著者
瀨川 結美
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.114, pp.2059, 2020-03-31 (Released:2020-04-07)

日本のデジタルアーカイブは,発見性の向上やシステムのユーザビリティ改善が長年の課題である。特に研究資料の不足により,近年海外における日本研究が退潮傾向にある中,海外ユーザーを視野に入れた対応を進め,これを食い止める必要がある。一方,近年のIIIFの登場や,Adobe社によるFlash player開発の終了告知は,多くの図書館にシステム再構築の必要性を認識させ,先述の課題解決を図る好機と捉えることができる。具体的な対応策を認識するため,筆者は日本への関心が高いポーランドのクラクフに赴き,日本研究に関する学会への参加,関連機関の訪問調査を行った。その結果,日本のデジタルアーカイブは多様な観点から有効な資料と成り得る一方で,ユーザーからはポータルの整備や英語対応が求められていることがわかった。これらに対応しながら,日本のデジタルアーカイブを国際的な交流や研究協力の橋渡しとなる存在に育てていければと考える。
著者
石川 一樹
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.96-103, 2003-03-31 (Released:2017-12-12)

東京大学大学院総合文化研究科・教養学部では平成14年,駒場地区駒場Iキャンパスに新図書館の建設を実現した。新図書館をめぐる環境,建設から開館に至るまでの経緯,施設の概要などの点から東京大学駒場図書館を紹介する。
著者
大田原 章雄 西山 朋代
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.110, pp.2018, 2018-11-30 (Released:2018-12-07)

東京藝術大学附属図書館では,2016年12月から2017年2月にかけて,クラウドファンディングプロジェクト「巨匠の響きよ永遠に! 藝大に遺されたレコード2万枚の危機を救う」を実施した。本プロジェクトは「クリストファ・N・野澤SPレコードコレクション」の保存を目的とするもので,最終日までに719万円の支援を集めて終了した。本稿では,プロジェクト立ち上げの経緯から実施の方法,支援者への特典,終了後の評価や今後の課題等について報告する。
著者
栗山 正光
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.105, pp.9-19, 2017-03-15 (Released:2017-09-22)

日本の大学生の情報行動をめぐる状況について論じた。公表されている調査結果に基づき,学習時 間,読書,新聞の閲読,情報機器の利用といった面から実態をまとめ,新聞離れが鮮明であること,パソコンや携帯電話などの情報機器は大多数の学生が使用していることなどの傾向を指摘した。また問題解決のための情報探索行動に関して,首都大学東京の学習相談の事例を紹介し,インターネット上の質問応答サイトと比較しながら,問題点を考察した。さらに,情報の利活用の道具として基本的なソフトウェアやSNS が学生に浸透している状況にも触れた。
著者
高橋 晶子
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.22-32, 2002-12

早稲田大学中央図書館では1968年から海外ILLを開始し,受付・依頼共に活発に行ってきた。特にOCLC-WorldCatへの日本語図書データ登録,北米のARL-Japan Project-Waseda参加館とのILL,ロシア国立図書館や韓国の高麗大学校とのILL等はユニークな特色といえる。2000年度の海外への貸出に関しては大学図書館全体の84%を占め積極的に日本資料の公開に努めている。海外ILL業務の受付及び依頼の現状と課題について全般的に報告する。
著者
古謝 久美子
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.92, pp.57-63, 2011-08

ハワイ大学では,2008年に沖縄研究機関として"Center for Okinawan Studies"が設置され,教員とライブラリアンとの協力のもと,沖縄資料のコレクション形成等が行われている。本稿では,マノア校内の2つの図書館,ライブラリアンへのインタビューによる北米のASSやNCCにおける活動について紹介する他,海外機関における沖縄研究の動向,教員とライブラリアン連携の内容や方針について知ることで,今後の沖縄研究を行う琉球大学の図書館として行うべき事業や海外機関との協力についてまとめた。The University of Hawaii established the Center for Okinawan Studies in 2008. Through the cooperation of its faculty and librarians, the center is developing a research collection of Okinawan materials. This paper reports on two libraries on the Manoa campus and interviews with two librarians to learn about their activities with the Association for Asian Studies (AAS) and the North American Coordinating Council on Japanese Library Resources (NCC), the direction of Okinawan studies overseas, and issues relating to faculty-librarian collaboration. As a result, the author has compiled information on the types of operations that University of the Ryukyus Library should undertake to support Okinawan studies and how best to collaborate with overseas institutions.
著者
小陳 左和子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.117, 2021

東北大学附属図書館における2011年の東日本大震災,2019年の令和元年台風第19号,2020年の新型コロナウイルス感染症といった,性質の異なる災害への対応についてそれぞれ報告するとともに,その経験から得られた知見や課題について言及する。
著者
小陳 左和子
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.1-11, 2012

<p>2011年3月11日に発生した東日本大震災により,東北大学附属図書館において地震当日に職員や利用者がとった行動,施設や書架,蔵書等に受けた被害,その後のボランティアとの協働による復旧作業や図書館サービス再開の経過及び今後の復興に向けた取り組みについて,10か月が経過した時点での状況を報告する。</p>
著者
中沢 孝之
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.81, pp.19-25, 2007-12-31 (Released:2017-11-09)

各地の図書館(高校図書館・大学図書館・専門図書館含む)から筆者が収集した「図書館の危機事例」および「危機管理マニュアル作成状況」をもとに,館内外で発生するトラブルの種類やその割合,発生傾向等を整理し,現在の図書館がどのような危機に直面し苦慮しているかを報告する。トラブルに対する具体的な対応は各館まちまちだが,発生するものには共通点が多く,事例と対処法を共有し検証していくことが大切となる。
著者
藤本 優子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.119, pp.2125, 2021-11-30 (Released:2021-11-27)

慶應義塾大学メディアセンターにおける和書の電子書籍の購入,管理,提供について,Maruzen eBook Libraryを例に報告する。本学では,Almaを使用して,購入済みタイトル,契約,発注・支払情報を一元管理している。メタデータはAlmaのCentral KnowledgeBaseを使用しているが, 様々な問題を抱えている。検索システムKOSMOSに試読可能タイトルも含めて搭載し,利用者に提供しており,リクエスト機能と管理者画面の購入機能も活用している。また,コロナ禍での業務や利用状況を振り返り,和書の電子書籍が直面している電子化の遅れや利用条件等の改善の必要性についても述べる。
著者
富田 さわ子 武部 真子 田波 真弓 柴田 育子 堀越 香織 芳鐘 文子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.117, pp.2105, 2021-03-31 (Released:2021-03-25)

一橋大学附属図書館では,令和元(2019)年10月12日(土),東日本を中心に甚大な被害をもたらした台風19号の影響により,書庫内に大規模な浸水被害が発生した。施設や書架,蔵書等に受けた被害,復旧作業の経過及び今後に向けた取り組みについて,約1年が経過した時点での状況を報告する。
著者
塚原 一秋
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.109, pp.2004, 2018-08-31 (Released:2018-09-08)

Facebookページ「コクダイマルケン」の投稿に,いつ誰が「いいね」を付与したかを調査した。研修会の参加者と突合したところ,参加者が研修会前に「いいね」を付与した数はわずかであることがわかった。また,「いいね」を付与したユーザーの半数以上が1回限りの「いいね」付与である一方で,東京地区協会会員館の所属者を中心に10回以上「いいね」を付与するユーザーも存在することがわかった。それらを踏まえ,今後のFacebookページの活用方法を,一方的な広報手段としてではなく,研修会参加対象者以外との情報交流を目的としたものとすることを提案する。