著者
若生 彦治
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.241-243, 1987-08-15 (Released:2017-11-30)

昭和61年8月,神奈川県内にあるアルミ鋳造工場の保温加熱炉(保熱炉)が金属火災を発生した。保熱炉は,溶融状態のアルミ合金を鋳造機に供給するために設けた容器であり,鉄製るつぼと灯油バーナで構成される,バーナ点火後40min,通常ならばるっぽ内のアルミ合金が溶融し始めるころに,突然,るつぼは白熱しアルミ合金とともに流出した.その原因は,なんらかの理由でるつぼが割れ,.るつぼから流出した溶融アルミ合金とるつぽの酸化鉄が混合し,この混合物がバーナ火炎で強熱されて異常に高い温度を発生したことにあると推定される.
著者
丸山 真弘
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.212-219, 2006-08-15 (Released:2016-11-30)
参考文献数
13

2001 年から2002 年にかけてのエンロンやワールドコムの経営破綻を受け,米国では内部統制やガバナンスに関する制度の見直しが行われた.本稿では,エンロンとワールドコムの経営破綻の状況を振り返りつつ,制度面から見た問題点と対応の動きについてとりまとえめたうえで,日本の状況との比較を行う.
著者
平松 雅伸
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.195-204, 2016-06-15 (Released:2016-06-29)
参考文献数
9

2015 年8 月12 日夜,中国天津市の危険物倉庫で大きな爆発火災事故があり,消火にあたった数百人の消防士が殉職,負傷するとともに,多数の住民が死傷し,また,住宅建物設備の損壊も生じ,生活・生産・物流・環境汚染等の面で深刻な影響があった. 事故発生当初の速報としては,インターネット上を始め,かなりの情報が発信されていたが,直後から当局の情報管理や制限により,被害状況,調査の進捗や報告の状況,再発防止策が見えにくかった. 公開された事故情報やその後の調査報告書から見えてきたのは,事業者の法令遵守の逸脱や規制当局の違法許可,消防技術の教育不足等の課題であり,総合的にみて事業者の安全文化から社会構造までにわたり根の深い問題と捉えられた.
著者
山本 皐
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.206-213, 1966-09-15 (Released:2018-11-30)
著者
福井 正道
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.3-11, 1966-03-15 (Released:2018-11-30)
著者
若生 彦治
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.432-435, 1989-12-15 (Released:2017-10-07)
著者
西岡 賢祐
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.425-430, 2014-12-15 (Released:2016-07-30)
参考文献数
19

太陽光は新エネルギーとして期待されている.レンズやミラーで太陽光を集光することにより高密度なエネルギーを得ることができ,その活用範囲がさらにひろがる.集光型太陽光発電や,集光によって得られる高温を活用する太陽炉についての研究開発が近年さかんに行われており,実用化されている.集光型太陽光発電は,安価な光学系で太陽光を集光し小さな太陽電池に照射することで,高価な太陽電池の使用量を劇的に減少させコストを下げることができる次世代の太陽光発電である.また,太陽炉により 1 800℃以上の高温を得ることが可能であり,高温が必要な化学反応に使用されている.集光太陽光の活用技術について説明するとともに,その安全対策についても述べる.
著者
宮村 鐡夫
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.253-260, 1997-08-15 (Released:2017-05-31)

製造物責任制度に対する製造業者の対応として必要な製造物責任予防は,製造物責任防御と製品安全 より構成される. 製造物責任防御は,訴訟に備えた危機管理の一っであり開発・製造過程の文書管理と損害賠償に対する履行確保の生産物賠償責任保険が重要である.一方,製品安全は「消費者に安全な商品を供給する」ことであり,製品の故障とユーザーのエラーへの対応である製品信頼性と人間信頼性への配慮が大切に なる.
著者
和田 有司
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.124-125, 2004-04-15 (Released:2017-01-31)
著者
重田 芳廣
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.85-91, 1973-02-15 (Released:2018-08-02)
著者
三村 和男
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.255-264, 1992-08-15 (Released:2017-08-31)

昭和34年9月26日,東海地方に襲来した超大型の伊勢湾台風は,満潮時刻と重なり,過去の経験をはるかに越える高潮と暴風により,愛知,岐阜,三重の3県下に死者約5000人,被災者153万人に達する宋曽有の被害を与えた。とりわけ名古屋市南部では高潮とさらに流木による被害が大きく死者約2000 人,被災者52万人の大災害となる.東レ㈱名古屋工場では,1m浸水し,操業再開におよそ1か月を要する大きな被害を蒙った.その被筈状況と事後の対策について概要を紹介する,
著者
伊藤 和也・豊澤 康男・高梨 成次
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.450-457, 2011-12-15 (Released:2016-08-31)
参考文献数
7

本報では,東日本大震災における災害復旧・復興工事中の労働災害の現状を概観した後,内陸型活断層地震である,新潟県中越地震,新潟県中越沖地震における災害復旧工事中の労働災害の調査・分析結果を示し,さらにその結果をもとに事業継続計画にて利用される復旧曲線の考え方を援用して,地震被害の状況に応じた災害復旧工事における労働災害発生の可能性について検討を行った結果を示す.そして,これらの分析を踏まえて東日本大震災の現在までの状況と今後の動向について示した.
著者
関谷 直也 廣井 悠
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.495-500, 2011-12-15 (Released:2016-08-31)
参考文献数
6
被引用文献数
1

3 月11 日に発生した東北地方太平洋沖地震の後,調査からの推定上,首都圏で約420 万人,東京で約352 万人が帰宅できなかった. 帰宅困難の問題は「帰宅に困ること」それ自体が問題なのではなく,「災害時における集合的移動行動」による混乱としての「渋滞」および「火災」「群集なだれ」の発生である.危惧すべきは,多くの人が3 月11 日の経験を踏まえ,多くの人が自宅に帰ろうとし,首都直下地震において大規模な混乱が発生することである. 帰宅困難者発生後の問題は,滞留後の滞留者対策,帰宅可能箇所などの情報伝達,その後発生する食料不足,モノ不足の対策である. 災害被害が大きくない場合の帰宅困難者問題に関しては公共交通機関の情報の提供が重要である.今後携帯電話以外のデジタルサイネージなどを用いた情報提供なども視野に含めていくべきであろう.
著者
相馬 孝博
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.2-9, 2016-02-15 (Released:2016-07-01)
参考文献数
33

医療安全に関する知見は,半世紀以上前から膨大な蓄積があり,数多くのメタアナリシス分析もなされているが,その体系化はいまだ途上である.航空分野をはじめとして,高信頼性組織の安全対策は医療分野に大きな影響を与えている.特に本稿では,航空分野の疲労研究や,チェックリストによる業務改善が医療安全に寄与していることを紹介し,世界標準の教科書ともいうべき,WHO 患者安全カリキュラムガイド多職種版(2011)について解説する.安全で信頼性の高い医療を実現するためには,今後も他分野のプロセス改善・デザイン・情報技術などの解決策も絶えず参考にしつつ,システム改善に繋がるエビデンスを検討する必要がある.
著者
小松原 明哲
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.230-237, 2017-08-15 (Released:2017-08-15)
参考文献数
15

Safety-Ⅱと,その方法論であるレジリエンス・エンジニアリングは,ヒューマンファクターズの国際的権威であるErik Hollnagel 博士らが提案してきたものである.細部については議論が続いているが,ごく簡潔にいえば,状況に応じた柔軟な対応による安全確保と向上といえ,いわば現場力を指すものである.Safety-Ⅱと対をなすものが,Hollnagel がSafety-Ⅰと位置付けるヒューマンエラー防止である.Safety-Ⅰ,Safety-Ⅱの議論では,そのテクニックにいきなり走るのは危険であり,背景に存在するヒューマンファクターズの理論構造を正しく理解することが強く求められる.本稿では,それらSafety-Ⅰ,Safety-Ⅱの概念,またそれに対応する方法論としてのヒューマンエラーの防止,レジリエンス・エンジニアリングについて,概要を述べる.
著者
房村 信雄
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.251, 1983-10-15 (Released:2018-01-31)
著者
福地 知行
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.403-408, 1987-12-15 (Released:2017-10-31)

現代のエネルギー源としては,すでに欠くべからざるものとして,LPガスは都市ガスとともに不動の地位を築いたといってもよい. しかし,その両者ともに現在のその地位を確保するに至った経過において,必ずしも平坦なものばかりではなかった。数々の事故を引き起こし,尊い人命を奪い,さらに高価な物的代償を払わされ,それゆえにこそ,安全に使用できるための種々の方法,システム等が開発されて,今日に至ったのである。 過去に起こった事故は数々あるが,ここで述べる「つま恋」事故以前は,昭和37年9月13日に山中湖畔の山荘で起こったガス風呂の燃料としてのLPガスの不完全燃焼に起因する一酸化炭素の発生によ って1!人の生命を奪った事件が思い出される・ LPガスは安全でかつ安価であるといわれて多量に使われようとした矢先の話であり,その後LPガス使用の家庭に起こった数多くの爆発事故は,使い方によっては都市ガスと同じように安全と危険とが背中合せであるという教訓を残している. このようななかで「つま恋」の事故が起こったのである.もういまでは思い出のなかの事故のようになって終わったが,LPガスの事故としては最大の犠牲者を生じた事故となった.すなわち,静岡県掛川市満水2000番地のヤマハレクリェーション施設「っま恋」において,昭和58年11月22日午後0時48 分,爆発事故が発生し,人的には死者14名,負傷者27名,物的な被害としては鉄骨平屋建(993.7m2)が全焼,スポーツマンズクラブ室内プールガラス窓全損等となった、 この満水亭の概要について述べ,つぎに事故について日時を追って,その経過の詳細をたどってみる こととする.