著者
林 侑輝 山田 仁一郎
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.14, no.12, pp.655-688, 2015-12-25 (Released:2016-12-25)
参考文献数
42

本稿は、日本の電子出版ベンチャーによる中国市場参入に関する事例研究である。K. E. Weick (1979) の組織化理論に依拠してビジネスモデル概念を再解釈することで、プラットフォーム・ビジネスの創造にともなう一連の試行錯誤を組織化過程として理解する枠組みを示し、またその再編過程における戦術的コミュニケーションの役割を明らかにした。
著者
中島 宏
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.14, no.11, pp.651-654, 2015-11-25 (Released:2016-11-25)

DeNA とZMP の合弁会社としてスタートしたロボットタクシー株式会社の事業内容を通して日本の抱える交通課題とその解決に向けた展望を俯瞰する。
著者
山城 慶晃 菅 章
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.14, no.7, pp.403-412, 2015-07-25 (Released:2016-07-25)
参考文献数
8

心理的契約を再定義して定量分析を可能としたRousseau (1989) のもうひとつの重要な貢献は、心理的契約と比較して暗黙的契約という概念を提示したことにあった。この二つの概念は、分析対象が「個人か従業員全体及び組織か」、観察性が「主観的か客観的か」、契約の違反に対する反応が「個人的か全体的か」という点で異なる。同論文では、再定義した心理的契約では分析対象が個人であるが故に説明できない現象を説明するために、相互補完的な概念であり従業員全体を対象とする暗黙的契約を提示した。しかし、後続研究ではなぜか心理的契約ばかりが偏重され、暗黙的契約は姿を消してしまう。心理的契約と暗黙的契約では、契約違反に対する主体の反応が顕著に異なると指摘されているが、その反応の違いは、組織現象分析の際には重要であり、暗黙的契約が有用な概念であることを示している。
著者
貴志 奈央子
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.14, no.6, pp.311-332, 2015-06-25 (Released:2016-06-25)
参考文献数
14

本研究では、ニッピが大阪大学と京都大学から特許技術のライセンスを受けて細胞培養基質の生産を開始した事例から、新規産業における事業機会の迅速な獲得に向けて外部知識を活用することの有効性を明らかにしていく。また、細胞治療や再生医療という業界において、基礎研究を行う組織に蓄積された先端的な知識が民間企業に活用されているという点から、新規産業の育成時期に基礎研究の成果の有効性が高まる可能性を示唆する。
著者
大木 清弘 片平 祐貴 崎向 信行 藤岡 愛依
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.14, no.5, pp.257-286, 2015-04-25 (Released:2016-05-25)
参考文献数
26

本稿は、B to B の下請業務を事業としている中小企業が、連続的に新規顧客を獲得し続けるためのプロセスとマネジメント要因を、東大阪の中小企業A 社の事例分析を通じて明らかにするものである。分析の結果、「既存の技術を元に新規顧客を獲得した後、その顧客との関係から新規技術を獲得して、さらに新たな顧客を獲得する」という、技術と顧客を軸足においた一貫したパターンが明らかになった。さらにそのプロセスにおいて、「顧客とのパートナーシップの活用」が重要なマネジメント要因となることが明らかになった。
著者
湯上 伸弘
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.37-52, 2014-01-25 (Released:2015-01-25)

本報告では、ビッグデータ活用の現状と今後について、ビッグデータの概要、活用事例、ビッグデータ利活用に向けた富士通研究所の取り組み・技術を紹介することで考察する。大きなデータを使うというのは本質ではなく手段であり、ビッグデータ分析は、単純にデータを分析するというだけではなく、それをどう使うかというところと密接に結びついている。実際のビジネスの意思決定の中でどのように使っていくかを明確にし、企業が持っているデータだけではなく、外にあるデータをどう使っていくかを考えていくことが重要である。
著者
古田 大輔
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.237-242, 2015-04-25 (Released:2016-04-25)

デジタル技術は報道の現場をどう変えたのか。ニュースの端緒をつかみ、取材し、記事を書き、見出しをつけ、紙面にパッケージ化し、読者に届ける。そのすべての局面で日々新しい手法が生まれ、導入されている。最先端だった表現が1年で色あせる日進月歩のデジタルジャーナリズム時代。ツイッターや「投稿マップ」を通じた読者との双方向企画、記事・写真・動画などを組み合わせたパララックスページ、データジャーナリズムなどに取り組んできた経験から、その豊かな可能性と直面している課題を考える。
著者
岸本 千佳司
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.189-236, 2015-04-25 (Released:2016-04-25)
参考文献数
49

台湾は国際的に見てもベンチャーキャピタル (VC) 業の活発な国とみなされている。実際、1990年代後半、台湾VC 業界は、成長期にあった半導体・IT等ハイテク産業へ遊休資金を集中投下してそれを助け、そのことでVC 業自身も急成長を遂げた。しかし、2000年代以降は、成長が以前のような右肩上がりではなくなり、近年は、投資金額・案件数の激減、資金調達の困難さ、海外資金の流入の少なさ、初期ステージ企業への投資比率の低さといった諸問題が表面化している。これを踏まえ、本研究は、台湾における①VC業発展の歴史的経緯、および1980年代以降のハイテク産業勃興に対するVC業の貢献、②VC業の問題点と2000年代以降 (特に近年) のVC活動停滞の背景、③最近の動向 (エンジェルとシードアクセラレーターの発展) とVC業の役割変化について詳細に分析する。これを通して、VC業の発展・盛衰を左右する要因、および政策的介入によりVC業を創出・推進する試みの成否について検討する。その結果、台湾のVC業推進策が比較的成功したと評されるのには、民間・地域リソースの広範な活用、長期的で適正なコミットと関係者への情報提供等の「教訓」が守られていたという背景があったことが判明した。また、こうした政策的介入に加え、VC業の発展・盛衰は投資先となる産業の発展と密接にリンクしており、投資先産業の性質によって資金供給と経営支援の方法も変化していくことが指摘された。例えば、近年のVC業の停滞も、成長性の高い新産業が十分勃興していないことの他、最近人気の文化創意産業やインターネット関連ビジネス等は比較的小規模・短期的な投資で賄える業種で、従来型VCよりも敏速で小回りの利くエンジェルやシードアクセラレーターが必要とされていることが背景にある。
著者
本多 美雄
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.159-168, 2015-03-25 (Released:2016-03-25)

LTE (Long Term Evolution) に代表される、世界的な移動通信システムの急速な発展を受けて、2020 年を目標とした第5世代移動通信システム (5G システム) の検討が進められている。エリクソンは、人々、知識、デバイス、および情報がネットワーク化される、『ネットワーク化社会』の到来を予測しており、5Gシステムがそのプラットフォームになると考えている。本報告では、今後展開される5Gシステムの標準化プロセスと無線周波数について概説する。
著者
貴志 奈央子
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.99-126, 2015-03-25 (Released:2016-03-25)
参考文献数
11

本研究では、医療機器として欧州市場に参入を果たしたカネカの細胞分離デバイスを分析対象として、次の二点を明らかにする。一点めは、カネカが、既存製品のコンセプトを転換することで、細胞治療に関する新規事業の開拓を達成したことである。そして、二点めは、医療機器メーカーにとっての細胞治療における事業機会の所在である。明らかとなった事業機会の所在に基づいて、成長を期待される細胞治療や再生医療における事業を活性化する政策的支援について、より実用化に近い分野に対して研究開発投資や事業環境の整備を強化することで、新規参入が活性化する可能性を示唆していく。
著者
塩澤 豊
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.59-68, 2015-01-25 (Released:2016-01-25)

製造業での設計者時代に3 次元CAD に出会い、3D テクノロジーにより世の中が変わると確信しソフトウェアメーカーに転職。現在、オートデスクで様々な業種・一般消費者・教育関連に3D テクノロジーを広める活動を行っている。この報告では、コンピュータテクノロジーにより進化するデザイン (主にプロダクトデザイン) に着目。3D によるデザインや3D プリンティングに代表されるデジタルファブリケーションによりデザインの自由度が増しテクノロジーによりデザインの可能性がどのように広がるかを考察する。
著者
ヘラー ダニエル 福澤 光啓 唐津 裕一 山下 徹
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.1-24, 2015-01-25 (Released:2016-01-25)
参考文献数
1

本稿では海外進出を契機とした先行者優位の獲得と維持を可能にした事例として、プリント基板メーカーであるメイコーの海外展開を取り上げる。筆者らは広州工場立ち上げに携わった方々へインタビューを行い、メイコーの広州進出の歴史・プロセスを分析し、進出を成功させた要因を明らかにした。主な要因としては、メイコーのもつ営業力と、先見的な設備投資および人材への投資があげられる。
著者
水野 誠 桑島 由芙 東 秀忠 貴志 奈央子
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.13, no.11, pp.415-442, 2014-11-25 (Released:2015-11-25)
参考文献数
22

本研究では、日本市場で販売されている約150 車種の乗用車について4 時点にわたって測定された多次元の知覚データと、各種先端装備の採用レベルの関係を分析することで、知覚ポジショニングに適合する装備の採用が行われているかどうかを分析した。さらにそれを潜在顧客の購買態度と結びつけると、ポジショニングから期待される以上の「過剰装備」が、他の要因を一定とすると、購買への態度を悪化させることが示された。
著者
桑嶋 健一 住吉 保人
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.13, no.9, pp.313-352, 2014-09-25 (Released:2015-09-25)
参考文献数
29

本稿では、発売以来長期にわたり世界シェアトップを維持している日立化成の「アニソルム」のケースを対象として、機能性化学品の製品開発と持続的競争優位について検討する。事例分析より、粘り強い用途開発、顧客との連携、技術蓄積、提案型の開発、特許戦略、統合型のビジネスモデルの構築といった要因が、長期的な競争優位の維持に貢献していたことが明らかにされる。
著者
銭 佑錫
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.13, no.6, pp.209-234, 2014-06-25 (Released:2015-06-25)
参考文献数
14

本研究では、ボッシュのアジア3 国 (日本・韓国・インド) 拠点に対するインタビュー調査に基づいて、ボッシュの海外事業展開の実態を明らかにする。ボッシュでは、本国本社主導によるグローバルな社内標準化と海外子会社の育成によって、本国本社に集中していたグローバルR&D 機能およびマザー・プラント機能の一部を海外子会社が担うようになっている。

1 0 0 0 OA 知財の利回り

著者
岸 宣仁
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.113-124, 2011-02-25 (Released:2017-10-10)

ここ数年、米国を震源地として知的財産への新たな投資と流通の仕組みが登場してきた。中でもインテレクチュアル・ベンチャーズ(IV)社は、「インベンションキャピタル(発明資本)」をスローガンに掲げ、世界の“知”の囲い込みを目指している。彼らのビジネスの先には、「インベンションキャピタル・マーケット(発明資本市場)」の実現も視野に入り、知財戦略は大きな転換期を迎えている。そうした動きの中で、日本は産業競争力強化のためにどのような知財インフラを整備し、新たなビジネスモデルを構築していくべきか、今こそ大胆な発想の転換が求められている。