著者
早川 宗志
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.58-61, 2017 (Released:2017-07-25)
参考文献数
19
被引用文献数
1
著者
山口 裕文 久保 輝幸 池内 早紀子 魯 元学
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.127-139, 2019 (Released:2020-01-28)
参考文献数
117

シロザとアカザを含む“あかざ”Chenopodium albumに関する中国における文化認識の変遷を把握する目的で清代以前の64の漢籍にみられる“あかざ”の漢名と生態的・形態的特徴および利用の記述を調査した。“あかざ”は,雑草(非有害)や食用(蔬または羮,穀物),杖,灰の素材として認識され,三国時代までに萊,藜,藋,釐,拝,蔏および茟などの文字で表され,唐宋代には灰條,灰藋,白藋,青藜,金鎖夭,紅灰藋,鶴頂草など2,3文字でも表記されるようになり,明代には紅心の藜(および丹藜,藜菜,臙脂菜,舜芒穀,観音粟など)と葉に白粉をつける灰藋(および灰條,灰条,灰菜,灰條莧など)との2群で認識され,清代には地膚や絡帚,薇,苜蓿などとの混同が修正され,藜または灰藋に集約されていた。調査した漢籍のうち80%の文献に用途が示され,用途の記された文献のうち蔬(菜または羮)に関する文献は71%あり,杖(藜杖)に関する文献は59%あった。
著者
高林 実 中山 兼徳
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.32-36, 1978-06-25 (Released:2009-12-17)
参考文献数
10
被引用文献数
2

当場畑作部, 当年産の10種の雑草種子を土壌とともに円筒につめて圃場の20cm深に埋蔵し, 4年半にわたり円筒を掘り出して, 種子の出芽率を調べた。また, メヒシバのみについて, 当年産種子を圃場の5, 20cm深に埋蔵し, 以後, 春と秋に埋蔵の深さを変える処理も加え, 2年半にわたり円筒を掘り出して, 種子の発芽率を調べた。(1) 土中埋蔵4年半後でもなお8割以上出芽し, 相対的に生存年限の長い草種はカヤツリグサ, ツユクサ, シロザであった。エノキグサは4年半後で半年後の出芽数の半数近くの出芽数を示した。(2) オオイヌタデ, スベリヒユ, イヌビユは2年半後までは10%以上の出芽率を示したが, 4年半後では大部分が出芽力を失った。(3) メヒシバ, ヒメイヌビエ, クワクサは2年半後で出芽率が10%以下となり, 生存年限は他の7草種に比べ短かった。
著者
高橋 健二 坂井 義春
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.10-15, 1982-05-26 (Released:2009-12-17)
参考文献数
6
被引用文献数
1

ミカン園の雑草対策として除草剤を散布した場合, 園内に生息しているミミズが死滅する現象がしばしば発生し, 各地で問題になっているので, その原因を究明するとともに改善策について検討した。1) 数種の除草剤をミミズ (セグロミミズ) に直接散布した場合, パラコートでは害作用は全く認められなかったが, DCPA・NAC剤は散布後短時間でミミズを死亡させ, グリホサート, ブロマシルとターバシル・DCMU剤も同様な作用がみられた。土壌中のミミズに対して地表面から除草剤を散布すると, DCPA・NAC剤は約半数のミミズを死亡させたが, 他の除草剤ではミミズに対する害作用は全く認められなかった。2) 除草剤を散布する時に希釈水に加用する展着剤をミミズに直接散布すると, SWK, ASP-30, Yでは殺ミミズ作用は顕著に現われ, 散布後短時間のうちにミミズは死亡した。土壌中のミミズに地表面からこれらの展着剤を散布した場合には, 殺ミミズ作用は認められなかったが, ミミズが地表面に這い出す現象がみられ, その程度は展着剤の主成分の濃度に比例することが判明した。地表面に這い出したミミズは約半日ぐらいで地中に潜り, 正常な活動に戻るのが認められた。3) 以上のような諸結果から, 除草剤の散布園とその周辺で大量のミミズが斃死するといった現象は, 除草剤に加用する展着剤の刺激を受けたミミズが地表面に這い出し, 逃避の過程で日陰の少ない排水路などに集積して, 陽光下で表皮の過乾燥と脱水症状を起こして死亡することに原因があると推測される。なお, 展着剤のミミズに与える刺激は雨天時で小さく, 晴天時に大きく, とくに土壌が湿潤状態にある場合に顕著であった。4) AT-BIはミミズに対する害作用が全くみられなかった。この展着剤を除草剤に加用した場合の殺草効果は他の展着剤と同等であったので, 今後は除草剤にはこのような特性をもつ展着剤の加用が望ましいと考える。
著者
山口 裕文 平井 佐津紀
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.38-45, 1987-05-26 (Released:2009-12-17)
参考文献数
18

雑草には種群の分類が難しいものが多い。自然雑種や変異の解析は種群の認識の手助けになる。ニワゼキショウ (Sisyrinchium rosulatum BICKN.) にはオオニワゼキショウ (本文では L-race と示す) と呼ばれる類似品があり, 分類学的な検討が望まれている。この二群が混生する大阪府立大学構内に自然雑種と思われる中間型が見られ, 花色の変異が大きい (Fig. 1)。中間型が自然雑種であることを証明する目的で人為交配を行ない, 両親と人為雑種および中間型の形態と花粉稔性および染色体を観察した。また, ニワゼキショウの花色の変異の遺伝を調べた。ニワゼキショウ, オオニワゼキショウおよび中間型の差は多くの形質で量的であったが, 中間型は花色と果実が実らない点で区別された (Table 1)。交配は比較的容易で (Table 2), ニワゼキショウの赤紫花, 白花およびオオニワゼキショウの間で健全な人為雑種が得られた。人為雑種の植物体の特徴はニワゼキショウとオオニワゼキショウの中間的であった (Figs. 2, 3)。また, 人為雑種は体細胞で両親と同じ32本の染色体を持つが (Plate 1), その花粉稔性は3~30% (Table 3)で, 花粉母細胞では多極分裂が見られた。中間型は3~28A%の花粉稔性を示し, 花粉母細胞では人為雑種と同様の多極分裂が見られた。ニワゼキショウの花色変異体間の交配のF1は総て白花となり, F2や戻し交配の分離の結果から (Table 4), 白花は赤紫花に対して一遺伝子優性と推定された。形態の類似性と同じ染色体数を持つことおよび雑種が低い稔性を示す事から, オオニワゼキショウはニワゼキショウに近縁の別の分類群に所属すると考えられた。また, 中間型はニワゼキショウとオオニワゼキショウ間の自然雑種と推定された。原産地の合衆国南部のニワゼキショウは花色の変異が大きく近縁種との自然交雑も見られている。この大きい花色の変異は花色の多型現象と自然交雑によって引き起こされているらしい。
著者
一前 宣正 西尾 孝佳 劉 国彬 李 代瓊 黄 瑾
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.97-103, 2001-06-29 (Released:2009-12-17)
参考文献数
7
被引用文献数
4 4

中国黄土高原の丘陵地では耕作と過放牧により植生が減少し, 裸地が拡大する傾向にある。筆者らは丘陵斜面に耕作放棄区と禁牧区を設けて植生および土砂と水の流出量を調査した。また裸地化した斜面の植生回復を目的として多年生イネ科雑草を導入し, その中から有用草種を選抜した。その結果, 耕作放棄と禁牧を25年間続けると, 植被率は増加し, 土壌と水の流出量は低下した。また優占種は1年生草本から多年生草本に変化した。さらに数種のイネ科植物種子を斜面に播くと, 土壌と水の流出量は著しく低下した。一方, 159種の多年生イネ科雑草を導入した結果, Panicum virgatum L. や Bromus inermis Leyss. などの20種は5年以上にわたって生育することが判明した。
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.SupplI, pp.44-53, 1994 (Released:2010-02-25)

2 0 0 0 OA 除草剤解説

出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.209-214, 2005-09-26 (Released:2009-12-17)
著者
早川 宗志 藤井 俊夫
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.61-63, 2022 (Released:2022-07-26)
参考文献数
18

一年生水田雑草のアメリカキカシグサの国内初帰化年は1997年と勝山(1999)により報告された。しかし,1999年以降に発行された国内の主要な植物図鑑等においては,1993年が国内初帰化年と記載されている。これらのことから,著者らが改めて文献・標本調査を行った。その結果,植物図鑑等の1993年という記載は,本来は1997年とすべきところを過り・孫引きされたものと考えられた。今回の調査で確認できた60点以上のアメリカキカシグサ標本の中から,1997年よりも早い1986年に,千葉県で採集されたアメリカキカシグサ標本を確認した。また,徳島県および鹿児島県で採集された本種の標本が確認され,それらは四国ならびに九州への新帰化を示す標本である。
著者
工藤 洋
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.175-183, 2017
被引用文献数
5

<p>アブラナ科のタネツケバナ属(<i>Cardamine</i>)は約200種からなる。日本の農耕地に見られるのがタネツケバナ,オオバタネツケバナ,ミチタネツケバナの3種である。これらの種を対象に,生活史,生態,進化,系統地理,外来植物,形態形成,ゲノムといった様々な観点の研究がなされてきた。本総説では,これまでの研究を概観し以下の点を論じる。①タネツケバナは<i>C. flexuosa</i>とは別種である。②タネツケバナの学名は<i>C. occulta</i> Hornem.である。③タネツケバナは外来種として世界の温帯圏に広がっている。④オオバタネツケバナの学名は<i>C. scutata</i> Thunb.である。⑤オオバタネツケバナは倍数化によるタネツケバナ属多様化の典型例である。⑥日本のオオバタネツケバナ集団には地理的遺伝構造がある。⑦ミチタネツケバナはヨーロッパ原産の外来植物である。⑧ミチタネツケバナのゲノムが決定し,モデル植物としての基盤が整備されている。⑨ミチタネツケバナの雄しべ数は温度に依存して変わる。これらの研究は,近縁種の分類と同定,農耕地への適応,外来雑草の侵入といった,雑草学研究にとって重要な課題を含み,研究の展開が期待される。</p>
著者
山口 裕文
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.73-78, 2016 (Released:2016-08-06)
参考文献数
41
被引用文献数
1
著者
片岡 孝義 小松 良行
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.288-289, 1982-12-25 (Released:2009-12-17)
参考文献数
11