著者
ハーレイ R.
出版者
Japanese society of turfgrass science
雑誌
芝草研究 (ISSN:02858800)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.75-82, 1988

日本の気候帯を3つに区分し, それぞれの地帯に適する芝草の種類を挙げた。このうち「移行地帯」とは寒地と暖地に挾まれた地帯 (第2図) で, 暖地型の日本シバも寒地型芝草も, 両方栽培可能な地帯である。しかし日本シバは, ゴルフをはじめ各種スポーツの盛んな秋から晩春まで, 5~7ケ月間は休眠して葉が褐色に変るばかりでなく, ひどい傷害を受けて毎年補修しなければならない。<BR>スポーツ・フィールドに使われている寒地型芝草 (ペレニアルライグラス, トールフェスク, 細葉フェスク類, ラフストークメドウグラス, クリーピングベントグラス, ケンタッキーブルーグラス) の主な特性と適応地帯について述べた。<BR>また, 日本芝の上に寒地型芝草をオーバーシーディングして"常緑芝生"をつくる利点と播種方法を述べ日本で成功している12のゴルフ場を紹介した。
著者
広田 秀憲 小林 正義 関東 良公 上田 一之
出版者
日本芝草学会
雑誌
芝草研究 (ISSN:02858800)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.125-130, 1987
被引用文献数
1

著者らの観察ではセンチピードグラスは新潟市の気象環境の下でも10数年は生きるものと考えられ, 耐寒性はバーミュダグラスとほぼ同じ程度に強く, 冬の極値が12°F (-11℃) 以上の気温で生育する。晩秋の霜枯れしたあと生育を停止する。年平均気温13℃の地域を北限としているため, 限界地帯では年によりかなり冬枯れするが, すべて枯死することはなく春になれば再び旺盛に生育を始める。<BR>ほふく茎は2次茎も3次茎も太く, 葉幅も3~4mmと芝草の中では広い方である。芝地としては管理しやすい草種である。病虫害にも強い。早春と秋にモグラの害を蒙ることがありモグレスなどの忌避剤をまく必要がある。<BR>本草種の用途としては, ゴルフ場のラフ, 公園の植込みの間, 運動場のフィールドや観覧席, あるいは道路, 堤塘などにおける平面や斜面の緑化などに普及性が高い。ほふく茎のもつ被覆力, 各節からの旺盛な発根力をもつと種々の方面に活用したいものである。<BR>なお, 本草種は飼料としての価値はあまり高くないとみられているが, 平準的な季節生産性を利用して兎, 羊など中小動物による放牧利用の可能性がまだ残されている。
著者
古谷 誠治 水田 良三 大段 宗久 長倉 純幸 細辻 豊二
出版者
日本芝草学会
雑誌
芝草研究 (ISSN:02858800)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.49-60, 1979

関東地方の4住宅団地の芝生地における雑草を調査した結果, 夏季は35科122種, 秋季は34科99種, 総計38科143種が認められた。このうち優占種としては, 団地, 季節により異なるが, アキメヒシバ, オヒシバ, カゼクサ, メヒシバ, ヒメムカシヨモギ, カタバミ, ヒメジヨオン, タンポポ, シロツメクサ, ツユクサ, スズメノカタビラ, ハルジヨオン, オオバコ, ハコベ, ノゲシなであった。中でもアキメヒシバ, スズメノカタビラ, ヒメムカシヨモギ, ハルジヨオン, カタバミは全団地に共通かつ優占的に出現した。<BR>これらの芝生雑草種は, 樹園地・水田裏作・畑地の雑草種の半数以上と共通であり, 牧草地の雑草種より共通種の比率は高く, 住宅団地の芝生地は牧草地よりはむしろこれら樹園地等に近い。しかし出現雑草種の半数以上を示める優占科については, 牧草地・畑地・芝生地とも極めて共通的である。なお, 水田雑草とは種・科とも大いに異なる。
著者
広田 秀憲 小林 正義 関東 良公 上田 一之
出版者
日本芝草学会
雑誌
芝草研究 (ISSN:02858800)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.125-130, 1987-02-28 (Released:2010-06-08)
参考文献数
6
被引用文献数
3

著者らの観察ではセンチピードグラスは新潟市の気象環境の下でも10数年は生きるものと考えられ, 耐寒性はバーミュダグラスとほぼ同じ程度に強く, 冬の極値が12°F (-11℃) 以上の気温で生育する。晩秋の霜枯れしたあと生育を停止する。年平均気温13℃の地域を北限としているため, 限界地帯では年によりかなり冬枯れするが, すべて枯死することはなく春になれば再び旺盛に生育を始める。ほふく茎は2次茎も3次茎も太く, 葉幅も3~4mmと芝草の中では広い方である。芝地としては管理しやすい草種である。病虫害にも強い。早春と秋にモグラの害を蒙ることがありモグレスなどの忌避剤をまく必要がある。本草種の用途としては, ゴルフ場のラフ, 公園の植込みの間, 運動場のフィールドや観覧席, あるいは道路, 堤塘などにおける平面や斜面の緑化などに普及性が高い。ほふく茎のもつ被覆力, 各節からの旺盛な発根力をもつと種々の方面に活用したいものである。なお, 本草種は飼料としての価値はあまり高くないとみられているが, 平準的な季節生産性を利用して兎, 羊など中小動物による放牧利用の可能性がまだ残されている。
著者
三嶋 公明 杉山 日出男 江川 文英
出版者
日本芝草学会
雑誌
芝草研究 (ISSN:02858800)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.133-140, 1978-10-30 (Released:2010-06-08)
参考文献数
7

1.アンケートによれば, ゴルフ場 (芝地) に於いては一般農業では有益な土壌動物であるミミズも害であると考える人が77.4%, 殺したいという人が65.3%であった。2.被害の目立っ時期は, 5・6月の梅雨期と, 9・10月の台風期の2回で, 雨が多い時, ミミズの活動が活発になる。ゴルフ場に於いて害となるミミズに対する有効的な殺体剤を探索するために, 27種の殺虫剤, 殺菌剤, 展着剤を用いて, 単剤, 混剤等の42項目で殺体効果と追い出し効果を調査した。3.殺体効果はティーサポニン, TSG7703, TSG7704, PHC剤が極めて優れた効果を示し, 次にメソミル剤, CVP剤がよく, MEP剤, カルタップ剤, 殺ダニ剤, 殺線虫剤, 殺菌剤は効果が認められなかった。4.追い出し効果はティーサポニン, 石灰イオウ合剤TSG7704が優れた結果を示した。殺菌剤は一般に, 追い出し効果のみが, 少し認められる。5.ミミズの被害を抑えるには.地表近くで活動をする時期, 朝方, 糞塚の多発地を中心に, 追い出し効果と殺体効果のある薬剤で水量をたっぷり散布するのがよいと思われる。
著者
円谷 悦造 伊東 一博 川村 吉也 大野 正司 吉田 重方
出版者
日本芝草学会
雑誌
芝草研究 (ISSN:02858800)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.45-50, 1991-11-30 (Released:2010-06-08)
参考文献数
6

(1) 主要芝草病原菌に対する食酢液の抗菌力はP. aphanidermatum>R. solani>F. roseum, Helminthosporium sp.の順に強く示された。(2) 食酢希釈液 (300倍希釈) の葉面散布はペレニアルライグラス (パーマーとプレリュードの2品種混合) の生育を促進し, 主根長の顕著な伸長が認められた。(3) 食酢希釈液 (20倍, 100倍および500倍) をコウライ芝フェアウェイに散布したところ, 病害防除および葉色の保持に効果が認められた。さらに散布の効果は夏期の高温少雨によって生ずる“葉焼け”を軽減させ, 緑色保持に働いていた。散布区の芝は1990年12月18日まで緑色を保持していた。また, 散布区の地下部の根張りは対照区に比べて良好であった。(4) これらの試験結果から, 農薬の使用が制限されるゴルフ場などの芝地における植物病原菌の制御に食酢希釈液の葉面散布が有効な手段の一つとなり得る可能性が示された。
著者
竹松 哲夫 竹内 安智 小笠原 勝
出版者
日本芝草学会
雑誌
芝草研究 (ISSN:02858800)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.129-132, 1981-11-15 (Released:2010-06-08)
参考文献数
4

マルバヤハズソウ (Kummerovia styiata (Thunb.) Schindler) の除草剤による防除方法について試験を行った結果, 発芽前の土壌処理ではmecoprop, tryclopyr, dicamba, atrazineが有効であった。また発芽後の茎葉処理については, 茎葉部が分枝木質化する以前のヤハズソウに対して, tryclopyr, dicamba, 「atrazine+mecoprop」が高い除草効果を示した。葉期の進んだヤハズソウに対しては, tryclopyrあるいはdicambaが効果的であった。以上, 除草効果については, triclopyrが散布水量あるいは展着剤濃度の如何に関わらず安定しているため最も効果的な除草剤と思われるが, 芝草に対する安全性あるいは殺草スペクトラムの面では「atrazine+mecoprop」が有効である。除草剤を使用する際には, 適用場面での雑草の種類密度, 葉期あるいは芝生の状態等を踏えて適切な除草剤を選ぶことが肝要である。
著者
C. Laosinwattana Y. Takeuchi K. Yoneyama M. Ogasawara M. Konnai
出版者
Japanese society of turfgrass science
雑誌
芝草研究 (ISSN:02858800)
巻号頁・発行日
vol.25, no.supplement1, pp.108-109, 1996-05-21 (Released:2010-06-08)

Turfgrasses may inhibit germination and growth of weeds through competition for such as water, nutrients, light and space, and also through allelopathy. Manilagrass is an important warm-season turfgrass, but no information is available on the allelopathic effect of manilagrass on weeds. Since water is the solvent for extraction of allelochemicals in nature, in this study aqueous extracts of shoots and decomposing manilagrass were examine for allelopathic potential.
著者
ワイコ グレッグ
出版者
Japanese society of turfgrass science
雑誌
芝草研究 (ISSN:02858800)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.1-2, 2004

シーショア・パスパラムは、現在世界中で重要視され、利用が増加している芝草であり、アジア、南アフリカ、南アメリカ、ハワイそしてアメリカの熱帯のゴルフコースにおいて育成されています。シーショア・パスパラムはすべての芝草の中においても高い耐塩性を示し、降水が十分で土壌の塩分の増加を防ぐことのできる場所であれば、海水での灌水が可能です。<BR>また、廃水や再利用水の継続的な使用にも耐えることができます。そして、これらの状況下においても高い地上被覆密度を維持し、雑草に対する競争力も持っています。感染する病気も極めて少なく、一般的には農薬も必要としません。加えて、シーショア・パスパラムは中程度の耐陰性、耐干性も持っており、土壌pHの適応範囲がほかの草よりも広く、また、水・窒素分も必要とする量が少なくてすみます。刈取り高さもバーミューダグラスと同じくらい低く、冬の間は寒地型芝草との共存もでき、冬季に追播されたこともありました。<BR>しかし、シーショア・パスパラムは活性のある種子をほとんどつけないため、ほふく茎、地下茎、苗を用いて生長・繁殖させないといけません。また残念なことに、一般に使用されている発芽後に処理する除草剤を利用すると、パスパラムは薬害を受けてしまいます。もう一つのマイナスの特徴としては、低い耐寒性があげられます。熱帯および亜熱帯地方では常緑ですが、気温が12-13℃を下回る日が2週間以上続くような場所では休眠状態に入ります。シーショア・パスパラムのターフをはがされることにも耐性がありません。誤ってはがされてしまった場合、通常回復するのに何.週間もかかってしまいます。<BR>シーショア・パスパラムの何品種かは市場に出ていますが、いくつかはセントオーガスチンのように葉幅が広いものであったり、他には普通のバーミューダグラスに似たようなものもあります。シーショア・パスパラムには多くの品種があり、ティーグリーン、フェアウェイ、ラフにおいてはすでにあるものの中から適した品種を選択することができますが、パッティンググリーン用のものはさらに開発する必要があります。