著者
細谷,雄三
雑誌
日本統計学会誌. シリーズJ
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, 2009-03

この論文は多変量有理型スペクトル正準分解の諸方法を展望するとともに,RozanovによるMAスペクトル密度行列の分解法を改良し数値的に実行可能とした方法を提案する.正準分解の応用として,第3系列との従属関係を有する2時系列間の偏因果性を定量的に測定するために有用な諸測度と,関連する統計的推定・検定法を概説する.
著者
本田,孝也
雑誌
日本統計学会誌. シリーズJ
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, 2012-09

ORNL-TM-4017は1972年にオークリッジ国立研究所で作成されたテクニカルレポートである.黒い雨を浴びた被爆者について,急性症状を分析し,対照群と比較した.黒い雨を浴びた群では発熱,下痢,脱毛などの急性症状が高率に認められた,と報告している.2011年3月11日,福島第一原発事故が発生.放射能汚染の恐怖が日本中を覆う中,QRNL-TM-4017は偶然インターネット上から発見される.放射線影響研究所(放影研)はオリジナルデータから再現を試み,集計上の誤りを指摘した.しかし,同時に,放影研が13,000件を超える被爆者の黒い雨データを保有している事実が明らかとなった.
著者
吉野,諒三
雑誌
日本統計学会誌. シリーズJ
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, 2008-03

本論文では,戦後日本の統計学の展開を,特に統計的標本抽出理論に基づく科学的世論調査研究の実践的方法論確立の観点から振り返る.統計学会75年の歴史のなかで,実のある統計学の発展は「歴史」と「理論」と「実践」の相互関係の中ではじめて必然となることを,戦後民主主義発展の基盤となった統計科学的世論調査研究が例証していることを再確認する.また一方で,近年,個人情報保護等の影響で調査環境が悪化し,調査遂行上の著しい困難がもたらされ,世論調査の統計的基盤が揺らいでいる.本論文では,この問題解決への試案を示唆するが,これが一つの契機となり,多くの統計学者の尽力により,近い将来,再び統計科学的世論調査が揺るぎのないものに再構築されることを期待する.
著者
山本,拓
雑誌
日本統計学会誌. シリーズJ
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, 2006-03

本講演では,私は経済分析における時系列分析についての概観と展望を行う.具体的には以下のトピックを扱う.定常VARモデルと因果性の問題,合理的期待仮説と時系列分析の関係,非定常な経済時系列の取り扱い,共和分モデルと関連の話題,経済における時系列分析についての展望.そして最後に,日本統計学会の現状ならびにこれからについての考えを述べる.
著者
岩崎,学
雑誌
日本統計学会誌. シリーズJ
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, 2007-03

新薬開発の臨床試験などのように,処置の効果の有無やその大きさを評価する研究では,同じ被験者に対し処置を施す前と施した後でデータを観測するいわゆる処置前後研究が行なわれることが多い.この種の研究デザインでは「平均への回帰」現象が生じ,ともすると試験結果の解釈に重大な誤りをもたらすこともある.本論では,平均への回帰がなぜ生じるのかに関する考察を行ない,正規分布のみならず,ポアソン分布および二項分布のような離散分布における平均への回帰を議論する.
著者
松本,眞
雑誌
日本統計学会誌. シリーズJ
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, 2006-03

漸化式を用いて乱数のように「見える」数列を発生し,乱数として利用することを擬似乱数発生という.真乱数発生に比べて高速・低コストであるほか,初期シードと漸化式を記録すれば誰でも再現可能であるため追試を行いやすいなどのメリットがある.しかし,現在科学技術計算ライブラリなどで通常利用されている擬似乱数の多くに無視できない欠陥があり,擬似乱数ユーザを混乱させている.一方で,これらの欠陥を考慮して筆者と西村拓士が97年に開発し普及が進んでいるMersenne Twister法では,周期が2^<19937>-1で623次元空間に均等に分布しているなどの数学的な保障があり,大規模な統計的検定にも合格している上,実際に数兆個単位でシミュレーションに利用されている.本稿は,ユーザに届きにくい擬似乱数開発者側の情報,すなわち漸化式・既知の欠陥・評価方法などを解説することにより両者の距離を縮め,研究成果を共有し刺激しあうことを目的とする.
著者
加藤 尚史
出版者
日本統計学会
雑誌
日本統計学会誌. シリーズJ (ISSN:03895602)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.131-161, 2005-03-01
参考文献数
62
被引用文献数
3
著者
川野,秀一
雑誌
日本統計学会誌. シリーズJ
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, 2010-03

複雑な非線形現象を捉えるための統計的モデリング手法の一つとして,基底展開法に基づく非線形回帰モデリングがある.本稿では,まず様々な基底関数に基づく非線形回帰モデルとモデルの推定を中心とした研究について述べる.次に,極めて次元の高いデータに基づく線形回帰モデルの推定と変数選択において,それらを同時に実行可能な手法として研究が進展中のL_1型正則化推定法に基づくモデリングの研究を紹介する.