著者
平間 一樹 大塚 祐輔 横田 賀英子 和智 妙子 渡邉 和美
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.1-14, 2019-01-30 (Released:2019-02-16)
参考文献数
24

本研究の目的は(1)潜在クラス分析を用いて,犯行前の意思決定行動に基づいて連続強姦事件の犯人を分類すること,(2)類似した犯行様式を表出する犯人は類似した犯人特徴を有するという相同仮説を検証すること,であった。「被害者就寝時侵入接近型」,「屋外襲撃型」,「非暴力的接近型」,「被害者非就寝時侵入接近型」の4つの類型が見出された。類型と強姦事件の犯人の特徴との間に有意な関連が認められた。「被害者就寝時侵入接近型」に分類された強姦事件の犯人は,犯行前の犯行場所の下見や,金品窃取の意図といったような,侵入盗犯に類似した特徴がみられた。「屋外襲撃型」に分類された強姦事件の犯人は,他の類型と比較して,若年であることや,居住地直近では犯行を行わない傾向が認められた。「非暴力的接近型」に分類された強姦事件の犯人は,機会的な対象選択の傾向を有し,他の類型と比較して,より遠くまで移動している傾向にあった。「被害者非就寝時侵入接近型」に分類された強姦事件の犯人は,「被害者就寝時侵入接近型」よりも金品窃取の意図を有する傾向は少なかった。本研究の結果は相同仮説を支持するが,強姦事件の犯人の犯行前の意思決定行動と,犯人の特徴との関連の強さは,小から中程度であった。
著者
阿部 晋吾 高木 修
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.35-42, 2004 (Released:2018-08-07)
参考文献数
16

In this study, participants (623 students) were examined using two scenarios whether justifiability evaluation of anger expression would be affected by the differences in victim's position or perpetrator's position, the magnitude of damage, and perpetrator's responsibility. As a result, against the prediction, perpetrators tended to evaluate victim's anger expression as being more justifiable than victims. However, since the magnitude of damage and responsibility had significant influences on justifiability evaluation, and these influences were stronger in perpetrators than in victims, the other hypotheses were supported. Moreover, in the specific situation, it was suggested that expressing anger was evaluated as being more justifiable than suppressing anger.
著者
森 武夫
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.12-22, 1966

<p>Y-G test was performed to 224 adolescent boys between 14 and 19 years old. The results were analysed by ages and 4 criminal types, that is, larceny (L), bodily injury and violencies (V), extortion (E) and sexual misconducts (S). (Table 2)</p><p>We made "A" and "B" scales for discriminating the 4 types. "A" scales made of responses of over 50 % to every type. (Table 3) "B" scale made of the responses statistically significant to every type. (Table 4) Each scale gives 4 scores; L-score, V-score, E-score, and S-score per a delinquent.</p><p>Both scales discriminated the types with fairly good level, namely, the highest score tended to point out his misdeed. (Table 5 & 7)</p><p>This suggests that there is a new type of criminal theory which depends on the idea of vector.</p><p>In the future, the other types of criminal behaivor, as vectors, will be added to this study.</p>
著者
出海 光子
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.33-41, 1990 (Released:2018-12-29)
参考文献数
15
著者
羽生 和紀
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.1-12, 2006 (Released:2018-08-07)
参考文献数
23
被引用文献数
2

The purpose of this study was to examine the mechanism of the circle hypothesis, an important theory in geographic profiling. 478 arson cases committed by 40 criminals in Japan were analyzed. The analysis on the spatial data of the arson cases revealed that there are few buffer zones and proper crime distances in Japanese serial arsons. More importantly, the results showed that as crime scenes scattered farther and wider, the distance between the spatial average point of crime scenes and the home of the criminal separated farther away. Although the original circle theory assumes that the home of a criminal tends to locate around the center of a circle, the phenomena presented by this study did not support this assumption when the distributions of crime scenes were larger in scale. An alternative model for this phenomenon was proposed.
著者
半澤 利一
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.1-12, 2011

<p>MRIモデルを活用した少年事件調査3例を検証することで,少年調査における理解と,その過程でなされる保護的措置におけるシステムズ・アプローチの用法について検討した。いずれの事例においても保護者が少年の自立を求め,叱責や罰など不適切な働きかけを繰り返したことで,少年に苛立ちや抑圧感などがうっ積し,被害者意識が醸成されたものと理解した。このように親子の言動の背後にある動機や思い入れを探ることが,少年のあり方や保護者の信念,相互の力動関係を把握する要点となる。</p><p>また,親子関係の悪循環を行動水準でとらえることで,少年の問題行動を解決しようとする保護者の努力自体が問題の持続を招き,それが再び保護者の不適切な働きかけを引き起こすという偽解決を把握することにもなる。いずれの事例でも,リフレイミングにより行動の意味付けを変え,具体的で受け入れやすい課題を提示して介入することで,審判までの短期間に問題が改善した。MRIモデルは,問題を具体的に明確にすることを治療の端緒とするなど少年調査と近似する部分もあるが,非行や少年についての説明が求められる少年調査とは目的が異なるので,時機と局面を見極めて活用したい。</p>
著者
藤野 京子
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.31-43, 2008-05-31 (Released:2017-09-30)
参考文献数
27
被引用文献数
3
著者
野村 和孝 安部 尚子 嶋田 洋徳
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-15, 2014

<p>本研究の目的は,集団認知行動療法 (CBGT) に基づく形式,および薬物依存からの回復者が主導するself-helpミーティング (SHM) に基づく形式の薬物依存離脱指導に参加することが,覚せい剤使用者の再使用リスクに及ぼす影響について検討することであった。累犯刑務所に服役しており,覚せい剤使用のため薬物依存離脱指導対象となった者をCBGT群 (<i>n</i>=19),SHM群 (<i>n</i>=10),およびwaiting list群 (<i>n</i>=23) に割り振り,刑事施設における薬物依存症者用評価尺度(山本ほか,2011; C-SRRS)を用いて検討を行った。その結果,CBGT群のみ,薬物依存離脱指導の実施前後において「薬害・犯罪性の否定」因子得点が有意に減少していることが確認された。また,薬物依存離脱指導の前後におけるC-SRRSの下位因子得点の変化量とデモグラフィック項目(年齢,IQ, 施設入所回数,暴力団組織への関与の有無)の関連性を検討した結果,CBGT群において,年齢が低い者,また入所回数が少ない者ほど,「薬害・犯罪性の否定」因子が改善していることが示された。一方で,SHM群においては,IQの低い者ほど「薬害・犯罪性の否定」因子が改善していることが示された。これらのことから,「薬害・犯罪性の否定」因子の強さの結果として,覚せい剤再使用に至る可能性の高い者には,CBGTに基づく形式を実施すること,そして年齢,IQ, 施設入所回数に基づくアセスメントに応じてSHMに基づく形式を併用することが肝要であると考えられる。</p>
著者
大山みち子
雑誌
犯罪心理学研究
巻号頁・発行日
vol.34, pp.146-147, 1996
被引用文献数
1
著者
山崎 修
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.89-93, 2009-07-31 (Released:2017-09-30)
参考文献数
17
著者
藤野 京子
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.47-58, 2014-08-31 (Released:2017-07-30)
参考文献数
29
被引用文献数
1

本研究では,Baumeister et al. (1996)の自負心脅威モデルを参考にしながら,状態自尊心や状態不安が,怒り表出に至るプロセスを検証することを目的とした。286名(男性118名,女性168名,平均年齢19.89歳)に自己報告による調査が実施された。他者の面前で自身が否定的に評価された仮想状況での結果からは,(a) 状態怒りは怒り制御と怒り隠蔽に加えて怒り表出に直接影響を及ぼすが,この状態怒りは状態不安から正の影響を受けること,(b) 状態自尊心の低下は状態不安を高めること,(c) 状態怒りは怒り制御に負の影響を与えるのに対して,状態不安は怒り制御と怒り隠蔽の双方に対して正の影響を与えること,(d) 怒り隠蔽は怒り表出に正の影響を与えること,が示された。
著者
森 丈弓 花田 百造
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.1-14, 2007 (Released:2018-06-29)
参考文献数
36
被引用文献数
2

A follow-up survey was conducted to identify risk factors that influence recidivism. We analyzed the recidivism of 520 delinquents who were released from a Juvenile Classification Home. The analysis was performed by using split population model that was one technique of survival analysis. As a result, the following risk factors were revealed to be significant predictors of the recidivism, low age at commitment, low IQ score, property offense, the violation of the Road Traffic Law, robber and broken home. This paper clarified risk factors of delinquents released from a Juvenile Classification Home with the evidence by using a statistical model. An empirical research of risk factors of the recidivism is very few in Japan, so the technique used in this paper and the obtained findings are important. It will be thought that a more detailed, more objective risk assessment becomes possible, by accumulating variables and building findings.
著者
藤野 京子
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.47-58, 2014

<p>本研究では,Baumeister et al. (1996)の自負心脅威モデルを参考にしながら,状態自尊心や状態不安が,怒り表出に至るプロセスを検証することを目的とした。286名(男性118名,女性168名,平均年齢19.89歳)に自己報告による調査が実施された。他者の面前で自身が否定的に評価された仮想状況での結果からは,(a) 状態怒りは怒り制御と怒り隠蔽に加えて怒り表出に直接影響を及ぼすが,この状態怒りは状態不安から正の影響を受けること,(b) 状態自尊心の低下は状態不安を高めること,(c) 状態怒りは怒り制御に負の影響を与えるのに対して,状態不安は怒り制御と怒り隠蔽の双方に対して正の影響を与えること,(d) 怒り隠蔽は怒り表出に正の影響を与えること,が示された。</p>
著者
緒方 康介
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.11-20, 2010-08-25 (Released:2017-09-30)
参考文献数
27

本研究の目的は児童相談所で出会う身体的虐待被害児における知能の偏りを調査することである。児童相談所のケース記録から抽出された身体的虐待群58名と,マッチング法により性別(男児41名,女児17名),年齢(月齢139カ月),全検査IQ(平均86)を統制された対照群58名のデータにおけるWISC-IIIの下位検査プロフィールを比較分析した。まず身体的虐待群の全下位検査評価点がノルムよりも低いことを1サンプルのt検定で確認した。その後,多変量分散分析によって10の下位検査における全体的な群間差が検出された。つづいてボンフェロニーの修正を施したpaired-t検定,ロジスティック回帰分析,判別分析の結果,いずれにおいても絵画完成と絵画配列における群間差が示された。対照群に比べて身体的虐待被害児は,絵画完成課題で高く,絵画配列課題で低い評価点であった。最後に全下位検査評価点の平均値と2つの下位検査評価点を比較すると,身体的虐待群で絵画配列が低く,対照群で絵画完成が低いという有意傾向が得られた。本研究知見の臨床実践上の意義について,身体的虐待被害と絵画完成および絵画配列に関する知的能力との関連,身体的虐待と非行との関連という観点から考察した。
著者
緒方 康介
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.1-11, 2013-10-31 (Released:2017-07-30)
参考文献数
22

児童虐待の被害児が示す知能プロフィールの発達的変遷を記述することを目的に調査を行った。最終的に義務教育課程の児童データ493名分を収集した。虐待群と対照群を,それぞれ小学校低学年,高学年,中学生の3つの学齢に分類し,横断的方法により発達変化を分析した。WISC-IIIの検査結果に対して多母集団同時分析で因子構造の相違を調べ,被虐待児特有の潜在的な知能特徴をいくつか検出した。引き続き,クラスタ分析で各学齢における下位分類を行い,群指数に基づくいくつかの典型的なパターンを示した。以上の結果を被虐待児の発達的変遷という観点から考察し,方法論上の限界ゆえに平均値としての知見にとどまることを踏まえたうえで,一定の臨床的参照点が得られたものと結論された。