著者
守山 敏樹
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.5, pp.848-855, 2018-05-10 (Released:2019-05-10)
参考文献数
10

「CKD診療ガイド2012」(日本腎臓学会,2012年)に「CKDにおける尿酸管理」の章が設けられている1).これは2012年版で新たに設けられたものであり,その背景には,慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の発症・進展に及ぼす高尿酸血症の意義についての知見が集積してきたこと,及び我が国において新たな尿酸生成抑制薬が上市され,尿酸のマネージメントに注目が集まり始め,CKD診療の現場での道標が求められるようになった状況がある.本稿では,CKD患者における高尿酸血症治療について,尿酸降下薬の用い方を中心に解説する.
著者
内山 真一郎 赫 洋美
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.8, pp.1759-1763, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1

抗リン脂質抗体症候群は,若年性脳血管障害の原因になることはよく知られているが,脳卒中以外にも多彩な神経症状を呈することが最近注目されている.また,抗リン脂質抗体症候群は微小血管障害により脳症を合併することがあり,微小血管症性抗リン脂質抗体症候群(MAPS)という新しい概念が提唱されている.

1 0 0 0 OA 糖尿病の臨床

著者
小坂 樹徳
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.1343-1361, 1977-10-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
15
被引用文献数
2 1
著者
堀田 哲也 小池 隆夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.6, pp.1334-1340, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
14

抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome,APS)は,β2-glycoprotein I(β2-GPI)やプロトロンビンなどのリン脂質結合蛋白を対応抗原とする抗リン脂質抗体(antiphospholipid antibodies;aPL)が血中に存在し,血栓症や妊娠合併症などの多彩な臨床症状がみられる自己免疫疾患である.aPLが血栓症や妊娠合併症を引き起こす機序については,(1)aPLが凝固線溶系に影響を及ぼす,(2)aPLが血小板,血管内皮細胞,単球を活性化させる,などが考えられている.さらに近年では,aPLは血栓形成のみならず,補体の活性化などを介した組織障害を引き起こすことが注目されている.APSの治療は,急性期の血栓症の治療,血栓症の再発予防,妊娠合併症の予防に大別され,それぞれの病態に応じた治療が選択される.
著者
東元 一晃 大中原 研一 松山 航 有村 公良 納 光弘
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.6, pp.1149-1155, 2007 (Released:2012-08-02)
参考文献数
5

サプリメント・健康食品も間質性肺炎,好酸球性肺炎などさまざまな病型の肺障害を起こしうる.われわれが経験したアマメシバ関連閉塞性細気管支炎は当初原因不明の呼吸困難であったが,閉塞性換気障害と服用歴から診断された.薬剤性同様の機序が想定されるが,安全な成分でも濃縮された剤型で長期継続的に服用されることがその発症に関連すると考えられる.成人の6割がサプリメント・健康食品を服用しているともいわれ,詳細な問診が診断の一助となる.
著者
橋本 衛 池田 学
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.8, pp.2099-2108, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
12

非Alzheimer型認知症はAlzheimer病(AD)以外の全ての認知症を指す幅広い概念であるが,Lewy小体型認知症や前頭側頭葉変性症を代表とする変性性の認知症と,血管性認知症や正常圧水頭症などの非変性性の認知症に分けられる.前者は根本的治療が困難な疾患群であり,後者には予防や治療が可能な疾患が数多く含まれる.認知症の鑑別診断においてADか非ADかを鑑別することが一番の基本となるが,非ADを積極的に疑わせる所見として,「記憶障害が軽い」「神経所見の合併」があげられ,この2点に注目するだけで認知症診断は容易になろう.
著者
三森 経世 細野 祐司 中嶋 蘭
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.2, pp.488-494, 2012 (Released:2013-04-11)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

多発性筋炎および皮膚筋炎(PM/DM)患者には種々の細胞内・核内抗原を対応抗原とする多彩な筋炎特異的自己抗体が検出される.PM/DMにおける自己抗体の検査は,筋炎の診断のみならず臨床特徴・経過・予後を予測し,治療方針の決定において極めて有力な情報となる.特に抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体および抗CADM-140抗体は間質性肺炎の合併が極めて高率である.PM/DMに合併する間質性肺炎は頻度も高く,筋炎とともに治療介入の対象となることが多いが,その予後はこれらの特異自己抗体の種類によって大きく異なるため,治療介入前にできる限り自己抗体を測定することが望ましい.抗Jo-1抗体以外の筋炎特異的自己抗体は,現在のところ一部の研究室レベルでしか測定することができないが,ルーチンの測定法の開発がわが国で進行中である.
著者
小池 春樹
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.8, pp.1530-1537, 2019-08-10 (Released:2020-08-10)
参考文献数
10

糖尿病,尿毒症,栄養欠乏,アルコール依存症ならびに薬物の副作用等による末梢神経障害(ニューロパチー)は,日常診療で遭遇する機会が多いにもかかわらず,見逃されることが多い疾患である.これらのニューロパチーでは,適切な対処によって進行の停止・改善を期待できることから,不可逆的な変化が生じる前に的確な診断を行うことが重要であり,それぞれの原因で起こり得る症候・検査所見等を常に念頭に置いて診療にあたる必要がある.
著者
前田 圭介
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.110, no.6, pp.1184-1192, 2021-06-10 (Released:2022-06-10)
参考文献数
11

高齢者人口の増加は,今後の入院医療の在り方に変革を求めている.多病高齢者に対する多面的包括的な評価と介入が注目されていると同時に,入院高齢者の低栄養に対するアプローチも重要視され始めた.入院高齢者の4分の1は低栄養である.しかしながら,低栄養は見逃され,適切な栄養サポートが入院当初から実施されていない懸念がある.従来,栄養サポートチームは栄養不良の対応に主治医が窮したときのコンサルテーションの受け皿であった.人工栄養の導入や管理を専門とする多職種チームとして発足した栄養サポートチームであるが,デバイスや利用可能な栄養剤が充実した近年では,従来型の栄養サポートだけでは介入効果が得られにくい.入院時に低栄養スクリーニングを徹底し,栄養アセスメントと低栄養診断を組織だって実施する体制,及びそれを支援する栄養サポートシステムが必要である.低栄養診断はGlobal leadership Initiative on Malnutritionの基準を用いることが薦められる.栄養状態に応じて入院当初から個別に栄養ゴールを定め,食事の工夫(食事強化と経口栄養補助)を中心に介入することにエビデンスがある.
著者
青木 正志
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.8, pp.1978-1985, 2013-08-10 (Released:2014-08-10)
参考文献数
11

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は選択的な運動ニューロン死をきたし,神経・筋疾患のなかでも治療法が乏しく神経難病の象徴的疾患とされている.病態の解明が待たれるが,最近,家族性ALSの原因遺伝子として報告されたTDP-43およびFUS/TLS遺伝子変異に伴うALSの病態が注目されている.一方で,現在までに病態モデルとして確立しているのはSOD1変異に伴うALSであり,このモデルを利用した治療法の開発が進められている.我が国で開発されている治療薬として肝細胞増殖因子は,フェーズ1試験が開始となった.
著者
古川 泰司 宮澤 幸久
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.11, pp.3193-3200, 2011 (Released:2013-04-11)
参考文献数
3

国民皆保険制度を維持している我が国において,臨床検査もまた医療保険の枠組みの中で運用されている.総医療費が年々増加する中,検体検査費用は微減しており,医療の根幹をなす臨床検査の質の維持が危ぶまれている.このような経済的圧力の中,臨床的有用性と検査効率を改善する努力が続けられているが,精度管理,検査データの標準化など,効率的運用を行うための問題点は多い.
著者
岡本 宏明
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.9, pp.1826-1832, 2018-09-10 (Released:2019-09-10)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

1 0 0 0 OA 胸痛

著者
木野 昌也 永松 航 森井 功
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.4, pp.796-799, 2015-04-10 (Released:2016-04-10)
参考文献数
5
著者
原田 孝司 大園 恵幸
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.82, no.11, pp.1817-1821, 1993-11-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5
被引用文献数
1

肝腎症候群は,非代償性肝硬変や劇症肝炎に伴う進行性の機能性急性腎不全である.その病態の本質は,腎血管収縮による腎皮質部虚血である.成因としては,有効循環血漿量の減少にもとづく交換神経機能亢進や種々の血管作動性物質により,糸球体濾過率の低下を来たす. 1978年Sassariで病態生理にもとづき,診断基準が提唱され概念が整理された.本症は致死的で,治療法もいまだ確立されていない.
著者
中岡 良和
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.109, no.9, pp.1828-1835, 2020-09-10 (Released:2021-09-10)
参考文献数
11
著者
門脇 則光
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.109, no.2, pp.301-307, 2020-02-10 (Released:2021-02-10)
参考文献数
10

造血器腫瘍には免疫細胞がアクセスしやすいことから,固形がんに比べ,免疫療法が効きやすいと期待でき,実際,Hodgkinリンパ腫に対する抗PD-1(programmed cell death 1)抗体療法やB細胞性腫瘍に対する抗CD19 CAR(chimeric antigen receptor) T細胞療法ならびに二重特異性抗体療法が顕著な効果をあげている.今後早い治療ラインでの適用,さまざまな併用療法,輸注T細胞の改良,新たなワクチン療法ならびに細胞内抗原の標的化といった多様な側面からの開発を進めることによって,有効性が向上すると共に骨髄系腫瘍にも適応が拡大され,造血器腫瘍治療における免疫療法の重要性がさらに増すことが期待できる.