著者
小林 浩幸 國弘 実 松島 誠一 篠田 鎮嗣
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.67, no.8, pp.867-873,a2, 1999-08-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
14

農業集落排水処理水の水田灌漑水への一時的な直接再利用の適否を検証するため,施設に隣接する水田に処理水を灌漑漑,水稲の生育,収量と水質について調査を行った。処理水の灌漑期間は水稲の幼穂形成期から収穫10日前までの約2カ月である。花水にあたる時期10日間については処理水をT-N20~30,T-P2.5~3.5,BOD10~25mg/lに調整した水を灌漑した。生育は概ね正常であり,収量は通常の用水を用いた場合よりも多かった。水田からの地表排出水は,多くの水質項目で改善が認められた。調査結果から,集排処理水の水田灌漑水への一時的な直接再利用は可能であり,併せて若干の水質浄化が期待できると考えられた。
著者
大串 和紀 中野 芳輔
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.137-140,a2, 2006-02-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
16

白石平野のクリークは, かつて農業用水のみならず生活用水源としても利用され, 地域の生活全般に密接に関係する存在であったため, クリークは住民の手によって清浄に保たれていた。しかし, 1960年代以降の水田およびクリークの整備と営農形態の変化に加えて, 生活水準の向上等によりクリークと住民との関わりが希薄になったこと等により, クリークの維持管理が疎かになるとともにその水質が悪化している。本報では, クリークの生い立ちおよび1960年代の農業や維持管理の状況をレビューし, さらにその後のクリークを取り巻く環境の変化を明らかにして, 今日の水質悪化を招いた要因を考察した。
著者
伊藤 光
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.929-934,a1, 1979-12-01 (Released:2011-08-11)

昭和53年に北部九州, その中でも福岡市の上水と筑後川沿岸の農水は, 異常渇水により大きな水不足を経験した。その対策の渇水調整としてダムからの緊急放流が行われた。この一連の経過を紹介し, その反省と今後の課題について述べるとともに, 水問題の一側面について若干の考察を加えた。水不足の記録をとりまとめ, 今後の水問題研究に役立てることを目的としている。
著者
花田 康弘
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.37-45,a1, 1991-01-01 (Released:2011-08-11)

農道の一部を利用した, 小型航空機の場外離着陸場の建設整備を行う北海道内4地区の補助事業の事例について, 実施1地区, 全計3地区の概要を, デモ・フライト状況などを交え, 説明する。
著者
木村 眞人
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.553-557,a1, 1991-05-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
5

土壌は固相, 液相, 気相よりなり, 固相は岩石, 一次鉱物, 粘土, 植物遺体, 腐植等より構成されている。これらの成分がさらに団粒を形成し, 微生物環境として土壌は極めて多様な世界をもたらす。ここでは土壌の環境を微生物の生育の場としてとらえ, その特徴を考察する。すなわち, 固相を構成する土壌成分, 団粒と微生物の分布の関係, さらには土壌空気や土壌pHとそこに生育する微生物の関係を述べる。
著者
早瀬 吉雄
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.943-948,a1, 1994-10-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
10

水田域は, 自然の水循環を通じて洪水調節などの国土保全機能を果たしている。ここでは, 水田域の洪水防止機能の評価は, 耕作放棄など農業によって, 治水計画上の保留量が変化して計画洪水流量に及ぼす影響の検討と考え, 分布型流出モデルを用いて棚田域や中山間地水田域で耕作放棄した場合の試算を行い, 洪水防止・軽減機能の評価を検討した。機械排水している低平地水田域では,“自然に溜まる” 氾濫湛水量で評価され, ダムの洪水調節容量に相当する流域のある例を示した。さらに, 中山間地・農村域での洪水防止機能向上事業を土地改良事業と連携して推進することによって流域の水害発生の危険度の低下が図れることを提案した。
著者
山崎 不二夫 風間 輝雄
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.85-90,a1, 1979-02-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
3

多目的ダムの異常出水時のダム操作については, 降雨予測の面から多少研究されているが, まだ実用段階にほど遠く, 現実にはダム操作規則にただし書をつけ, ダム管理者に一任している。この安易な対応がしばしばダム災害の原因になっているので, 筆者は出水時に貯水位の測定値に基づいて適応操作を行う方法を案出した。これによれば水位の測定からゲート開閉までを自動化することも容易で, ダム管理者の主観的判断を排除しうる。
著者
矢野 武彦
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.188-191,a2, 1978-03-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
3

有明海は, 干拓の造成に適しているため昔から多くの干拓事業が実施されてきている。この報文では, 有明海の特性および干拓の実施状況, 国営有明干拓建設事業, ならびに有明海における海岸保全事業の実施状況, 昨年7月1日新規に発足した国営有明海岸保全事業について, それらの概要を記したものである。
著者
志村 博康
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.25-29,a1, 1982-01-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
7
被引用文献数
11

水田・畑・森林等がどの程度の貯水容量をもっているかを, 概算ではあるが, 国土的スケールで求め, 既設ダムの洪水調節容量と比較した. 次いで国土保全上どれだけの貯水容量が必要であるかを概算し, その必要貯水容量を水田・畑・森林・ダム等で, 将来, どのように分担する必要があるかを明らかにした. 得られた分担割合には, 森林68%, ダム17%, 農地 (水田と畑) 15%で, 農地の貯水機能が無視できないことが明らかになった.
著者
池森 龍一
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.523-524,a3, 2006

現在コンクリートは, さまざまな工事で多種多様に使用されている。そのコンクリートを使用・施工する上で必ず直面するものが「ひび割れ」である。<BR>本報では, 県営広域農道整備事業大村東彼杵地区で施工したモジュラーチエ (コンクリート構造物) のアウトフーチング (マスコンクリート) に発生した「温度ひび割れ」について, 発生状況から調査・原因を究明し, その対策について紹介する。
著者
月岡 存 米本 剛理
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.127-130,a2, 2006

低処理再生骨材を用いてコンクリートの配合や厚さの異なる植生型ポーラスコンクリート (連続空隙率21-25%程度) を作製し, 2年間余に渡り, 2種類の芝草の屋外生育試験を実施した。<BR>植生ブロック上に播種した西洋芝は, すべての植生基盤 (厚さ5-15cm) を貫通し, 自然状態で継続して生育した。植生に当たっては, 芝草が発芽し, 根が植生基盤下の自然土壌に達するまでの問, 水やり等の初期の養生管理が重要である。また, 傾斜地における植生においても, 平地の場合に比べ多少生長は劣るが, 継続した生育が確認された。<BR>ポーラスコンクリートを用いた植生基盤では, 高麗芝など根の浅い植物は生育に適さないため, 植物の選択が重要である。
著者
神尾 彪 小林 孝生
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.72, no.9, pp.799-802,a2, 2004

水稲田1耕区 (無暗渠水田, 30a) 内において, 用水路側, 中央部および排水路側の3地点でメタンフラックスの測定を行った。その結果, 次のことが明らかになった。<BR>(1) メタンの発生量は場所によって異なり, 用水路側でのメタンの発生量は排水路側でのそれの約1.8倍であった。<BR>(2) 同一水田の同一場所におけるメタンの発生量は毎年異なり, 3力年間で約1.8倍の相違があった。<BR>(3) 梅雨寒時のメタンフラックスは地温の低下によって若干減少した。<BR>(4) 中干し後にメタンフラックスが激減する要因として, 中干し後の土壌中メタン濃度の著しい減少が考えられた。<BR>(5) 田植え前と落水後の水田からのメタンの発生量は微少であった。