アトラクション」の効果をもつ。本稿が検証するのは、『ギャツビー』という作品が、シカゴ万国博覧会を祖とするニューヨークの遊園地コニーアイランドを象徴的に物語と重ねあわせることで、「狂騒の20年代」とも呼ばれる第一次世界大戦後のアメリカ社会を巧みに表象しつつ、主人公であるギャツビーと語り手ニックの姿勢の違いを浮き彫りにする過程である。
著者
金子 健彦 ティモシー マーフィー Takehiko KANEKO MURPHEY Timothy
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
no.62, pp.163-166, 2021-03-31

2019年12月、中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019;COVID-19)は、パンデミックを引き起こし、大学教育の運営にも大きな影響を及ぼした。今回、我々は新規に遠隔双方向の英語講義を開始するにあたり、Zoom会議システムを用いて、その立上げを支援する経験を得たのでその詳細を報告する。講義の開始前には、インターネットの接続状況や、端末機器の保有状況を調査した。また、講義の実際においては、Zoom会議システムが有するブレイクアウト機能、チャット機能、画面共有機能が有用であった。本システムの利用により、講義者、履修者のいずれのITリテラシーも向上した。今回利用したテレビ会議システムによる、遠隔双方向講義は、講義運営上大きな問題を生じなかったが、今後もその教育的効果の検証を継続することが重要と考える。
著者
後藤 政幸 佐藤 千恵 間中 友美 中島 肇 Masayuki GOTO Chie SATO Yumi MANAKA Hadjime NAKAJIMA
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.127-133, 2015-03-31

りんごに5種ピレスロイド系農薬(ビフェントリン、ペルメトリン、シペルメトリン、フェンバレレート、デルタメトリン)を低濃度(残留基準濃度;0.5ppm)塗布後、室温・明所下で7日間保存した。保存1日後、4日後、7日後に可食部について残留農薬濃度を分析した。結果、Ⅰ型ピレスロイド(ビフェントリン、ペルメトリン)は保存1、4、7日後にそれぞれ0.26、0.12、0.06ppm、Ⅱ型ピレスロイド(シペルメトリン、フェンバレレート、デルタメトリン)は0.44、0.37、0.35ppmに減少した。1日間および7日間保存のりんごについて、果皮および果肉に分けて残留農薬の分析を行った結果、果肉は7日間保存の試料にだけⅡ型農薬(シペルメトリン、フェンバレレート、デルタメトリン)が微量検出され、果肉中農薬量/果皮中農薬量の割合は3.0~4.9%であった。 次いで、りんご果皮に付着している農薬の除去法について検討した。りんごに同様の低濃度農薬を塗布して、水洗およびふきとり操作を行った。可食部について農薬分析を行った結果、水洗操作では5種ピレスロイド系農薬の残留率は93~99%、ふきとり操作では22%~42%であり、水洗による農薬除去は期待できなかったが、ふきとりは農薬除去に有効であった。
著者
市村 美帆 新井 洋輔
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.165-174, 2020-03-31

本研究の目的は、大学生が双子コーデ現象をどのように捉えているのか、双子コーデの経験有無による違いについて検討することである。大学生161名を対象に質問紙調査を行った。その結果、大学生は、テレビやSNSおよびインターネットで双子コーデの情報に触れたり、友だちが双子コーデをしていたり、実際に街中で双子コーデをしている人たちをみたことがあるといったように、様々な形で現象に触れていた。双子コーデは主として女性同士で行われる現象であるが、男性もしくは異性同士でも行われるものでもあることや、関係の深い2人によって双子コーデが行われると捉えられていた。また、大学生は双子コーデを、楽しく、テンションがあがることと考え、双子コーデというファッションにかわいいやほほえましいといった評価をしており、好意的に捉えていた。双子コーデをする理由については、「自分の楽しさ志向」「友だちとの関係志向」「流行・社会志向」の3つのまとまりに整理された。双子コーデの未経験者で今後経験したくない者は双子コーデをする理由を「友だちとの関係志向」で捉え、双子コーデの経験者や今後経験してみたい者は双子コーデをする理由を「自分の楽しさ志向」と考えていた。
著者
金丸 裕志
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
no.60, pp.23-33, 2019-03-31

本稿は、これまでの政治体制の比較研究における民主化論や政治体制論を検討し、21世紀に入って盛 んに論じられている権威主義体制の研究に着目して、政治体制の実証的分類および体制移行の検証を可能 にする分析枠組みの構築を目的とする。冷戦後の民主化の時代には、政治学では盛んに民主化研究が行わ れ、1990年代に民主化の限界が見えると、今度は権威主義体制とのグレーゾーンに位置する政治体制が 注目された。21世紀には民主化の「後退」や「バックラッシュ」がいわれ、現在は権威主義体制の研究 が盛んに行われている。本稿では、こうした流れに沿って、民主化論、グレーゾーン体制、選挙権威主義・ 競争的権威主義体制論を順に検討し、これらをふまえて自由民主主義・選挙民主主義・競争的権威主義・ 覇権政党・一党独裁・君主政/軍政/個人独裁の類型からなる政治体制の分類枠組みを提示する。この分 類枠組みは、要素累積的に構成されており、そのため、政治体制の比較研究および体制変動の検証に有効 であると考えられる。
著者
佐藤 勝明 Katsuaki SATO
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
no.62, pp.201-212, 2021-03-31

蕉風以外の未注釈の連句作品を分析する第二弾として、無倫編『俳諧紙文夾』(元禄十年秋序)に収められる、嵐雪・無倫・艶士・止水による四吟歌仙を対象とする。そして、その分析により、嵐雪と無倫らの間に不協和音は感じられず、芭蕉流の付け方が共有されていると見られるものの、各付合では詞の連想に頼った側面もあり、一巻全体では変化を重んじる意識が希薄であることを指摘する。