著者
池田 学
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.1002-1004, 2008 (Released:2009-01-15)
参考文献数
10
被引用文献数
4 1

Behavioral changes in patients with FTD can be interpreted by considering damage to the frontal lobes themselves and considering the interaction between the frontal lobes and other neural systems such as the posterior association cortices, the limbic system, and basal ganglia. Loss of insight and apathy primarily result from frontal lobes involvement. The latter is probably correlated with the severity of medial frontal-anterior cingulate involvement. Stimulus-bound behavior such as imitation behavior, utilization behavior and environmental dependency syndrome is caused by an imbalance between the activities of the frontal and parietal lobes. Frontal lobe damage, particularly damage to the medial frontal area, result in liberation of the parietal lobe activity, leaving the patient subject to any stimuli from the external environment. Disinhibition such as antisocial behavior is produced by an imbalance between the activities of the frontal and limbic lobes. Namely, loss of control of the frontal lobe, especially the orbitofrontal area, over the limbic system results in acts led by instinctive desires and uncontrolled by reason. Stereotypic behavior is due to an imbalance between the activities of the frontal cortex and basal ganglia. These behaviors range from simple stereotypies to complex repeated actions such as roaming, clock-watching or adherence to a strict daily timetable.
著者
中山 太士 木村 元哉 池田 学 北 健志 長嶋 文雄 松井 繁之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A (ISSN:18806023)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.467-476, 2010 (Released:2010-08-20)
参考文献数
25

道路上を立体交差する鋼鉄道橋では,道路を走行するクレーン車等に衝突される事故が報告されている.この事故が発生した場合,現場技術者は即座に列車を抑止させ,鋼鉄道橋の損傷状況を調査し,抑止継続あるいは運転再開を判断している.軌道や支承部,主桁等に著しい損傷が発生した場合,抑止継続の判断は容易であるが,主桁下フランジの局部的な変形や面外変形のみが残留した場合,明確な運転再開評価法がなく,現場技術者の判断に委ねられているため,この評価法の策定が課題となっている.本研究は,この課題解決を目的に,過去の損傷事例の調査結果および鋼材の材料特性,鋼桁の耐荷力特性を検討した.その結果,下フランジの局部変形および面外変形の限界量を明らかにし,運転再開評価法を策定した.
著者
橋本 衛 池田 学
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.8, pp.2099-2108, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
12

非Alzheimer型認知症はAlzheimer病(AD)以外の全ての認知症を指す幅広い概念であるが,Lewy小体型認知症や前頭側頭葉変性症を代表とする変性性の認知症と,血管性認知症や正常圧水頭症などの非変性性の認知症に分けられる.前者は根本的治療が困難な疾患群であり,後者には予防や治療が可能な疾患が数多く含まれる.認知症の鑑別診断においてADか非ADかを鑑別することが一番の基本となるが,非ADを積極的に疑わせる所見として,「記憶障害が軽い」「神経所見の合併」があげられ,この2点に注目するだけで認知症診断は容易になろう.
著者
徳永 宗正 池田 学
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.22-00185, 2023 (Released:2023-01-23)
参考文献数
27

鉄道連続桁式橋りょうにおいては,高速領域の動的応答に関する知見は体系的に整理されておらず,実用的な評価法による合理的な設計が難しかった.本研究では,一般的な鉄道連続桁の構造諸元について整理,一般化し,列車通過時の連続桁の包括的な動的応答解析を実施した.連続桁のたわみの衝撃係数においては,各固有振動モードの共振速度において複数の極大点が見られ,スパン数が奇数の場合は共振速度において1次,3次モードが増幅すること,スパン数が偶数の場合は共振速度において2次モードが増幅すること,スパン数およびスパン長の増加とともに励起される固有振動モードが不明確となり,列車速度が400km/h程度以下の領域ではたわみの衝撃係数は減少する傾向にあることなどを示した.さらに連続桁の動的応答特性を踏まえた衝撃係数の簡易評価法を提案し,400km/hまでの領域における妥当性を示した.
著者
池田 学
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.147-154, 2004 (Released:2006-03-09)
参考文献数
21
被引用文献数
1

アルツハイマー病(Alzheimer's disease ; AD)の精神症状の中でも,とくに頻度の高いとされている “物盗られ妄想” と記憶障害との関係について検討した。統計画像解析の結果,妄想を伴わないAD群に比べて,物盗られ妄想群で,右楔前部 (precuneus) の局所脳血流量が有意に低下していた。物盗られ妄想群と妄想なし群を ADAS-Jcog の下位検査項目を用いて比較したところ,2群のプロフィールにはほとんど差を見出せなかった。楔前部と呼ばれる領域は,エピソード記憶の取り出しの際の視覚性の心像に関与しているといわれている。また,出典記憶に必要な文脈的関連を想い出す際に活性化されるという報告もある。それゆえ,楔前部の機能不全をきたした患者は,自分が持ち物を置いた場所を想起するのが困難である,または持ち物と置いた場所との関連が想起できないのではないか。あるいは,ある場所に自分が置いた(という運動の)記憶が障害されている可能性もある。これらの ADAS では評価できない何らかの記憶障害で「物を置いた場所がわからなくなり」,心理社会的要因が加わって「盗られた」となるのが,物盗られ妄想出現のメカニズムではないだろうか。
著者
小森 憲治郎 池田 学 中川 賀嗣 田辺 敬貴
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.107-118, 2003 (Released:2006-04-21)
参考文献数
21
被引用文献数
6 3

側頭葉の限局性萎縮により生じる意味痴呆と呼ばれる病態では,言語・相貌・物品など広範な対象についての意味理解が選択的に障害される。意味痴呆における葉性萎縮のパターンには,通常左右差が認められるが,萎縮の優位側に特異的な認知機能障害については,いまだ十分な合意的見解が得られていない。そこでまずわれわれは,左優位の萎縮例と右優位例の神経心理学的比較検討から,左右側頭葉の役割分化に関する手がかりを得ようと試みた。その結果,典型的な語義失語像を呈した左優位例では,呼称,語産生と,理解に関する項目で右優位例を下回り,知能検査についても言語性検査の成績低下が著明であった。一方右優位例では,総じて語義失語の程度はやや軽度で,代わって熟知相貌の認知障害,物品の認知ならびに使用障害を呈したが,言語の諸機能はまんがの理解を除き左優位例に比べ成績低下が軽度であった。また知能検査では言語性,動作性ともに低下し,何らかの視覚性知能の障害も併存している可能性が示唆された。さらに諺と物品という,それぞれ言語性・視覚性と異なる表象の保存状態を調べる補完課題を用いた比較では,どの意味痴呆患者も何らかの補完課題の障害を認めたが,諺の補完課題での成績低下が著明で物品の補完は比較的保たれる左優位例に対し,おもに物品の補完課題に著しい困難を呈し,諺では補完が比較的保たれる右優位例,という二重乖離が認められた。これらの結果は,左側頭葉前方部が言語性の,また右側頭葉前方部は視覚性の表象を司る神経基盤として重要であることを示唆している。
著者
池田 学 一美 奈緒子 橋本 衛
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.304-309, 2013-09-30 (Released:2014-10-02)
参考文献数
21
被引用文献数
2

進行性失語の概念と診断について,脳前方部に原発性の変性病変を有する認知症の枠組みの中で特徴的な進行性失語症を主症状とする臨床症候群を捉える流れと,Mesulam が当初は全般的認知症を伴わない緩徐進行性失語症(slowly progressive aphasia without generalized dementia)として報告し,その後も発展させてきた(脳血管性失語に対しての)変性性失語症という流れを辿り,概念の変遷と診断基準の特徴を紹介した。そして,各々の診断基準を実際に自験例に当てはめた場合,進行性失語の各サブタイプの診断がどのように変化するかを示すことにより,各々の診断基準の特徴と課題を検討した。
著者
栁澤 琢史 畑 真弘 福間 良平 石井 良平 吉山 顕次 原田 達也 池田 学 貴島 晴彦
出版者
日本脳神経外科認知症学会
雑誌
日本脳神経外科認知症学会誌 (ISSN:24360937)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.1-6, 2021-02-26 (Released:2021-03-04)
参考文献数
23

認知症は世界的に増加傾向にあり、特に発展途上国での増加が目立つ。そこで、非侵襲的で安価な検査手法が望まれる。近年の深層学習の発展により、安静時脳波・脳磁図に深層学習を適用することで、旧来の脳波特徴に機械学習を用いた場合よりも高い精度で、安静時脳波・脳磁図を識別できるようになった。しかし、深層学習を医療応用する際には幾つかの注意点が挙げられる。本稿では我々が進めている認知症脳波の深層学習による識別を例にとり、安静時脳波・脳磁図を深層学習で識別する医療応用について概説する。
著者
永野 敬子 勝谷 友宏 紙野 晃人 吉岩 あおい 池田 学 田辺 敬貴 武田 雅俊 西村 健 吉澤 利弘 田中 一 辻 省次 柳沢 勝彦 成瀬 聡 宮武 正 榊 佳之 中嶋 照夫 米田 博 堺 俊明 今川 正樹 浦上 克哉 伊井 邦雄 松村 裕 三好 功峰 三木 哲郎 荻原 俊男
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.111-122, 1995-02-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

近年の疾病構造の欧米型への移行が指摘される中, 日本人における痴呆疾患の割合はアルツハイマー病の比率が脳血管性痴呆を越えたともいわれている. 本邦におけるアルツハイマー病の疫学的調査は, アルツハイマー病の原因究明に於ける前提条件であり, 特に遺伝的背景を持つ家族性アルツハイマー病 (FAD) の全国調査は発症原因の究明においても極めて重要であると考える.私たちは, FAD家系の連鎖分析により原因遺伝子座位を決定し, 分子遺伝学的手法に基づき原因遺伝子そのものを単離同定することを目標としている. 本研究では日本人のFAD家系について全国調査を実施すると共に, これまでの文献報告例と併せて疫学的検討を行った. また, 日本人のFAD家系に頻度の高いβ/A4アミロイド前駆体蛋白 (APP) の717番目のアミノ酸変異 (717Va→Ile) をもった家系の分子遺伝学的考察も行った.その結果, FADの総家系数は69家系でその内, 平均発症年齢が65歳未満の早期発症型FADは57家系, 総患者数202人, 平均発症年齢43.4±8.6歳 (n=94), 平均死亡年齢51.1±10.5歳 (n=85), 平均罹患期間6.9±4.1年 (n=89) であった. APP717の点突然変異の解析の結果, 31家系中6家系 (19%) に変異を認めた. また各家系間で発症年齢に明らかな有意差を認めた. 1991年に実施した全国調査では確認されなかった晩期発症型FAD (平均発症年齢65歳以上) 家系が今回の調査では12家系にのぼった.FADの原因遺伝子座位は, 現在のところ第14染色体長腕 (14q24.3; AD3座位), APP遺伝子 (AD1座位) そのもの, 第19染色体長腕 (19q13.2; AD2座位), 座位不明に分類され, 異なった染色体の4箇所以上に分布していることとなる. 日本人のFAD座位は, APPの点突然変異のあった6家系はAD1座位であるが, 他の大部分の家系ではAD3座位にあると考えられている. 今回の解析結果より, 各家系間の発症年齢に差異があることからも遺伝的異質性の存在を示唆する結果を得たが, FAD遺伝子座位が単一であるかどうかを同定する上でも, 詳細な臨床経過の把握も重要と考えられた.
著者
橋本 衛 池田 学
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.427-432, 2015-04-01

びまん性白質病変の精神症状を考察するうえで,皮質病変の影響を除外することは重要な問題である。特に高齢者ではアルツハイマー病(AD)を高頻度に合併するため,皮質下虚血性病変による症候と捉えていたものの中に皮質症状が混じっている可能性が十分ある。しかし,両者を厳密に分離することは困難であるので,本稿ではADと皮質下虚血性病変との相互作用,ADに皮質下病変を合併した際の臨床症候について考察する。虚血性白質病変やラクナ梗塞などの皮質下の小血管病変は,前頭葉を中心とした神経ネットワーク(前頭葉基底核視床回路)を障害し,高齢者においては認知機能低下,特に遂行機能障害を引き起こすことが報告されている。また,これらの病変がうつのリスクであることは繰り返し指摘されてきた。さらにこれらの皮質下虚血性病変がAD患者の妄想やせん妄などさまざまな精神症状のリスクとなる可能性も指摘されているが,研究は少なくそのメカニズムもいまだ不明な点が多い。
著者
橋本 衛 小川 雄右 池田 学
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.269-276, 2011-09-30 (Released:2012-10-13)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

前頭側頭葉変性症 (FTLD) は, 著明な人格変化や行動障害を主徴とし, 前頭葉・前部側頭葉に病変の主座を有する変性性認知症を包括した疾患概念である。われわれは FTLD の行動障害の背景にある心的機能の障害として「抽象的態度 (abstract attitude) の障害 ; 与えられた刺激の具体性にしばられて, その刺激の持つ一般的, 抽象的属性を洞察できなくなる」に注目した。FTLD 患者, アルツハイマー病 (AD) 患者それぞれ 13 例を対象に, われわれが作製した抽象的態度を評価する 3 つの課題 (概念化課題, 概数見当課題, 状況想像課題) を実施した。結果は, FTLD 患者は 3 つの課題の成績がいずれも AD 患者よりも有意に低かった。さらに課題の成績と常同行動の評価尺度である SRI スコアとの間に有意な相関を認めた。これらの結果から, FTLD では抽象的態度が障害されていること, 抽象的態度の障害が認知の側面のみならず意思決定にも影響しその結果常同行動のような FTLD に特徴的とされる行動障害が引き起こされることが明らかとなった。
著者
猪股 貴憲 斉藤 雅充 池田 学 小島 謙一 進藤 良則 玉井 真一 小田 文夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.II_135-II_144, 2016
被引用文献数
1

ジオテキスタイルを用いた補強盛土による一体橋梁(GRS一体橋梁)は,桁と橋台,補強盛土を一体化させる工法であり,補強盛土を含めた不静定構造物であるため,橋長の長い橋梁への適用時には,桁のコンクリートの収縮や温度伸縮等の経時的な挙動の影響が増大することが懸念される.そこで,大規模なGRS一体橋梁の経時挙動の把握を目的に,橋長60mの橋梁を対象に施工時から変位やひずみ等の計測を実施した. 構造物構築後1年半にわたる測定結果より,本橋はコンクリートの収縮による桁収縮は小さく,温度変化による桁の伸縮挙動は橋台竪壁背面の拘束度に応じて,夏季と冬季で異なる傾向があること等を明らかにするとともに,これらの経時挙動における構造物の応答特性に関する考察を行った.

1 0 0 0 知能の衰え

著者
池田学編
出版者
シナジー
巻号頁・発行日
2013