著者
阿部 裕輔 鎮西 恒雄 磯山 隆 満渕 邦彦 松浦 弘幸 馬場 一憲 河野 明正 小野 俊哉 望月 修一 孫 艶萍 今西 薫 吉澤 誠 田中 明 内山 賢一 藤正 巌 渥美 和彦 井街 宏
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR ARTIFICIAL ORGANS
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.21-26, 1997-02-15
被引用文献数
7

1/R制御により、完全置換型人工心臓ヤギで532日の長期生存を得た. 術後経過としては、ポンプ内に血栓を生じたため、左右の血液ポンプを交換したこと、胸部の圧迫壊死層から出血をきたし、貧血の状態となったことなどがあったが、制御は順調に継続できた. 生存期間を通して、血行動態は安定し、右心房圧も低値に保たれていた. 血液生化学データ上も異常は見られず、ホルモン値にも異常は見られなかった. 剖検時に腹水はなく、肉眼的には肝臓病変も見られなかった. また、心拍出量は、大動脈圧とは関係が見られず、総コンダクタンスと相関が見られ、術後2週間および出血後2週間はヘマトクリット値と逆比例の関係が見られたが、それ以外の時期にはヘマトクリット値や総タンパク値とはあまり関係がないなどの興味深い所見も得られた. 本研究により、1/R制御の生理的な長期安定性が確認できた.
著者
小山内 誠 米川 元樹 川村 明夫 田中 三津子 此枝 義記 久木田 和丘 目黒 順一 玉置 透
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.246-249, 1999-02-15 (Released:2010-10-28)
参考文献数
5

腎不全患者では, 体液に移行した水分は透析などで除く以外に方法はない. そこで, 経口摂取した水分が腸管から吸収される前に高吸収性ポリマーで吸収し, 循環系へ入る水分量を抑制する方法を考案した. 今回, 各種ポリマーを用いた消化管内水分吸水能についての基礎的検討を行なった. ポリマーは, ポリアクリル酸Na (PA-Na), ポリアクリル酸Ca (PA-Na), 粒径の異なるN-ビニルアセトアミド (PNVA-1, PNVA-2) の4種類を作製し, 水, 生理食塩水, 人工胃液, 人工腸液を用いて吸水能を測定した. PA-Na1gに対する吸水量は水640m1/gと最も多く, PA-Caが2ml/gと最も少なく, PNVA4, 2はその中間の吸水力であり, これら各種ポリマーの吸水量は液の性状, pHなどにより大きな差が見られた. また, ヒト腸液を用いた検討でも吸水性に関し同様の結果が得られた. 吸水前後における組成分析では, 吸水後, PA1NaでNaの, PA-CaでCaの有意な増加がみられたが, PNVA-1, および2では, 有意な変化を認めなかった. 今回の検討から, 吸水材は十分に臨床応用可能と思われ, 特に非イオン型ポリマーであるPNVAの有用性が示唆された.
著者
菅野 伸彦
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.81-83, 2018-06-15 (Released:2018-09-15)
参考文献数
14
被引用文献数
1
著者
林 雅敏
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.1569-1582, 1990-12-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
31

骨折治癒過程の補助診断法の一つとして, 伝導音検査法に注目し本法の臨床応用の可能性につき実験的ならびに臨床的に検討した. 骨伝導音検査法は, 骨の破壊強度を表す吸収エネルギー値が骨の固有振動数に二次関数的な相関を有するという理論に基づいて, 周波数分析から骨癒合強度を知ろうとする方法である. ハンマーを用いて経皮的に骨の一端を叩打し骨に振動を与え, 他端のマイクにより音波として受波するものである. 本法を29頭の犬を用いた実験により実証し, 臨床的に57症例に対し本法を行い臨床応用の可能性を検討した. 動物実験の結果, 創外固定例では骨の癒合強度の指標である吸収エネルギー値と骨振動の卓越周波数は二次関数的な相関を示すことがわかった. また動物実験ならびに臨床例で保存的治療群および創外固定群は本法により骨癒合過程の診断が可能であった. しかし, 内固定群では本法による骨折治癒過程の追跡は困難であった.
著者
大崎 健一 小西 淳 池上 和仁 小出 幹夫
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.497-502, 1991-04-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
7
被引用文献数
2

短時間熱脱水架橋した線維化アテロコラーゲンと熱変性アテロコラーゲン複合体で構成される人工真皮を開発した。そこで、ラット全層皮膚欠損創にこの人工真皮を貼付し、さらに同時或いは1、2週後に自家の薄い分層皮膚(S.T.S.)を重ねて移植した。その結果、S.T.S.生着率は、同時に重層移植した群で50%、1週間後移植群で60%、2週間後移植群では90%と高率であった。組織学的には、生着例ではいずれも疑似真皮様となった人工真皮の上に、S.T.S.が極めて自然に密着していた。S.T.S.の表皮基底細胞は、植皮6日後には、BrdU(チミジンアナログ)の盛んなとり込みも見せ、旺盛な分裂増殖能を示した。以上より、この人工真皮は生体適合性が高いため薄い分層植皮の為の良いbedとなり、厚い皮膚移植や皮弁以外に方法がなかった全層皮膚欠損創の再構成にも貢献出来る可能性があるものと考えられた。
著者
鈴木 裕之
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.198-201, 2017-12-15 (Released:2018-03-15)
参考文献数
10
被引用文献数
1
著者
熊野 浩
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.561-566, 1998-04-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
27

ヘパリンコーティング(HC)回路使用, ヘパリン減量下の炎症性メディエーターの変動からみたHC回路の生体適合性を検討した. 待期的開心術30例を従来回路使用10例(N群), HC回路使用10例(H群), HC回路を使用し, かつヘパリンを減量した10例(L群)に分け, 顆粒球エラスターゼ(GEL), C3a, インターロイキン6(IL-6)および8(IL-8)を, 術前から体外循環(CPB)終了24時間後までの11時点で測定した. N群とH群は初回投与ヘパリンを300U/kg, L群は150U/kgとした. その結果, N群のGEL, C3aはCPB中にH群, L群よりも有意に高値であったが, H群とL群の間に差がなかった. IL-6, IL-8はCPB後にL群では他の2群よりも有意に低値であり, N群ではHC回路の2群よりも高値をとる傾向がみられた. HC回路使用により白血球・補体活性化, サイトカイン上昇は抑制され, ヘパリン減量に伴いこれらの抑制効果はさらに向上することが示された.
著者
井街 宏 藤正 巌 大道 久 真野 勇 西坂 剛 岩井 矩成 渥美 和彦
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.5, no.6, pp.321-327, 1976-12-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
16

The rapid decrease in hematocrit (Ht) and total protein (Tp), gradual increase in central venous pressure, and peripheral circulatory insufficiency such as impossibility of standing up, poor appetite, anuria or oliguria and constipation or mucous feces were the most serious physiological problems in recent total artificial heart (AH) animal experiments. For these phenomena, a phsiological hypothesis was presented by authors under the consideration of that too much cardiac output for animal might induce such phenomena.As the results of animal experiments with goat, the following finidings were obtained.(1) High cardiac output of AH causes a marked decrease in Ht and Tp, as well as peripheral circulatory insufficiency.(2) By maintaining the cardiac output within the range of 80 to 100ml/Kg/min. during the experiments, maximum and average survival days of the goats replaced totally with AH were markedly prolonged, from 10 days to 54 days and from 4.5 days to 30.5 days, respectively. And the surviving condition of these goats were almost normal physiologically and pathophysiologically.(3) As conclusion, it became obvious that the cardiac output was one of the most important physiological parameter for control of the circulatory system.
著者
阿久津 哲造
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.403-406, 1988-04-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
20
著者
藤森 明 内藤 秀宗 宮崎 哲夫 徳小田 康秀 吾妻 眞幸 橋本 幸枝 上坂 正利 小島 弘栄 似鳥 嘉昭
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.157-160, 1997-02-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
8

3種のポリスルホン膜、PS-1.6UW、APS-150、BS-1.6を血液透析(HD)および血液透析濾過(HDF)に使用し、膜断面における蛋白付着状態を共焦点レーザー走査蛍光顕微鏡で観察した。観察した蛋白は、アルブミン(Alb)、IgG、β2-microglobulin (β2-MG)、C3a、顆粒球Elastase、interleukin-1β、interleukin-6、tumor necrosis factor-αの8種類である。Alb、β2-MGは各膜ともHD、HDFで同様の強い蛍光が観察されたが、サイトカインの付着は各膜とも少なかった。緻密層の厚さや細孔構造の違い、表面polyvinyl pyrrolidone配合比率、電位の違いなどによると思われる、若干の差異を認めたものの、今回比較観察した3種類のポリスルホン膜では、これらの蛋白付着パターンに大きな違いを認めなかった。
著者
大平 整爾 長山 誠 花井 智司 岩山 清和 榎本 義雄 似鳥 嘉昭
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.3-7, 1993

中空糸間にスペーサーフィラメント(SF)を配し、透析液流を均一化することにより溶質除去性能の向上を図ったPAN-15SF(膜面積1.5m<sup>2</sup>)を臨床的に評価した。対照ダイアライザーとして従来のPAN-17DX(1.7<sup>2</sup>)、FB-150U(1.5<sup>2</sup>)、F-80(1.9<sup>2</sup>)を用いた。PAN-15SFの小分子クリアランス及び除去率は、対照ダイアライザーと同等であった。また、β<sub>2</sub>-MGのクリアランスは、同膜面積のFB-150Uより有意に高値を示した。膜面積効果を排した総括物質移動係数の比較では、PAN-15SFはBUNで従来のPAN-17DXより有意に高値を示し、他の溶質でも高値を示した。以上の結果より、SFにより溶質除去性能が改善され、PAN-15SFは、対照ダイアライザーと比較して、小分子から中高分子までの溶質に対して同等あるいはより優れた除去性能を有していることが臨床的に確認された。