著者
高橋 修
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.106, no.12, pp.836-852, 2000-12-15
被引用文献数
3

関東山地秩父帯南帯および四万十帯北帯に分布する中生代付加コンプレックスを, 前期ジュラ紀から後期白亜紀にかけて形成された15のユニットに区分した.それらの復元された海洋プレート層序から, 関東山地では, ジュラ紀全般(第I期)および後期白亜紀(第III期)の付加体が連続的に形成された時期と, 最後期ジュラ紀〜前期白亜紀の, 付加体形成の減衰の時期(第II期)が認められた.後者(第II期)は, 秩父帯付加コンプレックスと四万十帯付加コンプレックスの境界に一致している.また, 復元された海洋プレート層序は, 秩父帯および四万十帯付加体を形成した二つの異なったプレート(イザナギプレートおよびクラプレート)の沈み込みを示唆する.上述した付加の減衰は両プレートの沈み込みの変換期に起こった可能性がある.このように, 付加体の研究は, 中生代のアジア東縁のプレート運動史を考える上で, 重要な示唆を与えてくれる.
著者
吉本 充宏 古川 竜太 七山 太 西村 裕一 仁科 健二 内田 康人 宝田 晋治 高橋 良 木下 博久
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.109, no.10, pp.595-606, 2003-10-15
被引用文献数
5 18

鹿部冲の海底に分布する北海道駒ヶ岳火山1640年の岩屑なだれ堆積物を調査した音波探査の結果,海底岩屑なだれ堆積物の分布の末端部を確認することに成功したこれらは溶岩流などに認められる急勾配の末端崖は示さないものの,傾斜の変化を示す海域に分布する流れ山は岩屑なだれ堆積物分布末端部では存任せず,流走距離に反比例して規模・分布頻度が小さくなる傾向を示す海域における岩屑なだれ堆積物の分布は,主方向が北東方向と東方向の双頭状の分布を示し,給源からの最大水平流走距離は約20km,最大幅は約15km,分布面積は約126km^2であるH/L比は0.06であり,海底を流走した岩屑なだれは同規模の陸上岩屑なだれより流動性が高い傾向がある実際に海中に流入した体積は,探査から求めた海底地形データによって見積もった体積に,薄く広がった部分と流れ山の体積を加えた0.92〜120km^3と見積もられた
著者
白尾 元理
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.87, no.10, pp.641-655, 1981-10-15
被引用文献数
1
著者
佐藤 時幸 樋口 武志 石井 崇暁 湯口 志穂 天野 和孝 亀尾 浩司
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.109, no.5, pp.280-292, 2003-05-15
被引用文献数
7 10

秋田県北部に分布する天徳寺層,笹岡層の石灰質ナンノ化石層序調査結果は,峰浜地域の笹岡層最上部が更新世最初期に対比されるのを除けば,いずれの地域においても両層の年代は3.85-1.73Ma間の後期鮮新世に対比されることを示す.また,北極地域の急激な氷床拡大と関連する基準面Aは峰浜地域と柾山沢地域で天徳寺層・笹岡層境界に追跡されること,これら対比から,秋田地域の大部分が鮮新世末に陸化したことを明らかにした.この調査結果と,新潟,北陸地域の大桑・万願寺動物群産出層準との対比結果から,秋田県内の大桑・万願寺動物群産出層準が,更新世に対比される新潟・北陸地域とは明らかに異なることを指摘した.一方,日本海側地域石灰質ナンノ化石群集は北太平洋-北極海域で認めた群集と極めて類似し,暖海性種を伴う太平洋側地域と対立すること,その生物地理形態が大桑-万願寺動物群と共通することなどもあわせて明らかにした.
著者
氏家 良博 谷口 貴康 蝦名 正輝
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.112, no.10, pp.581-593, 2006-10-15
被引用文献数
2 2

青森県東津軽郡外ヶ浜町蟹田において津軽断層近傍に分布する中新統小泊層と鮮新-更新統蟹田層の地質調査を行い,堆積岩に含まれる有機物の熟成度をビトリナイトの反射率(Ro)と、花粉の明度に基づく統計的熱変質指標(stTAI)から測定した.次に,津軽断層で接する小泊層と蟹田層の有機熟成度の差,および小泊層と蟹田層中でのそれぞれの有機熟成速度から津軽断層の変位量を推定するためのモデルを考えた.地質調査と露頭観察結果から,津軽断層の断層面は鉛直で,その走向は周辺の地層の走向と一致し,地層の傾斜は30°とした.これらの値と,津軽断層の両側での統計的熱変質指標の値の差をモデルに外挿すると,津軽断層の変位量(落差;走向スリップ成分は無視)は901〜1389mの間と推定される.この値は,地質学的に推定された断層の層位学的隔離は最大1000m以上との見積り(三村,1979)、重力異常からの断層の落差は約1500mとの見積もり(松橋ほか,1989)とも,よく一致する.有機熟成度は,続成作用,不整合,接触変成作用の研究に役立つが,断層の研究にも有効な指標である.

1 0 0 0 OA 地質學用語集

著者
関谷 清景
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.80-84, 1893-11
著者
久野 久
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.68, no.796, 1962-01-25
被引用文献数
1
著者
久野 久
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.40, no.477, pp.379-380, 1933-06
被引用文献数
1
著者
坪井 誠太郎 久野 久
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.40, no.477, pp.380-381, 1933-06
著者
諏訪 兼位 宮川 邦彦 水谷 総助 林田 守生 大岩 義治
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.103, no.11, pp.XXXV-XXXVI, 1997-11-15
被引用文献数
2

中央構造線の大露頭:月出露頭は, 紀伊半島中央部の高見山東方約9km地点(三重県飯南郡飯高町月出ワサビ谷)において, まず確認され, さらに崖錐除去工事によって出現した. 月出露頭の位置は, 東経136°11'33", 北緯34°26'5"である.<BR>露頭の高さは約80m, 幅は約50mに及ぶ. 露頭の勾配は38. 5°である. 露頭では, 西南日本外帯の黒色片岩と西南日本内帯の圧砕岩類(マイロナイト)とが接している. 月出露頭の中央構造線は, 東西走向で, 北へ60°傾斜している. 黒色片岩の片理は東西走向で北へ67°傾斜している. マイロナイトの面構造はN86°E走向で, 北へ56°傾斜している. マイロナイトは, 中央構造線沿いの幅3~5mの範囲では, 赤褐色を呈してガウジ化している.<BR>1959年9月の伊勢湾台風による崖崩れによって, 月出露頭の一部(右上隅)が出現したが, 大部分は崖錐におおわれていた. 筆者らは, 1995年1月に月出露頭が中央構造線の露頭であることを確認した. そして, 崖錐除去工事によって, 大露頭が出現することを, 関係当局に説いた. 幸い, 1995年度から崖錐除去工事が, 三重県治山事業として3か年計画で着々と進められている. 月出露頭の約1/3の高さには, 土止めの擁壁が設けられた. 露頭の右端には, 露頭最下端部のワサビ谷から擁壁まで, 階段が設けられた. 月出露頭の観察場所はワサビ谷に沿って整備され, 露頭に直接手を触れることができる. 観察場所へのアクセスも着々と整備されつつある.<BR>月出露頭周辺では, 中央構造線はN80°E走向で連続する. 月出露頭の東方約10kmには荒滝露頭があり, そこでも, 黒色片岩とマイロナイトが接している. 月出露頭周辺の中央構造線については, Suwa(1956), 杉山(1973), 高木(1985)などの研究がある.<BR>月出露頭では, 中央構造線は北へ60°傾斜しているが, 最近の伊藤ほか(1996)の四国中央構造線の研究によれば, 地下深部では中央構造線は, 30°~40°程度のゆるい北傾斜を示すらしい.<BR>このロ絵の発表にあたり, 飯高町長石橋 修, 前飯高町長村岡力, 松阪農林事務所前林政部長望月三佐男の三氏をはじめ, その他の関係各位に厚く御礼申しあげる.<BR>崖錐をのぞけば見事あらわるる大断層が月出ずるごと
著者
平林 武
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.5, no.52, pp.142-154, 1898-01-20
著者
伊奈 治行 齊藤 毅 川瀬 基弘 王 偉銘
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.113, no.10, pp.542-545, 2007-10-15
被引用文献数
4

The genus Liquidambar (Hamamelidaceae) is one of a number of taxa associated with the Daijima-type floras of late Early to early Middle Miocene age, which also include many warm-temperate to subtropical elements. However, Liquidambar is very rare or absent in the Aniai-type floras of the early Early Miocene. We describe fossil leaves, fruits and pollen of this genus found in the Lower Miocene Nakamura Formation in the southern part of Gifu Prefecture. The flora of the Nakamura Formation (Hiyoshi flora) shows features common to those of the conformably underlying Hachiya Formation (earliest Early Miocene) but differs from the unconformably overlying Hiramaki Formation (late Early Miocene) in the same region. This fact combined with the occurrence of Liquidambar in the Hiyoshi flora, associated with warm-temperate elements such as Pseudolarix, Castanea, Celtis and Lindera, clearly supports one of two former views : the flora is of a southern type within the Aniai-type floras.
著者
竹下 欣宏 三宅 康幸 酒井 潤一
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.111, no.7, pp.417-433, 2005-07-15
被引用文献数
3 8

古期御岳火山起源のテフラと上総層群中のテフラの対比を角閃石の化学組成値を用いて検討した.その結果, 上総層群中の白尾テフラ(BYK)とKs12テフラが古期御岳火山のHサブステージのYUT4もしくは5と溶岩ステージの上浦沢テフラにそれぞれ対比できることが明らかになった.BYKとKs12は内陸地域と海岸地域を結ぶ重要な鍵テフラとなるだけでなく, 特にBYKは更新世の前・中期境界の直上に位置するために, 中部〜関東地方において重要な時間基準面を提供すると考えられる.上総層群中の9枚のテフラ(Ku6E, Ku5C, BYK, Ka2.4B, Ka2.4A, Ch3, Ch1.5, Ks18, Ks12)に含まれる角閃石の化学組成値はそれぞれ異なることを示した.さらに, 黒富士火山, 古期御岳火山のテフラも角閃石の組成値により明瞭に区別することができた.それらの結果は, その組成値がテフラの同定, 対比の有効な指標になることを示している.
著者
都城 秋穂
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.61, no.721, pp.463-470, 1955-10-25
被引用文献数
5 22

A pyralspite garnet from a cavity in rhyolite at the Thomas Range, Utah, U., S., A., was analysed as shown in Table 1., It is high in Mn content, being mainly composed of the spessartine and almandine molecules., Pyralspites occurring as porphyritic minerals in volcanic rocks are poorer in Mn than those from cavities and lithophysae in volcanic rocks (Fig., 1)., Pyralspites from granites are generally poorer in Mn than those from pegmatites (Fig., 2)., According to a crystallo-chemical consideration, pyralspite poor in Mn is stable under a narrower range of physico-chemical conditions than those richer in Mn., The physico-chemical conditions under which porphyritic minerals and granites were formed, were more favourable for the generation of pyralspite than those under which cavities, lithophysae, and pegmatites were formed., Therefore, pyralspite poor in Mn could be generated as porphyritic minerals and in granites, but not in cavities, lithophysae, and pegmatites.,
著者
野中 諄一
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.51, no.609, pp.188-191, 1944-06-20
被引用文献数
1

昭和17年度東京帝大理學部地質學科中期學生志水次郎, 故橋本公久兩君は五日市近傍の地質調査中同地西北方の所謂白丸古生層帶より3種の腕足瓶化石を發見したが、そめ鑑定結果は次の如くである。a) 高明山山頂神社東側, 汚褐色珪質堅硬石灰岩: Hustedia(?)sp., b) 馬頭刈山北1100米通稱小宮澤, 白色結晶質石灰岩: Squamularia cf., asiatica CHAO, Dielasma new species 同地域の層序, 構造及び古生代有孔蟲化石に關しては既に藤本博士の御研究があり, 又今囘の調査の結果は地質學雜誌, 昭和18年9月號に發表せられた通りであるが, 白丸古生層帯は有孔蟲化石に依ればモスコウ階から上部二疊系までを含み構造複雜で逆轉を示してゐる處もある。併しながら本化石産出石灰岩は略々同一層準に位し高明山に於ては二疊紀を指示する有孔蟲化石を共産する事に依り上記腕足類も亦二疊紀(嚴察なる意味のウラル世を含めて)に屬するものと考へられる。