著者
矢島 伸男
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究
巻号頁・発行日
no.20, pp.83-95, 2013-08-31

本稿は、学校教育における笑いの導入に確かな正当性を持たせ、かつ、導入に関しての注意点を明らかにする思いから、笑いが持つ同義性を中心に考察した.笑いがもつあらゆる両義性のうち、学校教育から疎まれる性質を持つものは、【協調⇔対立】、【創造⇔破壊】、【更生⇔堕落】の3つであると考えられる。望ましくない笑いが持つ【対立】【破壊】【堕落】の属性に陥る危険性を冒してもなお、望ましい笑いが持つ【協調】【創造】【更生】の属性の教育的可能性は捨てきれない。笑いの可能性を支持する教育者にとっては、笑いの同義性について深く理解をしてもらった上で、「笑いは決して万能ではない」との自覚を持ってもらいたい。ともあれ、「教育者の温かい人間的な善意]があればこそ、学校教育にとって笑いは望ましいものであり続ける。笑いを安易に用いることなく、適切な用法を持って子どもと接することが、教育者にとって大切なのではないだろうか。
著者
白石 よしえ
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究
巻号頁・発行日
no.19, pp.128-140, 2012-07-21

予備校という教育現場で20年以上教えてきたが、「『笑い』のある授業はクラス運営に有効である」と常に感じており、それゆえ「笑い」を意識して授業を行ってきた。この研究ノートでは、「笑いを教育現場に持ち込めば、なぜ、クラス運営がうまく行くのか」という疑問に対して、動機づけ理論の1つである「反転理論」の立場から、そのメカニズムを論じることで答えたいと思う。
著者
坂本 浩一
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究
巻号頁・発行日
no.8, pp.149-154, 2001-07-14

福沢諭吉が自分のエピソード、いろいろな出来事、青春の思い出を愉快に話し、笑いとユーモア精神の大切さを親しみをもって語る。
著者
新田 章子
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究
巻号頁・発行日
no.4, pp.31-39, 1997-06-15
著者
松本 治朗
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究
巻号頁・発行日
no.16, pp.119-125, 2009-07-11

固有名詞にみられる「笑」について分析した。「笑」を使用した事業者名(屋号・会社名)は日本全体で2041件あり、大都市に多い。業種別には飲食業が多い。「笑」の入った人名(苗字)は62件あり、いずれも珍名で「笑喜」さんが最も多く、西日本に多く在住されている。「笑」の入った地名は22件あり、北日本に多い。ユニークな地名が多いが、その由来はほとんど不明である。
著者
長島 平洋
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究 (ISSN:21894132)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.79-89, 2009-07-11 (Released:2017-07-21)

土子金四郎著「洒落哲学」は日本最初の笑い学研究である。「洒落哲学」の内容、成立事情を説明する。「洒落哲学」を批判した大西祝の「洒落哲学を評す」の摘要を示し、最後に大西祝の論文「滑稽の本性」の内容を示して、「洒落哲学」が近代日本での笑い学研究の魁であることを証明する。付では「洒落哲学」のうち洒落の種類を表にして紹介する。
著者
やまだ りよこ
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究 (ISSN:21894132)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.49-55, 2020 (Released:2021-04-19)

日本笑い学会の研究企画の一環として昨年から「聞き書き」に取り組んでいます。ジャンルを問わず制作や研究など活動を通して長く「笑い」に携わり、同時に、歩みそのものが表からは見えない一つの分野の歴史の側面や裏面を物語る・・、そんな方々にお話を聞いておきたい、体験談を記録に残したいと手探りでスタートした「拾遺録」です。 関西の演芸、特に漫才はめまぐるしい時代の変容と呼応して変化を遂げていますが、活動した時代がほぼ重なる大瀧哲雄さんの道筋と現場で得た哲学からは、普遍的な笑芸の本質も垣間見えてきます。通常の研究ノートとは異なる一人語りのしゃべり言葉でまとめていますが、一貫した笑芸への情熱が伝わり、「笑い」の力も間接的に示してくれているように思います。
著者
佐々木 沙和子
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究 (ISSN:21894132)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.39-47, 2020 (Released:2021-04-19)

本研究は、発達障がい幼児と保育者との笑いを伴う関わり合いに関する実践を行い、幼児の言葉の拡がりに着目してその変化を検証することを目的とした。児童発達支援センターに通所する幼児と担当保育者との関わり合いの記録を分析した。その結果、笑いを伴う関わり合いによって幼児が言葉で意思を伝えたいという思いが強まり、本人なりの言葉の拡がりが見られた。本研究を通して、保育者による本人の興味・関心に合わせた寄り添い方に重点を置いた取り組みの必要性と共に、笑いを伴う発達支援の可能性について示唆された。