著者
秋池 篤 岩尾 俊兵
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.12, no.10, pp.699-716, 2013-10-25 (Released:2016-07-25)
参考文献数
22

本稿では経営学におけるイノベーション研究の嚆矢のひとつともいえるAbernathy and Clark (1985) を取り上げる。彼らはイノベーションに技術/生産の軸に加えて、市場/顧客の軸を導入し、イノベーションを四つに類型化した(変革力マップ)。これは、Christensen の一連の研究の基礎となっている。しかしながら、Abernathy and Clark (1985) では市場/顧客の観点にあまり重きを置いていなかった。本稿では、その後の主要な研究を紹介、Abernathy and Clark (1985) との対比をしていくことで、最終的に、Christensen によって市場/顧客の重要性が認識されるに至ったことを示す。その上で、あるべき変革力マップ像を提示する。
著者
服部 正太 木村 香代子
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.7, no.10, pp.773-784, 2008

<p>株式会社・構造計画研究所の社会的使命は、学界と産業界とで獲得された工学的知識を融合させて、新たな知財を創造することである。その使命を果たすには総合エンジニアリング企業として学界と産業界との橋渡しとなることが必要である。構造計画研究所は、新規事業を次々と創出していくという役割を担う、創造工学部という部署を築き上げてきた。所員の営業志向が強い、会社の成長から獲得した付加価値増分について大胆な投資配分を行う、独自の人的資源管理システムを開発しているなど、構造計画研究所は一般のソフトウェア企業とは大きく異なる特色を持っている。Professional Engineering Solution Firmとしての構造計画研究所の挑戦は続く。</p>
著者
服部 正太 木村 香代子
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.7, no.10, pp.773-784, 2008-10-25 (Released:2018-03-04)

株式会社・構造計画研究所の社会的使命は、学界と産業界とで獲得された工学的知識を融合させて、新たな知財を創造することである。その使命を果たすには総合エンジニアリング企業として学界と産業界との橋渡しとなることが必要である。構造計画研究所は、新規事業を次々と創出していくという役割を担う、創造工学部という部署を築き上げてきた。所員の営業志向が強い、会社の成長から獲得した付加価値増分について大胆な投資配分を行う、独自の人的資源管理システムを開発しているなど、構造計画研究所は一般のソフトウェア企業とは大きく異なる特色を持っている。Professional Engineering Solution Firmとしての構造計画研究所の挑戦は続く。
著者
阿部 真美 張 力 羅 麗斯
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.15, no.9, pp.469-488, 2016

<p>Ferlie, Fitzgerald, Wood, and Hawkins (2005) は専門家組織としてのヘルスケア組織に焦点を当て、8事例のイノベーションを調査した研究である。その結果、専門家組織でイノベーションの拡散が進まないのは、専門家や専門家によって作られる実践共同体の間に「社会的境界」と「認知的境界」があり、イノベーションがその境界を越えることができない場合であることがわかった。Ferlieらの議論は後続研究においてさらに発展しているが、いまだに解決されていない課題や新たな解釈の可能性が残されているため、そこに今後の研究方向性がある。また、Ferlie et al. (2005) は複数事例を比較した質的研究の手本として取り上げられることもあるが、その事例分析にはいくつかの問題が残っている。</p>
著者
簗田 優 田路 則子
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.55-76, 2020-04-25 (Released:2020-04-25)
参考文献数
6

東欧バルト三国のひとつリトアニアでは、若者によるスタートアップの設立が活発である。特にIT関連スタートアップの起業が活発で、都市部のコ・ワーキングスペースや大学内に設けられた起業スペースなどは若い企業家の活気が溢れている。このような活況は産学官が連携したスタートアップ・エコシステムに支えられている。また、近年では外国人起業家や外国人投資家も増加し、スタートアップ・エコシステムはグローバル化しつつある。加えて、大都市の中心的大学では起業家教育が行われており、スキルアップを目指す現役ビジネスマンに混ざって多くの学生がビジネス・スキルを学んでいる。このようなリトアニアのスタートアップ・エコシステムは、同じバルト三国のエストニアや北欧のスウェーデンを参考としたものであるが、大学内インキュベーション施設や起業家教育の取組みには目を見張るものがあり、日本の産学官の各主体が参考にできることも多い。また、起業家やスタートアップ・エコシステムの各主体がグローバル化している点も、日本は参考にできるだろう。そこで本稿では、リトアニアのスタートアップ・エコシステムと、代表的なスタートアップ企業について紹介し、日本が参考にすべき点についても明らかにしたい。
著者
簗田 優 田路 則子
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0200201a, (Released:2020-03-18)
参考文献数
6

東欧バルト三国のひとつリトアニアでは、若者によるスタートアップの設立が活発である。特にIT関連スタートアップの起業が活発で、都市部のコ・ワーキングスペースや大学内に設けられた起業スペースなどは若い企業家の活気が溢れている。このような活況は産学官が連携したスタートアップ・エコシステムに支えられている。また、近年では外国人起業家や外国人投資家も増加し、スタートアップ・エコシステムはグローバル化しつつある。加えて、大都市の中心的大学では起業家教育が行われており、スキルアップを目指す現役ビジネスマンに混ざって多くの学生がビジネス・スキルを学んでいる。このようなリトアニアのスタートアップ・エコシステムは、同じバルト三国のエストニアや北欧のスウェーデンを参考としたものであるが、大学内インキュベーション施設や起業家教育の取組みには目を見張るものがあり、日本の産学官の各主体が参考にできることも多い。また、起業家やスタートアップ・エコシステムの各主体がグローバル化している点も、日本は参考にできるだろう。そこで本稿では、リトアニアのスタートアップ・エコシステムと、代表的なスタートアップ企業について紹介し、日本が参考にすべき点についても明らかにしたい。
著者
張 益民
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0191119a, (Released:2020-04-11)
参考文献数
47

異なるイデオロギーと価値観はどのように特定の実践の中に共存し、コンフリクトし、相互補完しているか。この問題に対して、本研究は制度ロジックと実践という理論的フレームワークに基づいて探求する。本研究は制度ロジックと実践との関係に関する異なる理論的想定を融合させることで、実践に付与された意味を解釈するに当たって、実践の設計に関わる制度ロジックの役割を強調する。国と信用金庫それぞれが信用補完制度に付与した意味を定量分析することを通じて、本研究は実践の設計に関わる制度ロジックと実践の取り入れに関わる制度ロジックが実践に付与した異なる意味が同じ基準で測れないが、実践の設計を通じて前者の制度ロジックが後者の制度ロジックに制約を加えていることを主張する。本研究は歴史的と広い文化的コンテキストにおける異なるタイプの制度ロジックを同時に考慮に入れるフレームワークを構築した。
著者
會澤 綾子
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0170716a, (Released:2017-08-04)
参考文献数
23

Weick (1987) は、高信頼性組織を支える三つの要因 (1) 必要多様性、(2) 信頼性の特徴、(3) イナクトメントについて論じている。複雑なシステムへの対応には限界があるという前提に立ちながらも、個人や組織によって打ち勝つ可能性や、物語を通じた組織文化の重要性を提言するものである。全体を通じて多様性について繰り返し語っていることにも特徴がある。高信頼性組織の研究では、のちにWeick, Sutcliffe, and Obstfeld (1999) やWeick and Sutcliffe (2001) によってフレームワークが構築され、マインドフルネスという概念が提示されるが、Weick (1987) で提唱される多様性はこのマインドフルネスを読み解くキーワードにもつながると考えられる。
著者
岩瀬 勝則
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0190315a, (Released:2020-02-19)
参考文献数
66

本研究では、マザー工場の近距離移転における知識移転という極めて珍しいケースを取り上げる。注目したケースは、堀場製作所において2015 年10 月に実施された京都から滋賀への地理的・文化的距離が近い国内マザー工場移転である。本工場移転は、既存の知見によると知識移転がうまくいくケースであるが、工場移転時の知識不足により品質問題が発生していた。ここでは、発生した問題と知識移転との関係を解明することにより、知識移転が難しく、かつ問題を解決する上で重要な知識を明らかにする。詳細な分析により、問題解決のカギは、問題のなかった工場移転前の工程を良く知る技術者の存在であった。
著者
大山 聡
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.167-178, 2014-04-25 (Released:2015-04-25)

本稿では日本半導体産業の現状と展望について論じる。日本の半導体産業は一時期強い競争力を誇っていたが、産業構造が水平分業に転換されてからその競争力を失いつつある。最近では、事業売却や合弁会社設立を通じ、本社から半導体事業を切り離している企業も多い。しかし、まだ日本の半導体技術は高く、競争優位が持てる分野も存在する。本稿では、アーキテクチャー論を用い、半導体を分類し、そこで勝つための水平分業を提案する。
著者
井上 智洋
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.15, no.12, pp.659-662, 2016-12-25 (Released:2017-02-25)

近い将来、人工知能 (AI) が普及し、社会や人間に大きな影響を及ぼすとの見方が出てきている。現在普及し始めている「特化型人工知能」から今後現れる「汎用人工知能」への移行にともなって、第1 次産業革命に匹敵するような経済成長の大分岐が形成され、雇用や働き方に大きな変化が生じるだろう。本稿では、この汎用人工知能が社会に与える影響について、主に経済的な側面から論じていく。
著者
湯月 哲海
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0190320a, (Released:2019-08-01)
参考文献数
25

静岡県の鋳造メーカーである木村鋳造所は、既存技術であるフルモールド鋳造法で培われた知識・ノウハウを流用して新技術である3D プリンタ鋳造法の素早い導入に成功した。本研究は、当該企業の新技術導入の経緯を詳述し、企業のもつ既存資源 (知識・ノウハウなど) を新技術導入に際して活かすプロセスについて分析し、仮説を提示するものである。
著者
舟津 昌平
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0180928a, (Released:2019-06-06)
参考文献数
91

本稿は、制度ロジック (institutional logic) 概念および制度ロジック多元性 (logic multiplicity) 概念についてレビューし、今後の研究課題を明らかにした研究である。本稿は、制度ロジック概念の意義を追求するための制度ロジック多元性を前提する必要性について検討し、制度ロジック研究における研究課題を改めて理論的に検証した。また、本稿は制度ロジック多元性を検討する対象として組織のイノベーションマネジメントに注目し、さらに研究課題を導出した。
著者
桑島 由芙
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.185-204, 2008

<p>本稿の目的は、ネットワークの中に身を置く消費者が、購買行動をする際にネットワークからどのような影響を受けるのかを社会ネットワーク分析の手法を使って明らかにすることである。分析の結果、消費者同士が直接結合している場合にはスノッブ効果が、構造同値の関係にある場合にはバンドワゴン効果が働くという事実発見を得た。</p>
著者
目代 武史 岩城 富士大
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.12, no.9, pp.613-652, 2013-09-25 (Released:2016-07-25)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本稿では、フォルクスワーゲンや日産、マツダ、トヨタにおける新たな車両開発アプローチをとりあげ、その概要と製品開発戦略における意義を考察する。開発車種の多様化や車両自体の複雑化への対応とコスト削減の両立を図るべく各社とも共通化に取り組んでいるが、共通化の考え方やアプローチにはそれぞれ独自性がある。本稿では、前半において各社の取り組みを整理した上で、後半では設計情報の繰り返し利用化、各社によるアプローチの相違、サプライヤーへの影響について考察を行う。
著者
町田 裕彦
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0180909a, (Released:2019-03-23)
参考文献数
35

Plowman, Baker, Beck, Kulkarni, Solansky, and Travis (2007) に代表される組織変革モデルでは、意図をもったリーダーシップが不在のもと、連続的な創発プロセスが起こりラディカルな組織変革が実現するとされている。しかしながら、このモデルでは、慣性の強い組織で意図をもったリーダーシップによりこれが起こりうることは検討されていない。本稿は、これが起こりうることを示した町田 (2017) の事例と本稿の事例を比較検討することにより、何がこの連続的な創発プロセスを起動しラディカルな組織変革を実現するのか解明し、この変革のプロセスを、既存の変革モデルと整合的に理解できる新たなモデルを提示することを目的とする。