著者
笠原 健治
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.273-280, 2006-04-25 (Released:2018-03-11)

本稿では、ソーシャルネットワーキングサービスについてその概況を紹介し、その後、ソーシャルネットワーキングサービスサイト「mixi」の立ち上げから現状、成長の要因、今後の課題について、運営会社の代表取締役としての観点から分析する。
著者
小川 紘一
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.7, no.6, pp.339-408, 2008

<p>商品がコモディティー化すればするほど市場支配力や収益力を生み出すプラットフォームの形成プロセスについて、市場の前線に立つ経営者の目線から体系化した。新たに定義するプラットフォームは、技術拡散スピードが極端に異なる『擦り合わせ型』と『モジュラー型』のアーキテクチャがともに共存するオープン環境で現れる。本稿では、コモディティー化が極限まで進んだDVDプレイヤーと記録型DVDメディアを我が国の事例として取り上げ、技術拡散スピードの違いを巧みに活用しながらプラットフォーム構築が進んでいることを、アメリカに見る事例と比較しながら明らかにした。いずれもNIES/BRICs諸国企業と協業するためのフル・ターンキー・ソリューション型プラットフォームであり、擦り合わせ統合型のプラットフォーム内部からオープン市場をコントロールすることによって利益の源泉と市場支配力が生まれている。我が国企業の統合型組織能力をグローバル市場で生かすための21世紀型ビジネス・モデル構築に、本稿の定義するプラットフォームの枠組みがきわめて有効である。</p>
著者
宮崎 正也
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.1, no.5, pp.385-404, 2002-08-25 (Released:2018-03-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1

ヒューズは、19世紀末から20世紀初頭にかけて生成・発展していった電力システムの姿を「技術システム・アプローチ」の観点から記述している。「技術的側面と社会的側面」、「マクロ的問題とミクロ的問題」、「システムと環境」といった線引きをあえてせず、両者を一体的に取り扱うことで、当時の情況をよりリアルに描き出す。
著者
富田 純一
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.4, no.8, pp.399-416, 2005-08-25 (Released:2018-03-12)
参考文献数
21

三井化学が1987年に上市した高屈折率メガネレンズ材料「MR-6」は、国内のプラスチックレンズの普及を促した材料である。現在は高屈折率レンズの普及が遅れていた欧米市場でも後続品が市場シェアを伸ばし、競争優位を獲得している。こうした成果の背後には、新しい材料コンセプトの創出やユーザーとの緊密な連携、連携を通じた評価技術の蓄積など製品開発の取り組みと、スイッチング・コストや特許網構築、後続品の継続的投入などによる参入障壁形成といった戦略的取り組みがあった。
著者
谷山 太郎 高橋 健太
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.109-136, 2014

広島県のデニム生地製造企業のカイハラは、米国リーバイ・ストラウス社との取引開始を契機として、デニム生地の製造や開発に関する能力を構築し、成長を遂げてきた。本稿では、カイハラの事業展開のプロセスを時系列で記述することで、海外顧客との取引を契機とする、事業成長の可能性について考察を加える。
著者
高井 紘一朗 大川 洋史 岡倉 徹
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.5, no.6, pp.401-440, 2006-06-25 (Released:2018-03-11)
参考文献数
6

アサヒビール株式会社の成功はこれまで多くの文献で取り上げられているが、それらはマーケティングやTQC、CIに注目するものが主である。本論はアサヒビール株式会社の「太鼓判システム」という品質保証システムについてケース研究を行い、品質保証という生産現場に近い観点からの成功の分析を提言する。
著者
麻生 要一
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.209-224, 2006-03-25 (Released:2018-03-11)
参考文献数
9

起業家志望の人を集めて運営されていた「ドリームゲート・スクウェア」というSNSが2005年12月に閉鎖された。内部のリンク構造をネットワーク分析すると、比較したmixiよりも濃度が低くなっていたことが分かった。「起業」という強力なキーワードを掲げつつも低濃度となってしまった理由とは一体何なのかを分析・考察する。
著者
銭 佑錫
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.13, no.6, pp.209-234, 2014

本研究では、ボッシュのアジア3 国 (日本・韓国・インド) 拠点に対するインタビュー調査に基づいて、ボッシュの海外事業展開の実態を明らかにする。ボッシュでは、本国本社主導によるグローバルな社内標準化と海外子会社の育成によって、本国本社に集中していたグローバルR&D 機能およびマザー・プラント機能の一部を海外子会社が担うようになっている。
著者
山口 威一郎 立本 博文
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0210829a, (Released:2021-10-13)
参考文献数
25

国内ビデオゲーム市場の実売データを用いて、操作変数法で3 種のネットワーク効果の作用を検証した。間接ネットワーク効果については、補完財の多様性によるものと、その競争力によるものとで、表れ方がわかれ得ると示された。直接ネットワーク効果は、全機種で安定的に作用していると確認された。機種によってネットワーク効果が異なる表れ方をするとの認識は、プラットフォーム企業の戦略にとっても判断材料を与えると考える。
著者
赤羽 淳
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.15, no.10, pp.489-508, 2016-10-01 (Released:2017-02-25)
参考文献数
30
被引用文献数
1

本稿では、日本の耐久消費財10 製品をとりあげて、製品ライフサイクルと価格競争の関係を検証した。10 製品の事例分析の結果、ライフサイクルと価格競争の関係については五つのパターンが導出された。そしてそれぞれのパターンの背景として、製品ライフサイクルに加えて、製品特性や産業構造の違いが価格競争に影響を与えている可能性が推察された。
著者
和田 剛明
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.9, no.7, pp.461-496, 2010

<p>イノベーションには、既存の技術・知識にもとづく「活用型イノベーション」と、新たな技術・知識の創出を目指す「探索型イノベーション」の二者が存在し、企業の持続的な成長のためには、この両者のバランスをとる必要がある。本研究は音楽シングルCDおよび家庭用ゲームソフト市場の二市場において、両者の測定・比較をおこない、既存研究が注目する開発組織のマネジメントだけではなく、価格戦略、広告・宣伝戦略、流通企業との協調といった販売戦略も重要であることを指摘する。</p>
著者
田路 則子
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.261-282, 2013

<p>DVD向け基本技術を開発した米国のスタートアップは2001年にアップルに売却され、今日のMacBookの「iDVD」の中に生きている。Facebookへの画像アップロードに便利なビデオカメラ「Flip Video」を開発したスタートアップはシスコに2009年に売却され、多くのユーザーに愛用された。ふたつのスタートアップの創業に関わった日本人起業家の起業家活動を紹介しよう。</p>
著者
李 兆華 傅 学保 折橋 伸哉 藤本 隆宏
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.171-208, 2006-03-25 (Released:2018-03-11)

台湾の自動車産業は、完成車の対中国輸出などが制限される、国内市場が小さい、国内での競争が厳しくシェア変動が大きい、1社当たりの生産量が少ないなど、厳しい制約条件の中での操業を強いられてきた。ところが、その台湾の生産拠点で、非常に高度なものづくり能力の構築が観察されている。例えばトヨタ系の国瑞汽車は、数あるトヨタの海外生産拠点の中においても、トヨタ方式(TPS)が最もよく浸透し、ものづくり能力や改善能力のみならず、進化能力(能力構築能力)が高いことで知られている。しかしながら、台湾拠点の売上高は欧米など海外の主要生産拠点に比べれば小さく、その意味ではトヨタ全体にとって戦略的に最重要な海外拠点とは言い難い。とすれば、同社のグローバル戦略の中では比較的目立たない存在であったこの台湾企業が、創業から20年で、ここまでの能力構築を行うことができた理由と経緯は何か。日本からのトヨタシステムの導入のみならず、同社の進化能力を示唆する国瑞汽車オリジナルの工夫について紹介し、今後の課題についても言及する。
著者
魏 晶玄 野島 美保
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.47-62, 2004

<p>既存市場の有無が新製品市場に与える影響(経路依存性)を実証的に明らかにするために、新市場の初期ユーザー属性分析を行う。新市場としてオンラインゲーム産業をとりあげ、同一ゲームに対する日韓のユーザー調査を行い、ユーザー属性の国際比較を行う。既存のビデオゲーム市場が存在した日本と既存市場のない韓国等において、オンラインゲームの普及度合いに国際的な差異が生じているからである既存ビデオゲーム市場の存在が、日韓のユーザー属性の違いとして表れていることが、ユーザー調査によって明らかにされる。日本のビデオゲーム・ユーザーは同質的な集まりではなく、新しいオンラインゲームに対して異なる志向をもつ複数のユーザー群の集まりであることが示され、複数の異質的な初期ユーザー群を仮定したイノベーション研究の必要性を提唱する。</p>
著者
藤本 隆宏 前川 諒樹 岩尾 俊兵
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.5-40, 2019-02-25 (Released:2019-02-25)
参考文献数
36
被引用文献数
1

本稿は、産業競争力の概念を明らかにした上で、生存時間解析のシミュレーションによって、産業競争力の類型と発現過程に関する洞察を得ることを目的とする。ここで競争力とは「選ばれる力」と定義され、「収益力」「表の競争力」「裏の競争力」という多層的な競争力の構造が示される。次に、広義のものづくり論にもとづき、「産業」を同類の設計の製品の集合体、あるいはそれを生産する現場の集合体と規定する。以上の概念規定をおこなった上で、国内・国際競争の軸と競争強度の軸による四つの競争状況についての予想を示し、シミュレーション・モデルによって四つの状況における一定期間競争後の予想生産性分布が再現できることを確認した。さらに、競争強度と現場生存率との間に累積指数分布に近い関係が観察された。また、国際競争における2国の賃金率と現場生存率との関係を調べ、リカード的コスト競争において平均すれば比較劣位な国の現場も「緩やかな競争」では生存可能性が高まるという「越境」現象を確認した。
著者
岩尾 俊兵 菊地 宏樹
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.99-108, 2016-02-25 (Released:2017-02-25)
参考文献数
17

ダイナミック・ケイパビリティについて、多数の論者から多様な定義が行われてきた。しかし、「劇的な環境変化に対応する能力」というTeece流の代表的なDC定義下では、DCと業務能力を客観的に分離し研究するのが困難であるという指摘が、近年HelfatとWinterによってなされている。Helfat and Winter (2011) による上記の指摘とそれを乗り越えるための処方箋は、DCを単純に企業成長の源泉として捉え直すというものだと考えてよい。彼女らの論点は、その意味で、エディス・T・ペンローズの『企業成長の理論』の観点との類似点を見出しうる。
著者
安藤 史江 上野 正樹
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.429-456, 2013-06-25 (Released:2016-07-25)
参考文献数
40
被引用文献数
3

修正したCrossan, Lane, and White (1999) の4I フレームワークに基づき、活用と探索をともに実現する両利きの経営に関する事例分析を行ったところ、活用成果を得るためには組織資源の十分な投入がなされる一方、探索については外部資源の積極的な活用を促す限定的な資源配分に留まる傾向が見出せた。質問票調査の結果もこれを支持した。
著者
高橋 伸夫
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.245-270, 2011-04-25 (Released:2017-10-10)
参考文献数
30
被引用文献数
2

『赤門マネジメント・レビュー』創刊10周年記念「トップダウンロード賞」(有料論文部門)をいただいた拙稿「英文論文のススメ」にまつわる下積み時代のエピソードから始まる連載の第1回。ウェーバーの「鉄の檻」が実はパーソンズの誤英訳で、本当は「殻」の意味だったことを知り、そのイメージが自分の下積み時代の記憶と重なって想像力をかきたてられ、「殻」概念を企業経営の視角として敷衍してみようと企図するまでを描く。