著者
小野 秀樹 岡村 真彩 福島 章紘
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
pp.18-00022, (Released:2018-06-20)
参考文献数
82
被引用文献数
9

The anti-influenza virus drug oseltamivir has been reported to have several pharmacological actions including blocking of nicotinic acetylcholine receptor channels and activation of the dopaminergic system. These pharmacological actions highly overlap those of amantadine, another anti-influenza virus drug authorized in Japan, and ester-type local anesthetics. Moreover, oseltamivir and amantadine can clinically induce similar adverse neuropsychiatric reactions. In the present study, from the database of the Pharmaceuticals and Medical Devices Agency (PMDA), we surveyed 2,576 drugs for which neuropsychiatric side effects similar to those of oseltamivir, amantadine and local anesthetics (abnormal behavior, confusion, consciousness disturbance, convulsion, delirium, delusion, hallucination, myoclonus, tremor) are listed as “clinically significant adverse reactions”, and found 327 that had at least one of these adverse reactions. Other neuraminidase inhibitors (laninamivir, peramivir and zanamivir) did not elicit such adverse reactions. By discussing the pharmacological effects of drugs that elicit these adverse reactions, we propose that the similarity of adverse neuropsychiatric reactions between oseltamivir and amantadine is possibly attributable to their common pharmacological effects.
著者
秋山 豊和 寺西 裕一 岡村 真吾 坂根 栄作 長谷川 剛 馬場 健一 中野 博隆 下條 真司 長岡 亨 アキヤマ トヨカズ テラニシ ユウイチ オカムラ シンゴ サカネ エイサク ハセガワ ゴウ ババ ケンイチ ナカノ ヒロタカ シモジョウ シンジ ナガオカ トオル Akiyama Toyokazu Teranishi Yuuichi Okamura Shingo Sakane Eisaku Hasegawa Go Baba Ken-ichi Nakano Hirotaka Shimojo Shinji Nagaoka Toru
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.1249-1264, 2008-03-15

大阪大学では,高いセキュリティレベルと標準的なインタフェースを兼ね備えた認証技術として注目されている公開鍵基盤(PKI: Public Key Infrastructure)に基づく全学IT 認証基盤を導入した.本学で導入した全学IT 認証基盤システムでは,署名・暗号化,学内認証,グリッドシステム認証,という異なるポリシに対応する複数のCA を導入・共存させている.これら複数のCA 向けの証明書発行を自動化することにより,安全性と利便性を両立した証明書発行サービスを実現している.また,PKI に対応したシングルサインオン(SSO)機能を導入し,学内ユーザが各システム間で統一的なインタフェースにより認証を行えるようにした.アプリケーションWeb サーバに認証機能を組み込むエージェント型のSSO 機能の導入により,1 度アプリケーションをSSO 対応させてしまえば,アプリケーションを変更することなくシームレスにパスワード認証からPKI 認証へ移行・共存することが可能となった.さらに,ユーザID 体系として,公開用に変更を許容するユーザID と,システム間連携用に1 人に1 つ決まる不変のユーザID とを設け,それらの対応付けを内部的に行うことにより,安全性・柔軟性ある運用を可能とした.本稿では,本認証基盤の設計と実装について述べるとともに,システムの導入により得られた技術的ノウハウや今後の展開についても述べる. # In Osaka University, a campus-wide IT authentication infrastructure based on Public Key Infrastructure (PKI), which is regarded as a technology providing high security and standard interface to many applications, has been adopted. In this authentication infrastructure, multiple CAs for the different purposes such as signing and encryption, intra-campus authentication and grid system authentication coexist. To realize security and convenience, we developed an online certificate issuance service for those multiple CAs. We also introduced PKI enabled Single Sign-On (SSO) system to provide unified authentication interface. Since the SSO system supports ‘SSO agent’, which provides SSO functionality for web applications by installing a web server module, it is possible to migrate from password authentication to PKI authentication without modifying applications. Furthermore, we established secure and flexible identity management by separating changeable, public user ID and static, internal system ID. Internal system ID is used for managing and federating user profiles among the systems. The mapping between those two IDs is done by the SSO system. In this paper, we describe design and implementation of our authentication infrastructure, know-how of system establishment and future works.
著者
小松 啓子 岡村 真理子
出版者
福岡県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究は、保育所が果たすべき社会的役割が変化するなか、今後保育所(園)は家庭の役割を受け継ぎ、深め、発展させていく必要が求められているという前提にたち、伝統的な食文化を取り入れた保育所(園)給食のあり方について検討した。福岡県の京築地区、筑豊地区、福岡地区、筑後地区で開所している522園の保育者を対象にアンケート調査を実施した。調査内容としては、保育活動のなかで取り組んでいる歳時記行事と園児の関わり、給食のなかに取り入れられている行事食の内容、給食のなかに取り入れられている伝統的な郷土食の内容と園児の関わり、保育活動のなかで菜園活動と園児の関わり、地域のお祭りと保育活動とした。同時に、京築地区および筑豊地区の保育所(園)に通っている6563名のを対象に、伝統的な食文化を子ども達に伝承していくための基礎資料を得るために、基本的生活習慣および食生活習慣の実態調査も実施した。我が国においては、伝統的な食文化は家庭において「おふくろの味」を通して子ども達に伝承されてきたが、これからは、そのような機能を家庭だけにとどまらずに、保育所(園)に持たせることが重要と考えられる。伝統的な郷土食を給食に取り入れることにより、これまで軽視されがちだった地城性や季節感を子ども達が体得できるようになることが期待できる。今回の調査から、保育活動のなかに給食を位置づかせ、子ども達が季節感豊かな伝統的な郷土食に関わる環境作りが、健全な心と身体を培うことに直接的につながっていくことが示唆された。なお、地城の伝統的な食文化は、人が生きてきた長い歴史のなかで、地域の食材活用、季節、行事などを背景に、人と人との関わりを通して心豊かな人間の形成に大きく寄与してきたことを考えると、伝統的な食文化を重視した保育活動は子ども達の「心の教育」に必須と言えよう。
著者
小野 秀樹 岡村 真彩 福島 章紘
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.138, no.9, pp.1201-1215, 2018-09-01 (Released:2018-09-01)
参考文献数
82
被引用文献数
9

The anti-influenza virus drug oseltamivir has been reported to have several pharmacological actions including blocking of nicotinic acetylcholine receptor channels and activation of the dopaminergic system. These pharmacological actions highly overlap those of amantadine, another anti-influenza virus drug authorized in Japan, and ester-type local anesthetics. Moreover, oseltamivir and amantadine can clinically induce similar adverse neuropsychiatric reactions. In the present study, from the database of the Pharmaceuticals and Medical Devices Agency (PMDA), we surveyed 2576 drugs for which neuropsychiatric side effects similar to those of oseltamivir, amantadine and local anesthetics (abnormal behavior, confusion, consciousness disturbance, convulsion, delirium, delusion, hallucination, myoclonus, tremor) are listed as “clinically significant adverse reactions”, and found 327 that had at least one of these adverse reactions. Other neuraminidase inhibitors (laninamivir, peramivir and zanamivir) did not elicit such adverse reactions. By discussing the pharmacological effects of drugs that elicit these adverse reactions, we propose that the similarity of adverse neuropsychiatric reactions between oseltamivir and amantadine is possibly attributable to their common pharmacological effects.
著者
秋山 豊和 寺西 裕一 岡村 真吾 坂根 栄作 長谷川 剛 馬場 健一 中野 博隆 下條 真司 長岡 亨
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.1249-1264, 2008-03-15

大阪大学では,高いセキュリティレベルと標準的なインタフェースを兼ね備えた認証技術として注目されている公開鍵基盤(PKI: Public Key Infrastructure)に基づく全学IT 認証基盤を導入した.本学で導入した全学IT 認証基盤システムでは,署名・暗号化,学内認証,グリッドシステム認証,という異なるポリシに対応する複数のCA を導入・共存させている.これら複数のCA 向けの証明書発行を自動化することにより,安全性と利便性を両立した証明書発行サービスを実現している.また,PKI に対応したシングルサインオン(SSO)機能を導入し,学内ユーザが各システム間で統一的なインタフェースにより認証を行えるようにした.アプリケーションWeb サーバに認証機能を組み込むエージェント型のSSO 機能の導入により,1 度アプリケーションをSSO 対応させてしまえば,アプリケーションを変更することなくシームレスにパスワード認証からPKI 認証へ移行・共存することが可能となった.さらに,ユーザID 体系として,公開用に変更を許容するユーザID と,システム間連携用に1 人に1 つ決まる不変のユーザID とを設け,それらの対応付けを内部的に行うことにより,安全性・柔軟性ある運用を可能とした.本稿では,本認証基盤の設計と実装について述べるとともに,システムの導入により得られた技術的ノウハウや今後の展開についても述べる.
著者
林野 泰明 福原 俊一 野口 善令 松井 邦彦 John W Peabody 岡村 真太郎 島田 利彦 宮下 淳 小崎 真規子 有村 保次 福本 陽平 早野 順一郎 井野 晶夫 石丸 裕康 福井 博 相馬 正義 竹内 靖博 渋谷 克彦
出版者
公益財団法人 天理よろづ相談所 医学研究所
雑誌
天理医学紀要 (ISSN:13441817)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.25-33, 2012-12-25 (Released:2013-02-26)
参考文献数
14

本研究の目的は,2004年の卒後医学教育改革前後の医療の質を比較することである.日本の8つの臨床研修指定病院において研修中の医師が本研究に参加した.参加した医師は,外来において頻度の高い疾患(糖尿病, 慢性閉塞性肺疾患,心血管疾患,うつ病)についての臨床シナリオに回答した.回答をエビデンスに基づいた診療の質の基準に照らしあわせて採点し,正答率スコアを算出した.ローテート研修が導入された前後でスコアの変化が生じたかを検証するために,2003年の参加者のスコアと,2008年の参加者のスコアを比較した.2003年では,141名(70.1%)が,2008 年には237名(72.3%)が参加に同意した.交絡因子を調整後も,両年の間にスコアの違いを認めなかった(2003 年からのスコアの変化 = 1.9%. 95% CI -1.8 to 5.8%).教育改革前の研修プログラムがストレート研修の施設ではスコアが 3.1% 改善しており,改革前にローテート研修を採用していた施設の改善度1.4% と比較して有意に高値であった.全般的には,2004 年の医学教育改革前後において,研修医の医療の質は変化していなかった.
著者
小川 光明 岡村 真 島崎 邦彦 中田 高 千田 昇 中村 俊夫 宮武 隆 前杢 英明 堤 浩之
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.40, pp.75-97, 1992-12-15
被引用文献数
5

愛媛県伊予郡双海町沖において, 高分解能ソノプローブを用いた詳細な音波探査を実施し, 中央構造線活断層系の正確な分布と形態を記載した。さらに, 断層を挟んだ地点からピストンコア試料を採取し, それらを対比することにより, 断層活動の時期を解読した。この海域に分布する中央構造線は, 左雁行に配列する計4本の断層から構成されており, そのうちの1本には完新世における明瞭な右ずれ運動が認められる。また, この断層は近接する他の断層と同時に活動することにより, 細長い地溝を形成する。その活動時期は, 石灰質化石の^<14>C年代測定から, 約6200年前と約4000年前であると推定された。4000年前以降にも活動があったと思われるが, 残念ながら堆積速度の急減のため, 断層活動が保存されていなかった。本地域での活動性に, 陸上のトレンチ調査から解読された活動性を加味すると, 四国における中央構造線は, 少なくとも3つ以上の領域に分かれ, それぞれが約2000年の間隔で活動を繰り返していると考えられる。
著者
岡村 真吾 寺西 裕一 秋山 豊和 馬場 健一 中野 博隆
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. DPS,マルチメディア通信と分散処理研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.126, pp.67-72, 2006-03-16
参考文献数
3
被引用文献数
4

大阪大学では、多くの学内システムを統合的かつ安全に機能させるため、全学にわたる公開鍵認証基盤(キャンパスPKI)を構築する計画を進めている。公開鍵暗号を用いた認証を行なうことで、パスワードによる認証において問題となるパスワード解読の脅威に対する耐性を高めることができる。キャンパスPKIを構築するにあたり、ユーザ公開鍵・秘密鍵の管理方法や認証局の運用形態といったPKIの運用方法や、Webシングルサインオンや計算機ログイン認証といったPKIを利用したアプリケーションについての検討を行った。本稿では、それらの検討内容や構築中のキャンパスPKIの構成について述べる。
著者
岡村 真 島崎 邦彦 中田 高 千田 昇 宮武 隆 前杢 英明 堤 浩之 中村 俊夫 山口 智香 小川 光明
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.40, pp.65-74, 1992-12-15
被引用文献数
6

別府湾北西部の海底には3 kmから5 kmの長さを持つ5本の正断層が分布する。この分布の様子は, 別府-島原地溝にみられる陸上の活断層分布と類似しているが, 連続する部分は認められない。今回, 長さ2 km以上の断層セグメントを命名した。活動度はいずれもB級 (1-0.1 mm/y) である。地溝状の, 相対する南落ちと北落ちの正断層とは, 東北東-西南西の線により二分される。伊予灘の中央構造線断層系においても地溝状の形態が認められ, 別府湾まで連続するかどうか興味ある問題である。断層の活動度は, 年代が解っている反射層の変位量から求めることができる。しかし, 個々の地震の発生時や変位量を求めるためには, 断層両側のコア試料の対比が必要となる。我々は当初, 豊岡沖断層の両側で海底ポーリングを行い, 海底下20 mまでの試料をえた。しかし, ポーリングによる海底堆積物採取は, 時間と費用がかさみ, 多くの断層に対して, また継続的に行うことがむずかしい。このため以後は, ピストンコアリングにより堆積物の採取を行っている。現在, 海底下20 m以上の連続試料を一日で数本得ることができるようになった。亀川沖西断層では, 過去6000年間に3回の地震発生が認められ, その変位量と時間間隔との間には規則性がある。断層変位の分布は対称で, 断層の両端の近傍で最大となる。
著者
荒木 龍太郎 石井 望 岡村 真寿美
出版者
活水女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

儒教偏重を脱却する新しい漢文教科書を作るため,多数の資料を蒐集した。広く世界の常識的事物を平易に叙述した漢文を教材として採用した。特に長崎は日本・アジア・西洋の交点として重要な場所であり,長崎関聯漢文には異文化接触的題材が多いので利用した。これらに注解を加えて今年度出版助成を申請する準備を整えた。
著者
宮下 純夫 木村 学 MELINIKOV M. ROZHDESTVENS SERGEYEV K.F 榊原 正幸 石塚 英男 岡村 真 木村 学
出版者
新潟大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1991

サハリン島は地質学的に日本列島の延長であり,環太平洋造山帯の一部を担っている.本研究では,サハリン南部の詳細な調査をおこない,サハリンにおける沈み込み・付加テクトニクスについて解明するとともに,日本での結果とあわせ,環太平洋造山帯のテクトニクスに迫ることを目的としている.これまでの成果は以下のように要約される.1.アニバ岩体:アニバ湾の北部及び東海岸には白亜紀付加体ーアニバ岩体が露出している.本岩体は緑色岩類が卓越する点で,白亜紀付加体の典型である四万十帯とは異なる.北部海岸の岩体は構造的・岩相的に二つのユニットに区分される.上部ユニットでは玄武岩から陸源砕屑物に至る一連の層序が観察され,下部ユニット上に衝上している.下部ユニットは主に玄武岩とメランジェからなり,石灰岩ブロックもしばしば含まれる.構造は,沈み込み帯における初生的な構造を表していると考えられる.スラストシ-トが繰り返す東フェルゲンツ構造を示す.アニバ湾東海岸ではメランジェが卓越しており,石灰岩のブロックを多数含むという点でやや異なる.構造的には,北部海岸と同様の覆瓦構造を示す.石灰岩とチャ-トの互層の出現は,本地域の付加体が海洋島などから由来していることを示唆している.2.ススナイ帯:本帯は神居古潭帯の延長に位置する高圧変成帯で,サハリン東海岸の50Kmにおよぶ調査により,南へ向かって各々が多数のスラストシ-トからなる5つのドメインが識別された.ドメイン1は緑色片岩ーチャ-トー泥質片岩と緑色片岩の互層から,ドメイン2は玄武岩質岩ーメタチャ-ト,泥質片岩と緑岩片岩ないしメタチャ-トの互層,泥質片岩からなっている.ドメイン3の最下部はメランジェから,上部は砂質岩を伴う泥質片岩からなる.ドメイン4は玄武岩が大量に出現することで特徴づけられ,上位は石灰岩ないしチャ-トを含む玄武岩質堆積岩,黒色頁岩によって覆われている.ドメイン5は黒色頁岩と珪質片岩の互層からなっている.緑色岩やメランジェが出現しない点で異なっている.変形作用は3時相が識別された.D1時相は東ないし北東方向のL1線構造とS1片理面の形成,D2時相は全域に発達する,北東走向の非対称褶曲,シ-ス褶曲,北西方向の線構造などによって示される.センスは南方を示す.D3時相は直立した褶曲軸面をもつ開いた褶曲で,褶曲軸は北東走向で水平に近い.D1ーD2時相はダクタイルな変形であるが,D3時相はブリットルな変形を示している.変成作用は塩基性岩の鉱物組み合わせに基づいて,パンペリ-石ーアクチノ閃石帯(ドメイン3,4,5)とパンペリ-石ーエピド-トーアクチノ閃石帯(ドメイン1,2)の二つに分類される.前者に出沼する青色片岩はNa角閃石ーNa輝石ー緑泥石ーヘマタイト,後者の青色片岩はエピド-トーNa角閃石ーNa輝石ー緑泥石の組み合わせを示す.Na角閃石はマグネシオリ-ベカイトでありNa輝石はジェ-ダイト成分に乏しいエジリン輝石ないしエジリン普通輝石である.最高変成条件は200ー300℃,4ー5Kbarと見積られる.また,変成作用の時期はD2時相と考えられる.3.玄武岩類の岩石学的特徴:主要成分・微量成分分析に基づいて,アニバ岩体とススナイ岩体に大量に出現する玄武岩類には,NーMORB,TーMORB,EーMORB,OIT,アルカリ玄武岩にわたる様々な岩石が存在していることが明かとなった.大局的な傾向としては,アニバ岩体はアルカリ玄武岩とOITが,ススナイ岩体ではTーMORBが卓越しているという特徴がある.これらのことから,アニバ岩体の多くは海山ないし海洋島に,ススナイ岩体は海台に由来する可能性が強い.4.化石年代:アニバ岩体のチャ-トや灰緑色頁岩からチトニアンとコニアシアンを示す放散虫が確認されている.5.今後の展望:現在,化石年代や岩石の放射年代,鉱物分析などが進行しつつある.これらのデ-タが得られて全体的な検討が進むと,海洋地殻物質の付加・上昇過程が解き明かされ,サハリン南部は付加体の形成を解明する世界的な典型となることが期待される.また,そのためにはさらに広域的な調査が求められる.
著者
岡村 真貴子 中島 真一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.1784-1785, 1989-03-15

流体の流れ解析を行う手段には.大きく分けて差分法と有限要素法がある。このうち差分法は,計算時間が短い,使用メモリが少ない,収束性の良い手法が開発されているなどの理由から.広く利用されている。しかし,十分な図形出力機能を備えているものが少なく,ポスト処理の充実が望まれている。一方,有限要素法は,従来より構造解析の分野で活用されてきたことから,高度な図形処理機能が整備されているソフトが多く,また汎用のポスト・プロセッサも,いろいろなものが用意されている。このことから,有限要素法系ソフトの豊富なポスト処理機能が利用できるよう,差分法のモデルと解析結果を有限要素法のデータ構造に変換し,汎用性のあるデータとして出力する,差分法のポスト処理プログラムを開発したので,以下に報告する。