著者
加藤 勝美・緒方 雄二・和田 有司 中浜 優
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.18-23, 2008-02-15 (Released:2016-10-31)
参考文献数
14

tert─ブチルエチルエーテル(ETBE)の熱的危険性評価の基礎的研究として, ETBE 単体およびETBE に酸化鉄(Ⅲ)(Fe2O3)を添加した試料の熱的挙動を加速速度熱量計(ARC)により観察した.その結果,少なくとも0.6 MPa以上の酸素加圧下において,ETBEは100 ℃以下の比較的低温で酸化により発熱した.ETBE の発熱開始温度は,ジメチルエーテルおよびtert─ブチルメチルエーテルよりも低く,ジエチルエーテルとほぼ同じであった.また,1 MPa 酸素加圧下において,Fe2O3 と共存した場合は,ETBE の酸化反応は著しく促進され,50 ℃程度で発熱を開始した.
著者
鈴木 健
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.191-193, 1997-07-15 (Released:2017-05-31)
著者
北野 晴人
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.486-493, 2015-12-15 (Released:2016-07-01)
参考文献数
11

2015 年に明るみに出た独大手自動車メーカーによる不正な排ガス規制逃れは,企業としてのコンプライアンス問題としてだけでなく,その製造物(自動車)の性能に関する虚偽によって地球環境に対して影響を及ぼす大きな問題である.過去,多くの企業不正が問題となってきたが,とりわけ製造業分野における製造物関連の不正行為については,それが地球環境や社会基盤の安全性,場合によっては人命に関わるという意味で重大な社会性を帯びている.安全に関する技術的な研究開発が進展していく一方で,こうした人間の意図的な不正行為の防止・抑止という課題に対しては技術論だけで解決できないことは明らかであろう.本稿では,一連の製造物に関する企業不正は,情報セキュリティの視点から「情報の完全性に対する侵害」と捉えられることから,それを引き起こす人間の心理,組織風土等に着目し,不正を抑止するための方策について考察する.
著者
古積 博
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.253-264, 2016-08-15 (Released:2016-08-15)
参考文献数
52
被引用文献数
2

ボイルオーバーの事故と研究について総説した.主に原油と重油が起こすこと,地震や戦争で消防力が損なわれた時に起こっているが,日本でも1964 年の新潟地震後に起きている.ボイルオーバーの研究は,燃料層内に形成される高温層の生成機構に注目していたが,バイオデイーゼルのように高温層を形成しない場合でもボイルオーバーのように激しい燃焼がみられる薄層ボイルオーバーの研究も行われている.ボイルオーバーがいつ起こるのか,燃料層厚さとの関係が調べられた.最近では,ボイルオーバーの抑制に関する研究が進んでいる.例えば,ビーズの投入でボイルオーバーの発生が抑えられる可能性がある.

1 0 0 0 OA ガス自殺

著者
若生 彦治
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.106-109, 1987-04-15 (Released:2017-11-30)

都市ガスと液化石油(LP)ガスを用いた自殺行為は,年間約千件発生しており,約250人が死亡している(消防白書,昭和60年度),特に,集合住宅でのLPガス自殺行為は,隣接住居を損壊する危険を持っている。この防止対策を考える目的で,事故調査報告書などを基に発生現況,自殺企図者の挙動を調べた.特異な挙動は予告電話などがあるが非常に少ない.おもな放出箇所が限定されていることより,既存の安全機器の併用によって未然にガス自殺は防止でぎると考えられる.
著者
宇田 一巳
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.261-271, 1976-08-15 (Released:2018-05-31)

本稿は製油所から給油所に至るガソリンの流通過程において,蒸発排出されるガソリソベーバの現状とこれに対応する回収設備と排出防止対策について述べたものである.特に大気汚染を防止し,併せて石油資源回収も達成するガソリンベーパ回収装置については,装置メーカにより発表された各種プロセスを紹介するとともに,製油所から給油所に至る一貫したトータルシステムの拡充開発の必要性こついて述べた.
著者
山口 裕
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.65-73, 1964-03-15 (Released:2018-11-30)
著者
山澤 弘実
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.364-370, 2013-12-15 (Released:2016-07-30)
参考文献数
19

東京電力福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質の環境影響は甚大であり,その影響の多くは大気拡散と沈着に起因する.本稿では,大気中の天然および人工の放射性核種の起源および影響の主要部分を踏まえ,評価方法と我々の理解度を省みた. 今回の事故では放射性物質の概略の放出量は評価されているが,不確かさは大きい.放射性物質による影響は,大気中での長距離輸送と降水に伴う沈着により遠隔地でも発現し,大きな社会影響を及ぼすことが事故の経験から指摘でき,湿性沈着過程の理解とモデルの精度の向上が必要である.SPEEDI の予測結果は現実に比較的近いものであり,事故初期から関係機関に提供されていた.しかし,予測結果は一部の限定的な目的に使用されただけで,本来の住民の放射線防護目的では使用されず,課題を残した.
著者
佐藤 俊一 川内 聡子 奥田 航 西館 泉 苗代 弘
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.447-453, 2016-12-15 (Released:2016-12-15)
参考文献数
7

近年爆弾テロの頻発により,頭部爆傷(bTBI),とりわけ通常の画像診断で陰性所見であるにもかかわらず様々な高次脳機能障害を来す軽症頭部爆傷(mbTBI)の受傷者が急増し,世界的に大きな問題となっている.しかしmbTBI は病態や発生メカニズムに不明な点が多く,診断・治療法の研究は進んでいない.著者らは,レーザー誘起衝撃波(LISW)をラット頭部局所に適用するモデルを対象に各種リアルタイム診断を行い,mbTBI のメカニズム解明を進めている.これまで,全身性に大きな影響が出ない曝露条件においても,脳のLISW 適用部位において拡延性脱分極(SD)が発生し,その伝搬に伴って皮質内に低酸素血症が発生することがわかった.このとき乏血(血管収縮)も起き,低酸素血症と乏血は長時間持続 した.これらの現象が神経細胞変性を引き起こす可能性が考えられる.
著者
一瀬 壽幸
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.290-295, 2002-10-15 (Released:2017-02-28)

労働安全衛生マネジメントシステムにっいては,1990年代に入ってから,国際規格化の必要性などをめぐって国際的な議論がなされ・また,各国において,指針やガイドラインの作成が行われてきた・ わが国においても,1999年4月,労働省(現厚生労働省)から,「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」が公表された.国際的基準としては,2001年12月,国際労働機関(II.0)から, 「労働安全衛生マネジメントシステムに関するガイドライン」が出版された. 労働安全衛生マネジメントシステムにかかわるこれまでの経緯を概説するとともに,普及の状況を紹 介する.
著者
竹田 仁一
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.94-100, 1984-04-15 (Released:2018-01-31)

爆発または衝撃をうけても大破することなく,その後もある程度継続して使用することのでぎる(耐爆,耐衝撃性をもつ)鉄筋コソクリート構造物の設計方法が各国において鋭意研究されている.これは筆 者等が1982年6月西独ベルリンBAMで開かれた耐衝撃設計に関する国際シソポジウムに提出した論 文の概要である. 爆発,衝撃をうける鉄筋コンクリート構造物には静的載荷の場合と異なり,二種の変形,破壊(応答)が発生する,第1次応答(応力波応答),第2次応答(動的弾塑性応答)である、耐爆,耐衝撃設計では対象とする爆発,衝撃によって発生するこれらの応答の大ぎさを定量的に求め,それらがそれぞれの許容値の範聞内に留るかどうかを検討するという手順をとる.
著者
福田 隆文
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.379-384, 2009-12-15 (Released:2016-09-30)
参考文献数
7

機械の安全関連系に関する規格であるIEC 62061 はIEC 61508 の傘下規格として制定された.その背景には,機械類の制御にPLC など電子技術とソフトウェアを用いた機器が使われるようになったことがある.一方,機械類の安全制御部の規格としてすでにISO 13849 があった.そこで両規格の機械安全規格体系での位置付け,適用推奨案を確認したうえで,本規格の内容の概説を行った.IEC 62061 は機能安全の考え方をベースにしており,検知できない危険側故障の1 時間当たりの発生確率(PFHD)を基準に安全インテグリティレベル(SIL)を定めていることを述べ,その計算の基礎を示した.また,IEC/TR 62061─ 1/Ed.1 に例示のPFHD 推算結果を紹介した.両規格に従って1 時間当たりの危険側故障確率を求めると結果に差異が出る.また,SIL はPFHD をもとにしているので,故障率データベースの構築が必要である.
著者
湯本 太郎
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.117, 1989-04-15 (Released:2017-10-31)
著者
藤本 徹
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.94-99, 2023-04-15 (Released:2023-04-15)
参考文献数
25

ゲームやゲーム的な手法を取り入れた教育・研修の取り組みは長年行われてきたが,近年ゲーミフィケーションという概念が提唱されて以降,新たな特徴や可能性が期待されている.本稿では,まずゲーミングシミュレーションやシリアスゲームなどの以前からのゲームの教育利用からの変遷の中にゲーミフィケーションを位置づけて概観する.ゲーミフィケーションのデザイン手法としての特徴を解説した上で,安全教育におけるゲーミフィケーション導入の方向性として,安全訓練・実地演習の活性化,安全意識啓発活動のアウトリーチ向上,安全教育の課題解決に向けた参加促進の3 つの観点から,関連事例を交えてその可能性を論じる.
著者
駒宮 功額
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.361-367, 1984-12-15 (Released:2017-12-31)

金属材料は特殊な粉宋を除き一般に不燃性であるが,条件によっては次のような火災危険が発生する、 ①酸素,塩素の配管系などに用いられる鉄,チタニウムなどの金属火災,②各種金属加工の際に生ずる切削油や有機物を含む研摩剤で汚染された切肖L研摩屑火災,③アルミニウムと含ハロゲン溶剤やぞり一 スとの異常発熱火災,などである. 火災の起きる原因としては,①では,衝撃や油脂などの発火による金属火災であり,②は,主として切削屑に混入する有機物火災による延焼のためと考えられる,③は,アルミニウムと塩素との発熱反応および生成塩化アルミニウムが揮発性のためと推定される. 事故防止には金属材料の燃焼性と雰囲気ガスの性質をよく理解し,装置内に付着する油脂の洗溝などに配慮することや,切削屑中の有機物に注意することが大切である.