著者
井上 恭一
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.66, no.7, pp.201-204, 2018

<p>航空自衛隊救難ヘリコプターUH-60Jは,シコルスキー・エアクラフト社製救難専用ヘリコプターHH-60Aの改造機である.本稿では平成2年度から運用が開始されているUH-60Jを母機として,今後の長きに亘る救難任務に対応するために行った装備の近代化について述べる.(平成27年度以降,航空救難団にて運用中)</p>
著者
小林 啓二
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.305-308, 2016

<p>日本では,総務省消防庁,災害派遣医療チーム(DMAT),自衛隊等の災害対応機関が運用する災害救援航空機による救援活動が頻繁に発生している.宇宙航空研究開発機構(JAXA)が研究開発を進めてきた「災害救援航空機情報共有ネットワーク(D-NET)」の目的は,①「より安全かつ効率的な救援航空機の運用を実現するために災害対応機関間での情報共有を実現する」,②「共有された情報に基づいて機種や装備等に応じた最適な任務割当支援を行う」ことである.JAXAは,機上及び地上システムの開発を行い,災害対応機関と連携して実運用下での有効性評価を実施してきた.その結果,D-NETを活用することにより,無駄時間(任務割当待ち時間,離着陸許可までの時間,給油待ち時間等)や異常接近確率を従来方式と比較して50%以上削減可能であることを確認した.研究開発されたD-NET技術のうち,特に有効性が認められたものについては民間企業等に技術移転され,実運用で使用されてきている.現在は,ヘリコプタのみではなく,陸域観測技術衛星(ALOS-2)や無人機などで観測された災害情報も共有化し,ヘリコプタによる救援活動の計画立案に役立てるシステムの研究開発(D-NET2)を進めている.</p>
著者
故山名 正夫 伊藤 光
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.25, no.279, pp.201-207, 1977-04-05 (Released:2009-05-25)
参考文献数
5

Experimental studies for determining the profiles of the wing sections with high maximum lift coefficient is described. Observation of flow around the wing sections and measurement of section lift coefficient are carried out in a twodimensional smoke wind-tunnel. Transition in the boundary layer along the wing surfaces is also observed by using evaporated-gas-oil smoke. Additionally, the wing sections with extended trailing-edge are investigated. Maximum lift coefficient up to 2.28 is obtained at Reynolds number of 5.34×105.
著者
橋本 毅 木村 春夫
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.36, no.412, pp.249-254, 1988-05-05 (Released:2010-12-16)
参考文献数
17

Equations for evaluating the performances of a failure detection system, whose task is to detect changes of some parameters in an object system, are derived as functions of the design parameters in the detection system and a design method of the detection system based on the equations is proposed. This detection system consists of the Kalman filters and the Modified Sequential Probability Ratio Test. The usefulness of this design method is examined by means of numerical simulations for the parameter changes in a second order system and for the failure in an aircraft stability augumentation system.
著者
大依 仁
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.38-40, 2015-02-05 (Released:2017-06-12)

航空エンジン電動化システム(MEE:More Electric Engine)は次世代の航空機用エンジンへの適用をめざした制御コンセプトである.MEEには,航空機における電動化と連携した2つの役割があり,エンジンの燃費改善,整備性向上,より高い信頼性・安全性を目指すPropulsionとしてのMEEと電動化の大きな電力需要を担う,Power PlantとしてのMEEである.今回はこれらの役割を担うMEE研究の現状について紹介する。エンジンシステムの電動化によりシステムの無駄を省き,燃費や熱のマネジメントなどを改善する研究,電力需要の増加による発電抽出力とエンジン制御の最適化を目指す研究,統合化推進制御として,システム最適化に向けた,燃料,電力,制御システムと推進システムの統合化の調査研究である.まとめに,MEE実用化に向けた課題として,機体メーカの視点とエアラインの視点を紹介する.
著者
渡辺 一尊 鈴木 悠人 原田 裕子 齋藤 雅樹 上野 真史 森本 仁 上田 敦史
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.141-147, 2018-05-05 (Released:2018-05-05)
参考文献数
4

きぼうロボットアームは,親アーム,子アームから構成され,現在は曝露ペイロードの移設などすべてのアーム運用を地上からの遠隔操作で行っている.2015年5月のExHAM 1号機による初回ミッションでは,ExHAMをきぼうエアロックから船外へ搬出し,JEM曝露部上の電気箱Survival Power distribution Box(SPB)のハンドレールに,子アーム特有の力覚制御を使用した押し付け動作により取り付けた.この半年後の2015年11月には,ExHAM 2号機を同様のシーケンスで船外搬出し,JEM曝露部上Exposed Facility System Controller a(ESC a)のハンドレールへの初の取り付けに成功している.本稿では,Ex-HAM 1, 2号機のJEM曝露部への設置,船内回収を定期的に行ってきたきぼうロボットアームの運用実績について述べる.
著者
高橋 典嗣
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.123-128, 2017

<p>地球に衝突すると大規模な環境変化が危惧される直径1 km以上の地球接近小惑星(Near Earth Asteroids : NEA)の衝突を事前に察知するため,そのすべてを検出して軌道を決めることを目標にスペースガードの観測が始められた.現在は,そのほとんどが検出されたと推察され,新たな目標に「大都市に衝突すると壊滅してしまう自然災害となる直径150 m以上で地球に0.05 AU(約784万km)以内に近づくNEAを潜在的に危険な小惑星(Potentially Hazardous Asteroids : PHA)と定義し,そのすべてを検出すること」と改められた.その直後,2013年2月15日にロシアのチェリャビンスク州に落下し,大きな自然災害を発生させた小惑星の直径は,僅か17 mであった.小惑星衝突による自然災害から地球を守るため,地球に接近するより小さな小惑星(Small PHA : SPHA)の観測,新たなリスク評価,具体的な対策の検討が求められている.</p>
著者
鈴木 亙 稲垣 健次郎 髙橋 賢一
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.66, no.7, pp.195-200, 2018-07-05 (Released:2018-07-05)

C-2輸送機の機体形状は,広い貨物室と大型貨物の搭載,投下を容易にする胴体及び主尾翼配置,高速長距離巡航を実現する主翼と双発ターボファン・エンジン,低速飛行を実現する高揚力装置等を特徴とする.また同時開発したP-1固定翼哨戒機と主尾翼等の一部を共用している点についても本機の特徴である.機体規模の策定段階では,C-2,P-1,双方の設計条件を同時に考慮して,主翼の面積とアスペクト比を決定した.主翼の翼型は超臨界翼型を採用した.高揚力装置は内舷がダブル・スロッテッド・フラップ,外舷がシングル・スロッテッド・フラップを採用し,推進部の配置や取付け角は飛行特性や機体への影響を考慮して決定した.本稿ではこれらの空力設計の概要を中心に,風洞試験等の成果も交えて紹介する.