著者
有田 正規
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.353-360, 2015

先進諸国は科学研究のオープンデータ化とアクセスの拡大を進めている。その背景には商業学術雑誌の価格高騰によるクローズ化と,先端研究の大規模化・高度化による追試の難しさがある。しかし,学術情報を無償公開すべきというのは非現実的である。情報の維持管理には大きなコストがかかり,そのライフサイクルを見通す必要がある。例として,学術論文を無償公開するオープンアクセス運動は低レベルの商業誌を生む結果に終わり,研究環境を悪化させた。有償も考慮した学術知識のオープン化を通して社会経済に役立つ仕組みづくりを真剣に考える必要がある。国際連携も視野に入れながら,学術情報のライフサイクルを維持できる施策が望まれる。
著者
川上 伸昭
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.587-588, 2015-11-01 (Released:2015-11-01)
参考文献数
1
被引用文献数
1
著者
奥和田 久美 前田 さち子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.544-555, 2015-10-01 (Released:2015-10-01)
参考文献数
4

社会技術研究開発センター(RISTEX)は,これまでに終了した研究開発支援プロジェクトの報告書を,テキストマイニングを用いて俯瞰(ふかん)的に公開できるシステムを構築した。誰でも研究開発領域内の複数の報告書にビジュアルにアクセスできるような仕組みが試みられた。さらにこれらを,領域の枠を超えた俯瞰的な分析や従来とは異なる視点からの類型化分析と併用することで,今後の領域設計などの議論の際に新たな視点が加えられようとしている。過去の知的資産を総合的に可視化することは,研究支援組織の知的継承を助け,組織の将来につながる議論を引き出すことができる。
著者
出口 信吾
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.900-909, 2015-03-01 (Released:2015-03-01)
参考文献数
5

インターネット経由でビジネス情報提供を手がける日経テレコンはサービス開始から30周年を迎えた節目の2014年4月に,自動記事分類技術という新しい技術を導入したナビゲーション型の記事検索インターフェース「ナビ型記事検索」をリリースした。従来のキーワードによる全文検索に比べて,検索結果の適合率を大幅に改善すると同時に,利用者が自分の意図を反映しながら検索結果を絞り込んでいくことができる,新しい検索スタイルを提案するものである。本稿では,「ナビ型記事検索」を使った検索手法を紹介しながら,それを支えている自動記事分類技術の概要と検索用インデックスの生成処理についても解説する。
著者
石井 康之
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.301-305, 2015-07-01 (Released:2015-07-01)
参考文献数
11
著者
木村 考宏 櫛田 達矢
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.204-212, 2015-06-01 (Released:2015-06-01)
参考文献数
12
被引用文献数
1 3

J-GLOBAL knowledgeは,文献,特許,研究者などさまざまな科学技術情報をセマンティックWebに適合した記述モデルであるRDF(Resource Description Framework)で記述し,RDFの問い合わせ言語であるSPARQLにより検索することを可能としたサービスである。今回その中の化学物質データ(日化辞RDFデータ)をクリエイティブ・コモンズ・ライセンスCC BYのもと一般公開した。またNBDCと連携して,標準的なオントロジーを用いた日化辞RDFデータの変換,化学物質データベース間のマッピング情報を取り扱うUniChemへ日化辞データの提供を行い,日化辞を含む国内外の主要な化学物質データベースを対象としたSPARQL検索やデータのマッシュアップを可能とした。さらに日化辞をハブとしてライフサイエンス系データベースの化学物質情報を統合する基盤の整備を行った。
著者
増田 豊
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.45, no.9, pp.613-620, 2002
被引用文献数
4 4

Webベースの学術出版チャネルが拡大する中で,利用者を最適な情報資源へ誘導することは電子図書館に求められる機能になりつつある。本稿では,柔軟で発展性のある方法で状況に応じたリンキングを実現するS・F・Xにフォーカスを当て,誕生の背景,従来のリンキングとの違い,システム構成と今後の学術リンキングの課題,CrossRefとの関係について概説する。また,S・F・X開発の過程で生まれ,Webベースのオープンリンキングを実現するためのメタデータや識別子の事実上の標準となっているOpenURLについても仕様とNISO Committee AXにおける標準化の現状などを含めて紹介する。
著者
名和 小太郎
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.57-60, 2015-04-01 (Released:2015-04-01)
参考文献数
12
被引用文献数
1
著者
熊谷 慎一郎
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.797-807, 2012
被引用文献数
1 1

東日本大震災の発生から9か月あまりを経過した現在,被災した宮城県内の公共図書館を中心に被害状況・復旧状況を概観する。震災による被害は,地震に伴って発生した大津波による被害だけではなく,地震の揺れによる建物被害もあり,このことがあまり一般に報道されていないことを指摘した。宮城県図書館は,県域の公共図書館への復興支援として,各種事業を間接支援・直接支援という大きく2つの軸で展開した。これらの事業の主なものを紹介する。中でも,南三陸町図書館の再開までの支援について,詳細に取り上げる。さらに,県立図書館が,支援者と受援者の間で機能する役割を担っていることを明らかにし,中間組織の必要性を検討した。何が課題としてあるのかを指摘し,今後,大規模災害が発生した時に必要な支援のあり方について,現時点での考察を試みた。
著者
新保 史生
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.818-827, 2005 (Released:2005-03-01)

図書館における個人情報の取り扱いをめぐる問題については,利用者の「プライバシー保護」の問題や「個人情報の漏えい」などへの懸念が問題視されることが多い。しかし,2005年4月1日に全面施行される個人情報保護関連五法は,プライバシーの権利の保障を目的として制定された法律ではなく,また,個人情報の漏えいや不正利用などの行為を直接処罰する法律でもない。 本稿は,個人情報保護法の制定が図書館および図書館サービスに与える影響を検討するにあたり,「プライバシー保護」と「個人情報保護」をめぐる問題の峻別の必要性を提示した上で,各図書館への個人情報保護関係法令の適用関係の明確化,法令の義務規定の適用除外の内容,および個人情報の取扱義務規定の内容について考察する。
著者
樋口 万季
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.223-233, 2014

2011年11月に開館した千代田区立日比谷図書文化館のねらいと方針をまず提示し,前身の日比谷図書館の歴史と,東京都から千代田区への移管の背景を概観する。次に現在の実践について,特に図書部門の企画サービス活動を中心に,その内容と企画主旨を紹介する。当館は,前身の日比谷図書館を基盤に,ミュージアムやカレッジを組み入れた複合施設として「知の拠点」を目指し,新しい都市型図書館像を具体化しようとしている。さらに指定管理者として民間のノウハウを活用し,積極的な事業展開により区の負担を抑制し,既存の図書館のイメージにとらわれない新しい文化施設を目指している。最後に,21世紀の都市型図書館を考える1つのきっかけとして,当館の成果と今後の課題・展望を提示する。