著者
緒方 英彦
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.193-196,a1, 2003-03-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
2

農村には, 農業に関わる歴史的事件などを発端とする祭りが数多くある。この祭りは, 地域住民が祭りの発端となった歴史的事件を通して, 地域の風土に関心を抱き, 地域の歴史を振り返るための機能を有している。農村の祭りがその機能を十分に発揮し, かつ伝統行事として継続されるためには, 当事者である地域住民の祭りに対する意向を調査しておく必要があるるそこで, 歴史的農業水利事業を発端とする祭りの一つである鳥取県八頭郡郡家町郡家地区の安藤祭りの現状を調査し, あわせて参加者意識を調査することで, 農村の祭りが有する機能が十分に発揮されるための要因を検討した。
著者
長田 実也
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.331-335,a1, 1993-04-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
10
被引用文献数
6

全国の畑地帯において地下水の硝酸性窒素濃度の上昇が指摘され, 生活用水源への懸念が社会問題化している。宮古島では, 水道水源である湧水の硝酸性窒素濃度が1970年代から1980年代後半にかけて上昇し, その後低下している。この濃度変化は農地への施肥総量を反映したものであると考えられる。この施肥量は時の農業情勢を映して増減しているようである。地下水の水質保全は, 汚濁源対策に尽きるが, 住民の理解と協力が不可欠であり, 地域社会の将来構想も踏まえた上で検討されるべきものである。とくに施肥の制御については, 必要な農業生産を維持しながら水質に過剰な負荷を与えないような, 均衡点を見いだす必要がある。
著者
清野 修 難波 俊章 大森 康弘 栗木 実
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.1307-1313_1,a1, 1999-12-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
11

岡山海岸保全事業では, 児島湾締切堤防にある2カ所の旧樋門部の閉塞盛立工事を行った。旧樋門は, 厚さ15-20mに達する軟弱な海成粘土層の上に築造されており, 高圧電力ケーブル, 管理橋などといった許容変位量の小さい重要施設が添架されていた。こうしたことから本工事では, 旧樋門と堤体の変位計測を行い, その情報を工事に反映する情報化施工を行った。旧樋門の変位計測結果は, 水平変位が約9mm, 沈下が約26mmで管理基準値以内であった。また, 堤体についても, すべり破壊するような変位過程の兆候も見られず, 安定を保持した状態で工事を終えた。本稿は, 重要施設に近接して軟弱地盤上で盛土した, 旧樋門閉塞盛立工事の情報化施工について報告するものである。
著者
井上 敬資 増川 晋 中里 裕臣 中西 憲雄
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.73, no.8, pp.691-694,a2, 2005

2003年には宮城県沖, 宮城県北部, 十勝沖地震が発生し, 2004年には紀伊半島南東沖, 根室半島南東沖, 釧路沖, 新潟県中越地震が発生した。さらに2005年には福岡県西方沖地震が発生し, マグニチュード6以上を記録する大規模地震が頻発している。このような大規模地震では, 被災が広範囲に広がり, 農地や農業用施設など多くの箇所で災害が発生する。大規模地震が発生した場合に被災する可能性のある範囲や施設を推定することは, 被災の有無の点検や復旧計画等に有効な情報となる。本報では大規模地震発生時に被災する可能性のある範囲や施設を推定するシステムについて紹介する。
著者
村山 忠一
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.119-125,a1, 1986-02-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
1

改良山成工の土量計算方法の一つ, メッシュ法は, 測定メッシュを大きくするに従って計算土量が小さくなる傾向がある。今日これは誤差の問題とされているが, 実はメッシュの四隅のデータの平均計算で, プラスデータとマイナスデータが相殺しあうことに原因する量の見落しがある。現場でいう (メッシュ内土量) がこれであって, この解明をしながら, メッシュ法におけるデータ処理の基本問題を考察する。
著者
牛野 正
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.279-284,a2, 1995

神戸市北区長尾地区では, 行政主導による住民主体の地区総合計画 (土地利用計画) づくりを行い, ニュータウン開発に伴う幹線道路の整備や河川改修等と調整をしながら, 県営ほ場整備事業を実施し, 優良農用地の保全や, 農村環境の整備を行っている。<BR>この過程で, 土地利用秩序の形成とも関わる非農用地換地を13.9haと多数実施しており, このことで有名な所である。さらに, 旧村規模で土地利用秩序の形成を図りながらほ場整備事業を実施できるように工夫されてきた神出方式をほぼ完全に適用して, 大きな成果も挙げており, 神出方式の有効性を検証した事例としても特色がある。
著者
中澤 和彦
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.1187-1192,a1, 1997

戸ノロ用水は阿賀野川水系日橋川 (猪苗代湖), 湯川および澗川を水源とし会津若松市周辺の水田2,000ha余りを潅漑している。<BR>元和9年 (1623年) 八田内蔵之助が会津藩主蒲生忠公に願い出て, 開削工事に取りかかってから14年の歳月をかけ八田野村までの4kmの水路を築造したことが本用水の始まりである。<BR>藩政時代から地域との結びつきが強く, 市内全域を網の目のように走る用水路は, 農業用水のみならず, 生活用水, 工業用水, 軍事用水, 環境用水等いろいろな機能を兼ね備えていた。その機能は, 現在に至るまで連綿と受継がれている。<BR>報告文の中では, 戸ノロ用水歴史的経緯と現状における問題点を中心に報告するものである
著者
橋本 俊哉
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.101-104,a1, 2002

農業関連施設におけるゴミ問題において, どのような対策が有効と考えられるか, その考え方を示した。その出発点は「ゴミが捨てられているのは, そこにゴミを捨てた人がいるからである」という視点である。それによって地域住民や観光目的の利用者に禁止や強制を強いる性格の対策ではない, 人びとの自発性に基づいたゴミ対策を講じることが可能となろう。<BR>そこでまず, 人びとのゴミ捨て行動の規則性とゴミを捨てる際の心理について述べ, ゴミを投棄させないためには, また回収容器にきちんと捨てさせるためにはどうすればよいか, 6つの誘導原則に整理して述べた。

1 0 0 0 OA 白根郷の歩み

著者
金内 與一郎
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.50, no.7, pp.581-583,a1, 1982-07-01 (Released:2011-08-11)

白根郷は新潟平野南部, 信濃川・中之口川に囲まれた輪中地帯で総面積559haに及ぶ。本文では, 約400年前からの開拓, 治水開発から, 明治時代の排水改良, 大正に入り大河津分水後の用排水改良, 昭和では戦後の農地改良, 戦後の地盤沈下対策事業などの農地改良の変遷を示した。とくに文末では昭和50年以降の用排水改良経過に及び, 昭和56年3月に白根郷が全国初の農林水産大臣賞の栄を得た経過を示した。
著者
鷲尾 貞一
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.50, no.7, pp.577-580,a1, 1982-07-01 (Released:2011-08-11)

西蒲原平野は, 信濃川が魚沼台地末端の標高40mから33kmで12m地点へ流下する水衝部を頂点とするので, 洪水ごとに破堤災害を繰返した。その水衝部から海岸山地を切り開き, 日本海へ過水を切落すことは, 蒲原平野全体, なかんずく西蒲原平野の長い間の願望であった。1922年この完成通水をみてから60年, この信濃川改修を軸に用水河川に変革されてゆく西蒲原諸川の変化と, 低平かつ微高差の多いこの地域の水利構成の過程を報告する。
著者
篠 和夫 中崎 昭人
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.107-111,a1, 1988

1986年12月18日, 高知県沿岸に竜巻が発生。上陸し, 施設園芸ハウスなどに総額1億円近くの被害をもたらした。被害の実態調査を行い, 過去の同様の風害調査をも参考にして施設園芸ハウスの耐風性に関する問題点について述べた。今回の園芸ハウスの被害は3O棟 (約1.5ha) で, 内, 全壊が12棟であり, その内11棟は鉄・木併用切妻型ハウスであった。破壊形態は柱以外の部材が飛散することに特徴があるが, 基礎の折損あるいは抜け上がりも見られた。鉄骨パイプハウス1棟は圧壊されていた。<BR>また, 1948年以降に高知県地方で捕捉されている29個の竜巻発生地点および最近の竜巻発生時の気象的特徴についても若干述べた。
著者
河野 英一
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.717-722,a2, 2001

日本大学・生物資源科学部・生物環境工学科では, 平成12年12月に認定希望分野を「農業工学関連分野・農業土木プログラム (土, 水, 基盤および土, 水, 環境)」として, JABEE認定審査の試行が実施された。<BR>本報では, この試行審査をめぐる日本大学の対応の概要を述べる。主な内容としては, 試行審査を何故希望したか, 試行実地審査がどのように経過し, どのような内容であったか, 試行自己点検書の作成では何に留意すればよいか, どのような試行審査結果を得て, それに日大側がどのように対応したか, などである。
著者
河崎 和明 菊池 一雄 和田 充和
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.71, no.7, pp.647-650,a3, 2003

第3回世界水フォーラムにおいて, 水田の多面的機能やかんがい農業の多様性・地域性等について, 一般市民に対してもできる限りわかりやすく, 楽しく理解してもらうことを目的として, 農業農村整備事業関係11団体で組織する「水と食と農フェア実行委員会」の主催により, 3月21-23日にかけて, 京都市左京区岡崎「みやこめっせ」においてフェア (展示) を実施した。<BR>3日間で約3万人の見学者があり, 大盛況のうちに一般市民に対し, 水田の多面的機能等について効果的なPRを行った。
著者
大槻 恭一 岡田 周平 神近 牧男 玉井 重信
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.1315-1320_1,a1, 1999-12-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
7

鳥取県の一大観光資源である鳥取砂丘は, 戦後まで人間を寄せ付けない不毛地であった.戦後, 鳥取砂丘の約半分は鳥取大学に移管され, 現在は乾燥地研究センターとして研究・教育の場として活用されている。残り半分は鳥取市に払い下げられ, 当初は全面砂防林となる予定であった。しかし, 観光業者, 文化財関係者等の圧力で, 鳥取砂丘の一部は天然記念物として保護されることになった。ところが, 近年, 周辺の砂防林が微気象に変化を与え, 砂丘の草地化が進行し始めた。このような状況に対して, 現在では人為的に砂丘の除草が行われている。本報では, わずか50年程度で大きく変貌を遂げた鳥取砂丘の開発と保全の関わりにっいて検討した。

1 0 0 0 OA 畜産土木

出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.437, 1982-05-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
5
著者
小林 裕志
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.439-441,a1, 2000-05-01 (Released:2011-08-11)

農業工学系分野のグローバル化に呼応し, 全国の大学で再編整備がすすんでいる。「生命科学の府」を標榜する北里大学において農業工学系分野の教育研究組織の設置はどのような意義があるのか。この命題をグローバル化の潮流とあわせながら検討して1999年に発足した「生物生産環境学科」の建学方針などについて論述する