- 著者
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川久保 篤志
- 出版者
- 公益社団法人 日本地理学会
- 雑誌
- 地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
- 巻号頁・発行日
- vol.90, no.6, pp.607-624, 2017-11-01 (Released:2022-03-02)
- 参考文献数
- 32
本稿は,GATTウルグアイラウンド合意によって米国からミニマムアクセス米が輸入され始めて20年以上経過した現在の米国の米需給と産地の動向を検討したものである.その結果,対日輸出基地であるカリフォルニア州では,①国内外市場の拡大で史上最高レベルの生産量と収益性を維持していること,②水利条件の制約で現在以上に栽培面積を拡大できないこと,③生産の中心は中粒米で,日本食ブーム下でも短粒米市場は拡大していないこと,④短粒米の中でも日本品種は栽培が難しく低収量なため積極的な栽培はみられないこと,が明らかになった.つまり,現在の米国では米の輸出圧力は小さく,かつ日本市場に合う短粒米の増産は期待できないので,現状の管理貿易の維持が米国にとっても最善の策であると考えられる.