著者
棚橋 康人
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.73, no.6, pp.475-476,a1, 2005-06-01 (Released:2011-08-11)

木曽川沿いの中濃可茂地域は, 自然環境の豊かな地域である。岐阜県はこの地域のメインテーマを 「環境」 としており, 可児市の 「世界一のバラ園」 では,「愛・地球博」 と連携して 「花フェスタ2005ぎふ」 を開催する。本報では, 可茂農山村整備事務所の環境保全事業から,「農村環境パビリオン事業・送木地区」 でのビオトープの創造と,「棚田地域水と土保全基金事業・北山集落地区」 での花植えによる棚田保全活動の2事例を紹介する。いずれも, 住民の結束力=「地域力」 を高揚し, 地域への貢献を具現化しつつある。NN事業の目指す一つの方向として, 自然や環境のために行動できる人を育成し,「地域力」 として高める取組みが必要であろう。
著者
藤井 秀人 堀川 直紀 中 達雄
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.163-169,a1, 1998-02-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
9

水田農業が地域水環境に与える影響について実態を把握するため, 米国の調査を行った。カリフォルニア州の代表的な用水事業であるCVP, SWP, グレン・コルサ水管理区等での聞取り調査をもとに, 同州の厳しい水事情と水環境を保全するためのさまざまな水田農業に対する規制の実態について紹介する。具体的には, 水田を冬季の間湛水させ, 生態系, 特に渡り鳥の生息地として利用させる試みとその急速な普及, 農薬散布後は圃場水を28日問田面に保留する規制, CVP改革法により, CVPの水の一部が環境用水へ振り向けられること, CVPの利水権者は水を転売することが可能になったこと等について報告する。
著者
相川 文明
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.243-246,a1, 1978

軟弱地盤上に設置する機場基礎工事の盛土中に円弧スベリ現象が生じ, ヘドロ状態のシルトおよびその下層に地盤の乱れが起きて, 粘着力ではほば半分に低下したため, 生石灰グイにより地盤改良を行った。この工法の特徴は化学的脱水, 膨張圧密の効果により, 粘着力の増加が数値的に確かめられることであり, 本工事ではこの作用によりヒービングの防止に努めた。
著者
増野 途斗 中村 好男
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.121-124,a2, 2005

花宗川における春水通水慣行は非灌漑期の春先において, 矢部川から分水する花宗川を瀬替して通水し, クリークに用水を貯水する慣行である。この通水期間は「四月上旬から八十八夜までの一ヵ月間」において実施されていたが, 現在では約20日間遅れで継続されている。このような慣行に関し, 旧通水期間と瀬替部分の横断水路敷設を視点に, 慣行の成立過程を検討した。その結果, 旧藩時代の初期に田中吉政氏の農業振興対策の一つである麦栽培の導入・奨励が契機となって, 瀬替水路は開削され春水通水慣行が成立したことを明らかにした。
著者
岩本 彰
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.225-229,a2, 1994

学生会員の中には新社会人としての出発を控た方や, 来年度の就職に対する活動を開始された方もおられると思う。最近, 幾つかの大学の就職説明会に, 企業側の立場で参加させていただく機会があり, 学生のコンサルタント業務に対する興味の高さを実感した。とくに, 1989年に日本が世界一の政府開発援助供与国となり, 開発途上国に対する援助が身近となったこともあって, 海外の農業・農村開発に対する数多くの質問が寄せられた。<BR>このような状況に鑑み, 本報文は, コンサルタント業務の概要と海外における農業・農村開発プロジェクトの実状について述べるとともに, コンサルタントの将来の課題について考察を加えたものである。
著者
浦 良一 木村 儀一
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.299-304,a1, 1976-05-01 (Released:2011-08-11)
被引用文献数
1

日本建築学会では八郎潟干拓地計画に関する特別委員会をつくって, 干拓地の全体計画, 中心地計画, 住宅計画, その他地域施設計画に関する研究を行ってきた.その成果は八郎潟干拓企画委員会建設部会を通じて八郎潟干拓地の建設に反映されていった。本稿ではその過程で検討された諸点について述べ, そこでの検討結果がその後の農村計画, 地方都市圏計画にいかに影響していったかについてもふれている。
著者
柚山 義人 日下部 正徳 阿部 邦夫 中澤 幸介
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.7-10,a2, 2006

千葉県香取郡山田町では, バイオマス利活用推進の気運が高まりつつある。本報では, 自治体の戦略, 地元に密接した農事組合法人和郷園や農業工学研究所の視点や関わり方を紹介した。町は, 農林水産省のプロジェクト研究「農林水産バイオリサイクル」におけるバイオマス多段階利用実証研究の舞台となった。町は, 実証研究の企画段階から参画し, バイオマス利用推進協議会を立ち上げ, バイオマス利活用計画策定に役立てようとしている。こうした山田町における取組みは, 農業をより魅力的なものにし, 地域資源を保全し, 環境を守り, 新たな人の交流をもたらそうとしている。縁ができた研究機関やマスコミは, 応援団になりたいと考えている。
著者
向井 章恵 村本 明子 渡辺 紹裕 荻野 芳彦
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.69, no.9, pp.957-961,a2, 2001-09-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
15

生態系の保全を考慮した水田圃場における水管理・水利用が求められている。本報では, 水田生態系における高次の捕食者である鳥類を取上げ, その水田利用の概況を整理した上で, 湛水を中心とする圃場の条件とその生息条件に関する国内外の事例を整理して, 鳥類の生息と水田の利用管理や整備の課題を考察した。とくに, 収穫後の湛水によって冬の渡り鳥に生息場を提供することを取上げ, カリフォルニアと宮城県蕪栗沼など国内外の「冬季水田湛水プロジェクト」と, また, 湖北地区におけるコハクチョウ飛来水田の条件調査の成果概要を紹介した。

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著者
山田 登
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.76, 1983-01-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
2
著者
菊池 由則 皆川 猛 宮森 俊光 田中 秀明 田中 龍太 高居 和弘 野中 公文
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.928-942,a1, 1999-09-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
4

昭和24年の土地改良法制定以降の土地改良事業制度について, 時代の要請を踏まえ, また農政の展開方向に即してその内容を充実・発展させてきたことの概要を述べる。ついで, かんがい排水事業, ほ場整備事業, 農道整備事業, 農地防災事業, 農地開発事業のそれぞれにっいて, 制度創設の背景, 展開にっいて述べる。
著者
成岡 市
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.841-847,a1, 1987-09-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
17

軟X線を用いた土壌孔隙形状の映橡化手法を発展させたもので, X線ステレオ撮影法により不攪乱土壌の内部に実在する管状孔隙の立体的位置, 屈曲状況 (屈曲角, 屈曲度), 直径を計測する方法を述べる。とくに本法では, 60k Vp前後の軟X線の使用, 油性造影剤の開発と注入法および孔隙の立体座標の算出法が新しい。また, パーソナルコンピュータを用いた映像の画像解析による水田, 転換畑, 南関東ロームの孔隙形状の計測とそれらの第三角法表示の事例を紹介し, 多くの問題の解決に対して本法の有効性が発揮される可能性があることを述べる。
著者
多田 敦
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.311-316,a1, 2000-04-01 (Released:2011-08-11)

筑波大学は, 東京教育大学を母体としながら, 全く新しい大学として昭和48年10月に設立された。研究組織と教育組織が分離される点や大学院を含む教育組織のあり方など, 他の大学の学部制度とは異なるユニークなものである。大学院は, 5年一貫制の、「博士課程研究科」と2年制の 「修士課程研究科」 が並列されている。また農業土木関連分野が所属する博士課程農学研究科は, つくば市周辺の研究機関と連携した連携大学院方式, 昼夜開講制で最短3年で修了できる研究者リフレッシュ教育制度をもち, これも特色ある制度である。